正社員勤務の悩み
更新日:2026年04月16日

ワーキングプアとは?増えている原因や職業例、脱出する方法を解説

ワーキングプアとは?増えている原因や職業例、脱出する方法を解説

この記事で分かること

  • ワーキングプアとは働いているにも関わらず生活が困窮している貧困世帯のこと
  • ワーキングプアには高学歴ワーキングプア、中高年ワーキングプア、官製ワーキングプアなどの種類がある
  • ワーキングプア増加の原因には賃金水準の低下、物価高、働き方の多様化などがある
  • 飲食店店員や清掃員など、特別な知識やスキルを必要としない仕事がワーキングプアに陥りやすい
  • 支出を減らし、収入を増やすことがワーキングプアの脱出につながる

※この記事は6分30秒で読めます。

「ワーキングプアってどんな状態?」
「ワーキングプアに陥りやすい仕事を知りたい」
など、ワーキングプアについて疑問をもっている方もいるでしょう。

ワーキングプアとは、働いているにも関わらず生活が困窮している貧困世帯のことを指し、正規雇用を目指しても非正規雇用からなかなか抜け出せない方が多いという特徴があります。それだけではなく、正規雇用でありながらワーキングプアの状態に陥ってしまっている方も少なくありません。

今回は、ワーキングプアの概要や種類、原因、陥りやすい職業例、抜け出すための具体策などを解説します。この記事を読めばワーキングプアのことがよくわかり、脱出への糸口が見つかります。

1.ワーキングプアとは?

ワーキングプアとは、働いているにも関わらず生活が困窮している貧困世帯のことを指します。日本では、一般的に基準は年収200万円以下の世帯が該当するとされています。

貧困率の上昇とともにワーキングプア率も上昇しており、1992年から2012年の20年間で2.4倍にも増加しました。2012年には10人に1人がワーキングプアだという調査結果も出ています。

給与所得者の平均給与は令和3年から令和6年まで連続で増加しています。しかし、給与額の分布をみると、女性においては年収100万~200万円の方が18.4%にあたる407万人と比較的多い人数となっています。

配偶者がいる女性の場合、家計の補助としての労働であればこの年収でも問題ありません。しかし、独身の女性やシングルマザーに当てはめると、典型的なワーキングプアといえる状況です。

また、男性においても5.6%にあたる163万人が、年収100万~200万円のワーキングプアに該当しています。

1-1.高学歴ワーキングプア

高学歴ワーキングプアとは、大学や大学院を卒業しているにも関わらず、一流企業への就職ができず、そのまま無職や非正規雇用になってしまった人を指す言葉です

令和6年に大学を卒業した方のうち1.5%にあたる8,800人の方が正規雇用で就職できず、有期雇用や臨時労働に従事しています。

また、修士課程修了者でも1.2%が非正規雇用となっており、高学歴であっても非正規雇用で働く人が一定数いる状況です。

1-2.中高年ワーキングプア

中高年ワーキングプアとは、正規雇用を目指しているものの、なかなか採用されず、非正規雇用で働き続けている方のことを指します

やや古いデータではあるものの、中高年の非正規雇用労働者は2017年において167万人となっており、これは2016年の新社会人の人数よりも多い人数です。

中高年の場合、一度正規雇用から外れて非正規雇用で働いてしまうと、そこからまた正社員になるのは難しいという現状もあります。そのため、生活困窮から抜け出すきっかけがつかめず、そのまま高齢期を迎えてしまうケースもあります。

1-3.官製ワーキングプア

官製ワーキングプアとは、国や地方自治体などの公的機関で働く公務員でありながら、非正規雇用で月収が低い方のことを指します。女性が多くを占めています。

正規雇用と遜色のない仕事内容でありながら収入は低く、雇用期間が明確に定められているなど、収入や待遇などの面で不遇な状況にあります。

また、公務員が担当していた業務を民間に委託する際には価格の安さが重視され、入札制度によって委託先が決まる仕組みです。そのため、民間企業はその業務のために給与が安く済む非正規労働者を雇用することが多くなっています。

このようにして、必然的に期間の定めのある非正規雇用労働者が生まれます。この方々についても「国が作り上げた(官製)」ワーキングプア、官製ワーキングプアとして扱われます。

2.ワーキングプアが増えている原因

貧困というと仕事ができない失業中の方などのイメージがありますが、働く意思があり、ときにはフルタイムで勤務をしながらも貧困状態にあるのがワーキングプアの異常性です。

近年増加傾向にあるワーキングプアは、どのような原因で増加しているのか見ていきましょう。

2-1.賃金の水準が下がった

ワーキングプア増加の原因の一つとして、日本の賃金の水準が下がったことが挙げられます。この賃金とは、額面上の支給額(もらえる給与)のことではありません。

日本労働組合総連合会のレポートによると、2014年以降、日本は実質賃金が持続的に低下している傾向にあります。

実質賃金とはわかりやすくいうと、「どれだけ物を買えるか」という購買力のことです。つまり今の日本は、昔に比べて物を買いづらくなっている、これが実質賃金の低下です。

たとえ給与が上がっていても、生活が厳しかったり欲しいものが買えなかったりすれば「つらい」「苦しい」と感じますよね。このように、収入が支出に追いつかない現状がワーキングプア増加の一因と考えられます。

