倉庫管理主任者とは?仕事内容や魅力・メリット、資格取得方法を徹底解説

この記事で分かること
- 倉庫管理主任者は、倉庫における火災の防止や施設の管理をおこなう仕事
- 倉庫管理主任者のメリットは、資格手当をもらえたり転職や就職で有利になったりすること
- 倉庫管理主任者になるには、倉庫業者としての実務経験を積み、講習を受ける
※この記事は6分30秒で読めます。
「倉庫管理主任者はどのような仕事内容か知りたい」
「倉庫管理主任者として働くメリットが知りたい」
など、倉庫管理主任者の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
倉庫管理主任者は、倉庫における火災の防止や施設の管理をおこないます。また資格手当をもらえたり、未経験からでも目指せたりする点が特徴です。
今回は、倉庫管理主任者の概要、メリット・デメリット、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば、倉庫管理主任者の仕事内容がよくわかり、資格を取得するまでの流れをイメージできるようになります。
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1.倉庫管理主任者とは?
倉庫作業管理主任者とは、倉庫を適切に管理するための知識・能力を持つ認定者のことです。
倉庫業とは、預かった物品を安全に保管し、生活や経済に重要な役割を果たす事業のことで、企業が倉庫業を営むには倉庫業法に基づいた登録を受けて、倉庫管理主任者を選任して所定の業務をおこなう必要があります(※1)。
倉庫管理主任者の配置基準は、倉庫ごとに一人が基本(※2)です。ただし以下の場合であれば、倉庫管理主任者は一人で良いとしています。
- 同じ敷地内にある倉庫、または機能が一体とみなされる複数の倉庫
- 同じ営業所が直接管理・監督する複数の倉庫(同じ都道府県内にあるもの)であり、それらの有効面積の合計が国土交通大臣の定める数値以下の場合
倉庫管理主任者となる人物は、3年以上の業務経験や2年以上の指導経験があり、指定された講習の受講が必要です。そのため、倉庫管理主任者に認定されれば、倉庫の安全な管理や運営に関する専門知識を持っていると証明できます。
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(※1)参照:e-Gov「倉庫業法 第三条〜第五条、第十一条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000121/
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(※2)参照:e-Gov「倉庫業法施行規則 第八条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800059/
2.倉庫管理主任者が活躍できる職場
倉庫管理主任者は、倉庫の運営や作業員の管理、さまざまな商品や材料の管理や製造ラインに必要な資材の供給、完成品の出荷準備に貢献します。
倉庫管理主任者が活躍できる主な職場は、以下のとおりです。特に製造業や運輸業で活躍できます。
- 倉庫
- 工場
- 配送センター
- 物流ターミナル
など
このような職場で、適切な倉庫運営や労働災害を防止するために、倉庫管理主任者のスキルが求められています。
近年ではインターネットショッピングの発展にともなって物流業界の需要が増加傾向にあり、倉庫管理主任者の需要も高まっていると考えられます。
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参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/230831_new_kohyoshiryo.pdf
3.倉庫管理主任者の仕事内容
倉庫管理主任者の仕事内容は、主に以下の3つです。
- 倉庫における火災の防止や施設の管理
- 倉庫管理業務の適正な運営の確保
- 労働災害の防止
具体的な内容について、倉庫管理主任者マニュアルをもとに解説します。
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参照:国土交通省「倉庫管理主任者マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/souko-kanrimanyuaru/manyual.pdf
3-1.倉庫における火災の防止や施設の管理
倉庫は大量の可燃物を収容していますが、出入口や窓などの開口部が非常に少ない特徴があります。
もしもそのような場所で火災が発生すると、十分に排煙できず庫内に煙が充満するおそれや、熱がこもり庫内が高温化するリスクがあります。
そのため、倉庫管理主任者は以下の火災予防対策をおこなわなければなりません。
- 工事中の火災予防対策
- たばこによる火災予防対策
- 自然発火による火災予防対策
- 粉塵による爆発事故予防
- 漏電による火災事故
- 指定可燃物の爆発による火災事故対策
- 自動倉庫の火災防止対策
- 放火による火災事故対策
- 大規模火災の防止対策
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引用:国土交通省「倉庫管理主任者マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/souko-kanrimanyuaru/manyual.pdf
また消火栓やスプリンクラーなど設備の点検や、現場従業員に対する火災予防対策の教育・訓練も必要です。
3-2.倉庫管理業務の適正な運営の確保
品質や用途に応じて保管物の温度や換気などに最善の注意を払い、正しい方法での保管管理が求められます。
また貨物の守秘義務として、保管物について知り得た情報は外部に漏らしてはいけません。
具体的な倉庫管理業務は以下のとおりです。
- 倉庫内外の巡視
- 在庫数量管理
