クリーニング工場に向いている人とは?主な作業内容や活かせる資格

※この記事は6分30秒で読めます。
「クリーニング工場ってどのような仕事をするの?」
「クリーニング工場で働くメリットが知りたい」
など、クリーニング工場に関して疑問を持つ方もいるでしょう。
クリーニング工場で働くと、クリーニングや衣類に関する知識が身につき、資格を取得すれば独立・開業を目指すこともできます。
今回は、クリーニング工場に向いている方の特徴や、作業内容、正社員の役割やメリット・デメリットなどを解説します。この記事を読めば、クリーニング工場の仕事内容や、転職で有利になる資格を知ることができるでしょう。
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1.クリーニング工場の仕事に向いている人
クリーニング工場の仕事に向いている方には、以下の5つのような傾向があります。
- きれい好きな方
- 洗濯やアイロン掛けに慣れている方
- 裁縫が好き、または得意な方
- 立ち仕事を続ける体力がある方
- 集中して作業するのが好きな方
それぞれ詳しく解説します。
1-1.きれい好きな人
クリーニングの仕事は、衣類をきれいにすればするほどお客様に喜んでもらえます。そのため、衣類に対して汚れやシワ一つない美しい仕上がりを追い求めることができるきれい好きな人に向いている仕事といえるでしょう。
1-2.洗濯やアイロン掛けに慣れている人
日頃から洗濯物を丁寧に洗濯し、アイロン掛けまでしているという人は、周囲より早く仕事に慣れることができるでしょう。洗濯表示や素材によって使い分ける洗剤の違いなど、洗濯に必要な知識が備わっていれば検品もスムーズにおこなえます。
1-3.裁縫が好き、または得意な人
クリーニング工場では、衣類のほころびや破れを縫ったり、専用の接着剤で修繕したりすることがあります。裁縫のスキルがある、手縫いによる修繕作業ができる人は間違いなく重宝されるでしょう。
1-4.立ち仕事を続ける体力がある人
まとまった洗剤や濡れた衣類はかなりの重量になるため、運ぶのに体力が必要です。立ち作業も多く、夏場は工場内が暑くなる可能性もあるため、肉体労働に自信がある人のほうが向いているといえるでしょう。
1-5.集中して作業するのが好きな人
なかなか落ちないしみや汚れを落とすときには、根気強く丁寧に作業をする必要があります。一つのことに集中して作業することが苦にならない人のほうが楽しく働けるでしょう。
2.クリーニング工場の主な作業内容
衣類についた汚れをきれいに落としたいときや衣替えの時期にクリーニング店を利用する人は多いと思います。店舗に預けられた衣類はクリーニング工場に運ばれ、素材や汚れに応じて洗濯・乾燥、アイロンなどの作業を経てきれいになります。
まずは、クリーニング工場でおこなわれている主な工程と作業内容を解説します。
2-1.検品
工場に衣類が届いたら、まずは検品作業をおこないます。衣類の素材やデザイン、色などを確認し、洗い方に応じて仕分けをしていきます。服のほつれや破れがないか、ポケットのなかに物が入っていないかなどの確認作業も、検品工程においては大切です。
機械洗いで傷がつく可能性のある装飾やボタンがついている場合は、該当箇所にアルミホイルを巻き付けたり、ボタンをいったん外したりして保護します。
検品の仕事は、クリーニング工場に限らずさまざまな工場でおこなわれています。詳しくは以下の記事でご紹介しています。
2-2.しみ抜き
汚れがひどい部分は、しみ抜きや特殊処理を施します。汚れの種類や衣類の素材によって対処法を変える必要があるため、専門的な技術が必要です。
2-3.洗浄・乾燥
検品工程で仕分けした衣類を水洗い、またはドライクリーニングで洗浄します。素材や色、汚れの種類によって洗浄方法は異なるため、それぞれ仕分けたグループごとに洗濯します。
水洗い後は乾燥機に入れたり、自然乾燥させたりと、衣類に合わせた乾燥方法を選択します。しみや汚れが残っている場合は、さらにしみ抜き加工をおこないます。
2-4.仕上げ
衣類が乾いたら、それぞれの形状に合わせてアイロンをかけて仕上げます。専用のプレス機械を使ったりスチームを使ったりして、もとの風合いを再現します。
2-5.検査
仕上がった衣類を検品します。汚れが残っている箇所がないか、ボタンやビーズが割れたり取れたりしていないか、目で見て確認します。緩んだボタンを付け直すサービスをおこなっている工場もあります。
クリーニング以外の工場における検査の仕事について気になる方は、以下の記事もご覧ください。
2-6.包装・出荷
