工場の仕事図鑑
更新日:2023年07月27日

危険物取扱者になるには?資格の種類や取得方法、仕事内容やメリットを解説

危険物取扱者になるには?資格の種類や取得方法、仕事内容やメリットを解説

※この記事は6分で読めます。

「危険物取扱者ってどのような資格?難しいの?」
「危険物取扱者の資格を取得するメリットが知りたい」
など、危険物取扱者の資格に関して興味や疑問を持っている方もいるでしょう。

危険物取扱者は火災や爆発の危険性が高い危険物を扱うための国家資格で、特定の業種では有資格者の設置が必須となっています。

今回は、危険物取扱者の概要や仕事内容、資格を取得するメリット、取得する流れなどを解説します。この記事を読めば危険物取扱者のことがよくわかり、転職活動の参考にできます。

1.そもそも「危険物」とは?

危険物とは、消防法上、以下の3つの性質を持っている物質と定められています。

  1. 火災発生の危険性が大きい
  2. 火災拡大の危険性が大きい
  3. 消火が困難である

つまり、火災や爆発の危険があるものが危険物に該当します。

危険物はその性質によって第1類から第6類にまで分類されており、それぞれの種類や性質は以下のとおりです。

種別 性質 物質
第1類 酸化性固体 単独で燃焼せず、反応する相手を酸化させる液体。
第2類 可燃性固体 火炎によって簡単に着火する固体、または比較的低温(40度未満)で引火しやすい固体。
第3類 自然発火性物質および禁水性物質 空気にさらされることで自然発火する危険があるもの。または水と接触することで可燃性ガスを発生させるもの。
第4類 引火性液体 引火性を有した液体。
第5類 自己反応性物質 加熱分解などによって比較的低温でも多量の熱を発生させるもの。
第6類 酸化性液体 混在するほかの可燃物の燃焼を促進させる液体。

2.危険物取扱者とは?

危険物取扱者は、前述した危険物の取り扱いや管理をおこなうのに必要な国家資格です。一定量以上の危険物を貯蔵する施設では、危険物取扱者の有資格者を配置する義務があります。

資格は甲種・乙種・丙種に分かれており、乙種は第1類~6類までさらに細かく分かれています。それぞれで取り扱える危険物の範囲が異なります。

甲種ではすべての危険物の取り扱いと保安監督が可能です。乙種は合格した種類の危険物、丙種は乙4類のうち、ガソリン、灯油、軽油、重油など指定の危険物のみ扱える資格です。

危険物取扱者の資格を取得することで、危険物を扱うガソリンスタンドや工場への就職に有利となり、正社員なら資格手当、アルバイトなら時給アップが期待できます。

3.危険物取扱者の仕事内容

危険物取扱者が活躍できるのは、一定量以上の危険物を所有する施設や工場です。もっとも身近な存在はガソリンスタンドでしょう。それ以外にも、化学工場や石油コンビナートなどがあります。

仕事内容は危険物取扱者の種別(甲種・乙種・丙種)によっても変わるため、一概にはいえません。

例えば丙種なら、ガソリンや軽油、灯油などの引火性液体が扱えるため、ガソリンスタンドのスタッフや灯油の配送車の運転手として採用される可能性があります。

同じ引火性液体でも乙4類まで取得できれば取り扱い・立会いもできるため、タンクローリーの運転手として就職することも可能でしょう。

そのほか、ビルメンテナンスの仕事でも危険物の資格は重要です。「第二種電気工事士・第三種冷凍機械責任者・危険物取扱者乙種4類・ボイラー技士」はビルメン4点セットと呼ばれており、乙4類の取得が必須とされます。