- トランクルーム保管管理
- 定温定湿倉庫保管管理
- 在庫証明の発行
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引用:国土交通省「倉庫管理主任者マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/souko-kanrimanyuaru/manyual.pdf
その他の業務として、倉庫約款や料金表が最新であり、店頭に掲示しているかどうかも確認します。
3.3.労働災害の防止
労働災害を防止するための総括も、倉庫管理主任者の業務です。倉庫管理主任者マニュアルには、以下の労働災害防止に関する事項が記載されています。
- 作業員の健康状態のチェック
- 服装の点検
- はい付け・はい崩し作業
- フォークリフト作業
- コンベヤー作業
- クレーン作業
- 堕落、転落
- 飛来、落下
- 転倒
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引用:国土交通省「倉庫管理主任者マニュアル」
https://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/freight/souko-kanrimanyuaru/manyual.pdf
倉庫管理主任者は従業員に対して、安全かつ効率良く倉庫作業をするよう教育・訓練の実施が必要です。労働災害防止を徹底できれば、従業員がけがや事故に見舞われず安全に作業できます。
4.倉庫管理主任者の資格を取得する魅力やメリット
倉庫業を営む企業にとって倉庫管理主任者は配置が必要な人材であり、有資格者はさまざまな優遇が受けられます。
倉庫管理主任者のメリットは、主に以下の3つです。
- 資格手当をもらえることがある
- 転職や就職で有利になる
- 未経験からでも倉庫管理主任者を目指せる
キャリアアップしたい方は、ぜひ参考にしてください。
4-1.資格手当をもらえることがある
倉庫管理主任者は、倉庫業を営む場合に必須の人材です。そのため、企業は倉庫管理主任者の給与を高く設定するなど、有資格者が働きやすい環境を整えている場合があります。
企業によって資格手当の金額は異なりますが、月2万円前後の資格手当を受け取ることも可能です。
4-2.転職や就職で有利になる
倉庫業における必置資格である倉庫管理主任者は、倉庫業を営む企業でのニーズが高い資格です。有資格者であれば、転職や就職の際に高く評価されます。
また倉庫管理主任者の資格を必要としない企業でも、資格取得のために勉強した熱意や努力が認められ、評価アップにつながることもあります。
4-3.未経験からでも倉庫管理主任者を目指せる
未経験の方でも、倉庫管理主任者を目指せる点は魅力的でしょう。ただし、倉庫管理主任者を選任する製造業や運送業などで働くことが前提となります。
倉庫管理主任者になるには、倉庫業者としての実務経験を積み、講習を受けると選任要件を満たせます。選任要件を満たすと、企業から倉庫管理主任者として選定される可能性が高まります。
倉庫管理主任者になれば、未経験からでもキャリアアップでき、給与アップも見込める点がメリットです。
5.倉庫管理主任者の仕事に向いている方
倉庫管理主任者の仕事に向いている方は、以下のとおりです。
- コミュニケーションを取るのが好き
- 体を動かすのが好き
- 時間管理や体調管理が得意
それぞれの詳細を解説します。
5-1.コミュニケーションを取るのが好き
コミュニケーションを取るのが好きな方は、倉庫管理主任者に向いています。
倉庫管理主任者は、従業員に適切な指示を出したり、教育・訓練の実施が必要です。業務上、多くの人と関わるため、そのぶんコミュニケーション能力が求められます。
倉庫管理主任者は、チームワークを大切にし、円滑なやり取りができる方におすすめです。
5-2.体を動かすのが好き
体を動かすのが好きな方も、倉庫管理主任者に向いています。倉庫管理主任者は以下のような業務もあり、体を動かす時間が多いです。
- 荷物の運搬
- 商品の棚入れ
- 倉庫内の整理整頓
- 在庫確認や棚卸作業
- 荷物の積み込み・積み下ろし
など
体を動かす仕事を希望している方や、体を動かすのが好きな方には向いている可能性があります。
5-3.時間管理や体調管理が得意
倉庫管理主任者の仕事は、時間管理や体調管理が得意な方におすすめです。
企業や配属先によっては、夜勤が発生する現場もあります。夜勤があると生活リズムが乱れやすい傾向があるため、体調管理を徹底することが求められます。
また交代制の勤務時間では、シフトに合わせた時間管理スキルも必要です。
時間管理や体調管理が得意な方は、忙しくても効率良く業務をおこなえる可能性が高いので、倉庫管理主任者の仕事に向いているといえるでしょう。
6.倉庫管理主任者の仕事がおすすめできない方
倉庫管理主任者の仕事がおすすめできない方は、夜勤はしたくない方や体力に自信がない方です。それぞれの詳細を解説します。
6-1.夜勤はしたくない
夜勤をしたくない方には、倉庫管理主任者の仕事をおすすめできません。
特に24時間体制で運営している倉庫や物流拠点では、夜間でも商品を受け入れたり出荷したりする作業が必要です。
夜勤は生活リズムの乱れや体調に影響を与える可能性が高いため、夜の活動が苦手な方には負担となります。
応募前や面談時に、夜勤が発生するかどうかを確認しましょう。なお、夜勤が発生しない企業を探す場合は、「日勤」の条件で求人を検索してみてください。
6-2.体力に自信がない
倉庫管理主任者の仕事は、体力に自信がない方にはおすすめできません。
荷物を持ち運んだり立ち仕事があったりするため、体力がないと疲れやすい環境です。体力を必要としない仕事を希望するのであれば、倉庫管理主任者は不向きです。
ただし始めは自信がなくても、続けていくうちに慣れてきたり体力がついてきたりする方もいます。
「気付いたら楽に働けるようになっていた」と成長を実感できれば、自信につながるでしょう。
7.倉庫管理主任者になるには?
