フォークリフトの運転に必要な資格とは?資格取得のメリットや方法、流れを解説
この記事で分かること
- フォークリフトの資格は、リフトの最大積載量によって「技能講習」と「特別教育」の2種類に分かれている
- 資格の取得には学科と実技を受講する必要があり、取得日数の目安は技能講習が4日、特別教育が2日
- 技能講習は学科と実技の試験に合格する必要があるが、合格率の目安は90%以上であり、難易度は低い
- フォークリフトの資格を取得することで、製造業や小売業、運送業など幅広い業種で働ける可能性がある
- フォークリフトの資格取得支援を実施している企業では、入社後に会社負担で資格を取得できる
※この記事は6分30秒で読めます。
「フォークリフトの資格の種類は?」
「フォークリフトの資格の取り方を知りたい」
など、フォークリフトの資格に関して疑問を持つ方もいるでしょう。
フォークリフトの資格は、運転できるリフトの最大積載荷重によって「フォークリフト技能講習」と「フォークリフト特別教育」の2種類に分かれています。
今回は、フォークリフトの資格の種類や取得方法、更新の必要性、資格を取得するメリットなどを解説します。この記事を読めば、フォークリフトの資格についてよくわかり、取得を目指す際の参考にできます。
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1.フォークリフトの運転に必要な資格は2種類
フォークリフトを運転するには「フォークリフト運転技能講習」、あるいは「フォークリフト運転特別教育」の資格が必要です。
それぞれの資格ごとに、運転できるフォークリフトの最大積載荷重が以下のように異なります。
なお、フォークリフト技能講習はフォークリフト特別教育の上位資格にあたるため、資格取得後は最大積載荷重1トン未満のフォークリフトの運転も可能です。
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参照:厚生労働省「フオークリフト運転技能講習規程」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74142000
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参照:一般社団法人労働技能講習協会「フォークリフト運転特別教育(学科教育)」
https://www.rougi.or.jp/course/whole/tokubetu_foku
2.フォークリフトの資格取得の方法
ここでは、フォークリフトの資格の受験資格や受講内容、取得日数、取得費用などを解説します。
2-1.フォークリフト技能講習
フォークリフト技能講習の資格取得に関する基本的な情報は、以下のとおりです。
受験資格 | 18歳以上 |
---|---|
受講時間 | 学科:11時間(普通自動車以上の免許保有者は7時間) 実技:24時間 |
取得日数の目安 (31時間コース) |
4日 |
合格率の目安 | 未公表 |
取得費用の目安 (31時間コース) |
3万5千円〜5万円 |
フォークリフト技能講習は、18歳以上の方であれば申し込み可能で、学科11時間、実技24時間の合計35時間の受講が必要です。
1日目に受講する学科では、以下の講習科目を学び、その日の最後に学科試験を受けます。
- 走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識
- 荷役に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識
- 運転に必要な力学に関する知識
- 関係法令
2日目以降に実施する実技では、実際にフォークリフトを運転し、「走行の操作」と「荷役(にやく)の操作」を習得します。最終日に最終試験を受けて合格すると、資格の取得が認められるという流れです。
必要な講習時間は、取得している免許やフォークリフトの実務経験によって異なります。
例えば、普通自動車以上の免許を保有している方は、学科の「走行に関する装置の構造および取扱いの方法に関する知識」が免除されるため、合計受講時間は31時間です。
大型自動車免許の取得者や、フォークリフトの運転業務に従事した経験がある方などは、学科だけでなく、実技の「走行の操作」が免除される場合もあるため、資格の受講時間は最短で11時間です。
正規の合格率は公表されていませんが、受験者の大半が合格するといわれることも多く、比較的取得しやすい資格といえるでしょう。
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参照:厚生労働省「フオークリフト運転技能講習規程」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74142000
2-2.フォークリフト特別教育
フォークリフト特別教育の資格取得に関する基本的な情報は、以下のとおりです。
受験資格 | 18歳以上 |
---|---|
受講時間 | 学科:6時間実技:6時間 |
取得日数の目安 | 2日 |
合格率の目安 | 修了試験は実施せず |
取得費用の目安 (普通自動車免許取得者) |
1万7千円〜1万9千円 |
フォークリフト特別教育の受験資格は、フォークリフト技能講習と同様に18歳以上の年齢制限のみです。
資格の取得には、学科6時間、実技6時間の合計12時間の講習を受けることが義務付けられています。学ぶ内容はフォークリフト技能講習とほとんど同じですが、学科・実技のどちらも修了試験はありません。
1日目に学科を、2日目に実技を受講することが一般的で、2日あれば資格を取得できます。
また、特別教育を実施している機関によっては、学科のみをWeb講座で提供しているところもあります。ただし、こちらを受講するだけではフォークリフトの資格は取得できず、別で実技講習を受けなければなりません。
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参照:厚生労働省「安全衛生特別教育規程」
https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=74085000
3.資格取得をするまでの流れ
ここでは、フォークリフトの資格取得までの流れを解説します。資格取得までの手順は、以下の4つに分けられます。
- 受講を予約・申し込む
- 学科講習と試験を受ける
- 実技講習と試験を受ける
- 修了証の交付を受ける
それぞれの内容を詳しく確認しましょう。
3-1.受講を予約・申し込む
全国にある講習機関から希望する受講場所を選び、Webサイトや電話などで受講予約をおこないます。
申込書が届いたら必要事項を記入し、提出しましょう。また、指定の期日までに必ず費用の入金を終えるよう注意してください。
3-2.学科講習と試験を受ける
指定された会場で学科講習を受けます。フォークリフト技能講習の場合は学科講習後に修了試験を受ける必要がありますが、試験の難易度は決して高くないので、講習の内容を聞いておけば対応できるでしょう。
3-3.実技講習と試験を受ける
学科講習のあとは、実技講習を受講します。フォークリフト技能講習の場合は、実技講習後に操作テストを受けなければなりません。講習場所によっては失格の規定を設けていることもあり、実技講習は非常に重視されています。
3-4.修了証の交付を受ける
修了試験の合格後、約1〜2週間で修了証が発行されます。フォークリフトを運転する際には常時修了証の携帯が求められます。万が一紛失した場合は、再交付の手続きが必要なので、注意しましょう。
4.フォークリフトの資格は更新が必要?
