工場の仕事図鑑
更新日:2024年01月25日

ガス溶接技能者になるには?必要な資格や主な仕事内容、やりがい、平均年収を解説

ガス溶接技能者になるには?必要な資格や主な仕事内容、やりがい、平均年収を解説

※この記事は4分30秒で読めます。

「ガス溶接技能者ってどんな仕事?」
「ガス溶接技能者の資格を取る方法を知りたい」
など、ガス溶接技能者に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

ガス溶接技能者は、ガスバーナーから出る熱を利用した溶接技術を持つ有資格者のことで、建築や造船業、工場など、溶接を扱う幅広い分野で活躍できる資格です。

今回は、ガス溶接技能者の概要、仕事内容、資格取得の手順や難易度などを解説します。この記事を読めばガス溶接技能者のことがよくわかり、自分が働いている姿をイメージできるようになります。

1.ガス溶接技能者とは?

ガス溶接技能者とは、ガスを利用した溶接をおこなう技能者のことです。可燃性ガスと酸素で発生した熱を利用して金属を溶かし、異なる部材の接合をおこないます。

ガスや酸素を正しく取り扱うためには知識が必要であり、ガス溶接を扱うには労働安全衛生法に定めるガス溶接技能講習を修了して「ガス溶接技能者」の資格を取る必要があります。

以下の記事では、溶接工の仕事について詳しく解説しています。

1-1.ガス溶接技能者の需要

ガス溶接技能者の資格を取得すると、ガスの熱を利用して金属をつなぎ合わせる「ガス溶接」や、1つの部材を切り離す「ガス溶断(切断)」ができるようになります。溶接としては初歩的な資格とされていますが、溶接作業のなかでも使われることが多い方法でもあります。

工場から建築現場まで、金属の加工が必要な幅広い現場で使われるため、資格を持っていればさまざまな業界で活躍できるチャンスがあります。

また、ガス溶接技能講習を終了してから3年以上の実務経験を積むなどの条件を満たせば、「ガス溶接作業主任者」という上位資格を取得することも可能です。事業者は、ガス溶接作業主任者免許を受けた方からガス溶接作業主任者を選任する義務があるため、取得の前提になるガス溶接技能者の需要は高いといえます。

2.ガス溶接作業者が活躍できる現場

ガス溶接技能者が活躍できるのは、主に以下のような業界です。

  • 建設現場
  • 一般機械の製造工場

ビルなどの巨大な建造物の建設現場では、融接やろう接などの技術が多く使われます。同様に、一般機械の製造工場でも、「車の屋根やドアの溶接をおこなったあとで組み立てる」といったように、流れ作業のなかでガス溶接をおこなうことが一般的です。

建築現場では巨大な建材を使うことで高い加工技術が求められる一方、工場では大小さまざまな部品の溶接に対応することになります。

3.ガス溶接作業者の仕事内容

ガス溶接作業者は、可燃性のガスと酸素が結びつく際の熱を利用してガスバーナーで加熱して金属を溶かし、金属と金属をつなぎ合わせる作業を担います。材料の接合部を加熱して溶融させたあと、固定して冷却させることで材料同士が結合するという仕組みです。

また、それとは逆に、1つの金属を2つ以上に分ける「溶断」という仕事をおこなうこともあります。

4.ガス溶接作業者の平均年収

ガス溶接技能者の平均年収は、勤務先はもちろん、保有する資格や勤務経験でも変わります。

厚生労働省によると、金属溶接・溶断従事者の平均時給は1,077円でした。

また、月給をみると約21.8万円、賞与額は年間で約32.8万円となっています。

つまり、年収は「21.8万円×12ヵ月+賞与32.8万円=294.4万円」と計算できます。おおむね300万円前後が、大半のガス溶接技能者の平均的な年収といえるでしょう。

ただし、ガス溶接技能者として3年以上の経験を積むなどの条件を満たした場合、ガス溶接作業主任者の資格を取得することも可能となります。ガス溶接技能者とガス溶接作業主任者の両方の免許を持てば、更なる資格手当の上乗せや待遇アップも期待できるでしょう。

5.ガス溶接作業者のやりがい

ガス溶接技能者として働くことの「やりがい」は、日本を支えるものづくりに深く関われることです。ビルや船といった巨大な建造物を作る際に欠かすことができない仕事であり、自分が担当した建造物が長く世の中の役に立つという貴重な経験ができます。

また、ガス溶接技能者の資格を取得することで資格手当を受け取ることができ、待遇面でもやりがいを見つけることができるでしょう。

6.ガス溶接作業者になるには?

