工場の仕事図鑑
更新日:2023年08月02日

工事担任者の概要や難易度、おすすめの勉強法を紹介

工事担任者の概要や難易度、おすすめの勉強法を紹介

※この記事は4分30秒で読めます。

「工事担任者ってどのような資格?」
「工事担任者資格を取得するメリットが知りたい」
など、工事担任者に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

工事担任者は国家資格であり、取得すれば、さまざまなインフラ設備の工事をおこなえるようになります。この記事を読めば、工事担任者資格への理解が深まり、資格を取得する際に役立ちます。

1.工事担任者資格とは?

工事担任者は、ケーブルテレビの回線や公衆回線などの工事をする際、その工事や監督をする担当者に必要となる国家資格です。工事担任者の資格試験は一般財団法人日本データ通信協会が運営しており、受験者は毎年1.5万~3万人程度います。

これら電気や通信システムに関する専門的な工事は、工事担任者がいなければおこなえません。知識を持たない方が工事をおこなってしまうと、設備が故障したり、正常に稼働しなかったりする事態に陥りかねないからです。また、そうした設備の異常が人身の危険につながるリスクもあります。

2.工事担任者資格の種類と工事範囲

工事担任者の資格には種類がいくつかあり、資格によって工事をできる範囲が異なります。ここからは、工事担任者資格の種類と工事範囲について詳しく解説します。

2-1.第一級アナログ通信

第一級アナログ通信は、2021年3月31日まではAI第一種と呼ばれていました。この資格を持っていると、アナログ電話回線とISDN回線のすべての工事ができるようになります。

2-2.第二級アナログ通信

第二級アナログ通信は、2021年3月31日まではAI第三種と呼ばれていた資格です。この資格の保有者は、アナログ電話回線やISDN回線に関する工事のうち、電気通信回線の数が1回線のものに限って工事ができます。例えば、一般家庭の電話機やFAXの工事などが可能です。

2-3.第一級デジタル通信

第一級デジタル通信は、2021年3月31日までDD第一種と呼ばれていた資格です。端末設備をデジタル伝送路設備に接続する工事はおこなえますが、ISDNなど、端末設備を総合デジタル通信用設備に接続する工事は、この資格ではできません。

2-4.第二級デジタル通信

二級デジタル通信は、2021年3月31日までDD第三種と呼ばれていました。第一級と同じく、端末設備をデジタル伝送路設備に接続する工事はおこなえますが、規定の入出力以下である家庭向けのルータやLAN工事、高速インターネットへアクセスするための工事などしかおこなえません。

2-5.総合通信

総合通信は、2021年3月31日までAI・DD総合種と呼ばれていた資格です。この資格を持っていると、第一級アナログ通信の工事と第一級デジタル通信の工事の両方をおこなえるようになります。例えば、ISDNと光ファイバーの両方を使っている施設の工事などが可能です。

3.工事担任者資格の試験科目や合格率

これらの資格を取得するためには、どのような科目について勉強する必要があるのでしょうか。以下、具体的な試験科目と、各資格の合格率について詳しく解説します。

3-1.工事担任者資格の試験科目

資格における試験科目は、電気通信技術の基礎・端末設備の接続に関する法規・端末設備の接続のための技術及び理論の3つです。

電気通信技術の基礎は、電気回路や電子回路、論理回路といった電気工学と、伝送理論や伝送技術といった電気通信に分けられます。第一級アナログ通信や第一級デジタル通信、総合通信ではこれらの基礎が、第二級アナログ通信や第二級デジタル通信ではこれらの初歩が出題されます。

端末設備の接続に関する法規では、第一級アナログ通信や第一級デジタル通信、総合通信において電気通信事業法・有線電気通信法・不正アクセス行為の禁止等に関する法律・電子署名及び認証業務に関する法律と、各法律に基づく命令についての問題が出されます。第二級アナログ通信と第二級デジタル通信で出題されるのは、電気通信事業法・有線電気通信法・不正アクセス行為の禁止等に関する法律の大要です。

端末設備の接続のための技術及び理論では、端末設備の技術や接続工事の技術、ネットワークの技術、情報セキュリティの技術などが問われ、計6つの項目があります。総合通信ではすべての項目が出題されますが、それ以外では資格によって出題項目が異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。

