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更新日:2023年07月27日

ベアリングとは?分類と種類、役割やよく使われるものを紹介

ベアリングとは?分類と種類、役割やよく使われるものを紹介

※この記事は5分30秒で読めます。

「ベアリングって何?どんな役割があるの?」
「ベアリングの種類や分類について知りたい」
など、ベアリングに関して疑問を持っている方もいるでしょう。

ベアリングは、歯車やタービンなど回転する軸の動きを助ける部品のことで、製品の故障を防いで効率よく回転させることができます。

今回は、ベアリングの概要や歴史、種類・分類、ベアリングの製造方法などを解説します。この記事を読めばベアリングについて基本的なことがわかり、製造業の業界研究の助けになります。

1.ベアリングとは?

ベアリングは、機械のなかの軸を滑らかに回転させる部品です。軸の回転を受けて支える役割から、軸受(じくうけ)と呼ばれることもあります。

回転する「軸」には歯車、タービン、ローターなどがあり、ベアリングにはこれらの製品の動きを助ける働きがあります。

1-1.ベアリングの歴史

ベアリングの目的は摩擦を減らして軸の動きを滑らかにすることですが、摩擦を減らすコントロール方法は古代エジプトのピラミッド建設現場ですでに登場しています。ピラミッドの建材の石を運搬する際に、並べた丸太の上を転がすという方法で摩擦を減らし、効率よく運んでいました。

現代のベアリングに近い構造が生み出されたのは15世紀のことで、生みの親とされるのは、レオナルド・ダ・ヴィンチです。上下2枚の円盤(軌道盤)のあいだに転がる玉(転動体)を挟むというもので、現在のベアリングの構造とほとんど変わりません。

そこから18世紀の産業革命によって、現在のベアリングの形が作られていきました。

日本でベアリングが登場したのは1916年、海軍の要請を受けて製造されたものが最初です。1921年には光洋精工社(のちの光洋精工株式会社)がベアリングの製造・販売を開始しています。

1-2.ベアリングの仕組み

ベアリングの基本的な仕組みは、以下の3つで構成されます。

  • 軌道輪(内輪・外輪)
  • 転動体(「玉」または「ころ」)
  • 保持器

それぞれの部品にグリースなどの潤滑剤が封入され、シールやシールドといった部品で潤滑剤が密封されます。軸が回転するとき、軌道輪の内輪・外輪のあいだにある転動体が転がる「転がり運動」によって摩擦を減らしています。

2.ベアリングはどこで使われる?

ベアリングが使用されている機械は、発電機、航空機、冷蔵庫、エアコン、洗濯機、掃除機、コピー機など、皆さんが知っているものばかりです。これらの機械には回転する軸があり、必ずといって良いほどベアリングが組み込まれています。

なかでも代表的な使用例としては、以下のようなものがあります。

  • 自動車用ベアリング
  • 産業機械用ベアリング
  • 特殊環境用ベアリング

自動車用ベアリングは文字どおり、自動車に組み込まれるベアリングです。一般的に100個、高級車では約150個のベアリングが使用されています。

産業機械用ベアリングは風力発電などで用いられるベアリングです。風の力を受けて回転する主軸を支えるベアリングは、羽や回転部分の重さ、風の力にも耐える頑強な作りになっています。

特殊環境用ベアリングは、例えば医療機器のMRIに使われるベアリングです。一般的なベアリングは強い磁気が発生しますが、MRIには非磁性のベアリングが使われます。

そのほか、身近なところでは自動車のホイールや釣り具のリール、窓枠や引き出し、ベビーカーの車輪など、回転軸がある商品には必ずといって良いくらいにベアリングが使われます。

3.ベアリングの役割

ベアリングは軸の摩擦を減らして滑らかに回転させるために存在しますが、ベアリングがなくても軸を回転させることはできます。では、ベアリングを活用することによってどのようなメリットがあるのでしょうか。

ここからは軸の回転におけるベアリングの役割を解説します。

3-1.機械の寿命を延ばす

ベアリングの大きな役割の一つが、機械の寿命を延ばすことです。

機械の回転部分と支える部分には大きな負荷がかかります。ベアリングで回転を滑らかにすれば発生する負荷を小さくでき、機械寿命を延ばすことができます。

3-2.機械の効率を良くする

機械の回転効率を上げることも、ベアリングの役割です。回転する軸と回転を支える部分に発生する摩擦を少なくすることで、回転に利用するエネルギーを節約し、効率的に機械を動かすことが可能になります。

3-3.軸の位置を保つ

回転する軸と回転を支える部分のあいだにベアリングを挟むことで、回転する軸を正しい位置に保つ役割もあります。正しい位置で回転させることで、結果として故障の防止や機械効率の向上につながっています。

3-4.機械の故障を減らす

ベアリングを回転部分と支える部分のあいだに使用しない場合、製品が上手に回転せずに「焼き付け」を起こす可能性があります。潤滑剤を使用したベアリングを使うことで機械の動きが滑らかになり、故障を防ぐことにつながります。

4.ベアリングの種類

ベアリングは大きく分けて「転がり軸受」「滑り軸受」の2種類にわかれます。なかでも一般的に普及しているのは転がり軸受であり、荷重方向や転動体の違いによってさらに細かな種類があります。

