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更新日:2023年12月18日

福利厚生とは?対象者や事例、制度が整っている企業で働くメリットを解説

福利厚生とは?対象者や事例、制度が整っている企業で働くメリットを解説

※この記事は6分30秒で読めます。

「福利厚生ってなに?」
「福利厚生が充実した企業で働くメリットが知りたい」
など、福利厚生に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

福利厚生は働く方に対して企業が提供するさまざまなサービスで、働く方やその家族はそれを利用して生活の安定かつ充実を図ることができます。

今回は、福利厚生の概要、福利厚生が充実している会社で働くメリット、充実していない会社で働くデメリット、福利厚生が充実しているかどうかの見極め方などを解説します。この記事を読めば福利厚生のことがよくわかり、自分の働く企業や働きたい企業の福利厚生が充実しているかどうかの見極めができるようになります。

1.福利厚生とは?

福利厚生とは、給与やボーナスとは別に会社が従業員やその家族に対して提供する、健康や生活を豊かにするサービスのことです。身近なものだと健康保険や厚生年金保険、雇用保険などの保険類が想像しやすいでしょう。

その他にも、誕生日休暇やフリードリンク、保養施設の提供、社員食堂など、会社がそれぞれに用意している福利厚生があります。

2.福利厚生の目的

福利厚生は、従業員とその家族の生活を安定かつ充実したものにするためのものです。従業員は労働の対価として、給与やボーナスの他にさまざまな福利厚生を受けられ、それによって自身と家族の生活がより向上します。

会社側としては、福利厚生を充実させることで、従業員が仕事にやりがいを持ちつつ充実した生活を送れるようサポートし、優秀な人材の定着を図る目的があります。

また、福利厚生の充実は企業イメージの向上にもつながり、採用活動においてもプラスに働きます。

こうしたことから、福利厚生には従業員と会社の関係を良好に保つ効果があり、仕事の質の向上も期待できます。

3.福利厚生の種類

福利厚生には、法律で導入が定められている「法定福利厚生」と、企業が自由に定める「法定外福利厚生」の2種類があります。それぞれ解説します。

3-1.法定福利厚生

法定福利厚生とは法律で定められた福利厚生のことで、企業には導入する義務があります。これらの法定福利厚生を実施していない企業は法律違反となり、処罰の対象となります。

福利厚生 法律 内容
健康保険 健康保険法 従業員やその家族が怪我や病気で通院した際の医療費の負担軽減や、出産・死亡時の手当金の支給を健康保険組合がおこなうことにより、生活の安定と福祉の向上に寄与する。保険料については会社が一部を負担する。
厚生年金保険 厚生年金法 公的年金の1つ。従業員の老後の年金や障害者年金などの保険給付を国がおこなう。保険料については会社が一部を負担する。
介護保険 介護保険法 従業員やその家族が要介護状態または要支援状態である場合に、必要な保険給付を国がおこなう。保険料については会社が一部を負担する。
雇用保険 雇用保険法 従業員が失業した場合などに国が失業保険金などの給付をおこなう他、職業に関する教育訓練を受けた場合や育児休暇を取得した場合に必要な保険給付をおこなうことで従業員の生活と雇用の安定を図る。保険料については会社が一部を負担する。
労災保険 労働者災害補償保険法 従業員が業務または通勤で怪我、病気、死亡となった際に国が必要な保険給付をおこなったり、社会復帰の促進や遺族の援護をおこなったりする。保険料については会社が全額を負担する。
年次有給休暇 労働基準法第39条 一定の条件を満たした従業員が取得できる休暇で、この休暇を取得しても賃金の減額はない
生理休暇 労働基準法第68条 生理痛などにより就業が難しい女性が取得できる休暇。すべての女性従業員が取得できる。
産前産後休業 労働基準法第65条 6週間以内に出産を控えている女性が請求した場合と出産後8週間を経過しない女性が取得できる休暇。
公民権に関わる休暇 労働基準法第7条 選挙権などを行使する場合や裁判員制度の裁判官として職務の執行をおこなう場合に取得できる休暇。
子の看護休暇 育児・介護休業法第16条の2 未就学児を養育する従業員は年度につき5日間まで(子が2人以上の場合には10日間まで)、当該の子の怪我や病気の看病のための休暇を取得できる。
介護休暇 育児・介護休業法第16条の5 要介護状態にある家族のいる従業員は年度につき5日間まで(介護を必要とする家族が2人以上の場合には10日間まで)、介護のための休暇を取得できる。
出生時育児休業 育児・介護休業法 第9条の2 従業員の子が生まれた場合、生後8週間までの間に4週間以内の休暇を取得できる。
育児休業 育児・介護休業法第5条 従業員の子が1歳になるまでの間、育児のために休業できる。
介護休業 育児・介護休業法第11条 従業員は要介護状態の家族の介護のために休業できる。
育児・介護のための短時間勤務 育児・介護休業法第23条 従業員は3歳に満たない子の養育や要介護状態の家族の介護のために勤務時間を短くできる。
健康診断 労働安全衛生法66条 従業員は医師による健康診断をうけることができる。