衣類を依頼者・配送店舗ごとにまとめ、すべて揃っているかを確認したうえでほこりよけのポリカバーで包装します。そのうえで配達のスタッフや業者に引き渡し、きれいになった衣類をクリーニング店舗に戻すまでがクリーニング工場の一連の仕事です。
3.クリーニング工場の正社員が担当する仕事
クリーニング工場では、アルバイトやパートなど、さまざまな雇用形態の方が働いています。そのなかで正社員として働き始める方は、最初は作業工程の1つを任され、徐々に他の作業や工場全体の経験を積んでいくことが多い傾向にあります。
また、一通りの作業を覚え、工場の仕事や機械について把握したあとは、工場の維持管理や経営計画など、マネジメント業務に関わるパターンもあります。
アルバイトやパートの従業員が多くいる場合には、雇用管理も正社員の仕事です。具体的には、シフトの管理や教育などをおこないます。
その他、作業工程の管理、機械のメンテナンスなどを担当することもあり、工場全体や作業、機械一つひとつについて、深い知識が必要になります。
4.工場でおこなわれる主なクリーニング方法
ひと口にクリーニングといっても、その方法はいくつかの種類があります。衣類の素材や状態によって適切なクリーニング方法があるのです。
工場でおこなわれるクリーニング方法は、大きく分けて以下の4つです。
- ドライクリーニング
- ウェットクリーニング
- ランドリークリーニング
- 特殊クリーニング
それぞれの方法を詳しく解説します。
4-1.ドライクリーニング
ドライクリーニングとは、「ドライ(乾燥状態)」という言葉のとおり、水を使用しないクリーニング方法です。スーツやコート、ニットをはじめ、水を使ってしまうことで傷んでしまったり、型崩れをしてしまったりする衣服は意外と多いものです。
ドライクリーニングでは、水ではなく石油系溶剤や塩素系溶剤、界面活性剤などの有機溶剤を使って衣類の汚れを落とします。これらを使うことで、水に弱い素材を守りながら、油汚れなどをきれいに落とすことが可能です。
ドライクリーニングに適したものとしては、スーツやコートの他、カシミヤ素材のマフラーやストール、ウール素材の衣類などがあります。
4-2.ウェットクリーニング
ウェットクリーニングとは、40度以下のぬるま湯と特殊な洗剤を使用し、手洗いでおこなうクリーニング方法です。ウェットクリーニングの手法をしっかりと理解した作業員が、素材を痛めないように洗剤と押し洗いで汚れを落とします。
ウェットクリーニングの方法を使う衣類は、以下のようなものです。
- 通常のクリーニングでは型崩れしやすいが、ドライクリーニングができない素材の衣類
- 機械でまとめて洗浄ができない衣類
一つひとつ手洗いするため、手間はかかりますが、その分素材への負担は小さくなることが特徴です。また、水を使って洗うため、ドライクリーニングでは落としにくい水溶性の汚れもしっかりと落とすことができます。
そのため、ダウンコートや高級ブランド衣類をはじめ、スーツやブラウスなど、特に素材を痛めたくない衣服などに適した方法です。
4-3.ランドリークリーニング
50~70度のお湯を使用し、大型ドラム式洗濯機に入れて洗濯するクリーニング方法です。
専用洗剤の他に、アルカリ剤や漂白剤、酵素などの助剤も使用するため、家庭で洗濯するよりも汚れ落ちが良く、きれいに仕上がります。毎日着るワイシャツや作業服、シーツ、布団カバーなどのクリーニングに適した方法です。
ただし、機械でまとめて洗浄するため、摩擦や衝撃などで素材が傷みやすい傾向があります。デリケートな衣類には向いていない方法なので注意が必要です。
4-4.特殊クリーニング
他のクリーニング方法で洗うことのできない素材や製品の場合、特殊クリーニングをおこないます。毛皮や皮など、通常の洗剤を使用できない素材や、着物やミンクのコート、ぬいぐるみ、カーペット、絨毯などが対象です。
特殊クリーニングの場合、洗う対象に合わせた洗い方で対応します。例えば、着物のクリーニングの場合には、着物専用の洗剤を使って丸洗いをする他、ひどい汚れや糸穴や生地の縮みなどがある場合、着物を縫い目からほどき、バラバラに分解して洗う場合もあります。
洗ったあとはもう一度同じように縫い合わせることで、生地に張りが出て、新品のような仕上がりにすることが可能です。また、バッグなどを素材に合わせた洗剤でクリーニングしたあと、撥水加工などをする特殊クリーニングもあります。
5.クリーニング工場で働くメリット
クリーニング工場で勤務するメリットは主に5つあります。それぞれご紹介します。
5-1.汚れやシワが落ちて達成感を感じられる
