製造業における調達・購買とは?違いや仕事内容、向いている人の特徴や求められるスキル

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「調達・購買ってどのような仕事?」
「調達・購買に向いている人の特徴が知りたい」
など、調達・購買業務に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
調達・購買は、製造ラインを動かすのに必須の原材料や部品、資材などを仕入れるだけでなく、仕入先の選定や価格交渉といった重要な仕事も担います。
今回は、調達・購買とは何か、製造業における調達・購買の仕事内容と求められるスキルや資格、向いている人の特徴、未経験から製造業の調達・購買の仕事はできるのかなどを解説します。この記事を読めば、調達・購買のことがよくわかり、今後の転職活動の参考になります。
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1.調達・購買とは?
調達・購買とは、自社の製品のもとになる原材料や資材、塗料、付属品などを仕入れる業務のことです。
調達・購買の業務がある業界としては製造業が挙げられます。資材調達部・資材購買部という専門の部署が資材の調達・購買をして製造部門につなげるのが一般的です。
その他、スーパーマーケットなどの小売業でも、店内で食品を加工し販売する際、仕入専門の商品部が商品の原材料の調達・購買を担当します。
1-1.調達と購買の違い
調達・購買は似たような名前ですが、実務面で以下のような違いがあります。
- 調達:生産計画に基づいて原材料や資材などを必要なときに仕入れること。あるいは人材や設備など生産に関係する部分を整えること
- 購買:生産に必要な原材料や部品、資材などを買い入れること
調達業務には購買業務も含まれるほか、資材の発注から納入に関わる作業者や設備を整えることも業務に含まれます。
2.製造業における調達・購買の仕事内容
調達・購買の仕事がある業界にはいくつかありますが、前述のとおり代表的な業界として挙げられるのは製造業でしょう。
ここからは製造業における調達・購買の仕事内容の一例をご紹介します。
2-1.仕入れ業者の選定
調達・購買の仕事をするうえで、仕入先の選定は非常に重要な業務です。
同じ原材料や部品でも仕入先によって価格やクオリティが異なるため、仕入先によってはコストの増加、クレームの発生といったトラブルで業務フローに影響が出る場合もあります。
そのため、自社の計画に対して納期は妥当なのか、仕入れ価格やクオリティに問題はないかといったことを検討しつつ、仕入先を決定することが重要です。
納期遵守率や歩留まり率(投入された原材料に対して実際に生産できた製品数量の割合)などを高度に比較する点にやりがいがあります、
2-2.価格交渉
仕入先を絞り込めたら、次に仕入れ先と価格の交渉をします。
高品質の製品を1円でも安く仕入れることができれば、会社の利益率上昇に直接貢献できます。ただし、仕入先の利益が残らないような価格提示ではなく、互いに利益を得られるWin-Winの関係になるような交渉が求められます。
品質を確保してもらいながら少しでも安くするには、原材料の原価や市場の需要、製品のシェアなどの細かい知識も必要です。
2-3.見積依頼
価格交渉が済んだあとは、仕入れ業者に仕入れる原材料ごとの見積もりを依頼します。
見積もりの回答によって仕入れ価格と納期が決まり、その内容を製造部に連携して生産計画を組んでいきます。
2-4.資材の納期・数量管理
見積もりの内容で発注することが決定したら、先方の担当者と納期や納入数量の確認・調整をします。
価格交渉時の品質や納期が保たれているか、先方とのコミュニケーションを通じて継続して管理することも必要です。
2-5.発注
見積もりと納期・数量の調整まで終わったあとは、取引条件を定めた基本契約書を取り交わし、発注をおこないます。
発注時に指定した納期どおりに納品されたら次は検収業務に移りますが、発注した原材料が必ず納期通りに入荷するとは限りません。
何らかのトラブルによって納期に間に合わない可能性もあります。納期遅れのトラブルがあった際には、仕入先と社内の製造部門に確認して納期の再調整をすることになります。
仕入に関する不測の事態に臨機応変に対応し、できる限り自社の生産計画に影響が出ないように対応するのが調達・購買業務の大変さでもあり、やりがいでもあります。
2-6.発注
検収とは、納品された原材料や部品の品質に問題がないかを検査する業務のことです。
