工場の仕事図鑑
更新日:2024年02月29日

鋳物工場とは?主な仕事内容と9つの鋳造方法を紹介

鋳物工場とは?主な仕事内容と9つの鋳造方法を紹介

※この記事は5分で読めます。

「鋳物工場ってどのような工場?」
「鋳物工場の仕事に向いている人の特徴が知りたい」
など、鋳物工場に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

鋳物工場では、鍋やフライパン、水道の蛇口、タイヤのホイールなどの身近な製品のほか、洗濯機や冷蔵庫の部品なども作られています。鋳物工場の仕事は日常生活に欠かせない製品を作る仕事であり、職人としての経験が求められやすいという特徴があります。

今回は、鋳物工場の概要、鋳物製品の特徴、主な仕事内容などを解説します。この記事を読めば鋳物工場のことがよくわかり、転職活動の参考にできます。

1.鋳物工場とは?

鋳物(いもの)とは、「鋳造(ちゅうぞう)」という技術で作られた製品全般のことです。

鋳造は、作りたい形と同じ内部構造の型に溶けた金属を流し込み、それを冷やして固める製造方法です。複雑な形状の部品を低コストで作れる、中空部を作れるなど、他の手法にはないメリットがあります。

製造されるのは、自動車部品から家のなかにある日用品まで多種多様です。

2.身の回りにある鋳物製品の例

日常生活で周りを見回してみると、鋳造で作られた鋳物製品は多数あります。例えば以下のようなものが挙げられます。

【家庭で見つかる鋳物製品の例】

  • フライパン・なべ
  • ゴルフクラブ
  • ドアレバー
  • 水道の蛇口
  • マンホールの蓋
  • 街灯
  • 仏像 など

また、自動車、船舶、鉄道、飛行機などにも鋳物の技術が役立てられています。

3.鋳物製品の特徴

鋳造で作られた鋳物製品には以下のような特徴があります。

  • 型取りしやすく形状の自由度が高い
  • 複雑な工程が少なく大量生産できる

それぞれの特徴について解説します。

3-1.型取りしやすく形状の自由度が高い

作りたいものと同じ形の型に高温で熱せられた溶融金属を流し込むことで同じ形状のものが複数作れることが、鋳造の大きな特徴です。形状が複雑だったり中身が中空だったりする製品でも型取りしやすく、再現性が高い特徴もあります。

金属の種類も、鋳鉄以外にアルミニウム合金、鋼、銅合金など、溶かせる金属なら幅広く利用できます。

3-2.複雑な工程が少なく大量生産できる

鋳造は、事前に用意した金型や砂型に溶融金属を流し込んだあとは、冷やし固めるだけで完成するシンプルな工法です。

複雑な形状の製品でも、1回の流し込みで製造できるメリットがあります。そのため工数が少なく、大量生産するのに向いています。

4.鋳物工場の主な仕事内容

鋳物工場の仕事は、大きく以下の4つに分けることができます。

  • 鋳込み作業
  • 型枠外し作業
  • 混練機のオペレーター作業

それぞれの仕事内容について詳しくご紹介します。

4-1.鋳込み作業

鋳込み(いこみ)とは、溶解炉で溶かした溶融金属を型に流し入れる作業です。溶けた金属が入った器をクレーンで釣り上げたり、ひしゃくのような物ですくいあげたりして型に流し込んでいきます。

溶けた金属は、鋳鉄なら1,300度、アルミでも700度と非常に高温になるため、作業員は耐火性のある作業服や防護服を身にまとって仕事をすることになります。防護服によって安全は確保されているとはいえ、事故を防止するためにも慎重な作業は必須です。

4-2.型枠外し作業

溶融金属を型に流し込んだあと、冷えて固まった鋳物を取り出す仕事です。砂型を使う場合には鋳型に砂も入っているため、取り出す際に砂を払いだす作業もあります。

大型の鋳物の場合は、機械を使って砂と製品を分けて取り出すような大がかりな作業になることもあります。

4-3.混練機のオペレーター作業

混練機(こんれんき)オペレーターは、砂型の鋳造法の際に鋳物に利用する砂を練る装置を使うオペレーターです。混錬装置が正常に動いているかを確認する仕事もあり、鋳物の製造工程では補助的な位置の仕事です。

