ベンチャー企業とは?働く魅力や大変さ、向いている人の特徴を解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「ベンチャー企業ってどのような企業?」
「ベンチャー企業で働くメリットが知りたい」
など、ベンチャー企業に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
ベンチャー企業は独自の革新的なアイデアでビジネスを展開する企業であり、社員1人ひとりの裁量権が大きいという特徴があります。
今回は、ベンチャー企業とは何か、ベンチャー企業にはどのような業種があるのか、働く魅力や大変さ、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、ベンチャー企業のことがよくわかり、今後の転職先を決める参考に利用できるようになります。
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1. ベンチャー企業とは?
ベンチャー企業という言葉には、実は明確な定義はありません。一般的には、独自のアイデアや技術をもとに新しいサービスやビジネスを展開する企業のことを指します。
20代~30代の若手社員が中心であること、将来的には大企業に匹敵する規模まで成長する可能性があることが特徴です。
また、多くの場合は成長途中の企業を指しますが、必ずしも小規模な企業とは限りません。なかには、実績・知名度ともに十分な成果を上げているメガベンチャーと呼ばれる企業もあります。
1-1.大手企業・中小企業との違い
前述のとおりベンチャー企業には明確な定義はありませんが、大企業や中小企業には明確な定義があります。
【中小企業の定義】
- 製造業・建設業・運輸業その他:資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社、ならびに常時使用する従業員数が300人以下であること。
- 卸売業:資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社、ならびに常時使用する従業員数が100人以下であること。
- 小売業:資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社、ならびに常時使用する従業員数が50人以下であること。
- サービス業:資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社、ならびに常時使用する従業員数が100人以下であること。
大手企業は、上記の中小企業の定義に含まれない、中小企業よりも規模が大きい企業のことです。
ベンチャー企業と中小企業・大手企業の違いは、ビジネスモデルや事業に対するマインドです。ベンチャー企業は企業の規模に明確な定義がなく、独自のアイデアで新たなサービスやビジネスを展開しています。
なお、中小企業の定義を満たすベンチャー企業を中小ベンチャー、大手の基準を満たして知名度が高い企業をメガベンチャーと呼び分けることもあります。
1-2.スタートアップ企業との違い
ベンチャー企業と似たような意味で利用される言葉にスタートアップ企業があります。
スタートアップ企業にも明確な定義はありませんが、一般的に以下のような違いがあります。
ベンチャー企業 | ・既存のビジネスモデルをベースに独自性のあるアイデアを活用して事業展開をする ・株式上場や事業売却を狙っているわけではない |
スタートアップ企業 | ・まったく新しいビジネスモデルを一から構築する ・早期の成長と上場、事業売却を狙うことが多い |
独自のアイデアやサービスを使って事業展開をするという点では両者は共通しており、スタートアップ企業はベンチャー企業の一部といえます。
ベンチャー企業のなかでも特に独自色が強く、短期間でビジネスモデルを成長させている企業をスタートアップだと定義できるでしょう。
1-3.社内ベンチャーとの違い
社内ベンチャーとは、企業が新規事業に参入するために立ち上げた社内の事業部のことです。あくまでも企業の一部門のことを指しており、1つの企業を指しているわけではありません。
ベンチャー企業は新しいアイデアで事業展開をする企業のことであり、法人登記もおこなわれる点で大きく異なります。
2.ベンチャー企業にはどのような業種がある?
