工場の仕事内容
更新日:2023年02月27日

ボイラー技士とは?仕事内容や必要な資格、活躍できる職場などを解説

ボイラー技士とは?仕事内容や必要な資格、活躍できる職場などを解説

※この記事は5分で読めます。

「ボイラー技士ってどんな仕事?」
「ボイラー技士として働くメリットが知りたい」
など、ボイラー技士に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

ボイラー技士はボイラー設備を使って熱を供給したり、設備を監視・調整・検査をおこなったりする仕事で、さまざまな施設で高い需要があります。

今回は、ボイラー技士の概要、メリット、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、ボイラー技士のことがよくわかり、ボイラー技士として働く自分の未来像をイメージできるようになります。

1.ボイラー技士とは

ボイラー技士とは、ボイラーに関する国家資格です。伝熱面積が3平方メートル以上ある「ボイラー」を安全に運転するため、監視や調整、検査業務をおこないます。

1-1.ボイラー技士の仕事内容

ボイラー技士は、建物の給湯や空調などに熱源供給をおこなうボイラー設備を利用して熱を供給したり、設備を監視・調整・検査をおこなったりするのが仕事です。五感や技術を駆使してボイラー設備が正常に動作しているかをチェックし、少しでも異常が見つかれば適切な対処をおこないます。

ボイラーの熱は以下のような施設で使用されており、有資格者の活躍の場所は多数あります。

  • 温浴施設
  • スポーツクラブ
  • 宿泊施設
  • 病院
  • 学校
  • 工場
  • など

1-2.ボイラー技士の資格は3種類

ボイラー技士の資格には、2級・1級・特級の3種類があります。キャリアをイメージするためにも、それぞれの資格内容を把握しておきましょう。

1-2-1.2級ボイラー技士

2級ボイラー技士は3種類のなかでもっとも低い階級ですが、1級以上にステップアップするために取得が必要です。取り扱えるのは一般的な給湯設備や冷暖房器具などをエネルギー源とするボイラーに限定されますが、経験を積める場所は数多くあります。

1-2-2.1級ボイラー技士

「1級ボイラー技士」とは、2級を取得した人が経験を積んで次のレベルに上がるために取得する資格のことです。伝熱面積の合計が「25平方メートル以上500平方メートル未満」のボイラーを取り扱う作業については、特級または1級ボイラー技士免許所持者から「ボイラー取扱作業主任者」を選任することが必要です。

1級ボイラー技士は大規模な工場や事務所・病院などの重要な施設を担当することができます。

1-2-3.特級ボイラー技士

3種類の資格のなかで最上級に位置する資格です。伝熱面積の合計が500平方メートル以上のボイラーを取り扱う作業(貫流ボイラーのみを取り扱う場合を除く)では、特級ボイラー技士免許所持者から「ボイラー取扱作業主任者」を選任する必要があります。

特級ボイラー技士の数は下位資格に比べて少なく、有資格者は貴重な存在です。大企業の工場が主な勤務先となることから給与や待遇も安定しており、ボイラー技士として働くうえでキャリアの一つの大きな目標になるでしょう。

1-3.ボイラー技士とボイラー整備士との違い

ボイラー技士と名前が似た資格に「ボイラー整備士」があります。それぞれの仕事の範囲は以下のように明確に異なります。

ボイラー技士 ボイラーを運転するための資格。条件を満たすことで「ボイラー取扱作業主任者」になることもできる。
ボイラー整備士 ボイラーを整備するための資格。ボイラーや第一種圧力容器を点検・整備をおこなう。

1-4.ボイラー取扱作業主任者の仕事内容

ボイラー取扱作業主任者は、労働安全衛生法で定められた作業主任者の一つです。ボイラー取扱作業主任者に必要な資格は以下のように異なります。

ボイラーの伝熱面積の合計 ボイラー取扱作業主任者の資格
貫流ボイラー以外のボイラー 貫流ボイラーのみ
1. 500平方メートル以上 特級
2. 25平方メートル以上500平方メートル未満 250平方メートル以上 特級一級
3. 25平方メートル未満 250平方メートル未満 特級一級二級