未経験からでも働き始められますが、混錬装置オペレーターから経験を積みキャリアアップできれば、枠型外し作業や鋳込み作業といった作業も担当できるようになります。

5.鋳物工場でおこなっている9つの鋳造方法

鋳物工場でおこなう鋳造方法は、溶融金属の鋳込みの仕方によっていくつかの種類にわかれます。

ここでは、代表的な鋳造方法として以下の9つの手法をご紹介します。

5-1.砂型鋳造法

砂で作られた型に溶融金属を流し込む手法です。比較的大型の鋳物に適しています。

水と粘土を混合して突き固めて硬化する生砂型(なますながた)、熱硬化性樹脂を混ぜて加熱して硬化させるシェル型などの種類があり、冷え固まったあとに型から抜き出せるため寸法精度が高く、生産性も高いというメリットがあります。

一方、鋳肌(鋳型の表面状態が転写されたままの表面)が荒くなりやすいのが欠点です。

5-2.重力金型鋳造法

重力を利用して、溶融金属を鋳込む手法です。金属の型を繰り返し使うことが可能で、鋳物を大量生産するのに向いています。一方、複雑な形状や大型の鋳物には向いておらず、初期費用も高くなりがちです。

5-3.低圧鋳造法

溶融金属の表面に空気圧を加えることで金型に鋳込む手法です。欠陥が少ない製品ができるため、歩留まり(良品の割合)が良いという特徴があります。

ただし、冷却速度が遅く、生産性ではほかの鋳造方法に劣るというデメリットがあります。

5-4.高圧鋳造法

低速で溶融金属を充填し、圧力をかけて凝固させる手法です。低速で充填し、高圧力で加圧するため、緻密な金属組織で構成された健全な鋳物が生産できるメリットがあります。

多品種少量生産に向いた手法といえます。

5-5.ダイカスト法

高速かつ高圧で溶融金属を型に流し込む手法です。鋳肌がきれいな状態で完成し、寸法精度に優れています。複雑な形状の鋳物でも早いサイクルで生産が可能です。

5-6.ロストワックス精密鋳造法

模型に「ろう(ワックス)」を用いる手法です。ワックスで模型を作り、熱を加えてワックスを溶かして除去してできた鋳型に溶融金属を流し込みます。

美術工芸品や航空機のジェットエンジンなどの製造に利用され、寸法や鋳肌が優れた製品を作り出せるメリットがあります。複雑な形状に対応できるだけでなく、強度や寸法精度でも優れています。

5-7.遠心鋳造法

遠心力を利用して中空円筒の鋳物を作る手法です。高速回転する鋳型に溶融金属を流し込み、遠心力で加圧することで製品を作ります。水道管やガス管といった丸くて中が空洞な製品に利用されます。

5-8.連続鋳造法

製品を溶湯(ようとう:高温で液体状になった金属)から直接かつ連続的に製造する手法です。歩留まりと生産性が向上することでコストを減らすことができ、大量生産品の製造に向いています。

5-9.消失模型鋳造法

模型と溶けた金属が置き換わる手法です。発泡スチロールで製品と同じ形状の模型を作り、それを砂の中に埋めて溶融金属を流し込みます。

模型が消滅してできた空間を溶融金属で置き換えることで鋳物が完成する流れです。複雑な形状の自動車部品や美術工芸品も作成できる特徴があります。

6.その他の金属加工の技術

金属加工の手法として今回は鋳造をご紹介してきましたが、他にも金属加工の技術はいくつもあります。ここでは、鋳造以外の主な金属加工の技術として、鍛造、切削、溶接・溶断をご紹介します。

6-1.鍛造

鍛造(たんぞう)は、物質の塑性(そせい:大きな力を加えることで永久的に形を変える性質)を利用して、金属をハンマーなどで叩いて製品の形状に成形する手法のことです。圧造(あつぞう)と呼ばれることもあります。

鍛造には、ハンマーで叩いて圧力を加えることで金属内部のスキマがつぶれ、強度が高まるメリットがあります。その性質から高い強度が必要な製品の製造に利用されており、包丁やペンチ、フォーク、ねじ・ボルトなどは鍛造によって作られます。

