パート・アルバイトの悩み
更新日:2023年12月18日

103万の壁とは?扶養内で働くメリットや注意点、仕事例を紹介

103万の壁とは?扶養内で働くメリットや注意点、仕事例を紹介

※この記事は6分30秒で読めます。

「103万の壁って何?」
「年収103万円以内で働くメリットを知りたい」
など、103万の壁という言葉に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

103万の壁は所得税を負担せずに働ける年収のボーダーラインのことで、年収を103万円までにすることで所得税や社会保険料を負担せずに働くことができます。

今回は、103万の壁の概要、壁を超えるとどうなるのか、103万以外の壁の内容、年収を103万円以内に抑えることのメリットなどを解説します。この記事を読めば103万の壁のことがよくわかり、自分に合った働き方ができるようになります。

1.103万の壁とは?

103万の壁とは、それ以上働くと税金がかかってくることを表す言葉です。103万円のラインを超えると自分が働いて得たパート代やアルバイト代に所得税が課税され始めます。

また、学生やフリーターで家族の扶養に入っている方の場合、年収103万円を超えることで扶養から外れます。それまで扶養していた親などの所得税や住民税が増えるラインとしても覚えておく必要があります。

なお、103万円には原則として交通費・通勤手当は含まれません。

2.年収が103万円を超えるとどうなる?

年収が103万円を超えると、ほかに所得控除など収入から差し引けるものがなければ、所得税を負担することになります。

また、パート・アルバイトをしている方が配偶者の扶養に入っている場合、年収103万円を超えることで配偶者の収入にも影響するので注意が必要です。

パート・アルバイトをしている方が配偶者の扶養に入っている場合、扶養者である配偶者は配偶者控除(あるいは配偶者特別控除)が受けられます。

年収103万円を超えると配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わり、年収150万円を超えると配偶者の所得税が段階的に増えていきます。

また、所得を得ている本人が親の扶養家族なら、扶養控除の対象となって親(扶養者)が所得控除を受けられますが、年収が103万円を超えると親側は扶養控除が受けられません。

3.103万の壁以外にも壁がある

昔からよく意識される103万の壁ですが、それ以外にもさまざまな収入の壁があります。それぞれ内容が異なるので、この機会にどのような壁があるか把握しておきましょう。

3-1.100万の壁

100万の壁は、住民税が発生するボーダーラインを示す言葉です。パートやアルバイトの収入がある場合、一般的には年収100万円を超えると住民税がかかります。

ただし、自治体によっては住民税がかかる年収基準額が異なります。住民税が発生しない働き方をするなら、住民税がかかり始める年収額がいくらなのか、働く前に自治体に確認しましょう。

3-2.106万の壁

106万の壁は、社会保険料をかけずに働けるボーダーラインの一つです。パート・アルバイトなどの場合、以下の要件に該当すると、社会保険加入の対象となって社会保険料を納めることになります。

  • 従業員数101人以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8万8千円以上
  • 2ヵ月を超える雇用の見込みがある(フルタイムで働く方と同様)
  • 学生ではない

上記の8万8千円に12をかけた105万6千円が正確な値ですが、一般的には106万の壁として周知されています。

月額8万8千円以上かどうかの判定は、通勤手当や残業代などを含めない金額で判断されることを併せて覚えておきましょう。

3-3.130万の壁

130万円の壁は、社会保険に関するボーダーラインの一つです。年収130万円以上になると家族の扶養から外れ、自分で社会保険に加入する必要があります。

130万円を超えたあとに得られる収入は、給与の総額から社会保険料などを差し引いた金額となります。

月々の収入が10万8,333円までなら年収130万円未満に収まるため、社会保険料を意識して働くならこの月収が目安になるでしょう。

3-4.150万の壁

150万円の壁は税金に関するボーダーラインの一つです。税金を計算する際の配偶者特別控除の控除額が段階的に減り始めることで、税負担が大きくなります。

パート・アルバイトをしている本人の年収が103万円を超えると配偶者控除から配偶者特別控除に切り替わりますが、150万円以下なら配偶者控除と同様、所得税38万円、住民税33万円の控除が受けられます。