クリーニング工場の仕事は、自分の仕事の成果が目に見えやすいため、達成感を得られやすい仕事です。
いうまでもなく、クリーニングは衣類をきれいにする作業です。なかには家庭で対応できないひどい汚れやシワのあるものに対応することもあります。そういった汚れやシワも、適切な方法でクリーニングをすることできれいにできます。
最初は状態が悪かった衣類も、クリーニングの作業をすることで汚れが落ちたり、シワがなくなってピンとした仕上がりになったりします。
5-2.シフト制で働ける場合が多い
多くのクリーニング工場では2交代制や3交代制といったシフト制を採用しています。そのため自分の都合や生活リズムに合わせた働き方ができます。学生のアルバイトや主婦のパートとしても最適な職場です。
5-3.単純作業が多く、未経験者でも働きやすい
シャツやジャケット、上着などは、大型の洗濯機を使った「機械洗い」がほとんどです。洗浄・乾燥の工程では、洗濯機からの出し入れや乾燥機から出した衣類を吊るすだけの単純作業が多いため、知識や技術がない未経験者でも安心して働けます。
5-4.クリーニングの知識が身につく
衣類には素材や色ごとに適した洗い方があります。クリーニング工場で勤務すれば、衣類の素材や「洗濯表示タグ」に応じた洗い方を学ぶことができるでしょう。また、しみ抜きのような専門的な知識を身につけることも可能です。
5-5.独立・開業できる可能性がある
経験を積んで「クリーニング師」の資格を取得すれば、どこのクリーニング工場でも安定して仕事を得ることができるでしょう。将来的に、独立開業し店舗経営するのも夢ではありません。
6.クリーニング工場で働く際の注意点
クリーニング工事で働く際には、事前に知っておきたい注意点がいくつかあります。ご紹介する4点を理解しておくことで、就業後のギャップを避けることができるでしょう。
6-1.アイロンや乾燥機の熱で暑い
クリーニング工場では、汚れを落としやすくするためにお湯を使って洗濯します。そのため工場内は一年を通して蒸し暑くなっています。そのような環境下でアイロン掛けや衣類の運搬など身体を動かす作業をしなければいけないことを理解しておきましょう。
暑さ対策は個人でもできることがあるので、働く前に準備しておくと良いでしょう。以下は工場の例ですが、暑さ対策を紹介しているのでぜひご覧ください。
6-2.独特な洗剤の匂いがする
クリーニング工場では多くの洗剤を使うため、工場内は独特のにおいが充満しています。においに敏感な方にとっては、体調を崩す可能性もあるため注意が必要です。
ただし、においは働いているうちに慣れてしまう方が多いようなので、慣れないうちはマスクなどを活用して徐々に慣れていくようにすると良いでしょう。
6-3.立ち作業が多い
洗濯物の仕分けやアイロン掛け、乾燥した衣類をハンガーに吊るすなど、クリーニング工場における作業の多くは立ち仕事です。体力に自信がない人は、その点を考慮する必要があるでしょう。
しかし、最初はきついなと感じても、働いているうちに、気付いたら「1日立っていても疲れにくくなった!」ということもあります。お風呂にしっかり浸かって体をマッサージするなど、体をよくいたわって1日の疲れを取ることもおすすめです。
6-4.洗剤を扱うため手が荒れることがある
しみ抜きなどで特別な洗剤や化学薬品を取り扱うことがあるため、肌が弱い方はもちろん、肌が丈夫な方でも手が荒れることもあるようです。
7.クリーニング工場で働くために活かせる資格
クリーニング工場で働く場合、以下の資格を取得すると作業範囲が広がり採用される可能性が高くなります。働き始めたあとでもキャリアアップにつながるため、積極的な取得をおすすめします。
7-1.ボイラー技士
クリーニング工場にはお湯を沸かすためのボイラー室があるため、ボイラー設備を安全に取り扱うことができるボイラー技士の配置が義務づけられています。この資格を持っていれば、転職において有利になるでしょう。
ボイラー技士はクリーニング工場だけでなく、温泉施設や病院、学校などさまざまな場所で活躍しています。ボイラー技士の仕事内容や資格について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
7-2.有機溶剤作業主任者
有機溶剤作業主任者は、労働安全衛生法で定められた国家資格です。
クリーニングの手法の一つであるドライクリーニングは水ではなく蒸発しやすい有機溶剤を使って洗濯するため、作業中に吸い込むとめまいや頭痛、吐き気などの症状を引き起こす可能性があります。