健康保険や介護保険、厚生年金は、従業員やその家族が健康や生活に関して安心して過ごせるために必要なものです。

また、雇用保険や労働保険は従業員が安心して業務にあたるために重要なものであり、どれも従業員の生活の安定のために不可欠な福利厚生です。

また、休暇制度のうち年次有給休暇は企業に賃金の支払い義務がありますが、それ以外の休暇については賃金支払いの義務はありません。それらの休暇を利用した際に賃金の全額または一部が支払われるか、あるいはまったく支払われないかは会社によって異なるため注意が必要です。

3-2.法定外福利厚生

法定外福利厚生とは、企業が独自に設ける福利厚生のことです。その内容は多岐にわたり、企業の特色が出ます。

よくある法定外福利厚生には以下のようなものがあります。

3-2-1.慶弔休暇制度

従業員の親や家族が亡くなった際に休暇を取得できる制度。2020年に労働政策研究・研修機構が報告した調査結果(※1)によると、調査対象の企業のうち90.7%の企業が導入しています。

3-2-2.病気休職制度

従業員が業務を原因としない病気やケガによって仕事を続けることが難しくなってしまった場合、一定期間を休職して療養に充てることができる制度。

2020年に労働政策研究・研修機構が報告した調査結果(※1)によると、調査対象の企業のうち62.1%の企業が導入しています。

3-2-3.住宅手当

従業員のもつ住宅ローンの返済や賃貸家賃などに対して企業が補助を出す制度。令和4年に株式会社帝国データバンクが報告した調査結果(※2)によると、調査対象のうち46%の企業が導入しています。

4.福利厚生の対象となる人

法定福利厚生は、正社員やパートなどの雇用形態に関わらず、労働時間などの条件を満たしたすべての方が対象となります。適用条件は以下のとおりです。

【厚生年金/健康保険】

  • 週所定労働時間が20時間以上
  • 所定内賃金が月額8.8万円以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込みがある
  • 学生ではない

【年次有給休暇】

  • 雇入れの日から6ヵ月連続勤務
  • 全労働日の8割以上出勤
  • 付与日数は勤続年数、所定労働日数により異なる

【雇用保険】

  • 31日以上引き続き雇用される見込みがある
  • 1週間の所定労働時間が20時間以上である

【育児休業】

  • 原則として1歳に満たない子を養育する男女労働者
  • 子が1歳6ヵ月に達する日までに労働契約の期間が満了することが明らかでない場合

法定外福利厚生の場合は、その対象範囲も企業ごとに定められています。正社員であればすべての福利厚生を受けられることが多いですが、契約社員やパートの場合の対応は企業により異なるため、就業規則などで確認しましょう。

5.福利厚生とよく似た言葉

求人情報を見ていると、手当や待遇といった言葉を目にする機会が多いと思います。これらの言葉に福利厚生と同じようなイメージを持っている方は多いのではないでしょうか?