一方、年収が150万円を超えると、扶養者の控除が段階的に減少していく仕組みです。

3-5.201万の壁

201万の壁は、税金を計算する際に使う配偶者特別控除による控除がなくなる壁です。

パート・アルバイトをしている本人の配偶者が配偶者特別控除を受けられないことで税負担が増すことになります。

4.103万円以内で働くメリット

年収を103万円以内に抑えて働くことには以下のようなメリットがあります。

4-1.所得税が発生しない

年収103万円以下なら、税金のうち所得税が発生しないメリットがあります。103万円というのは、所得税を算出する際に給与所得者の所得控除額(基礎控除+給与所得控除)をすべて足した金額です。

基礎控除は、合計所得金額が2,400万円以下であれば48万円になります。

一方、給与所得控除は、給与所得者が給与額に応じて給与収入から差し引ける控除のことです。これらを合わせると103万円になり、この範囲内の収入なら非課税です。

年収が103万円を超え、収入を103万円以下まで差し引ける所得控除を受けられない場合は、超えた分に対して所得税がかかることになります。

4-2.年金保険料の納付義務がない

厚生年金や健康保険などの社会保険料の納付が義務づけられるのは、年収106万円の壁を超えたあとです。年収103万円未満であれば、社会保険料を納付せずに多くの金額を受け取ることができます。

仮に年収108万円とすると月収は9万円になります。健康保険・厚生年金保険の保険料額表によれば、健康保険料は4,400円(介護保険の第2号被保険者に該当しない場合)、厚生年金保険料は8,052円になります。

社会保険料を負担するとなると、1年で約15万円の負担増になると覚えておきましょう。

4-3.配偶者の税金を抑えられる

パート・アルバイトで働く方が年収103万円以下に収入を抑えることで、配偶者の税負担を抑えられる点もメリットです。

パートで働く妻の給与収入が103万円以下、妻を扶養している夫の給与収入が1,095万円以下という条件を満たすことで、扶養者の夫は満額38万円の配偶者控除が受けられます。

5.103万以内で働ける仕事の例

年収103万円以下で働くなら、正社員や契約社員ではなく、シフトで年間の勤務時間を操作できるパート・アルバイトが向いています。ここでは、年収103万円以内で働ける仕事の例として5つをご紹介します。

5-1.軽作業バイト

軽作業とは、工場や運送業者の倉庫などで商品の仕分けや梱包、検品などを担当する仕事のことです。工場や倉庫のほか、イベント設営なども軽作業に含まれることがあります。

幅広い仕事を任されることがありますが、工場などでアルバイトをするなら労働時間は安定しています。シフト制勤務でも融通が利きやすく短期での募集もあることから、年収を103万円に抑えられる可能性があり、働きやすいでしょう。

以下の記事では軽作業について詳しく解説しています。

5-2.事務員

一般企業や工場の経理課などで事務員として働く仕事です。事務員といってもパート・アルバイトの場合は正社員のアシスタントという立場であり、出勤日数や勤務時間は短く抑えやすい傾向にあります。

業務範囲は企業ごとに異なりますが、データ入力、来客対応、書類作成などデスクワークが中心になるでしょう。

ただし、決算棚卸しなどの繁忙期は労働時間が長くなる傾向にあるため、年収の壁を超えないようシフト調整が必要になる場合もあります。

以下の記事では、工場における事務の仕事について詳しく解説しています。

5-3.清掃員

清掃員は、オフィスやホテル、ショッピングセンターなどのトイレやフロアを清掃する仕事を担うスタッフです。業務内容が大きく変わりにくく、比較的短時間で仕事が終わることから、時間を調整しやすい特徴があります。

深夜や早朝など出勤時間を選べる場合もあり、生活スタイルに合わせた働き方ができる点もメリットとなります。働く場所は清掃業者ごとに多様ですが、比較的募集が多いのは以下のような現場です。

