製造業とは?仕事内容や職種、向いている方や12のメリットをわかりやすく解説
この記事で分かること
- 製造業は、原材料を加工して製品をつくる「ものづくり」の仕事
- 職種は検品・組立・機械操作など多岐にわたり、未経験でも始めやすい
- 黙々と作業に集中でき、人間関係のストレスが少ない環境も魅力
- 手先の器用さや体力を活かすことができ、スキル次第でキャリアアップも可能
- 製造業は、安定した環境で長く働きたい人におすすめの業界
※この記事は6分30秒で読めます。
「製造業にはどのような仕事がある?」
「製造業で働くメリットが知りたい」
など、製造業の仕事に関して興味を持っている方もいるでしょう。
製造業は、人々の生活をより良く豊かにできる仕事です。また仕事をする中で、キャリアアップがしやすいなどの特徴もあります。未経験からでもスタートしやすく、コツコツと経験を積むことでスキルアップができる環境が整っています。
今回は、製造業の種類や仕事内容をはじめ、製造業に向いている方の特徴、製造業を選ぶメリットなどを詳しく解説します。この記事を読めば、製造業の仕事について理解でき、働く姿を具体的にイメージできるため、次の一歩を踏み出す参考になるでしょう。
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1.製造業とは?
製造業とは、材料を加工したり組み立てたりして、製品を作り上げる仕事です。
例えば、食品を加工してお弁当にする仕事、自動車の部品を組み立てる仕事、スマートフォンの部品を検査する仕事など、私たちの生活に欠かせない「モノ」をつくる仕事の多くが製造業に含まれます。
製造業は大きく分けて、食品・飲料、機械・自動車、電子・電気、化学製品、日用品などの分野があります。大手の工場だけでなく、町工場や中小企業でも幅広く行われており、それぞれの規模や製品によって作業内容や環境は異なります。
具体的な仕事には、部品を組み立てる「組立作業」、材料を加工する「加工・成形」、製品に不良がないか確認する「検査・品質管理」、機械の操作や保守点検などがあります。
単純に「モノを作る」といっても、体力や集中力が必要な作業から、専門的な技術や知識を活かす作業までさまざまです。
似た言葉に「建設業」や「サービス業」もありますが、それらは「モノづくり」ではなく、建物をつくる・接客をするなどの仕事です。製造業は、形のある製品を生み出すことに特化した仕事であり、社会に欠かせない製品を支える役割を担っています。
2.製造業にはどのような種類がある?
製造業といっても企業ごとにさまざまな部門があり、仕事内容も異なります。例えば製造業の主な種類は、以下のとおりです。
- 機械関連:自動車や航空機など
- 金属・鉄鋼・リサイクル関連:アルミ製品や鋼板など
- 電子部品・電子デバイス関連:パソコンやスマートフォンなど
- 化学製品関連:衣類の繊維や接着剤など
- 食品関連:加工食品やお菓子など
- 建築・住宅関連:建築資材や断熱材など
- 医薬品関連:市販薬やサプリメントなど
これらは、原材料や部品をもとにして新たな製品を生み出す産業であり、私たちの生活を支える重要な役割を果たしています。
例えば、自動車をつくるには金属加工や電装部品の組立、塗装など多くの工程があり、それぞれに特化した製造部門が存在します。
また、現代の産業は、イギリスの経済学者コーリン・クラークによって以下の3つに分類されています。
- 第一次産業:農業や水産業など
- 第二次産業:製造業や建設業など
- 第三次産業:販売業やサービス業など
製造業はこのうち「第二次産業」に分類され、形のある製品を大量に生産し、経済の基盤を支える重要な分野です。
3.製造業の主な仕事内容とは?