しかし、これらの言葉は厳密には福利厚生とは異なるものです。それぞれについて解説します。

5-1.手当

手当とは、基本給に上乗せして経費として支払われる金銭のことを指し、給与に含まれます。福利厚生は従業員が給与とは別に受けられるサービスであるため、この点で手当と福利厚生は異なります。

国は3つの割増賃金を定めていて、これらは法定手当として対象者に支給されます。割増賃金には以下の種類があります。

  • 時間外労働(時間外手当、残業手当)

法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて労働する場合に25%以上の割増賃金が支払われる。月間や年間の時間外労働時間の累計により割増率は増加する。

  • 休日(休日手当)

法定休日(週1日)に労働する場合、35%以上の割増賃金が支払われる。

  • 深夜(深夜手当)

22時から5時までの間に労働する場合、25%以上の割増賃金が支払われる。

これらの他に独自の手当を設定している企業もありますが、その場合は福利厚生の一環として位置づけられるケースが多いようです。よくある手当としては、通勤手当や役付手当、家族手当、扶養手当などがあります。

また、鉱業や建設業、電気・ガス・熱供給・水道業など特殊な作業をする職種の場合、特殊作業手当や特殊勤務手当などが支給されている企業もあります。

以下の記事では夜勤手当について詳しく解説しています。併せてご覧ください。

5-2.待遇

会社における待遇とは、企業による従業員の取り扱いのことを指します。具体的には、給与やボーナス、勤務時間などが含まれ、福利厚生も待遇の一部としての扱いです。

基本給や手当の有無、勤務時間、福利厚生が受けられるかどうかなどは、個人の勤務形態や家族構成、業績などにより異なります。そのため、待遇も一人ひとり異なるものです。

以下の記事では、工場勤務の契約や待遇について詳しく解説しています。併せてご覧ください。

6.福利厚生が整っている企業で働くメリット

福利厚生は企業が従業員のために提供するものです。これが整っている企業で働くと、さまざまな恩恵を受けられます。

6-1.ライフワークバランスが充実する

福利厚生が充実している企業では休みが取りやすいため、仕事だけでなく私生活の時間も大切にでき、ライフワークバランスが充実しやすいでしょう。

誕生日休暇や記念日休暇、子どもの発表会や参観日に参加するための休暇など、独自の休暇制度を設けている企業の場合は、特に充実感が得られやすい傾向にあります。

6-2.健康的に過ごしやすくなる

例えば、ジムの利用やメンタルケア、企業内診療所、予防接種の費用負担などの福利厚生があれば、より健康的に過ごしやすくなり、不調を感じた際にも速やかに対処できます。

社員食堂や弁当などで栄養バランスに配慮された食事の提供があれば、特に一人暮らしの方にとっては健康管理にも役立つでしょう。

6-3.手当がもらえる

福利厚生の一環として、給与に上乗せするさまざまな補助や手当を導入している企業もあります。

家賃や住宅ローンの一部を負担する住宅手当や、持っている資格によって決められた額が給与に上乗せされる資格手当などが考えられます。これらの手当を導入している企業で働ければ給与が上がるメリットがあります。

6-4.柔軟な働き方ができることもある

子どもが3歳になるまでの育児のための短時間勤務は、法律で定められた福利厚生です。これを小学校入学や卒業のタイミングまで延長して利用できる制度などを、独自の福利厚生として取り入れている企業もあります。

そうした企業では、個々人の事情に応じて柔軟な働き方ができる可能性が高いでしょう。

7.福利厚生が整っていない企業で働くデメリット

福利厚生が充実している企業がある一方で、それほど制度が整っていない企業もあります。福利厚生が整っていない企業で働くとどのようなデメリットがあるのでしょうか。

7-1.働く意欲が低下する可能性がある

福利厚生が整っていないことで不満が募り、働く意欲が低下してしまう可能性があります。他の企業の福利厚生の話や噂を聞き、自分の働く企業の福利厚生の不十分さにがっかりして、より意欲をなくしてしまうことも。