2-2.物価が高くなった

前に解説した実質賃金の低下に大きく関係しているのが物価の上昇です。今の日本は物価上昇が問題視されています。食料品価格や光熱費に関わる燃料価格など、生活に欠かせないコストが急増し、労働者の収入が追いついていません

給与は変わらなくても、あるいは増えていても、実際に買えるものが減れば、前述した実質賃金(実質的な手取り)の減少が起こります。

これによりフルタイムで働いても生活が困窮する、あるいは生活費の支払いで精一杯という状況のワーキングプアが増えているのです。

2-3.子育てや介護の費用負担が増加した

少子高齢化の問題もワーキングプアの増加に関係しています。子育てや介護には教育費・保育費・介護費などの出費がともない、これらの費用は子育て・介護に参加する方が多いほど1人あたりの負担が少なくなります。

しかし少子高齢化が進んだ日本では、お金を稼いで費用を負担する現役世代が減っていることから、子育て・介護にかかる費用の1人あたりの負担が増えています。

加えて子育てや介護をしている方は仕事が制限されるため、収入が低下するという問題もあります

その結果、労働をしても子育て・介護費用にあてるのが精一杯、貯蓄ができず余裕のある生活を送れないなどの事情から、収入の多い世帯との格差が広がり、ワーキングプアに陥ってしまうのです。

2-4.働き方が多様化された

1990年代から正規雇用以外の就業形態が拡大する「就業形態の多様化」が見られるようになりました。

1987年から2004年の統計の変化をみると、すべての雇用者における非正規雇用者の割合は、15.3%から31.4%と大幅に上昇しています。

その後も少しずつ上昇傾向にあり、2022年には非正規雇用者の割合は36.9%、雇用者の3人に1人が非正規雇用だという結果が出ました。

また、近年フリーランスの働き方を選択する方が多くなっています。フリーランス実態調査 2024によると、10年前と比較してフリーランス人口は39.1%増加し、1,303万人になっています。

パートやフリーターだけでなく、フリーランスや副業など、さまざまな働き方ができる時代となり、稼ぎ方も人それぞれです。

しかし、いずれも正社員のように安定した稼ぎ方ではないため、どうしても収入が安定せず、低収入となってしまう傾向にあります

3.ワーキングプアが多い職業の例

職業別にみると、特別な知識やスキルを必要としない仕事に従事する場合、ワーキングプアに陥りやすい傾向があります。

以下にワーキングプアに陥りやすい職業をあげますが、これらの職業が必ず収入が低いというわけではなく、実際は雇用条件によって異なります。あくまで一例として参考にしてください。

3-1.飲食店店員

飲食業は、非正規雇用の割合が高い職種の一つです。正社員として働く人もいますが、多くの店舗ではパートやアルバイトの労働力によって運営が支えられています。

非正規雇用は時給制が基本であり、最低賃金に近い水準で募集される求人も少なくありません。加えて、シフト制で勤務時間が安定しにくく、月ごとの収入が変動しやすい点も特徴です。

また、飲食業は人件費率が高く、店舗の利益率もそれほど高くない傾向にあります。そのため、人件費を抑える目的で非正規雇用が中心となりやすく、給与水準が上がりにくい構造があります

さらに、早朝・深夜営業や長時間労働が発生することも多く、労働時間の長さに対して十分な収入を得られないケースも見られます。こうした事情から、飲食店で働く人の中にはワーキングプア状態に陥る人もいます。

3-2.清掃員

ここでいう清掃員とは、工場の特殊清掃などではなく、オフィスビルや商業施設、ホテルなどでおこなう日常清掃の仕事を指します。こうした清掃業務は非正規雇用で募集されるケースが多く、時給制で働く人が多い職種です。

清掃の仕事は、ほかの職業と比べて特別な資格や専門スキルがなくても従事できる場合が多く、未経験から働きやすい仕事とされています。一方で、働きやすいぶんだけ賃金水準が上がりにくく、最低賃金に近い時給で募集される求人も少なくありません

また、ビルメンテナンス業界では清掃業務を入札によって受託するケースが多く、価格競争が起こりやすい傾向があります。そのため、人件費を抑える必要が生じやすく、給与水準が上がりにくい構造があります。

さらに、勤務時間が早朝や短時間に限定される現場も多く、フルタイムで働けない場合は収入が伸びにくい点も特徴です。こうした事情から、清掃員として働く人の中にはワーキングプアの状態に陥るケースもあります。