ベンチャー企業が多く存在する業種はさまざまですが、なかでもよく知られるのは以下のような業種です。
- IT業界
- 人材業界
- 不動産業界
- 製造(ものづくり)業界
など
ここでは、それぞれの業種でベンチャー企業が多いのはなぜか、また、なぜ増加傾向にあるかを解説します。
2-1.IT業界
ベンチャー企業という言葉を聞いて真っ先に思い浮かぶのはIT業界ではないでしょうか。実際、2000年代に急速に発達したインターネット技術の広がりとともに、IT業界には多数のベンチャー企業が生まれてきました。
しかし、ひとくちにIT業界といってもその業務内容は企業ごとにさまざまです。ソフトウェア、ハードウェア、Web、通信インフラ、情報処理(SI)などの分類があり、IoT、クラウド、VRなど、次々に革新的なサービスが生まれています。
インターネット全盛の時代が続く限り、革新的なサービスを生み出すベンチャー企業は今後も登場し続けるでしょう。
2-2.人材業界
人材業界とは、企業の人材確保を支援する業界のことです。人材紹介、人材派遣のほか、求人広告や人材コンサルティングなどを手がける企業が含まれます。
企業が必要としている人材の質や量は経済情勢などによって変わるため、柔軟なサービスを開発するベンチャー企業が参入する余地があります。
例えば、現在は新卒でも中途採用でも個人事業主でもインターネットを通じた求職活動が盛んにおこなわれており、そうした背景のもと、Webサービスと人材業界を結びつけるベンチャー企業が登場しています。
また、少子高齢化などを要因とした人材不足も、人材業界でベンチャーが躍進しやすい要因です。企業はより良い人材を確保できるサービスを求めており、Webを通して企業にスムーズに労働力を提供するサービスなどが需要を高めています。
2-3.不動産業界
不動産業界とは、土地や建物の売買や賃貸、設計・施工などを手がける業界のことです。不動産業界は一般的にIT化が遅れているといわれており、それがベンチャー企業増加の要因の1つとなっています。
例えば、新型コロナウイルスの影響で外出が制限された時期には、自宅にいながら内見できるオンライン内見サービスを導入する不動産会社が増えました。
また、自動でカーテンの開け閉めができるなど、生活の質向上や防犯につながる、いわゆるIoTシステムを提供するベンチャー企業もあります。
今後も最新技術を提供するベンチャーが新規参入し、市場が大きく活性化する可能性があります。
2-4.製造(ものづくり)業界
製造業とは、原材料や素材を加工したり組み立てたりして、製品として販売・出荷して利益を得る仕事のことです。日本は材料を加工して製品を作る「ものづくり」の技術に長けており、さまざまな製造業が国内にあります。
製造業に関連するベンチャー企業は、ものづくりベンチャーと呼ばれています。近年は製造業でも人材不足が叫ばれており、人手不足をAIやIoTの力で解決させるベンチャー企業が多く登場しています。
例えば、製品の検査や選別を機械化したり、独自のアルゴリズムで見積もり作業を自動化したりと、さまざまな製造業向けサービスが開発されています。
このようなものづくりベンチャーには革新的なアイデアや技術があり、ものづくり産業の新たな担い手として注目されています。
その一方、アイデアを形にする資金や設備がないベンチャー企業も少なくありませんが、そうしたベンチャー企業を支援する仕組みも生まれています。
例えば東京都立産業技術研究センターでは、段階に応じてベンチャー企業が必要な支援を受けながら短期間で成長できる仕組みを作る、ものづくりベンチャー育成事業を展開しています。
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参照:東京都立産業技術研究センター「ものづくりベンチャー育成事業」
https://www.iri-tokyo.jp/site/project/mono.html
資金的な支援を受けたベンチャー企業が革新的なアイデアを形にできれば、ものづくり業界の大きな躍進にもつながるでしょう。
製造業についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。
3.ベンチャー企業の魅力
ベンチャー企業には、大手企業や老舗の中小企業にはない魅力が多くあります。ここでは以下の4つの魅力をご紹介します。
- 働きやすい環境が整っている
- 社内の風通しが良い
- 新しいことにチャレンジしやすい
- 会社の成長を見届けられる
3-1.働きやすい環境が整っている
ベンチャー企業には設立からあまり時間が経っていない企業が多く、そうした会社の外観やオフィスはきれいで洗練されていることが多いようです。
また、見た目だけではなく、Web会議で利用できる専用の部屋があるなど、一般的な中小企業にはない環境が整っていることも少なくありません。
例えば、古くからある製造業の企業にはテレワークを見越したWeb会議専用の部屋などはなく、歴史が長いことで見た目が古くなってしまっている場合もあります。
きれいな見た目のオフィスでスマートに働きたいなら、ものづくりベンチャーは魅力的な選択肢といえます。
3-2.社内の風通しが良い
伝統的な企業では、社内の風通しが良くないケースがあります。トップダウン型の経営方針で、部下の意見が通らないことも少なくありません。