製造業の主な仕事内容は、以下のとおりです。
| 工程 | 仕事内容 |
|---|---|
| 接合・塗装 | 部品と部品の組み合わせや、つなぎ合わせをする/組み立てられた製品を塗装し、製造ラインの仕上げをおこなう |
| フォークリフト・クレーン | フォークリフトやクレーンを使って工場内の荷物を移動・運搬する |
| 機械操作 | 機械の操作や指示を出す・機械にプログラムを入力する |
| 加工・組付け | 熱入れや型どりなどにより素材の形を変え、設計図通りの部品やパーツを作る/加工された部品やパーツを設計図通りに組み付けする |
| 検品・検査 | 目視や検査機で製品を検査し、異常や不具合がないか調べる |
| 試験・評価 | 製品を試験して動作や品質を確認する/期待される性能を発揮できるかどうかを評価して開発者にフィードバックする |
| 清掃・洗浄 | 工場内の床や溝などを清掃する/製品に異物や菌が混入しないよう、機械を洗浄する |
| 設備保守・保全 | 機械やシステムの故障を未然に防ぐため、日常的な点検・修理をおこなう/動作の悪化や故障した機械やシステムを修理して再発防止をおこなう |
| 設計開発・開発補助 | 製品や機械の構造を考え、製品化する/設計開発エンジニアをサポートする |
| ピッキング・軽作業 | 注文された商品を倉庫から集める/出荷前の商品・製品を仕分けや検品をする |
| 技能工(溶接・旋盤など) | 融接やろう接などの技法を使用して材料同士をつなぎ合わせる/図面を読み取り、溶接作業に必要な溶接記号などを確認する |
| ドライバー・配送 | 企業や店舗、個人宅などに商品を運搬・配送する |
製造業では、工程によって仕事内容が異なります。また、フォークリフト免許やガス溶接技能者など、特定の資格を必要とする仕事もあります。
福利厚生として資格取得制度を導入している企業もあるため、未経験で気になる求人があれば待遇面を確認しておきましょう。
また、製造業では、電話・来客対応やデータ入力などをおこなう工場事務という仕事もあります。
4.製造業の仕事で働く12のメリット
製造業の仕事で働く12のメリットについて、以下で詳しくみていきましょう。
- コツコツ取り組める仕事が多い
- 夜勤があれば高収入を狙える
- キャリアアップしやすい
- 技術が身につき手に職になる
- 基本的に残業が少ない
- 福利厚生が整っている
- 希望にあわせた働き方ができる
- 性別や年齢に関係なく働きやすい
- 達成感や充実感を感じられる
- 仕事によっては未経験でも活躍できる
- 人間関係のストレスが少ない傾向がある
- 正社員登用のチャンスがある
4-1.コツコツ取り組める仕事が多い
製造業の多くの仕事は、基本的にマニュアル通りに進めることができ、決まった手順に従って作業することが求められます。そのため、慣れてしまえば自分のペースで作業に集中しやすく、コツコツと取り組むことが得意な方に向いています。
また、接客や顧客対応のような対人スキルを求められる機会が少ないため、人との関わりが少ない仕事を探している方や、コミュニケーションを取ることに自信がない方にとっても働きやすい環境です。
4-2.夜勤があれば高収入を狙える
高年収を狙うなら夜勤ありの職場を選択しましょう。
夜勤をした場合、企業は従業員に法律で決められた深夜手当を支払う義務があります。原則午後10時から翌朝5時までが対象で、賃金は通常勤務の1.25倍(※)となります。
例えば時給1,500円で8時間働いた場合、日勤と夜勤の給与は以下のとおりです。
- 日勤:1,500円×8時間=12,000円
- 夜勤:1,500円×8時間×1.25倍=15,000円
同じ時間働いたとしても、夜勤が多くなるほど給与アップも可能です。
ただし夜勤は、生活リズムの乱れやすさや家族と予定を合わせにくい点から、向き不向きがあります。
高収入を優先させたいのであれば、夜勤のある仕事を探すのがおすすめです。
-
(※)参照:e-GOV「労働基準法」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000049
4-3.キャリアアップしやすい
