研磨の仕事とは?仕事内容や必要な資格、働くメリットを解説
※この記事は5分で読めます。
「研磨ってどんな仕事?」
「研磨工で働くメリットが知りたい」
など、研磨の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
研磨は、金属やガラスなどの仕上げに該当する部分であり、ものづくりが好きな人や職人気質の人に向いています。
今回は、研磨の仕事の概要、関連する資格、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば研磨の仕事のことがよくわかり、転職して働く姿をイメージできるようになります。
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1.研磨の仕事ってそもそも何?
わたしたちが普段から利用する製品には、研磨加工が施され販売されている商品が数多くあります。このような研磨加工をおこなう職人は「研磨工」とも呼ばれます。
では、研磨の仕事とは具体的にどのようなものなのでしょうか。
1-1.研磨とは
研磨とは、金属製品などの凸凹している部分を削って磨き上げ、滑らかな状態にする作業のことです。
製品の細かな調整や、仕上がりを美しく見せることが研磨の目的です。スプーン、フォーク、指輪など、研磨されることで滑らかな手触りと輝くほどの美しさが実現します。
1-2.2つの作業「研削」と「琢磨」
研磨には、大きく分けて以下の2種類の作業内容があります。
- 研削:凸凹を削って表面を滑らかにする
- 琢磨:研削した製品の表面を磨いてツヤを出す
この2つの作業はセットでおこなわれることが多く、2つを合わせて「研磨」と呼ぶのが一般的です。工場の現場ではどちらか一方を担当するケースもあります。
1-3.研磨の技術が使われている製品
研磨は主に金属製品を作る際に用いられる技術で、製品加工の最終工程となるケースが一般的です。ミクロン単位での調整ができることで、製品表面にある突起や異物などをきれいに取り除くことができます。
自動車部品やスマートフォンといった金属製の精密機器のほか、スプーン、フォーク、ナイフなどのカラトリーや金属製の食器、カメラのレンズ、宝石にも研磨技術が用いられます。
2.研磨の仕事内容3つ
研磨は大きく分けて「金属」「ガラスレンズ」「宝石」という3種類の製品加工に使われます。ここでは素材方法によって変わる研磨の仕事内容を見ていきましょう。
2-1.金属研磨
電化製品や自動車などで使われる金属を磨く仕事です。
- 大きな凸凹や異物を除去する「下地」
- ざらざらになった表面をならしていく「ならし」
- きれいに見せるために必要な「つや出し」
の3つの工程で作業が進んでいきます。
研磨作業にはダイヤモンドを砥粒(とりゅう)として使用しますが、「素材に鉄が含まれているか」「素材にどのような熱処理が施されているか」といった条件によって研磨の方法が変わることもあります。
2-2.ガラスレンズ研磨
カメラや望遠鏡、顕微鏡などで使われるレンズを磨き上げ、特殊な形状をつくる仕事です。
表面に大まかなカーブを付けるために「ジェネレーター」と呼ばれる機械を使用し、精密に削るための「研磨皿」できれいなカーブをつくります。最後に目の細かい砂を使って磨き、表面を整えて完成という流れです。
2-3.宝石研磨
採掘された石の表面を研磨し、宝石に加工する仕事です。「ファセット」と呼ばれる宝石専用の研磨機砥粒(とりゅう)などを機械に取り付けて回転させ、その上に宝石を少しずつ押し付けて表面を削っていきます。
3.研磨の仕事に必要な資格
研磨に関する仕事は未経験でも始めることができますが、資格を取得することで客観的に研磨のスキルを証明でき、キャリアアップも可能です。研磨の仕事に利用できる2つの資格をご紹介します。
3-1.切削工具研削技能士
切削工具研削技能士は、研磨の実務経験をもつ人が受験できる国家技能検定資格です。「工作機械用切削工具研削」と「超硬刃物研磨」の2つの区分があり、試験ではどちらかを選択することになります。
研磨の仕事をするにあたって必須の資格ではありませんが、資格を保有していれば切削研磨全般の技術と知識があることを証明できます。
3-1-1.資格の取得方法
1級と2級があり、それぞれ所定の受験資格があります。1級は7年以上の実務経験あるいは2級を取得後に実務経験が2年以上の人、2級は実務経験2年以上の人などが受験可能です。