調達部門で検収を完結する場合は、品質管理についての専門的な知識が必要となります。会社によっては製造部の品質管理関係の部門が検収を担当することもあります。
品質に問題がある場合は仕入先に連絡して良品の入荷日を確認すると同時に、生産計画の再調整をおこなう必要があります。
3.製造業の調達・購買に求められるスキルや資格
続いて、製造業の調達・購買部門として活躍する場合に求められるスキルや資格の一例をご紹介します。
3-1.情報収集能力
調達に関係する最新情報を仕入れられる情報収集能力は、調達・購買部門で働くうえで求められる重要な能力の1つです。
仕入先との価格交渉には、原材料の価格水準や市場の現状、仕入れ先候補の業者にはどのような企業があるかなど、集めるべき知識がたくさんあります。
海外から原材料や部品を調達する場合は、国際情勢の変化についても目を通す必要があるでしょう。
3-2.コミュニケーション能力
調達・購買部門は、ただメールやシステムから発注をするだけが業務ではありません。
仕入先との価格や品質の交渉、トラブルの際の対応、自社の製造部門との連携など、社内の人とも社外の人とも調整が求められる仕事です。そのため、あらゆる関係者と良好な関係を保つためのコミュニケーション能力が求められます。
3-3.交渉力
調達・購買部門においては、自社の要望を取引先に飲んでもらう交渉能力も必要です。
例えば、仕入先の選定時には少しでも安く仕入れられる会社が候補になりますが、交渉能力に長けた人なら自社が希望する金額で商談をとりつけることができ、会社の業績アップにも大きく貢献できるでしょう。
3-4.スケジュール管理能力
製造業は、仕入先から原材料や部品、資材などの納品がないと現場のラインを動かすことができません。
自社の顧客が指定した納期から逆算して製造を開始するには、調達・購買部門が「資材の納期はいつか」「いつまでに発注すれば良いか」などの納期管理を徹底することが必要不可欠です。
また、材料の発注は、単なる発注と納品の繰り返しではなく、さまざまな原材料や部品について同時並行でおこなうのが普通です。よって、複数の原材料の納期を管理できるスケジュール管理能力は必要不可欠となります。
4.製造業の調達・購買に向いている人の特徴
ここからは、製造業の調達・購買の仕事に向いている可能性がある人の、性格面での特徴をご紹介します。
4-1.向上心がある
調達・購買の仕事では、必要な品質を満たしつつ少しでも安く仕入れるために、国内外の社会情勢や原材料の価格動向、仕入先各社の動向など、さまざまな最新情報を知る必要があります。そのため、向上心が高く常に学ぶ姿勢がある人に向いています。
4-2.責任感が強い
調達・購買の仕事は、工場のラインを動かすのに必要不可欠な原材料・部品・資材などを必要な納期までに納品してもらうために欠かせない役割を担います。
また調達の仕事では、仕入先の選定や納品した原材料の品質確認など、責任重大な仕事が数多くあります。ときにはプレッシャーに感じることもあるかもしれませんが、責任感が強い人なら業務をやり切れるでしょう。
4-3.マルチタスクが得意
調達・購買の仕事には、仕入先の選定、価格交渉、見積もり、発注、検収とさまざまな業務があります。品質や納期でトラブルが発生した際にはその対応も任されます。
このように幅広い業務を同時にこなすことが多いため、マルチタスクに自信がある人に向いています。
5.未経験から製造業の調達・購買の仕事はできる?
企業によっては未経験から製造業の調達・購買の仕事をすることも十分に可能です。
JOBPALで掲載されている求人を見ると、未経験者歓迎の調達・購買の求人もあります。また、学歴も不問であるケースが多いため、これまで製造業で働いたことがない高卒の人でも働くことは可能です。
ただ、求人によっては、実務経験が不問でも「パソコンの入力スキルが必須」というケースもあります。外部業者向けの発注表の作成や組立工程のデータ化などを担うため、WordやExcelなど基本的なソフトの操作が求められることが多いようです。
調達・購買の仕事に興味がある場合は、WordやExcelの基本的な操作を勉強することで、応募要件をより満たしやすくなるでしょう。
6.まとめ
調達・購買は、単に仕入れ業者に原材料や資材の発注をするだけではなく、仕入先の選定や価格交渉など、企業の利益を左右する重要な仕事を任されることが多い仕事です。
調達部門の仕事への取り組みが製造部門や出荷部門に影響を与えるといってもよく、やりがいに満ちた仕事でもあります。
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