4.危険物取扱者になるメリット

危険物取扱者は職場によっては配置が義務づけられた資格であり、資格を取得することでさまざまなメリットを享受できます。

ここでは、危険物取扱者を取得することで得られる2つのメリットを見てみましょう。

4-1.資格手当がもらえることもある

正社員が危険物取扱者の資格を取得することで、資格手当が受け取れることがあります。アルバイトの方が取得すれば、時給に反映されることもあるでしょう。

金額は、企業や資格種別によって異なりますが、毎月必ず手当が受け取れる点がメリットです。長く働くほど収入に大きな差が生じるでしょう。

4-2.転職・就職で有利になる

危険物の資格を持っていると、転職・就職でも有利になります。

化学工場の現場やタンクローリーの運転手など、実務に危険物取扱者の資格が必須である場合、転職・就職活動時点で資格を取得しておけば即戦力として評価されるでしょう。

アルバイト探しでも同様に、有利に働きます。ガソリンスタンドではどのシフトでも有資格者を配置する必要があるため、危険物乙4類を持っていれば採用されやすいでしょう。

また、面接を受けている企業で危険物取扱者の資格を使うことがないとしても、知名度が高い国家資格である危険物取扱者の資格を保有していることで「継続して学ぶ力」や「勤勉」といった評価につながることもあります。

5.危険物取扱者になるには?

危険物取扱者になるためには、それぞれの種類の試験に合格して免状の交付を受ける必要があります。

ここからは、危険物取扱者の資格取得の条件や取得後の流れについてご紹介します。

5-1.危険物取扱者の資格を取る

危険物取扱者になるには、危険物取扱者試験に合格して資格を取得する必要があります。受験科目や難易度は受験する資格の種類によっても変わります。

受験を検討する場合は、試験の概要や自分が目指している業界・職種ではどの種類の危険物取扱者が向いているのかといったことを事前に調べておきましょう。

試験は筆記試験のみのマークシート方式です。

5-1-1.危険物取扱者の資格は3種類

危険物取扱者の資格は、甲種・乙種・丙種の3種類に分かれます。

甲種 すべての危険物の取り扱い、定期点検、保安監督ができる
乙種 試験に合格した種類の危険物の取り扱い、定期点検、保安監督ができる
丙種 第4類危険物のうち、ガソリン・灯油・軽油・重油など指定危険物の取り扱いができる

このうち、初めて危険物取扱者の資格を取得するなら「乙4類」がおすすめです。乙4類は引火性液体を扱う資格であり、仕事の需要の高さからすべての種類のなかでもっとも人気があります。

乙4類は、ガソリンや灯油など身近な石油類を扱うために危険物取扱者の資格について学び始めたばかりの方でも内容が理解しやすく、ほかの資格と比較して勉強が進めやすい=取得しやすいともいわれています。

5-1-2.受験資格

受験資格は甲種・乙種・丙種でそれぞれ異なるので注意が必要です。乙種と丙種は特に受験資格が必要なく、誰でも受験できますが、甲種は以下のいずれかの条件を満たさないと受験できません。

【甲種】

  • 大学等において化学に関する学科等を修めて卒業した者
  • 大学等において化学に関する授業科目を15単位以上修得した者
  • 乙種危険物取扱者免状を有する者(実務経験2年以上)
  • 乙種危険物取扱者免状を有する者(特定の4種類以上を有すること)
  • 修士・博士の学位を有する者

【乙種・丙種】

  • 受験資格は特になし

甲種は大学などにおいて化学についての知識や単位を得ていたり、一定以上の実務経験が必要だったりと、満たすべき条件が多く難易度が高い資格です。

実務経験なしで受験するには、「第1類または第6類」「第2類または第4類」「第3類」「第5類」の4種類以上の乙種資格の取得が必要です。

5-1-3.取得の条件

危険物取扱者の試験はどの種類でも3つの科目があります。「危険物に関する法令」「危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法」の2科目は共通です。

甲種 ・危険物に関する法令:15問
・危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法:20問
・物理学および化学:10問
乙種 ・危険物に関する法令:15問
・危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法:10問
・基礎的な物理学および基礎的な化学:10問
丙種 ・危険物に関する法令:10問
・危険物の性質並びにその火災予防および消火の方法:10問
・燃焼および消火に関する基礎知識:5問