このため、ドライクリーニングに関する業務は有機溶剤作業主任者が請け負います。つまり、有機溶剤作業主任者の資格があれば作業範囲が広がることになります。
7-3.繊維製品品質管理士(TES)
繊維製品品質管理士(TES)は一般社団法人日本衣料管理協会が認定する資格で、繊維製品の幅広い知識を身につけた品質管理のスペシャリストであることの証明になります。
クリーニング工場で働くうえで必須の資格ということではありませんが、衣類を扱う仕事をする以上、技術の進歩によって新しく登場する素材の知識を常に更新し、洗い方やしみ抜きに対応していかなければなりません。繊維製品について深く理解すれば、仕上げの精度アップにもつながるでしょう。
7-4.危険物取扱者
クリーニング工場で使用する化学物質のなかには、前述した有機溶剤の他にも取り扱いに注意が必要なものがあります。
一定数量以上のこれらの危険物を施設内に所有し取り扱う際には、専門知識を有した危険物取扱者の配置が必要です。特にしみ抜き用の薬品や石油系溶剤を取り扱う業務に就きたい場合は、持っていると転職に有利になるでしょう。
危険物取扱者の資格は甲種・乙種・丙種にわかれており、甲種を持っているとすべての危険物の取り扱いと保安管理が可能になります。乙種、丙種の資格を持っている方も、さまざまな危険物を取り扱う仕事で活躍しています。
危険物取扱者の資格や仕事については以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
8.クリーニング工場に欠かせない「クリーニング師」の資格保持者
その他、クリーニング工場で働くためには「クリーニング師」の資格を持っておくと有利となります。どのような資格なのか、取得方法や内容について解説します。
8-1.クリーニング師とは
クリーニング師は衛生法規や公衆衛生に関する幅広い知識を求められる国家資格です。クリーニング工場には必ず一人以上配置することが「クリーニング業法」で定められています。
クリーニング業法とは、社会的使命となる「公衆衛生の向上」「利用者利益の擁護」を図るための衛生法規として定められたものです。
クリーニング工場で働くすべての方が取得する必要はありませんが、資格を持っていると転職に有利に働くでしょう。
8-2.クリーニング師の仕事内容
クリーニング師は具体的に以下の業務をおこないます。
- 預かった衣類の素材や汚れを確認し、適切な洗浄方法を判断する
- 衣類のしみ抜き・皮革製品や特殊素材のクリーニング
- 洗濯機や乾燥機など工場内機器の運転や管理
- アイロン仕上げや包装
- 和服や毛皮、絨毯の保管
- 撥水・防水加工、防虫加工、折り目加工などといった各種加工作業
- 店舗運営
8-3.クリーニング師の資格を取得する方法
クリーニング師の資格を取得するためには、各都道府県知事が年一回以上開催している試験に合格する必要があります。合格後は「クリーニング師免許」を申請し、原簿に登録されることで資格保有者となります。
試験は中学卒業以上であれば誰でも受験可能で、学科試験では衛生法規に関する知識や公衆衛生に関する知識、洗濯物の処理に関する知識などが問われます。実地試験ではワイシャツのアイロン掛けや5種類の繊維の識別、しみの識別と、5種類のしみ抜きに必要な薬剤を問うテストがあります。
また、資格取得後も3年ごとに、クリーニングに関する法律などの最新情報、技術研鑽を目的とした資格の更新講習を受けなければいけません。
9.クリーニング工場は未経験者でもチャレンジしやすい!
クリーニング工場の仕事は、汚れた衣類が新品のようにきれいになることや、衣類に関わる仕事が好きな方にとても向いています。
今は専門の資格を持っていなくても、アイロン掛けや梱包といった軽作業からスタートし、働きながら専門知識を身につけていけます。そのうえでクリーニング師の資格を取れば、いずれは独立開業も目指せるため、将来的に起業をしたい方にもおすすめの仕事です。
クリーニング工場といっても、作業方法や扱う洗剤・溶剤などは工場によってさまざまです。スキルを磨きたいと考えている作業内容がある工場を選ぶことで、やりがいを持って仕事にあたれる可能性が高くなるでしょう。
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10.まとめ
クリーニング工場では働きながら専門知識を身につけられ、資格を取得すれば転職の際に有利になります。また、やりがいを感じやすく、未経験者歓迎の工場も多いので、誰でも気軽に挑戦しやすい仕事です。
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