ガス溶接技能者を目指すなら、大前提として「ガス溶接技能講習」を修了する必要があります。以下、ガス溶接技能講習の概要をご紹介します。

6-1.ガス溶接技能講習の概要

可燃性ガスや酸素を用いておこなう作業に欠陥があったり、作業方法が不適切だったりすると、火災や爆発などの重大事故につながることもあります。その防止のためにも受講するのが「ガス溶接技能講習」です。

受験要件は「18歳以上」という年齢制限だけであり、性別や学歴・職歴の有無に関係なく誰でも試験を受けることができます。

6-2.ガス溶接技能講習の内容

ガス溶接技能講習は「学科講習」「実技講習」の2つがあり、2つの講習を修了すれば資格を取ることができます。カリキュラムは学科1日(8時間)、実技1日(5時間)の合計2日です。

学科試験の内容と実施時間は以下のとおりです。

学科
ガス溶接等の業務のため使用する設備の構造および取扱の方法に関する知識 4時間
ガス溶接等の業務のため使用する可燃性ガスおよび酸素に関する知識 3時間
関係法令 1時間
修了試験 1時間
実技
ガス溶接等の業務のため使用する設備の取扱い 5時間

6-3.難易度・合格率

ガス溶接技能講習は学科講習と実技講習に分かれており、学科講習には試験もあります。基本的には2つの講習をまじめに聞いていれば資格を取得することができます。

体調不良などで試験を受けられないといったことがない限り、基本的に100%に近い合格率となっています。

6-4.勉強方法

ガス溶接技能者講習では学科講習の最後に実技試験がおこなわれますが、講義にしっかりと耳を傾けていれば合格は難しくありません。体調不良で途中棄権することがないよう、講習中は体調管理をしっかりとおこなったうえで試験に臨みましょう。

7.ガス溶接作業者とアーク溶接作業者はどちらの取得がおすすめ?

同じ「溶接」の仕事をおこなうガス溶接技能者とアーク溶接作業者ですが、それぞれ違う仕事・職種であり、活躍できる場面も異なるため、一概に「どちらがおすすめ」とはいえません。

ガス溶接はアーク溶接よりも溶接部が見やすい、薄い材料の溶接がしやすいといった特徴がありますが、一方のアーク溶接は溶接時の変形が少ない、溶接部の性質が優れている、厚い材料に適しているという違いがあります。材質によっても適した溶接方法は変わり、どちらも高い需要があって甲乙つけがたいものです。

しかし、両方の資格とも低難易度であるため、お金と時間の余裕があれば両方とも取得しておくことをおすすめします。

以下の記事では、アーク溶接作業者について詳しく解説しています。

8.ガス溶接作業者として働くときの注意点

ガス溶接技能者の資格を取得することは決して難しくありませんが、資格を取得したからといってすぐにプロになれるわけではありません。国家資格であることから履歴書の資格欄に書くことはもちろんできますが、実務レベルの溶接ができるかどうかはまた別です。

顧客の要求を満たすクオリティの溶接・溶断をおこなうには、資格を取得したうえで長い経験と勉強をすることが必要になります。コツコツと技術を磨いて上位資格を取得するなどの努力を重ねることで、はじめて「給料アップ」「昇進や転職に有利」という有資格者のメリットが得られます。

ガス溶接技能者として成功するためには、常に向上心をもって学ぶ姿勢が大切です。

9.まとめ

ガス溶接技能者は、可燃性ガスと酸素が結びつく際の熱を利用して2つ以上の金属を1つにつなげる「溶接」や、1つの金属を2つ以上に分ける「溶断」などをおこなう仕事です。造船業や建築など、さまざまな就職先が見つかります。

日本の「ものづくり」に興味がある方や、資格手当を得て安定した働き方を実現したい方、ガス溶接に興味がある方は、JOBPALの求人からガス溶接技能者の資格が活かせる仕事を探してみてください。

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