電話対応の手順とは?対応時のマナーやポイントを徹底解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「電話対応が上手にできない……」
「電話対応の品質を上げるポイントを知りたい」
など、電話対応に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
電話対応は多くの新入社員が苦手にする仕事ですが、コツやポイントを理解することで誰でも上達します。
今回は、電話対応の概要、具体的な流れ、上達のポイントなどを解説します。この記事を読めば電話対応のことがよくわかり、上達の方法を実践できるようになります。
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1.電話対応の準備と意識すべきポイント
電話対応は会社の印象を決めるうえで重要な要素であり、顧客からの評価にも影響します。
良い電話対応をするには、好印象を与えるためのポイントを押さえつつ、しっかりと事前準備をしておくことが欠かせません。まずは、電話対応に必要な準備とポイントについて解説します。
1-1.手元に筆記具とメモ帳を用意する
電話に慣れないうちは話すことだけに神経を集中させてしまい、受けた内容を失念してしまうことがよくあります。内容を正確に記録するためにも、メモと筆記具は必ず手元に用意しましょう。いつ電話がかかってきてもメモがとれるように、事前に準備しておくのが仕事の基本姿勢です。
使う筆記具は、インクがしっかり出るかどうかも確認しておきます。せっかくメモしようとしてもインクがなければメモできず、新しいペンを探しているうちに話がどんどん進んでしまいます。
1-2.対応は明るい声とで笑顔を心がける
電話対応では、意識して明るい声を出すように心がけましょう。お互いの顔が見えない電話は、話し方や声色が印象を大きく左右します。地声では暗い印象を相手に与える可能性もあるので、地声より1オクターブ高い声をイメージして、明るい声で電話に出ます。
話す際は早口にならないように気をつけながら、ハキハキと対応します。姿は見えないからといって気を抜かないようにしましょう。笑顔を意識したり、背筋を伸ばして対応したりすることも明るい声を出すコツです。
1-3.ゆっくりと話す
電話に慣れていないと、緊張と焦りから知らず知らずのうちに早口で喋ってしまいがちです。気持ちを落ち着ける意味でも、ゆっくりと話すことを意識します。
「ゆっくり話し過ぎでは?」と思うくらいゆっくり話すほうが、電話の相手にとってはちょうど良いスピードです。
1-4.会社を代表している意識をもつ
電話をかけてきた相手は、電話を取った人が新人なのかベテランなのか、社員なのか派遣なのかといったことは関係なく、先方の会社の一員ととらえます。電話対応の印象が会社の印象につながってしまうため、新入社員であっても失礼がないよう、最大限に丁寧な対応を心がけましょう。
1-5.正しい敬称や敬語を使う
敬称や敬語を正しく使いこなすことも大切です。電話は声のみのコミュニケーションになるため、敬称や敬語の使い方の間違いは相手の印象に強く残ってしまいます。
電話対応に使われる主な敬称や敬語の一例を見てみましょう。
- 自分の会社 ⇒ 当社、弊社
- 相手の会社 ⇒ 御社
- 相手の名前 ⇒ 〇〇様
- 言う ⇒ 仰る
- 見る ⇒ ご覧になる
- 来る ⇒ いらっしゃる、お越しになる
- すいません ⇒ 申し訳ございません
- 知っている ⇒ ご存知、知っていらっしゃる
- 教えてください ⇒ お教えください、ご教示ください
- わかりました ⇒ 承知致しました
- です ⇒ ございます
また、敬語と合わせて、「もしもし」はビジネスでは使わないことも覚えておきましょう。
2.電話対応の基本的な流れ
電話の取り方の基本的な流れや対応のポイントについて解説します。
2-1.電話が鳴ったら3コール以内に出る