同じ仕事内容で福利厚生がより良い企業があるなら、いっそ転職してしまおうという考える方もいるでしょう。

7-2.仕事の生産性が低下する可能性がある

福利厚生のなかには、メンタルケアなどで働く方のストレスを軽減したり、旅行券の支給などで私生活の充実を図るようなサービスを導入している企業もあります。

そういったサービスが利用できれば、仕事のストレスを必要以上にため込んでしまう可能性も下がり、やる気や生産性の向上につながるでしょう。仕事で抱えているストレスを私生活で発散することもできるはずです。

逆に、こうした福利厚生が整っていない場合、仕事のストレスが積み重なって、仕事の生産性や効率が低下してしまう可能性もあります。

8.福利厚生の事例

ここでは、UTグループが導入している福利厚生をご紹介します。

福利厚生 内容
持株会 UTグループの株を1,000円から購入できる。また、毎月の拠出金のうち10%を会社から奨励金として支給。
選択制DC(確定拠出年金)制度 給与から毎月掛金を拠出し、運用して60歳以降に受け取るか、拠出はせずに積み立てて給与として受け取ることができる。確定拠出年金として積み立てる場合、全額所得控除となるため税負担が軽減する。
速払い制度 実際に働いた日数×5,000円まで給与の前払いを受けることができる制度。スマートフォンから申し込めて、最短翌日に受け取れる。
社宅制度 UTの借上げ社宅、就業先の提供する寮などを利用可能。初期費用は会社負担、月額賃料の一部・全額補助がある場合も。
慶弔見舞金 社員の慶弔事に対してお祝い金やお見舞金を送る制度。
永年勤続表彰 毎年4月1日時点で入社10年を経過した全社員を対象に永年勤続表彰を実施。対象者には感謝状および賞金・景品が贈られる。

働く方に有益な福利厚生を導入している企業は、他にも多数あります。ホームページで福利厚生を紹介している企業も多いため、自分が働きたい企業のホームページもチェックしてみましょう。

9.入社前に福利厚生が整っているかを見極める方法

入社してから「思っていたより福利厚生が充実していない!」と失望するのではなく、できれば入社前に福利厚生が整っているかどうかを見極めたいところです。

入社前に福利厚生を知る方法は大きく2つあります。

9-1.募集要項に記載がある

まずは募集要項をしっかりと読み込みましょう。福利厚生の充実をアピールポイントとしている企業であれば、募集要項にしっかりと記載されているはずです。

また、企業のホームページや企業案内パンフレットなどに掲載されている場合もあります。

9-2.面接時に確認する

募集要項やホームページ、パンフレットなどを見ても福利厚生の内容がわからなかった場合は、面接時に確認しましょう。

ただし、福利厚生や待遇を目当てに入社を希望しているのではと面接官に思われないよう、慎重に質問する必要があります。一次・二次のように面接を何度かおこなう場合には、より入社の可能性が高くなった二次面接などで聞くのが良いでしょう。

福利厚生について聞くタイミングは、最後に設けられる質問の時間です。ただし、「福利厚生は充実していますか?」と直球で質問すると、あまり良いイメージを持たれません。

例えば、

  • 御社で長く働きたいと考えていますが、産休・育休について詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか?
  • 入社後はスキルを磨くために残業をしてでも業務に集中したいと考えていますが、普段はどの程度残業をされているでしょうか?

のように、仕事を長く続けるため、仕事に打ち込むための参考というニュアンスで聞くと、面接官の印象も悪くならないでしょう。

また、企業規模が大きいほどさまざまな福利厚生の導入率が高くなっています。福利厚生の充実した仕事を探す際には、このことも念頭において仕事を探すと良いでしょう。

10.まとめ

福利厚生とは、企業に勤める方が受け取ることができるサービスです。法定福利厚生と法定外福利厚生に分けられますが、法定外福利厚生は企業ごとに大きく異なります。

福利厚生の充実度は、仕事のやる気や企業に貢献したいという気持ちの大きさに直結することもあります。これから転職をしようと考えている方はぜひ、福利厚生も企業選びのポイントの1つととらえてみてください。

今働いている企業の福利厚生に不満があり、仕事のやる気が上がらないという方は、福利厚生の充実した企業への転職を検討してみましょう。

JOBPALでは、福利厚生が充実している求人も多く取り扱っています。下記のリンクからぜひチェックしてみてください。

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