フォークリフトの資格は、一度取得すれば更新は不要です。ただし「フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育」というフォークリフトを安全に扱うための講習が実施されているため、5年に一度を目安に受講するのが望ましいです。
申し込み手続きは各事業所で受け付けているので、最新のフォークリフトの取り扱いや保守に関する知識を学ぶためにも、特別な理由がない限りは受講するようにしましょう。
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参照:一般社団法人労働技能講習協会「フォークリフト運転業務従事者安全衛生教育(再教育)」
https://www.rougi.or.jp/course/whole/tokubetu_fokuanzen
5.フォークリフトの資格を取得するメリット7つ
ここでは、フォークリフトの資格を取得するメリットを紹介します。主なメリットは以下の7つです。
- 幅広い仕事で役立てられる
- 男女問わず活躍できる
- 得意を活かせる
- 未経験でも資格があれば採用の可能性がある
- 資格手当がつく可能性がある
- 教育訓練給付金制度が利用できる
- 企業が資格取得の費用を負担してくれることもある
それぞれの内容を詳しく解説します。
5-1.幅広い仕事で役立てられる
フォークリフトは工場や倉庫で利用頻度が高く、製造業や小売業、運送業など幅広い業種で需要があります。建設現場への資材搬入や工場での材料運搬、倉庫での仕分け作業など、業務内容も多種多様です。
さまざまな現場で重宝される人材として活躍できる点は、フォークリフトの資格を取得する大きなメリットといえるでしょう。
以下では、各現場でのフォークリフトの具体的な用途について紹介します。
5-1-1.工場
工場では、製造された商品をトラックに積み込む作業や、製造に使う材料をトラックから降ろす作業を、フォークリフトを使っておこないます。
自動車工場であれば、モーターや発電機部品など、さまざまなパーツを運搬します。また、職場によっては、倉庫内で資材や在庫の整理整頓や、製造作業の補助を任せられる場合もあるでしょう。
また、以下の記事では工場の仕事内容を職種・業種別に紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
5-1-2.建設・解体現場
建設現場では、建設資材の受入や保管、現場への運搬でフォークリフトが活躍しています。フォークリフトは、住宅に使用する木材や壁材などを迅速に運べるため、作業の効率化に有効です。
解体現場では、解体作業で出た産業廃棄物を運搬するためにフォークリフトが使用されています。具体的には、コンクリートや鉄、木材などの廃材を運搬します。
建設・解体現場で使用するフォークリフトは、公道を走る場合もあるため、業務内容によっては小型特殊免許や大型特殊免許が必要となることもあるでしょう。
5-1-3.物流倉庫
物流倉庫では、荷物を効率的に運搬するためにフォークリフトを使用しています。主な作業は、フォークリフトで出荷する荷物を運搬してトラックに乗せることや、届いた荷物を倉庫内に保管することです。
また、フォークリフト運転手は、指示書で指定された商品を集めるピッキング作業や、検品作業を担当する場合もあります。
物流倉庫の仕事内容についてより詳しく知りたい場合は、以下の記事をご覧ください。
5-1-4.産業廃棄物処理場
産業廃棄物処理場では、人力では動かせない大きさや重さの産業廃棄物を扱うことが多いため、作業にフォークリフトを使用します。
燃え殻や廃プラスチック、金属くず、木くずなど、事業所から排出されたさまざまな産業廃棄物の搬入作業や移動をおこないます。
5-2.男女問わず活躍できる
フォークリフトの資格を取得することで、男女問わず活躍できる仕事に従事できる可能性が高まります。
荷物の運搬業は力仕事のイメージが強いため、なかには「フォークリフト運転手=男性の仕事」という印象を持つ方もいるかもしれません。
しかし、フォークリフトを使った作業であれば手作業で重い荷物を運ぶことはないため、女性でも資格を取得すれば活躍できます。
以前はフォークリフト運転手のほとんどが男性でしたが、最近では女性の就業者も増加傾向にあります。
5-3.得意を活かせる
フォークリフト運転手は、業務中のほとんどの時間をリフトに乗って過ごすため、運転が好きな方や得意な方は、自身の運転技術を仕事に活かせます。
自身の得意分野を仕事に活かすことで、楽しさとやりがいを見出しながら、効率的に操作技術を向上させられるでしょう。