電話が鳴ったらすぐに出られるように準備しておきましょう。相手が「待たされた」と感じないよう、一般的には3コール以内に出るのがビジネスマナーとされています。
それ以上鳴らしてしまうと急ぎの用件の際には切られてしまう可能性もあるため、鳴ったらすぐに出ることを意識します。
2-2.会社名と名前を名乗る
受話器を取ったら「お電話ありがとうございます(会社によっては『はい』などもある)。◯◯(社名)の◯◯です。」と明るい声でハキハキと対応します。この際、電話に出るまでにかかった時間であいさつの仕方を変えることも必要です。
3コール以上鳴らしてしまったあとに出る場合は、名乗る前に「お待たせいたしました」と謝罪の気持ちを伝えましょう。
2-3.相手の会社名と名前を確認してメモを取る
先方が名乗る社名と名前をメモしましょう。上司や同僚に取り次ぐ際、情報の漏れがないように確実にメモを取ることをおすすめします。
なお、相手によっては「社名や名前を言わない」「社名が聞き取りにくい」というケースもあります。以下の場合の対応を覚えておきましょう。
- 社名と名前を言わないで用件を話してきたとき
⇒「誠に恐れ入ります。御社名とお名前をお伺いできますでしょうか?」 - 聞き取りにくい社名でメモができなかった場合
⇒「差し支えなければ、もう一度御社名を伺ってもよろしいでしょうか?」 - 名前だけ(もしくは社名だけ)名乗ったとき
⇒「差し支えなければ、お名前(御社名)を伺ってもよろしいでしょうか。」
2-4.電話を保留にして担当者へ取り次ぐ
取り次ぎをする担当者の名前を聞き「おつなぎいたします。少々お待ちください」と伝えていったん保留を押します。取り次ぐ相手が近くの席にいるからといって、通話状態のまま取り次がず、保留にするのがマナーです。
担当者がいない場合は「申し訳ございません。ただいま〇〇は席を外しております」と伝えたうえで、伝言を残すのか折り返し電話するか相手に確認しましょう。
2-5.相手が電話を切った後に受話器を置く
先に受話器を置くのは失礼にあたります。必ず「プー、プー」という音が鳴り、相手が電話を切ったことが確認できてから受話器を置いてください。
2-6.担当者宛に伝言メモを残す
担当者が不在で取り次ぎができなかった場合、担当者のデスクに伝言メモを残します。メモに残す内容は箇条書きで以下の情報を書くとわかりやすいです。
- 電話があった日、時間
- 相手の社名、名前
- 連絡先
- 用件
- 折り返しの要・不要
- 電話を受けた人の名前(自分の名前)
3.電話対応で覚えておきたいクッション言葉
電話対応が上手な人の場合、「クッション言葉」を上手に使って会話の「間」を取っています。電話対応の際に利用したいクッション言葉について、ここで覚えておきましょう。
3-1.クッション言葉とは
クッション言葉とは、角を立てずに会話をしたいときに役立つ言葉のことです。そのまま伝えるときつくなったり、相手に不快感を与えたりする恐れがあるときに、前置きとして添える形で使用します。
結論は同じでもやわらかい内容で伝えられるため、コミュニケーションをスムーズにする効果があります。
3-2.相手に提案するときのクッション言葉
相手から情報を引き出したいときや提案する際に使うクッション言葉をご紹介します。
例)
- 差し支えなければ~
- もしよろしければ~
相手から会社名を聞き出したい場合、「御社名をお願いします」ではキツい印象に聞こえる場合があり、相手に不快感を与えてしまいかねません。クッション言葉を入れて「差し支えなければ、御社名を頂いてもよろしいですか?」と聞くと角が立たず、やわらかい印象の会話になります。
3-3.無理な要求を断るときのクッション言葉
「今すぐ担当者に変わって欲しい」など無理な要求をされたときに、すぐ結論を返答すると悪印象を与えてしまう場合があります。
以下のようなクッション言葉を使うことで、角を立てずに断ることができるようになるでしょう。
例)
- 申し上げにくいのですが~
- 大変恐れ入りますが~
- ご期待に添えず心苦しいのですが~
4.クレーム電話を受けた場合の電話対応