入社当初は初心者でも、仕事を継続する中で専門的な知識や技術が身につきます。真面目に働き技術力を磨けば、昇進のチャンスも広がります。
現場での経験が重視される製造業では、実力が認められれば部長職や課長職などの管理職へのキャリアアップも可能です。
長期的にキャリアを築ける点は、製造業の仕事において大きな魅力といえます。
4-4.技術が身につき手に職になる
製造業では、溶接や機械操作、検査といった専門技術を現場で学び、技術を磨くことができます。
例えば、溶接の技術を身につければ、自動車部品や建築資材の製造現場で即戦力として働けます。
機械操作のスキルを習得すれば、複数の生産ラインを任されたり、保守・メンテナンスに携わったりすることも可能です。
検査や品質管理の経験は、不良品の発見や工程改善といった業務に直結し、将来的には工程管理やリーダー職へのステップアップにもつながります。
さらに、これらの技術は資格取得とも組み合わせやすく、たとえばフォークリフト免許や危険物取扱者、溶接技能者資格などを取得すれば、スキルがあることが証明され、評価や転職の際に強みとして活かせます。
習得した技術や資格は、現場経験とあわせて「手に職」として長く役立つ資産となるのです。
4-5.基本的に残業が少ない
製造業は残業が比較的少なく、ワークライフバランスを整えたい方におすすめです。
厚生労働省の「毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果速報」によると、製造業の1ヵ月あたり所定外労働時間は13.6時間(※)でした。
特に2交替や3交替の職場では、自分のあとから出勤する方に仕事を引き継いで退勤できます。
繁忙期や材料の納品が遅延するなどによって残業が発生する場合もありますが、基本的に残業が少ない仕事です。
-
(※)参照:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和6年7月分結果速報」
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/monthly/r06/2407p/dl/pdf2407p.pdf
4-6.福利厚生が整っている
経済産業省の「2024年版ものづくり白書」によると、製造業の従業員数における過不足状況は2024年第1四半期で-18.9%(※)です。
また、厚生労働省の「令和6年版労働経済の分析」によると「よりよい条件の仕事を探すため」に転職する方は、2022年以降増加傾向(※)にあります。
製造業は人材不足に悩む企業が多く、人材確保を目的に魅力的な福利厚生を導入する企業が増加中です。
例えば、社員寮を提供している企業で働けば、家賃が大幅に安くなります。
企業によっては無料もしくは安価で食事を提供する食事補助を受けられる場合もあり、経済的な負担軽減は魅力です。
充実した福利厚生を希望するのであれば、気になる求人の詳細を見て比較しましょう。
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(※)参照:経済産業省「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/pdf/all.pdf
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(※)参照:厚生労働省「令和6年版労働経済の分析(全体版)」
https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/24/dl/24-1.pdf
4-7.希望にあわせた働き方ができる
製造業の仕事は、シフト制を採用している職場も多く、自分の希望日にあわせて仕事ができます。
例えば、朝が苦手な方は、夜勤や遅番を中心に働けます。育児や介護との両立を目指す方は、時短勤務やパートタイマーとして働くなども可能です。
ワークライフバランスを整えたい方にとって、製造業は働きやすい仕事です。
4-8.性別や年齢に関係なく働きやすい
経済産業省の「ものづくり白書」によれば、2023年の製造業で働く65歳以上の就業者は88万人(※)です。