倉庫管理主任者は、試験に合格すればすぐに倉庫管理主任者を名乗れる資格ではありません。倉庫管理主任者として働くためには、正しい手順を踏むことが重要です。
ここからは、倉庫管理主任者として働くための手順・流れについて解説します。
7-1.倉庫管理主任者に選ばれる必要がある
倉庫管理主任者として働くためには、有資格者の配置義務がある製造業や運送業などを営む企業での実務経験が必要です。
倉庫業者は「実務経験を一定以上有する」「講習を受けて認定されている」などの条件を満たした方の中から選任をおこないます。こうして企業から選任されないと倉庫管理主任者として働くことはできません。
なお倉庫管理主任者の資格は講習を受ければ誰でも取得でき、修了試験も存在しません。
7-1-1.選定要件
倉庫管理主任者として選定されるためには、以下のうちいずれかの条件を満たしている必要があります。
- 倉庫管理業務に関して3年以上実務経験がある者
- 倉庫管理業務で指導・監督役として2年以上の実務経験がある者
- 倉庫の管理に関する講習を修了した者
- 国土交通大臣が上記3つと同等以上の知識および能力があると認める者
実務経験がないまたは不足している方でも講習を受けて修了すれば、倉庫管理主任者として選定される要件を満たすことが可能です。
講習は一般社団法人日本倉庫協会が全国の会場で定期的に開催しており、受講資格は特にありません。受講後の試験もなく、基本的には受講すれば資格取得の要件を満たせます。
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参照:e-Gov「倉庫業法施行規則 第九条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800059/
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参照:一般社団法人日本倉庫協会「倉庫管理主任者講習について」
https://www.nissokyo.or.jp/seminar_info/
7-2.講習を受ける
実務経験のない方が倉庫管理主任者に選ばれるためには、日本倉庫協会が実施する倉庫管理主任者講習の修了が必要です。
講習は1日で完了し、全国各地で実施されるため受講しやすいといえます。受講料は実施会場ごとに異なり、税込で以下のとおりです。
- 一般:1万2千円〜1万4千円
- 日本倉庫協会の会員:6,000円〜8,000円
※2024年10月現在の費用です
講習は休憩込みの約5時間半で、以下のような時間割でおこなわれます。会場によって異なる場合があるので詳細は公式サイトにてご確認ください。
講習内容 | 時間 |
---|---|
倉庫業法の概要 | 1時間 |
倉庫業における労働災害の防止 | 1時間 |
倉庫における火災防止 | 1時間 |
倉庫管理実務 | 1時間 |
修了証配布 | 15分 |
-
参照:一般社団法人日本倉庫協会「倉庫管理主任者講習について」
https://www.nissokyo.or.jp/seminar_info/
7-2-1.受講要件
倉庫管理主任者の講習は、誰でも受講できます。
年齢や学歴、実務経験などの要件は設定されておらず、倉庫業に携わっていなくても受講可能です。
また講習会場は各地で開催されていますが、全国どこで受講しても大丈夫です。
7-2-2.受講のポイント
倉庫管理主任者の講習には試験がないため、基本的には講習を最後まで受ければその日のうちに修了証を受け取れます。
実務経験がない方にとっては、倉庫管理主任者の選任要件を満たす重要な講習です。最後まで集中して講習に臨むことが大切です。
なお講習は定員になり次第、締め切りとなります。
受付開始当日に定員に達する場合があるので、受講希望の方は早めに申し込みを済ませておきましょう。
7-3.倉庫管理主任者に選ばれない場合もある
倉庫管理主任者に選ばれない場合もある点は、注意してください。
以下に該当する方は、倉庫管理主任者に選任できません。
- 1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、執行終了または執行を受けなくなった日から2年を経過しない者
- 倉庫業法第二十一条による登録取り消しを受けてから2年を経過していない者
上記の方が倉庫管理主任者の条件を満たすには、指定の年数を経過するまで待ちましょう。
-
(※)参照:e-Gov「倉庫業法施行規則 第九条」
https://laws.e-gov.go.jp/law/331M50000800059/
8.まとめ
倉庫管理主任者は、倉庫を持つ企業が法律にしたがって配置する必要がある重要な資格です。
倉庫管理主任者の資格があれば、転職・就職活動で有利になったり、企業によっては資格手当をもらえたりするため、年収アップが期待できるでしょう。
資格の難易度は低く、実務経験や講習受講の要件を満たせば誰でも倉庫管理主任者として働けるチャンスがあります。
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