このような点から、運転が好きな方にとって、フォークリフトの資格を取得することには非常に大きなメリットがあるといえます。
5-4.未経験でも資格があれば採用の可能性がある
フォークリフトの資格を保有していれば、業務未経験でも採用される確率が高くなります。なぜなら、フォークリフト運転手はさまざまな現場で慢性的な人手不足状態にあり、常に一定の需要があるのです。
フォークリフトの資格を保有していることで求人に応募しやすくなり、入社できる企業の選択肢を広げられる点は、資格を取得する大きなメリットといえます。
5-5.資格手当がつく可能性がある
フォークリフト運転手を必要としている企業では、フォークリフト資格保有者に手当を支給する場合があります。資格手当により年収アップが見込める点は、フォークリフトの資格を取得するメリットです。
また、年収が上がることで仕事のモチベーションアップも期待できるでしょう。
5-6.教育訓練給付金制度が利用できる
フォークリフトの資格取得のメリットを紹介するうえで、「教育訓練給付金制度」が利用できるという解説は外せません。
「教育訓練給付制度」とは、厚生労働大臣が指定した教育訓練を修了した方に受講費用の一部を支給する、国が定めた制度です。フォークリフト運転技能講習は、「教育訓練給付制度」の対象となっています。
給付金の対象となる教育訓練は、その内容に応じて以下の3つに分類されます。
- 専門実践教育訓…主に労働者の中長期的キャリア形成に関する教育訓練が対象
- 特定一般教育訓練…主に労働者の速やかな再就職・早期のキャリア形成に関する教育訓練が対象
- 一般教育訓練…その他の雇用の安定・就職の促進に関する教育訓練が対象
フォークリフト技能講習は「一般教育訓練給付」に該当する場合が多く、受講費用の20%(上限10万円)が支給されることが一般的です。
例外として、一部の教育訓練施設で提供されている「特定一般教育訓練給付」に該当する講習を受けた場合は、受講費用の50%(上限25万円)が支給されることもあります。
ただし、教育訓練給付制度は、すべての方が対象となるわけではありません。在職中か離職中、または過去の教育訓練給付制度の利用の有無によって、以下のように利用条件が定められています。
在職者 | 離職者(離職から1年以内) | |
---|---|---|
教育訓練給付制度の利用なし | 雇用保険の加入期間が1年以上ある方※ | 雇用保険の加入期間が1年以上ある方※ |
教育訓練給付制度の利用あり | 雇用保険に加入しており、以下の2つの条件に当てはまる方 ・前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上ある ・前回の支給日から今回の受講開始日までに3年以上経過している |
以下の2つの条件に当てはまる方・前回の受講開始日以降、雇用保険の加入期間が3年以上ある ・前回の支給日から今回の受講開始日までに3年以上経過している |
※専門実践教育訓練を受講する場合は2年以上
このように、教育訓練給付制度で受講費用の一部を受け取れるため、給付対象に該当する方は、ぜひ積極的にこの制度を利用しましょう。
-
参照:厚生労働省「教育訓練給付制度」
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/jinzaikaihatsu/kyouiku.html
5-7.企業が資格取得の費用を負担してくれることもある
フォークリフト運転手を募集している企業のなかには、フォークリフトの資格取得費用を負担しているところもあり、これはフォークリフトの資格取得に関する大きなメリットといえるでしょう。
資格の取得費用を負担している企業は、募集要項に「資格取得支援あり」などと記載していることが多いため、応募前に求人情報をよく確認しておくことが大切です。
求人情報からフォークリフトの資格取得支援の有無を把握できない場合は、応募時に企業に直接確認することをおすすめします。
6.まとめ
フォークリフトの資格は、運転可能なリフトの最大積載荷重によって「フォークリフト技能講習」と「フォークリフト特別教育」の2つに分かれています。技能講習は4日程度、特別教育は2日程度で取得できるため、比較的挑戦しやすい資格といえます。
また、フォークリフト運転手は工場や物流倉庫、建設現場など、さまざまな現場で常に一定の需要がある仕事です。
そのため、フォークリフトの資格を取得することで、就職・転職時に採用の可能性が高まり、入社後も貴重な人材として重宝される可能性が高いでしょう。
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