立ちっぱなしや重いものを運ぶなど体力を必要とする仕事がある一方で、軽作業や細かな技術を求められる業務は、特に性別や年齢に関係なく働けます。
仕事によっては年齢制限を設けている可能性もありますが、基本的に性別や年齢を問わず働けます。
長期にわたり働ける環境が整っており、自分に合った仕事を見つけやすい点が製造業の大きなメリットです。
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(※)参照:経済産業省「令和5年度ものづくり基盤技術の振興施策」
https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2024/pdf/all.pdf
4-9.達成感や充実感を感じられる
製造業は、自分が手がけた製品が目に見える形で完成するにつれて、達成感や充実感を感じられる仕事です。
製造業の仕事は「製品を完成させる」「決められた状態に仕上げる」などゴールが明確なので、効率的に作業を進められます。
また、製品の品質が評価されたり、効率的に製造を進めて生産量が増加したりした際など、自分の成長を実感する機会もあります。
仕事の結果が目に見えて、達成感や充実感を感じやすい仕事をしたい方は、製造業がおすすめです。
4-10.仕事によっては未経験でも活躍できる
製造業の中でも、以下の仕事は未経験でも活躍できる可能性が高いです。
- 検品
- 検査
- 加工
- 組付け
- 機械操作
- ピッキングなど
多くの企業では研修やマニュアルが用意されており、未経験や初心者でも安心です。
最初はマニュアルを確認しながら作業を覚えていきますが、慣れれば効率よく進められるようになります。
製造業未経験の場合は「未経験歓迎」や「研修制度あり」などの求人を確認しましょう。
4-11.人間関係のストレスが少ない傾向がある
製造業は、一人で黙々と作業するシーンがほとんどで、他の業界よりもコミュニケーションを取る機会が少ない傾向があります。
仕事上でコミュニケーションを取るシーンは、主に上司への報告や新人に作業を教える場合などです。
納期に間に合わせるときやヘルプに入る際など、チームワークが求められる場面もありますが、基本的には、個人の作業に集中できる環境が整っています。
人間関係のストレスが少ない仕事をしたい方は、製造業がおすすめです。
4-12.正社員登用のチャンスがある
派遣社員や契約社員として働き始めた場合でも、数年後に正社員に登用されるケースは珍しくありません。実際に、一定期間の勤務やスキル習得、勤務態度などが評価されて正社員へとステップアップする方も多くいます。
正社員になることで、収入や福利厚生の安定、キャリアアップの可能性も広がります。
製造業は長期的に安定して働きやすい環境が整っているため、将来を見据えて働きたい方にとって魅力的な職場です。
5.製造業の仕事のきつさや大変さ
製造業の仕事には、以下のきつさや大変さがあります。
- 単純作業で飽きやすい
- 身だしなみのルールが厳しい場合もある
- 土日出勤や夜勤がある
- 3Kのイメージがある
- 安全ルールを守る意識が必要
製造業で働く際のデメリットも知っておきましょう。
5-1.単純作業で飽きやすい
製造業の仕事では、同じ作業を繰り返しおこなうことが多いです。ライン作業や検品・選別など、扱う商品は違えど基本的な作業の流れは変わりません。
そのため、単純作業をコツコツと続けられる方には向いています。
さまざまな仕事にチャレンジしたい方にとっては苦痛に感じるかもしれませんが、単純作業ばかりではない業務もあるので、選ぶ仕事で飽きるかどうかはどうかは変わってきます。
5-2.身だしなみのルールが厳しい場合もある
職場や仕事内容によっては、身だしなみのルールが厳しい場合もあるので、注意が必要です。
特に食品関係の製造業では、衛生管理を徹底しなければならないため、身だしなみのルールを厳しくしています。
例えば、帽子から出る髪やマスクから出るひげは厳しく指導されたり、食品に匂いが移る可能性のある香水を禁止したりしています。
また、異物混入でトラブルになる可能性がある仕事内容の場合は、ネイルやピアスも禁止です。