試験に合格するには、試験科目ごとの成績がそれぞれ60%以上であることが求められます。

なお、受験には手数料が必要であり、金額は甲種で6,600円、乙種で4,600円、丙種で3,700円です。(※2023年6月現在の費用です。)

5-1-4.難易度と合格率

危険物取扱者の難易度は「甲種」「乙種」「丙種」ごとに異なり、甲種がもっとも難易度が高く、丙種が3種類のなかではもっとも難易度が低いです。

甲種の合格率は例年30~40%程度です。国家試験としては比較的高いようにもみえますが、大学で化学を勉強した方や乙種の免状が交付された方でも約3人に1人しか合格しないと考えると、難易度の高さがわかるでしょう。

乙種は種類によって合格率が変わり、もっとも受験者が多い乙4類で30~40%、他は60~70%程度です。

丙種の合格率は50%程度で、甲種や乙種と比較して難易度は低めです。

令和4年度の甲種・乙種・丙種の合格率を一覧でまとめたので参考にしてみてください。

種類 合格率
甲種 36.8%


乙種
乙1類 69.4%
乙2類 68.9%
乙3類 71.1%
乙4類 31.5%
乙5類 71.0%
乙6類 70.0%
丙種 51.0%

5-1-5.勉強方法

初めて危険物の勉強をする場合、仕事での需要が大きい乙4類の勉強から始めることをおすすめします。

乙4類は出題範囲が広いですが、ガソリンや灯油などの引火性液体が題材であり、そこまで高度な内容ではありません。頻出問題を繰り返し解くことで正答率が上がり、合格に近づけるでしょう。

出題形式が毎回似ていることも多く、過去問を何度も繰り返すことが合格への近道です。まずは物理や化学の基礎を固め、暗記するしかない法令は試験が近づいたら覚え始めると良いでしょう。

5-2.危険物取扱者の資格取得後の流れ

危険物取扱者の試験に合格しても、すぐに有資格者を名乗って従事できるわけではありません。資格試験に合格したあとには以下の流れで手続きをおこなうことを覚えておきましょう。

  1. 1.発行手数料(一律2,900円)の納付と免状交付申請をおこなう
  2. 2.受験地の都道府県知事から免状(資格の免許)を受け取る
  3. 3.危険物取扱者として従事できる

なお、資格取得後は一定期間ごとの保安講習を受講する義務があります。ただ、作業に従事しない、しなくなった場合は保安講習を受講する必要はありません。

6.未経験でも危険物取扱者を目指せる?

これまで化学の勉強をまったくしてこなかったり、化学工場やガソリンスタンドでの実務経験がなかったりする未経験者でも、危険物取扱者を目指すことは十分に可能です。

乙種と丙種には受験資格がなく、実務経験がなくても受験できます。乙4類や丙種といった始めやすい種類から勉強を始め、「4種類以上の乙種免許を取る」「乙4類に加えて2年以上の実務経験を積む」といった方法で受験資格を満たせば、甲種資格を目指すこともできます。

甲種を取得できれば、ガソリンスタンドでの就業やタンクローリーの運転手だけでなく、化学工場などへの転職・就職活動をする際も大いに有利となるでしょう。

7.まとめ

危険物取扱者は私たちの生活に非常に身近な存在であり、そのぶん活躍の場も多い資格です。

ガソリンや灯油など引火の危険性があるものを扱うため、しっかりとした知識を身につける必要がありますが、資格を取得すればさまざま職場で活かすことができ、自身の評価を上げることにもつながります。

JOBPALでは製造・工場系の求人を掲載しています。少しでも興味があれば、ぜひ以下のリンクから求人を探してみてください。

関連記事

閉じる

エリアから工場・製造業の
お仕事・派遣情報を探す

STEP1 エリアを選択

  • 北海道・東北
  • 関東
  • 甲信越・北陸
  • 東海
  • 関西
  • 中国
  • 四国
  • 九州・沖縄

< エリア選択に戻る

閉じる
© 2022 UT Group Co., Ltd. All Rights Reserved.