2.ボイラー技士が求められる職場

ボイラー技士の就職先は、工場をはじめとしていくつもの選択肢があります。ここでは、ボイラー技士が求められている主な職場をご紹介します。

なお以下の記事では、関連する仕事として「設備保守」について解説しています。

2-1.ビルの設備管理

ビルの給湯設備や空調管理にはボイラーが欠かせません。ビルの数だけ有資格者の需要もあることになります。実務としては、管理会社が契約するビルへ訪問して点検や修繕をおこなうほか、ビルに常駐して作業することもあります。

2-2.各施設

レジャー施設やホテル、病院、学校などの施設も、ボイラーの管理や点検、修繕のためにボイラー技士が求められています。

例えばホテルでは、大浴場や温水プールなどの熱源としてボイラーを使用しており、日常的にボイラー技士による管理・点検・修繕を受けています。

2-3.工場

工場のボイラーは施設ごとに用途が異なります。食品の製造や、お湯を沸かして発生する蒸気を動力源として機材を稼働させる工場もあります。温水や蒸気の製造、日々の点検や監視業務のために、ボイラー技士は欠かせない存在です。

以下の記事では、関連する業務としてクリーニング工場の仕事について解説しています。

2-4.建設現場

ボイラーを設置する施設を建設する際には、ボイラー技士の立ち会いが必要です。ボイラー技士は依頼された現場へ行き、専門家として設置位置を確認したり、機器の種類をアドバイスしたりするなどの仕事をおこないます。この立会い業務は必須であり、完了しないと工事を進めることができません。

3.ボイラー技士の資格を取るメリット

ボイラー技士は国家資格の一つであり、取得することで転職に大きなメリットがあります。そのメリットについて詳しく見ていきましょう。

なお、以下の記事では転職に有効な資格について解説しています。併せてご覧ください。

3-1.資格手当が貰える

ボイラー技士は必須の資格であるため、資格取得者に対して資格手当を支給する会社が多いようです。資格手当の額は会社ごとに異なりますが、給与アップを目指すなら転職の際に取得を検討してみるのも良いでしょう。

3-2.幅広い需要で就職に有利

ボイラー技士の資格を保有することの大きなメリットとしては、「幅広い需要がある」点が挙げられます。ビルの設備管理やプラント操作のほか、ボイラーは工場やビル、病院、ホテルなど多くの施設で稼働しており、ボイラー技士はそれらの施設ごとに必要な職種です。

ビルメンテナンスの世界では、いわゆる「ビルメン4点セット」とも呼ばれており、ビルの設備管理には欠かせません。したがって、資格取得者は就職や転職を有利に進められるでしょう。

3-3.定年後の再就職に役立つ

ボイラー技士の仕事は危険がともなう場合があるほか、五感や知識が求められます。ただ、体に大きな負担がかかる仕事ではありません。ベテランでも仕事がしやすいといわれており、定年後の再就職先としても候補になるでしょう。

4.ボイラー技士の資格取得方法

ボイラー技士の資格は2級・1級・特級に分かれており、それぞれ受験資格や試験内容が異なります。ここでは、各級の取得方法について、受験資格と試験内容、合格率に分けて解説します。

4-1.2級ボイラー技士の資格取得方法

2級の試験時間は「13:30~16:30」の計3時間で、試験科目と出題内容は以下のとおりです。

4-1-1.受験資格

受験資格はなく、誰でも受験が可能です。ただし、本人確認証明書の提出が求められます。

4-1-2.試験内容

試験科目 出題数(配点) 試験時間
ボイラーの構造に関する知識 10問(100点) 13:30~16:30
3時間
ボイラーの取扱いに関する知識 10問(100点)
燃料及び燃焼に関する知識 10問(100点)
関係法令 10問(100点)