身だしなみについて気になる方は、求人の詳細に目を通し、面接で質問しておくと安心です。
5-3.土日出勤や夜勤がある
勤務の日程をシフトで決められてしまうと、土日や夜間でも出勤しなければなりません。実際、製造業の仕事では土日出勤や夜勤で働く企業もあります。
土日出勤は家族や友人との予定を合わせにくく、夜勤は生活リズムが乱れやすいことがデメリットです。
土日出勤や夜勤をどうしても避けたい場合、平日や日勤のみで働ける企業を選びましょう。
条件を絞るので選べる求人が減る一方、より自分の求める条件に当てはまる企業を探せます。
5-4.3Kのイメージがある
3Kとは、労働条件が厳しい職業を指す言葉で、製造業においては以下のようなイメージを持つ方もいます。
- きつい:長時間労働や肉体労働で体力的なきつさがある
- 汚い:機械の油や粉塵、塗料などで汚れる
- 危険:機械を操作するので怪我や事故のリスクがある
製造業は残業が増えてしまう時期や、作業工程によっては汚れやすい仕事があるのは事実です。
しかし、2019年に労働基準法が改正され、企業と従業員間で36協定を締結し、労働基準監督署への届け出が義務付けられました。(※)
時間外労働の上限は原則として月45時間に定められ、36協定のない残業は違法です。
現在では労働時間をはじめ、衛生管理や安全面の環境が整備されており、働きやすくなっています。
加えて、製造業では立ち仕事が基本となる場合が多く、長時間立ち続けることで足腰に負担がかかる点も大変さの一つです。
休憩時間の確保やクッション性のある靴の着用などで対応している現場もありますが、体力に不安のある方は事前に仕事内容を確認しておくと安心です。
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(※)参照:厚生労働省「36協定で定める時間外労働及び休日労働について留意すべき事項に関する指針」
https://www.mhlw.go.jp/content/000350731.pdf
5-5.安全ルールを守る意識が必要
製造現場では、機械や道具を使用するため、安全に対する意識が非常に重要です。作業手順や服装、使用する器具の扱い方など、厳密なルールが設けられています。
こうしたルールは従業員の命や健康を守るためにあり、工場全体で徹底されています。
ルールを守る姿勢がなければ、思わぬ事故につながる可能性があるため、製造業で働くには「決められたことを確実に守る」意識が求められます。
6.製造業の仕事に向いている方の特徴
製造業と聞くと「ライン作業だから誰でもできる」というイメージを持つ方もいるかもしれませんが、実際は向き不向きがあります。
製造業に向いている方の特徴は、以下です。
- ものづくりが好き
- コツコツと集中して作業するのが好き
- 達成感や充実感がほしい
- 今より収入をアップさせたい
- 一人で黙々と作業をすることが好き
- 体を動かすことが好き
- マニュアルやルールを守って動ける
- 学歴不問の仕事を探している
それぞれ詳しくお伝えします。
6-1.ものづくりが好き
製造業は、ものづくりが好きな方にはピッタリの職場です。手を動かす作業が得意な方にとっても、そのスキルを活かしやすく、作業への没頭がしやすい仕事といえるでしょう。
例えば、DIYが趣味であれば、設計図を読み取って正しい手順で組み立てるスキルがあります。また料理が趣味であれば、衛生管理の基礎が身についているはずです。
このように、製造業は細かい作業が好きな方や、よりよい製品を作りたいという気持ちがある方に向いています。
自分の手で作った製品を世に送り出すことで、世の中の役に立つ実感を持つことができるでしょう。
6-2.コツコツと集中して作業するのが好き
製造業では、細かい作業や同じ作業の繰り返しが多く、例えばネジを締める、検品する、部品をセットするといった工程があります。これらの作業には、正確さと根気強さが求められます。
一つひとつの作業を丁寧にこなすことが得意な方にとっては、自分の強みを活かせる環境です。また、「集中していると時間があっという間に過ぎる」と感じるタイプの方には、特にフィットしやすい仕事といえるでしょう。