自社が納品した商品に不具合があったり届かなかったりした場合、先方からクレームの電話が入ることがあります。電話で失礼があると二重のクレームに発展する場合があるため、特に丁寧な対応を心がけることが重要です。
4-1.状況の理解に努める
まず、情報を把握する意味でも、相手の主張をすべて聞き出すことに努めましょう。話を遮るように喋ってしまうと、相手は余計に怒ってしまいます。まずは落ち着いて話をしてもらうため、話を伺ってどのような状況なのかを理解します。
聞き漏らしや勘違いで間違った内容を報告しないためにも、話された内容は逐一メモを取ることも忘れないようにしましょう。
4-2.慌ててお詫びをしない
受付として電話を取る立場ならとりあえず謝罪をするということではなく、社内の担当や関係者に電話をつなぐことを優先します。
ただし、電話対応をするうえで相手を怒らせてしまった点があれば、丁寧に謝罪することは必要です。
4-3.誠実に対応し、相手の話に寄り添う
クレーム電話は、相手の心情を理解し誠実に対応することが大切です。お客様が怒っている時に萎縮して何も言えなかったり解決策だけを提示したりすると、逆効果になってしまう場合があります。
「ご不便をかけて申し訳ありません」「貴重なご意見を参考にさせていただきます」といったように、相手に寄り添った言葉遣いを心がけましょう。
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5.こんなときどう対応する?電話対応Q&A
電話対応の経験が少ないと、「こんなときときはどうしたらいい?」などと悩みが尽きないものです。ここではシチュエーション別に、新入社員が疑問に感じやすい点とその回答をご紹介します。
5-1.電話相手に関するQ&A
5-1-1.声が聞き取りづらいときの対応は?
相手の声が小さい、滑舌が良くない、聞き取りにくい場所からかけているなどで名前や用件を聞き取れなかった場合、話が進んでしまう前に早めに聞き直すことが大切です。
「大変申し訳ございません、お電話が遠いようです。今一度、御社名とお名前をいただけませんか?」と伝えて情報を聞き出しましょう。
5-1-2.名前を名乗らないときの対応は?
電話をかけてきた人が名前を名乗らずに本題に入ってくる場合もあります。その場合、まずは「私は◯◯と申します。失礼ですが、御社名とお名前を頂戴できませんか?」と伝えましょう。
5-2.取り次ぎ先に関するQ&A
5-2-1.取り次ぐ相手が不在のときの対応は?
担当者が不在であることをお詫びするとともに、連絡がつく電話番号を確認しメモをとります。
例)
- 担当者が外出中のとき
⇒「大変申し訳ございません。あいにく〇〇は外出しておりまして、15時には帰着予定でございます」 - 担当者が会議中のとき
⇒「大変申し訳ございません。あいにく〇〇は会議中でございまして、15時には終わる予定でございます」 - 担当者が休暇中のとき
⇒「大変申し訳ございません。あいにく〇〇はお休みを頂いております。明日には出社予定でございます」 - 折り返し不要と言われたとき
⇒「承知いたしました。頂いた内容をお伝えいたします。〇〇(自分の名前)が承りました」
相手によっては折り返しが不要で用件の伝言のみの場合もありますが、担当者へのメモ書きにはそのことも記載しておきます。
5-2-2.代わりの人が対応するときの対応は?
担当者が不在の場合は基本的に「折り返し」になりますが、急な案件によっては「他の人でも良いから対応してほしい」と依頼されて別の社員が対処する場合もあります。
まずは先方から用件を聞き出し、担当者の上司など案件に精通した人に電話を代わってもらいましょう。
他に対応できる人が席を外している場合、他部署の案件であっても電話を受けた人ができるところまで対応することが必要です。「申し訳ございません。担当者が不在でして、私で差し支えなければ承ります」と伝えたうえで、可能な限りの対応をするように努めましょう。
5-2-3.名指しの人が異動・退職したときの対応は?