  • オフィス
  • ホテル
  • パチンコ店
  • 病院
  • 介護施設
  • 公共交通機関の駅
  • 介護施設
  • 研究機関 など

以下の記事では、清掃の仕事について詳しく解説しています。

5-4.コンビニバイト

コンビニは全国各地で求人があり、それぞれ募集している時間帯が異なります。

希望する勤務時間に合わせて働く職場が選べるため、年収103万円以内に抑えるのに向いています。仕事内容は、レジ、品出し、清掃、商品の陳列など多岐にわたります。

5-5.飲食店スタッフ

飲食店のアルバイトは、注文受付や配膳をおこなうホールと調理や洗い物をおこなうキッチンに大きく分かれます。お昼や夕方など忙しい時間が決まっていることから、労働時間が比較的短い傾向にあります。

また、店舗によっては社員やアルバイトの人数が多くシフトの調整がしやすいため、年収103万円以内に抑える働き方に向いています。

6.103万円以内で働く際の注意点

年収を103万円以内に抑えると、所得税を負担する必要がなく、働いた分のほとんどを手取りとして受け取ることが可能です。ただし、103万円を意識する場合は以下のような注意点があることも覚えておきましょう。

6-1.仕事が見つかりにくい可能性がある

企業がアルバイトの求人を出す場合、短時間でも働けることをアピールすることが多いですが、一方で1日6~8時間など長時間働ける人材を探している場合もあります。

しかし、年収を103万円に抑えることを意識すると、長時間働く求人には応募できません。選べる仕事の幅が狭くなってしまい、希望する条件の仕事に巡り合えなくなる可能性もあります。

「年収103万円以下に収めたい」などの希望条件にマッチする仕事を探すなら、プロのアドバイザーに相談できるサービスを活用するとスムーズに見つけられます。

JOBPALでは、面談を通じて希望の条件に合ったパート・アルバイト求人をご紹介しています。年収以外の条件も気軽に相談できるため、仕事探しでお困りの方はJOBPALの面談に応募してみましょう。

6-2.年金受給額が少ない可能性がある

厚生年金保険料を納める方は原則65歳から、老齢基礎年金に加えて保険料を納めてきた分の老齢厚生年金を受け取ることもできます。

年収103万円以下で働き続ければ厚生年金保険料の負担はないので手取りは多くなりますが、将来的に受け取れる年金額が少なくなります。

老後の生活をイメージして、老齢基礎年金だけで生活に不自由しないのか、配偶者とも話し合って慎重に考えましょう。

7.103万の壁に関するQ&A

最後に、年収103万の壁に関してよくある質問と回答をQ&A形式でまとめました。

7-1.交通費は103万円に含まれますか?

交通費は原則として所得には含まれません。非課税となる通勤手当などの金額を除いた総支給額を年収計算に利用します。

ただし、1ヵ月あたりの交通費が非課税限度額(交通機関を利用している場合は15万円)を超えると課税対象となるので注意が必要です。

7-2.夫が会社で配偶者手当をもらっていますが、今年の妻の収入が103万円を超えてしまいました。この場合どうなりますか?

配偶者手当は法的義務のある制度ではなく、会社によって支給条件や支給額が異なりますが、一般的には妻の年収が103万円を超えると支給されなくなります。

配偶者手当の呼び方は、企業によって家族手当、扶養手当などさまざまです。

8.まとめ

年収103万円の壁を意識して働くことで所得税や社会保険料の負担が必要なくなり、多くの手取り金額が手元に残ることになります。

ただし、社会保険料の負担をしないことで将来の年金受給額が少なくなるため、本当に社会保険料を負担しない働き方で良いのかは配偶者ともよく相談しましょう。

また、年収を抑えると選べる仕事が減るため、1人で探しても見つからないこともあります。年収を103万円以下までに抑えたいのに仕事が見つからない方は、JOBPALの面談に応募して相談してみることをおすすめします。

関連記事

閉じる

エリアから工場・製造業の
お仕事・派遣情報を探す

STEP1 エリアを選択

  • 北海道・東北
  • 関東
  • 甲信越・北陸
  • 東海
  • 関西
  • 中国
  • 四国
  • 九州・沖縄

< エリア選択に戻る

閉じる
© 2022 UT Group Co., Ltd. All Rights Reserved.