黙々と作業に没頭できる方や、地道な作業を積み重ねることに達成感を得られる方には向いている仕事です。
6-3.達成感や充実感がほしい
一つの製品を作りあげ、出荷させることで達成感を得られます。
製造業の仕事は、製品の完成や指示通りに仕上げるなど目標が明確です。目標が明確であれば、日々の作業をスムーズに進められます。
また、生産ノルマをこなすと充実感を得ることも可能です。
製品の品質が高く評価されたり、生産効率が向上して生産量が増えたりすると、スキルアップや成長を実感できます。
目に見える達成感や充実感がほしい方は、製造業がおすすめです。
6-4.今より収入をアップさせたい
業種・職種や就職する企業、役職によっても変わりますが、月収30万円~50万円になることも珍しくありません。
夜勤ありの工場では、深夜手当が受け取れて、日勤よりも収入アップを期待できます。
また、入社時にお祝い金がもらえたり、資格を取得すれば資格手当がもらえたりする場合もあります。
社員寮が完備されている職場を選べば家賃を節約でき、自由に使えるお金が増えるでしょう。
今より収入をアップさせたい方にとって、製造業の仕事は魅力的です。
6-5.一人で黙々と作業をすることが好き
製造業では、一人で黙々と作業する場面がほとんどです。
最低限のコミュニケーションを取るのみで働ける環境もあるため、人見知りの方でも安心して働けます。
ただし入社して少しの間は、先輩社員と一緒に働いて仕事を覚える必要があります。基本的にどの業務もマニュアル化されており、単純作業が多いです。
他人と関わる場面が少なく、黙々と作業をしたい方におすすめです。
6-6.体を動かすことが好き
製造業の現場では、立ち仕事が基本である職場が多く、長時間にわたって体を動かす作業が中心となります。重い物を運ぶ作業や、ライン作業での繰り返し動作など、体を使う業務が日常的にあるため、体力がある方に向いています。
「体を動かすことが好き」「じっと座っているよりも動いている方が落ち着く」と感じるタイプの方には、製造業の仕事は相性がよいでしょう。
また、スポーツ経験がある方や、フットワークの軽さに自信がある方も、現場では重宝されます。
最近では、機械化が進み、力仕事の負担が減っている現場も増えています。そのため、「ある程度体を動かすことに抵抗がない」「軽作業なら苦ではない」という方でも活躍できるチャンスがあります。
6-7.マニュアルやルールを守って動ける
製造業では、安全第一が基本です。そのため、工場ごとに細かなルールやマニュアルが定められており、それに従って動くことが求められます。
手順を守らずに作業すると製品の不良や事故につながる可能性があるため、慎重な行動や丁寧さが大切です。
また、決められたやり方をコツコツと守ることに安心感を覚えるような、まじめでルールに忠実な性格の方に向いています。
「イレギュラーな対応」や「その場の判断」よりも、「決められたことを正確にこなす」ことが得意な方にぴったりの仕事です。
6-8.学歴不問の仕事を探している
製造業は、学歴不問の求人も比較的多く見られます。
人手不足の昨今では、転職希望者を広く受け入れており、未経験の人材でもしっかり教育・研修をおこなう企業が大半です。
技術力を身につけたり、専門資格を取得したりすることで給与も上がり、同年代の大卒以上の年収を狙うことも可能です。
たとえ高学歴でなくても、現場で経験を積んでいけば、キャリアアップも狙えます。
7.製造業の仕事に向いていない方の特徴
製造業の仕事に向いていない方の特徴は、以下の3つです。
- 日勤、平日のみの仕事をしたい
- 立ち仕事が苦手
- 数字で評価されたい
自分に当てはまるかどうか、参考にしてください。
7-1.日勤、平日のみの仕事をしたい
24時間稼働している工場もあり、遅番や夜勤で出勤できる社員を求められます。
とはいえ、すべての工場がシフト制というわけではなく、日勤のみ・平日のみ勤務の求人もあります。生活リズムを崩したくない方や、家庭の事情で夜勤が難しい方にとっては、こうした条件の職場を選ぶことが大切です。
体調管理や家族との時間を優先したい方には、日勤・平日のみの仕事が向いています。