一方、ベンチャー企業は風通しが良く、周囲と意見を交わしやすい傾向にあります。これは、新しく優れたアイデアは年齢や社歴に関係なく積極的に採用していこうという空気がベンチャー企業にはあるからです。
例えば、「ものづくりに興味はあるけれど風通しが良い企業で働きたい」という場合は、ものづくりベンチャーの求人を探してみましょう。
3-3.新しいことにチャレンジしやすい
一般的な大手・中小企業の場合、仕事でまったく新しいことにチャレンジする機会は多くはありません。
特に中小の製造業などはすでに自社で一定のシェアを獲得している場合が多く、今後もそのシェアを維持できるよう、新しいチャレンジに挑まず安定した売上を確保する経営方針が取られることが多いでしょう。
一方、ベンチャー企業は会社が成長段階であり、会社が大きく成長するためならまったく新しい事業でも始めやすい傾向にあります。
3-4.会社の成長を見届けられる
会社が立ち上がったばかり、あるいは今まさに成長している段階というケースが多いベンチャー企業では、働きながら会社の成長を実感できます。
社員の頑張り次第では、すでに事業が成熟した大手や中小企業では実現できない大きな成長率を達成することもできます。
4.ベンチャー企業の大変さ
ベンチャー企業は成長途上の会社であり、新しいことにどんどん挑戦できるという魅力もありますが、その挑戦を大変だと大変に感じることも少なくありません。ベンチャーは経営が不安定というイメージもあります。
しかし、一概にベンチャー企業=不安定と決めつけることはできません。ベンチャー企業で毎年安定して黒字を出している企業もあれば、老舗企業で毎年赤字を出している企業も少なくないのが実情です。
ベンチャー企業の大変さとして挙げられるのは、例えば個人の業務量の多さです。例えば製造業などものづくり業界では、作業内容のほとんどがマニュアル化されており、多くの社員で業務を共有できます。
しかし、ベンチャー企業は社員1人ひとりの業務範囲が広く、マニュアル外の仕事や担当外の仕事を受け持つことも少なくありません。
また、人数が少ないなかで仕事をこなすことや、成績によって年収が大きく変わるといった要因から、業務過多で残業が増えやすい傾向にもあります。
5.ベンチャー企業が向いている人の特徴
最後に、ベンチャー企業で働くのに向いている人の特徴を、製造業やものづくり業界を例にご紹介します。
5-1.変化を恐れない人
一般的な製造業の会社では自社で高いシェアを誇る製品の製造をメインで手がけており、事業を大きく転換するような場面に出会うことは少ないでしょう。現場作業員の仕事内容も、がらりと変わるケースは多くはありません。
一方、ベンチャー企業の場合は、事業の進捗次第で仕事内容がどんどん変わるケースが多く発生します。また、その日の生産量が決まっている製造業と違い、成長に必要な量の仕事をこなすためのスピードも求められます。
毎日の変化を恐れずスピード感をもって楽しみながら仕事に取り組める人に、ベンチャー企業は向いているでしょう。
5-2.向上心がある人
一般的な製造業の会社では製造する製品や仕事内容がある程度決まっていることから、一定以上の作業レベルになったあとは安定して仕事をこなせるようになります。
一方、ベンチャー企業は業務内容や経営体制の変化が激しいため、たとえものづくりベンチャーだとしても工場のようなルーティンワークは少ない傾向にあります。業務の変化を会社が成長するために必要な変化ととらえ、向上心を持って働くことが求められます。
また、ベンチャー企業には新しい技術や情報がどんどん入ってくるため、業界の最新情報を常に把握し、その技術や情報をしっかり理解することも求められます。そのためには、常に成長しようという気持ちが必要となるでしょう。
5-3.自主的に動ける人
製造ラインの担当者はマニュアルを守ってコツコツと仕事をすることで評価されますが、ベンチャー企業では指示を待たずに自主的に行動できることが求められます。
当事者意識が強く、「自分が会社を成長させる」という強い意識がある人にベンチャー企業は向いています。
5-4.裁量権を持って働きたい人
一般的な製造業の場合は担当者や役職ごとに業務範囲が決まっており、権限を越えて自分で仕事を作るようなことはありません。
一方、ベンチャー企業には会社全体で新しいことにチャレンジしていくという企業風土があり、社員1人ひとりの裁量権が大きいのが特徴です。一般的な企業なら会社や上司の許可がないとできないことでも、社員1人で判断して行動に移せる場合があります。
そのため、裁量権をもって働きたい人はベンチャー企業に向いているでしょう。
6.まとめ
ベンチャー企業はIT企業を中心に不動産や人材派遣などの業界に多い傾向にあります。また製造業でも、ものづくりベンチャーによって技術革新がもたらされているケースが見られます。
決められた業務範囲とマニュアルの下で仕事をする一般的な製造業と違い、ものづくりベンチャーでは社員1人ひとりの裁量権が大きく設定されています。責任重大ではありますが、意思決定が早い企業風土から社員が成長しやすいメリットもあります。
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