3-2.工事担任者資格の合格率

それでは、各資格の2021年度における、1科目受験者~3科目受験者の合格率を見てみましょう。

1科目 2科目 3科目
第一級アナログ通信 65~75% 32~37% 7~9%
第二級アナログ通信 80% 25% 18%

第一級アナログ通信の場合、1科目受験者の合格率は65~75%、2科目受験者の合格率は32~37%、3科目受験者の合格率は7~9%です。第二級アナログ通信の場合、1科目受験者の合格率はおよそ80%、2科目受験者の合格率はおよそ25%、3科目受験者の合格率はおよそ18%になります。

1科目 2科目 3科目
第一級デジタル通信 70~73% 23~30% 13~20%
第二級デジタル通信 83% 40% 43%

第一級デジタル通信の場合、1科目受験者の合格率は70~73%、2科目受験者の合格率は23~30%、3科目受験者の合格率は13~20%です。第二級デジタル通信の場合、1科目受験者の合格率はおよそ83%、2科目受験者の合格率はおよそ40%、3科目受験者の合格率はおよそ43%になります。

1科目 2科目 3科目
総合通信 74% 21~26% 13~17%

総合通信の場合、1科目受験者の合格率はおよそ74%、2科目受験者の合格率は21~26%、3科目受験者の合格率は13~17%です。

4.工事担任者資格を取得するメリット

資格取得のための勉強を始める際に、取得するメリットをしっかり理解していれば、勉強のモチベーションを維持しやすくなるでしょう。ここからは、工事担任者資格を取得すると、具体的にどのようなメリットがあるのかを解説します。

4-1.技術の証明として有効

まず挙げられるのは、通信工事や設備管理をおこなえる知識・技術があることの証明になる点です。IT技術が多様化している通信業界では、工事の担当者に高度な専門知識が要求されます。顧客に安心感を与えて信頼を得るためには、資格を取得しているかどうかが大きなポイントとなります。

4-2.社内評価・転職成功率の向上

電気通信工事は技術が求められる仕事です。そのため、電気通信工事をおこなう会社に勤める方が資格を取得すれば、社内の評価が向上するでしょう。電気通信工事をおこなう会社への転職を目指す場合にも、取得しておくのがおすすめです。

近年は工事担任者資格の需要が高まっているため、未経験者や経験年数が少ない方でも、資格を有していれば転職で有利に働く可能性が高くなります。

4-3.キャリアアップに有利

工事担任者資格のなかでも、第一デジタル通信や総合通信の資格を取得しておけば、キャリアアップにつながりやすくなります。これらの資格を有していれば、情報通信エンジニアという、より上位の資格を取得できるからです。情報通信エンジニアの資格を取れれば、電波基地局の設置や保全といった、より高度な仕事を担当できるようになります。

また、第一級アナログ通信や第一級デジタル通信、総合通信のいずれかの資格を持っていれば、上位資格である電気通信主任技術者の試験において、電気通信システム科目で免除が受けられるというメリットもあります。

5.資格取得に向けた学習方法

工事担任者の資格取得を目指したいけれど、どのように勉強すれば良いかわからないという方もいるかもしれません。ここでは、主な学習方法を2つ紹介します。

5-1.通信教育や専門学校での学習

まず挙げられるのが、通信教育や専門学校で学習する方法です。この学習方法のメリットは、講師による授業とわかりやすい教材で、効率的に勉強できることです。また、わからないところを直接講師に尋ねることもできます。

さらに、総務大臣に認定された専門学校を修了した場合には、試験科目の一部が免除されます。少しでも合格率を高めたい方におすすめです。

ただし、月々の費用が発生すること、通う場合には通学のための時間をつくらなければならないことなどのデメリットがあることも把握しておきましょう。

5-2.独学での学習

あまりお金をかけられない方、学校に通う時間がない方、仕事をしながら空いた時間に自分のペースで勉強したい方には、独学という学習方法もあります。書店で販売されている参考書や過去問題集を購入して勉強しましょう。

勉強の仕方としては、参考書を何度も読んで知識をインプットしてから過去問題集を繰り返し解く、という方法がおすすめです。

6.まとめ

電気通信業界で働いている方や電気通信業界に転職したい方は、工事担任者資格を取っておくことで、さまざまなメリットが得られるでしょう。受験資格に指定があるわけではないため、最初から一級取得を目指すこともできますが、取得できるか不安な方はまず二級からチャレンジしてみましょう。頑張って取得できれば、転職やキャリアアップの際の大きな助けとなります。

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