2交替・3交替の仕事では睡眠時間がバラバラになるため、夜にしっかり寝たい方は夜勤ありの職場は避けたほうが無難です。
深夜手当を狙って夜勤を続けていると、寝不足による体調不良や仕事でミスをする可能性が高まり、周囲に迷惑をかけてしまいます。
また、繁忙期には土日出勤が発生する可能性もあるため、平日だけ働きたい方には不向きでしょう。
7-2.立ち仕事が苦手
現場に配属された場合、基本的に就業時間中は立って仕事をします。
同じ体勢の時間が続く作業も多く、腰痛持ちの方や、座って働きたい方にとっては働きにくい可能性があります。
うまく続けていくには、腰痛予防のストレッチや、クッション性の高い靴を履くなどの工夫が効果的です。また、休憩中にしっかり座ってリラックスする時間を確保することや、無理せず上司に相談する姿勢も大切です。
また、品質管理や検査業務などといった立ち仕事の割合が少ないポジションは、体力的には現場よりも楽な場合が多い傾向があります。
座り仕事の求人を探している方は、以下の求人一覧でチェックできます。
7-3.数字で評価されたい
製造業の仕事は、主に作業の質やプロセスを重視するため、明確な数字で評価される機会は少ないです。
例えば、製品の出来栄えや作業効率の度合いは数値に表しにくく、評価方法に不満を抱く方もいます。
評価基準が自分に合わないと感じると、モチベーションの低下や仕事に対する不満が蓄積されます。
評価されやすくするために、自分で小さな目標を設定してやりがいを見出してみたり、上司に働きかけて改善提案をしてみたりといった工夫を取り入れてみるとよいでしょう。
また、「成果よりプロセスを重視する職場」や「チームでの協調性や丁寧さが評価される現場」を選ぶのもおすすめです。派遣社員や期間工ではなく、正社員登用を前提とした職場であれば、上司との面談やスキルシートなどによって、定期的にフィードバックがもらえる環境もあります。
8.未経験から製造業に就職・転職するには?
製造業は未経験からでも始めやすく、求人数も豊富なため、初めての就職や異業種からの転職先として人気があります。ここでは、製造業の求人を探す際に押さえておきたいポイントを解説します。
8-1.未経験歓迎や研修ありの求人を選ぶ
製造業には“未経験歓迎”の求人が豊富で、マニュアルや研修制度が整っている現場も多くあります。初日は工具の持ち方や作業手順から丁寧に教えてもらえる職場もあり、安心してスタートできます。
研修期間中は、簡単な作業から始め、慣れてくると徐々に作業範囲が広がっていくのが一般的です。
工場や製造業の求人に強い派遣会社や専門求人サイトを活用することで、自分に合った職場を見つけやすくなります。製造業が初めてで不安に感じている方は、こうしたサポートを積極的に活用するとよいでしょう。
8-2.今後の働き方を考慮して選ぶ
「いきなり正社員は難しそう」「派遣って不安定じゃないの?」と感じる方もいるかもしれません。しかし、製造業では派遣や契約社員からスタートし、現場での経験を積んで正社員登用されるケースが多く見られます。
派遣社員には、シフトの融通が利きやすい・担当スタッフによる手厚いサポートがあるなどのメリットもあります。
また、正社員登用制度が整っている企業も多いため、「すぐに正社員になりたい」「まずは働きながら考えたい」など、自分の希望に合わせた働き方が選べます。
将来のキャリアプランやライフスタイルに合わせて、無理なく始められる働き方を選ぶのがポイントです。
8-3.あると有利な資格を取得しておく
資格がなくても始められる仕事はたくさんありますが、持っていれば仕事の幅が広がります。
例えば、フォークリフト免許は物流系の現場で重宝され、取得しているだけで時給アップにつながるケースもあります。
また、危険物取扱者は、化学工場や塗料、ガソリン関連の製造現場などで必要となることがあり、持っていると就業先の選択肢が広がります。
品質管理や検査業務に就きたい方には、QC検定(品質管理検定)もおすすめです。
最近では、働きながら資格を取る方も多く、資格取得費用を支援してくれる企業もあります。
キャリアアップや転職時のアピール材料として、興味のある分野の資格取得を検討してみましょう。