転動体の違いによって分類できるのは、「ボールベアリング」「ローラーベアリング」の2種類です。

4-1.ボールベアリング

ボールベアリングとは、ベアリングの内部に組み込まれている転動体が「玉」であるベアリングのことです。

軸と直角にかかる荷重を受けるものは「ラジアルボールベアリング」、軸と並行にかかる荷重を受けるものは「スラストボールベアリング」と呼ばれます。

ボールは点で接するため早く静かに回転することができ、比較的低荷重かつ高速回転体の軸受に使用されるのが一般的です。

4-2.ローラーベアリング

ローラーベアリングとは、転動体が「ころ」であるベアリングのことです。軸と直角にかかる荷重を受けるものは「ラジアルローラーベアリング」、軸と並行にかかる荷重を受けるものは「スラストローラーベアリング」と呼ばれます。

面で接触する「ころ」を使うローラーベアリングは、ボールベアリングよりも大きな負荷に耐えられるようにできているのが特徴です。

5.ベアリングの分類

ベアリングの種類として「ボールベアリング」「ローラーベアリング」があることをご紹介しましたが、ベアリングはさらに細かく分類されています。

ベアリングの分類

  • 深溝玉軸受

ベアリングのなかでももっとも一般的なタイプ。摩擦トルクが小さいため、高速回転する部分や低騒音・低振動が要求される用途に向く。

  • アンギュラ玉軸受

転動体と内輪・外輪が接触角で接するタイプ。ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重(スラスト荷重)を負荷することができる。

  • スラスト玉軸受

高速作動時にスラスト荷重を受けるような設計がされているタイプ。空アキアル荷重(スラスト荷重)を受けることはできるが、ラジアル荷重は受けられない。

  • スラストアンギュラ玉軸受

複式で60°の接触角をもち、アキシアル剛性の高いタイプ。スラスト玉軸受によって高速回転ができる。

  • 円すいころ軸受

円すい状のころと軌道輪が線接触をしているタイプ。ラジアル荷重と一方向のアキシアル荷重を負荷でき、接触角が大きいほどアキシアル荷重の負荷能力が増大する。

  • 針状ころ軸受

ころの直径が比較的小さく、長さが直径に比べて長い針状のころを用いたタイプ。省スペースで大きなラジアル負荷が期待できる。

  • 自動調心ころ軸受

球面軌道の「外輪」と複列軌道の「内輪」との間に、たる状のころを組み込んだタイプ。外輪と内輪での傾きのある場合にも使用できる。

  • スラスト円筒ころ軸受

一組の軌道盤の間に「保持器付き円筒ころ」を配したタイプ。一方向のアキシアル荷重だけを負荷できる。

  • スラスト円すいころ軸受

一組の軌道盤の間に「スラスト保持器付き円すいころ」を配したタイプ。一方向のアキシアル荷重だけを負荷できる。

  • スラスト針状ころ軸受

一組の軌道盤の間に「スラスト保持器付き針状ころ」を配したタイプ。一方向のアキシアル荷重だけを負荷でき、軸などを軌道面として使用することで、コンパクトな設計ができる。

  • スラスト自動調心ころ軸受

転動体はたる形のころを用いており、自動調心機能があるタイプ。調心性があることで、取り付け誤差の影響を受けない。

6.ベアリングの製造方法とは?

ベアリングの製造方法は、以下の5つの流れで構成されています。

  1. 鍛造(たんぞう)
  2. 旋削(せんさく)
  3. 熱処理
  4. 研削(けんさく)
  5. 組立

それぞれの工程でおこなわれる作業内容について解説します。

6-1.鍛造(たんぞう)

鍛造は、ベアリングの軌道輪(外輪・内輪)を作成する作業です。筒状の材料を切断して、その材料を高温で熱してプレス機で圧力をかけ、円の形状を生成します。

そのあとは金型を使って輪っかの形状にし、輪っかを伸ばして目的の大きさに変えることで内輪・外輪が完成します。

6-2.旋削(せんさく)

旋削は、ベアリング全体の大まかな形を作る工程です。鍛造を終えた輪っかを旋盤で削って大まかな形を作るほか、ボールの通り道である軌道面も作成します。

6-3.熱処理

旋削で形にしたものを800度以上の温度で熱し、油に入れて冷ますことで、金属の組織を形成する工程です。熱処理を施すことでベアリングを丈夫にし、長持ちさせることができます。

6-4.研削(けんさく)

研削は、マイクロメートル(1,000分の1ミリメートル)という細かい単位で削ることで形を整える工程です。研削盤という機械を使い、外輪や内輪の「幅」「外径」「内径」「溝」などを設計どおりの精度で仕上げます。

ボールが通る軌道面は、ボールの動きを邪魔しないように特に入念に磨かれます。

6-5.組立

外輪と内輪のあいだにボールを入れ、ボールの間隔を均等にした状態で上下から固定する工程です。

7.まとめ

ベアリングは「機械産業のコメ」とも呼ばれており、回転することで働く機械には必ずといって良いほど活用されています。自動車やエアコンなど生活に欠かせない部品に使われていることから、将来的にも安定した需要が見込まれるでしょう。

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