また、同じ形状を大量生産できることから、切削よりも大量生産の製品に向いています。

6-2.切削

金属を削る機械を使って加工する手法のことです。金属の外側や内側を削ったり、穴をあけたりといった複雑な形状を実現する際に利用されます。

機械に固定した金属を回転させながら刃物を当てて切削する旋削と、固定した金属に対して回転した切削工具を当てる転削という2種類の方法があります。

6-3.溶接・溶断

金属を熱して金属同士をつなぐのが溶接、金属を熱して切り離すのが溶断です。異なる金属同士をつなげて製品化したり、不要な金属を切り離して形状を整えたりする際に利用されます。

7.鋳物工場の仕事に向いている人

鋳物工場にはさまざまな鋳造方法があり、現場のプロとして働くには多くの経験を積む必要があります。熱した金属という危険物を扱うこともあり、向き・不向きが分かれる仕事です。

鋳物工場の仕事に向いているのは、以下のような特徴を持つ人です。

7-1.職人気質で努力できる人

鋳物工場では、型に使う砂の種類、設計、材料の配合度、熱処理、気温、湿度など、複数の要因によって鋳物製品の仕上がりが変わります。

顧客の注文通りの製品を製作するには知識と経験が必要になってくるため、長年にわたって鋳造の技術を磨き続けられる職人気質な人が鋳物工場には向いています。

以下の記事では、鋳物工場以外にも職人気質を発揮できる仕事をご紹介しています。

7-2.周囲への気配りができる人

鋳物工場に向いているのは、常に周囲の人の動きに配慮できる人です。高温でドロドロに溶けた金属を扱う鋳造の現場には危険がともないます。周囲の作業者の状況を把握して安全に作業することが求められます。

また、鋳造の工程は一人でおこなうのではなく、鋳込み・型枠外し・混錬装置のオペレーターなど各工程を担当する従業員と連携し、チームプレイで製品を作り上げます。

他の担当者と息を合わせて作業をすることになるため、その意味で気配りができる性格の人が向いています。

8.鋳物工場の求人の探し方

ここからは、鋳物工場の求人の探し方について解説します。

8-1.求人サイトで探す

鋳物工場は製造業の一種であり、全国の求人が掲載された求人サイトで情報を探せます。求人サイトごとにさまざまな特色があるため、鋳物工場の求人を探すなら製造業に強い転職サイトを選びましょう。

JOBPALでは製造業を中心としたさまざまな求人を掲載しており、転職に関する悩みを相談できる面談サポートもおこなっています。鋳物工場に興味がある場合は、ぜひ一度面談サービスを活用してみてください。

8-2.ハローワークで紹介してもらう

ハローワークは厚生労働省が運営する職業安定所で、地元に密着した企業を中心に求人を紹介しています。自宅で求人を探せるハローワークインターネットサービスを利用することで、自宅にいながら転職サイトのように求人を探すこともできます。

地元密着で経営している鋳物工場に興味があれば、転職サイトと並行してハローワークでも探してみると良いでしょう。

8-3.知人・友人に紹介してもらう

すでに友人や知人が鋳物工場で働いていれば、人事に紹介してもらう方法もあります。社員からの紹介であれば、求人を掲載していない時期に面談を受けられる可能性もあります。

8-4.気になる鋳物工場に行ってみる

気になる工場があれば、自分で足を運んでみるというのも選択肢の1つです。工場によっては「従業員募集中」の貼り紙や看板が出されていることもあります。

求人の貼り紙や看板を見つけたら、「興味を持ちました」と受付を訪ねてみましょう。一度家に帰ってから電話で問い合わせてみるのもOKです。

以下の記事では、工場で働きたい場合の仕事の探し方をご紹介しています。

9.まとめ

鋳物工場には職人としての経験が求められる仕事もありますが、未経験から始められる仕事も多くあります。日常生活に欠かせない金属製品を作ることに魅力を感じたら、ぜひ鋳物工場の求人に応募してみましょう。

JOBPALでは、製造業の求人を多数掲載しています。以下のリンクからぜひ求人をご覧になってみてください。

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