9.製造業に就職・転職するときの注意点
製造業の仕事に就職・転職するときには、事前の情報収集や求人情報の確認、自分に合った仕事内容かどうかの見極めなどが大切です。ここでは、実際に応募・入社する前に気をつけておきたいポイントを詳しく解説します。
9-1.希望する製造工場の情報を事前調査する
希望する製造工場の情報を事前に調べておくことは、ミスマッチを防ぐために欠かせません。
特に製造業では、同じ工場勤務であっても、食品・自動車・精密機器など分野によって仕事内容や必要とされるスキルが大きく異なります。
例えば、ライン作業中心で単調な業務が続くのか、幅広い工程を担当するのかによって、日々の働き方や成長の仕方はまったく違います。
さらに、工場によっては夜勤や交替勤務が多い場合もあれば、日勤のみで安定して働ける場合もあります。
また、経営方針や社風も長く働くうえで見逃せない要素です。社長や経営層がどんな理念を掲げているか、将来的にどんな製品や技術に力を入れようとしているのかを調べておけば、その会社で成長できるかどうかを判断しやすくなります。
給与や待遇だけで決めるのではなく、仕事内容・勤務体制・企業方針まで含めて情報収集することで、入社後の「思っていたのと違った」という後悔を防ぐことができます。
9-2.求人情報の内容をしっかり確認する
求人情報を確認するときは、給与や休日数、福利厚生といった働くうえで直接かかわる条件をしっかりチェックしておきましょう。
特に製造業では、交替勤務や夜勤の有無、残業の多さなど、働き方に直結するポイントを見落とさないことが大切です。
また、求人情報には仕事内容や職場の雰囲気が簡単に記載されている場合があります。未経験でも応募できるのか、どの程度のスキルが求められるのかといった点も確認しておきましょう。
ただし、求人情報には情報量の限界があり、企業が伝えたいことすべてが載っているわけではありません。気になる場合は、企業のホームページや採用ページもあわせて確認し、可能であれば面接時に直接質問することをおすすめします。
なお、JOBPALでは、面談を通して求人の詳細や職場の雰囲気についても相談できます。少しでも気になる求人があれば、まずは面談に応募してみましょう。
9-3.仕事内容の向き・不向きをチェックする
製造業=ライン作業というイメージを持っている方もいるでしょう。実際には、工程ごとに仕事内容が異なります。
| 工程 | 主な仕事内容 | 向いている方の特徴 |
|---|---|---|
| 前準備 | 材料の準備、機械のセッティングなど | 段取りや計画を立てるのが得意、正確に準備できる |
| 製造 | 部品の組立、加工、ライン作業など | 手を動かす作業が得意、集中力がある、繰り返し作業に抵抗がない |
| 検品・検査 | 完成品のチェック、測定など | 細かい作業が得意、ミスに気づける慎重さがある |
| 選別 | 規格外の製品をはじく作業 | 判断力に自信がある、ルールを守れる、集中力がある |
| 梱包・出荷 | 製品の箱詰め、伝票確認など | 丁寧な作業が得意、効率よく作業を進められる |
工程によって向き・不向きが分かれるので、自分の性格や長所をふまえて、どの仕事内容が一番合うか確認することが重要です。
自分に合わない仕事を選んでしまうと、早期退職につながるリスクもあります。長く働くためにも、仕事内容について十分調べてから応募しましょう。
10.まとめ
製造業は、ものづくりの入口に立つ仕事であり、私たちの生活に欠かせない身近な製品を支える大切な産業です。未経験からでもスタートしやすく、研修制度やマニュアルも整っているため、安心して仕事を始められます。
また、製造業は年齢や性別に関係なく長く働ける環境があり、人間関係のストレスが少ない職場も多いのが特徴です。資格があればより幅広い仕事に挑戦できるなど、成長のチャンスも用意されています。
「手に職をつけたい」「安定して長く働きたい」「黙々と作業するのが得意」といった方には特に向いている分野です。製造業の仕事に興味を持った方は、まずは求人情報や面談を通して、自分に合った製造業の仕事を探してみましょう。

