試験は実技試験と学科試験に分かれており、実技試験では作業ごとの寸法精度や製品のできばえがチェックされるほか、作業態度や作業時間も採点に含まれます。学科試験は真偽法と四肢択一法の計50問で、試験時間は1時間40分です。
受験検定料は検定職種ごとに各都道府県において定められていますが、標準金額は実技試験1万8,200円、学科試験3,100円です(※2023年3月現在)。
3-2.研削といし取替試運転作業者
労働安全衛生法では事業者に対し、安全のために研削といしの取り替えなどの業務に係る特別教育を受けた人を配置することを求めています。そのための講習が「研削といし取替試運転作業者」です。
この資格を取得することで、研削といしの取替、取替時の試運転などができるようになります。
3-2-1.資格の取得方法
受験資格は「研削といし取替等業務従事予定の満18歳以上の者」です。教育内容は、学科4時間、実技2時間の計6時間にわたり、実技教育では研削といしの取付作業に適した服装と靴で参加することが求められます。
受講料金は開催する協会によっても異なり、8,500円(税込)、1万500円(税込)、テキスト代込みで1万3,400円程度です(※2023年3月現在)。
4.研磨工として働くメリット
研磨工の仕事には、以下にご紹介する3つのメリットがあります。
4-1.未経験でも働きやすい
研磨工と聞くと「職人の世界で資格や技術がないと働けない」というイメージを持っている人も多いかもしれません。もちろん経験や技術、資格があるに越したことはありませんが、実際の現場では学歴不問で採用しているケースも少なくありません。
未経験の場合は、見習いからスタートして先輩の技術を見て覚え、資格を取得できることでキャリアアップを目指せます。
4-2.高い需要が見込まれる
多くの業界で導入されている「精密機械」を製造する工程には研磨が欠かせません。そのため、請け負う仕事は今後も増加していくことが予想されます。
また、機械では出せない精密な研磨技術が求められることも多々あり、高い技術を持っている職人であれば繊細な研磨が必要な製品で高い需要が考えられます。
確かな技術と経験を武器にできれば、将来的にも安定して活躍できる仕事といえるでしょう。
4-3.年齢関係なく働くことができる
年齢問わず働けるのもメリットです。腕力を使うような場面は少なく、技術力を磨いたり資格を取って実力を客観的に証明したりすれば、年齢問わずに長く働くことができるでしょう。
5.研磨の仕事に向いている人
研磨に限った話ではありませんが、仕事には人によって向き不向きがあります。研磨の仕事に向いているのはどんな特徴を持った人なのかを解説します。
5-1.職人気質な人
研磨は製品の仕上げにあたる重要な工程です。使う機械や最適な研磨剤を選び、手を抜かず丁寧に仕上げていくことが求められるため、こだわりが強く品質に妥協しない職人気質な人に向いています。
職人気質の人は「スキルを向上させたい」という気持ちも芽生えやすく、さらなる質の向上のために努力を怠りません。経験を積むことで研磨のスキルをどんどんアップさせることができるでしょう。
職人気質についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事も併せてご覧ください。
5-2.細かい作業が好きな人
研磨する製品の大小に関係なく手先を使った細かい作業が多い傾向にあり、丁寧な仕事ぶりを要求されます。
技術力をもって細部にまで目を光らせて作業をすることが求められるため、集中して細かな作業を続けることが好きな人に向いています。
5-3.きれい好きな人
研磨のなかでも「琢磨」の工程では製品を磨いて美しく仕上げることから、きれい好きな人に向いている仕事です。
自宅の掃除も妥協せずに徹底できる性格の人なら、研磨の仕事もしっかりこなすことができるでしょう。
6.まとめ
研磨は、製品表面の傷や凹凸を取る「研削」と仕上げの磨きをおこなう「琢磨」がセットになった言葉です。金属製品はもちろんのこと、ガラス製品や宝石など、研磨の対象は多岐にわたります。精確な仕上がりを要求されるため、職人気質の人やきれい好きの人に特に向いた仕事です。
経験を積んで国家資格を取得すれば、さらなるキャリアアップも可能です。興味があれば、ぜひ一度JOBPALで求人を探してみてはいかがでしょうか。