異動や退職時にはお世話になったお客様に挨拶の電話をするのがビジネスマナーですが、何らかの手違いで異動や退職の事実が先方に伝わっておらず、前の担当者が指名されることもあります。
その際は連絡が不十分だったことを詫び、後任の担当者に取り次ぐか、前任者が折り返し連絡すべきかを先方に確認しましょう。前任者が退職して繋げないときはその状況を伝えます。退職理由については、聞かれても「詳しいことはわかりかねます」と答えるまでにとどめておき、後任者の氏名を伝えて取り次ぎます。
5-3.その他のQ&A
5-3-1.間違い電話だったときの対応は?
明らかな間違い電話でも、丁寧な対応を心がけましょう。「こちらは株式会社◯◯と申します。お電話番号をお間違えではないでしょうか」と伝え、相手が間違い電話をしていることを暗に伝えましょう。
相手が納得しないようなら何番にかけているか確認し、そのうえで自社の電話番号を伝えれば納得してもらえます。
5-3-2.会社までの道順を聞かれたときの対応は?
来社予定のお客様が道に迷われ、電話がかかってくることはよくあることです。
まず相手がいる場所を聞き、最適な道を案内します。「◯◯銀行を右折して300メートル」など具体的に、わかりやすい目印となるものがあれば伝えましょう。最後は「気をつけてお越しください」など相手を気遣う言葉を添えるとベターです。
勤務先が自宅から遠いと土地勘がなく案内に困ってしまうこともあるため、会社周辺の地理は新入社員のうちから把握しておくことをおすすめします。
5-3-3.営業電話だったときの対応は?
営業電話のなかには仕事関係を装った電話もあるため、安易に判断せず、用件と連絡先、担当者の名前を聞き、折り返しの電話をかけることを伝えます。
取引先なのかそうでないのかは判断しにくいため、一度折り返すことで精査するのがベターです。ただし、社長や取締役などの重役にはひんぱんに営業電話がかかってくるため、担当者レベルでシャットアウトするように教育を受ける会社も少なくありません。
6.電話対応の苦手意識を克服する方法
電話対応に対して苦手意識を持つ人は多くいます。苦手を克服するための心構えや方法を解説します。
6-1.最初から完璧を目指さない
初めて電話対応をするときは緊張してしまうだけでなく、周囲が慣れた様子で対応しているのを見て焦ってしまう人もいるでしょう。
「早く自分も完璧にできるようにならないと!」と焦ってしまうと、ますます緊張して上手に話せなくなってしまうかもしれません。いきなり完璧にこなそうとせず、失敗しても次に活かそうという気持ちで臨みましょう。
6-2.明るく対応して印象をよくする
敬語がうまく使えなかったり、何度も相手に名前を聞いてしまったりするなど、多少対応にまごついても、明るくコミュニケーションを取れば悪い印象にはなりづらいでしょう。
失敗しても、最後まで笑顔で丁寧に対応しましょう。逆に、敬語や聞き取りが完璧でも電話の向こうから笑顔が見えない冷たい対応では、お客様からの印象は良くなりません。
6-3.電話対応の経験を重ねる
電話対応を上達させるには、回数をこなして慣れることが一番です。過去の失敗にとらわれず、経験を重ねて少しずつ慣れていけば自然と上達していくでしょう。
電話が鳴ったら自分が1番に出られるように、メモ帳や筆記用具の準備は朝のうちに済ませておきましょう。
6-4.電話対応は慣れるのが一番
苦手意識をもつ人が多い電話対応。ここまで解説した流れと例文を暗記しておけば、回を重ねていくことで自然に慣れてくるはずです。怖がらず、積極的に電話に出て実践すれば、どんどん自信がついてきます。
7.まとめ
電話対応はお客様と会社をつなぐ最初の場面であり、対応の仕方によってお客様からの評価が変わることもあるほど重要な部分です。緊張して上手に話せなくなってしまう新入社員も少なくありませんが、流れやコツがわかれば誰でも上達することができます。
今回ご紹介した上達のポイントを参考に、怖がらずにどんどん電話に出て経験を積みましょう。
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