5肢択一式のマークシート方式です。すべての科目で4問以上、かつ合計24問以上の正解で合格となります。

4-1-3.合格率

令和3年度の試験では、受験者2万4,260人に対して1万2,953人が合格しました。合格率は53.4%です。

4-2.1級ボイラー技士の資格取得方法

1級の試験時間は「12:30~16:30」の計4時間で、試験科目と出題内容は以下のとおりです。

4-2-1.受験資格

2級の免許を取得していることなど

4-2-2.試験内容

試験科目 出題数(配点) 試験時間
ボイラーの構造に関する知識 10問(100点) 12:30~16:30
4時間
ボイラーの取扱いに関する知識 10問(100点)
燃料及び燃焼に関する知識 10問(100点)
関係法令 10問(100点)

4-2-3.合格率

令和3年度の試験では受験者4,325人に対して2,098人が合格しました。合格率は48.5%です。

4-3.特級ボイラー技士の資格取得方法

特級の試験時間は、各科目1時間ずつの計4時間で、試験科目と出題内容は以下のとおりです。

4-3-1.受験資格

1級の免許を取得していることなど

4-3-2.試験内容

試験科目 出題数(配点) 試験時間
ボイラーの構造に関する知識 6問(100点) 10:00~11:00 各科目1時間
計4時間
ボイラーの取扱いに関する知識 6問(100点) 11:30~12:30
燃料及び燃焼に関する知識 6問(100点) 13:40~14:40
関係法令 6問(100点) 15:10~16:10

4-3-3.合格率

令和3年度の試験では、受験者466人に対して98人が合格しました。合格率は21%です。

4-4.免許申請に必要な証明書

ボイラー技士の免許は、試験に合格するだけでなく、免許申請をして初めて交付されます。免許申請に必要な書類は以下のとおりです。

  • 免許試験合格通知書
  • 免許申請書
  • 写真(縦30mm×横24mm)
  • 実技講習修了証(2級のみ)
  • 実務経験従事証明書(1級・特級)
  • 収入印紙
  • 免許証用返信用封筒
  • 返信用切手

「免許試験合格通知書」は、試験に合格した人に送付される書類です。免許申請書は都道府県の労働局や労働基準監督署で受け取るか、厚生労働省のホームページからダウンロードするかのいずれかで入手できます。

2級は受験資格が定められていませんが、免許を交付する条件として「20時間の実技講習」を修了して修了証を添付する必要があります。

1級と特級の場合、申請には「実務経験従事証明書」の添付が必要です。1級と特級の免許申請で必要な実務経験の内容は次のとおりです。

1級 2級取得後にボイラーの取り扱い業務を2年以上
もしくはボイラー取扱作業主任者の経験が1年以上
特級 1級取得後にボイラーの取り扱い業務を5年以上
もしくはボイラー取扱作業主任者の経験が3年以上

5.ボイラー技士に向いている人

どのような仕事でも、人によって向き・不向きがあります。ここではボイラー技士に向いている人の特徴をご紹介します。

なお以下の記事では、自分に合った仕事の探し方について解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

5-1.注意深く、正確に作業できる人

ボイラーは火気・高温ガスを使用してエネルギーを生み出すため、ずさんな管理や修繕では大きな事故を起こしてしまいます。

定期的なメンテナンスでも見落としは禁物です。そのため、日々の仕事を注意深く進められる人が向いているといえるでしょう。

5-2.丁寧なコミュニケーションができる人

ボイラー技士は自分だけで完結する仕事ではありません。上司や同僚、担当する施設の担当者や協力会社などとも密にコミュニケーションを取りながら仕事を進めることが求められます。

したがって、「人とのコミュニケーションが苦にならない人」「報告や連絡、相談を密におこなえる人」に向いているでしょう。営業経験などもボイラー技士の実務に活かすことができます。

6.まとめ

ボイラー技士は、ビルや工場、学校、病院など、ボイラーを扱うさまざまな施設で需要がある仕事です。手に職がついて働き方の選択肢が大きく広がるメリットがあるため、早めに志すことで仕事に困るリスクは少なくなるでしょう。

特級ボイラー技士の取得までには長い時間が必要ですが、興味があれば前向きに検討してみてはいかがでしょうか?

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