3-3.警備員

警備員は警備会社に所属し、そこから委託元や派遣先の現場で勤務することが多い職業です。施設警備や交通誘導警備、イベント警備などさまざまな業務があります。

なかでも施設警備は月給制で安定して働ける場合もありますが、道路工事などの交通誘導警備では、工事がある日にだけ働く日雇いや短期契約の形で雇用されるケースも少なくありません。

また、警備業務は入札や業務委託によって受注されることが多く、価格競争の影響を受けやすい業界でもあります。そのため、人件費が抑えられやすく、給与水準が上がりにくい傾向があります

さらに、現場の有無によって勤務日数が左右されることもあり、仕事量が少ない時期には収入が安定しないこともあります。こうした事情から、警備員として働く人のなかにはワーキングプアの状態に陥るケースもあります。

3-4.データ入力スタッフ

データ入力などの事務系の仕事は、派遣社員やアルバイトなど非正規雇用で募集されるケースが多い職種です。仕事内容はパソコンを使った単純作業が中心となるため、時給が比較的低く設定される傾向があります

また、専門的なスキルが求められにくいことから昇給やキャリアアップの機会が限られ、長く働いても収入が大きく上がりにくい点も特徴です。

さらに、シフトや勤務時間があらかじめ決められている職場も多く、労働時間を増やして収入を伸ばすことが難しい場合もあります。こうした事情から、データ入力の仕事では十分な収入を得にくく、ワーキングプアの状態に陥るケースも見られます。

3-5.農業従事者

日本の食生活を支える農業ですが、残念ながらワーキングプアが生まれやすい業種の一つともいわれています。その背景には、農業特有の厳しい労働環境や収入構造があります

自由貿易の拡大により海外の安い農産物が多く輸入されるようになり、国内農家の販売価格は下がりやすくなりました。一方で、農作物を育てるための手間や時間は変わらず、天候などの影響も受けやすい仕事です。

さらに、収入は収穫量や市場価格に左右されるため安定しにくく、長時間働いても十分な利益が得られない場合もあります。こうした事情から、農業従事者の中には生活水準が低くなりがちで、ワーキングプアの状態に陥るケースもあります。

3-6.漁業従事者

漁業も農業と同様に、海外からの水産物の輸入が増えた影響を受けやすく、国内の漁業収入は減少傾向にあります。

また、地域や漁業の種類によっては禁漁期間が設けられており、一定期間は漁に出られないこともあります。そのため、年間を通じて安定した収入を得にくい仕事です。

漁に出られない期間はほかの仕事で収入を補う必要がありますが、その多くは短期の仕事や非正規雇用になりやすい傾向があります。結果として年収が低くなりやすく、ワーキングプアの状態に陥るケースもあります。

4.ワーキングプアから脱出するには?

ワーキングプアで居続けるといつまでも脱出ができず、貯金もできないまま高齢期を迎えてしまうなどのデメリットがあります。お金の問題なので、今の生活苦や将来の不安から精神的に不安定になってしまうこともあります。

では、どのように動くとワーキングプアを脱出しやすいのか、その行動例をご紹介します。

4-1.支出を減らす

現実的な対策の一つは、生活を見直して支出を減らすことです。日々の生活にかかる食費や光熱費について、高いと感じながらも「必要だから仕方ない」と諦めてしまっていませんか。

家計簿や家計管理アプリを使って支出を見直すと、意外な無駄遣いが見つかることもあります。出費を数字で把握することで、買い物のクセや無駄な支出に気づきやすくなり、支出を抑える意識も高まるでしょう。

また、食費や光熱費の節約方法を取り入れることも効果的です。特に光熱費は毎月発生する固定的な支出のため、一度見直すと節約効果が継続しやすい特徴があります。

まずは契約している電気・ガスの料金プランや契約会社が、現在の使用状況に合っているかを確認してみましょう。もし契約内容に問題がない場合は、次のような日常的な節約を意識することも大切です。

  • エアコンの設定温度を見直す
  • 家族で続けて入浴する
  • シャワーや水道の水をこまめに止める
  • 使っていない電気をこまめに消す

こうした取り組みは一つひとつの節約額は小さいものの、毎日続けることで月単位・年単位では大きな差になります。節約できたぶんを貯金や投資に回すことで、生活に少しずつ余裕を持たせることもできるでしょう。

4-2.収入を増やす

収入を増やすことも、ワーキングプアの状態を抜け出すための有効な方法の一つです。収入が増えれば、生活水準を大きく下げることなく、家計に余裕を持たせやすくなります。

収入を増やす方法にはさまざまな選択肢があります。ここでは、比較的取り組みやすい方法を紹介します。

4-2-1.正社員雇用を目指す

現在非正規雇用で働いている場合は、正社員としての就職を目指すこともワーキングプアの状態を抜け出す方法の一つです。

一般的に正社員は非正規雇用よりも給与水準が高く、賞与や各種手当、社会保険などの待遇も充実している傾向があります

ただし、年齢やこれまでの職歴によっては採用のハードルが高くなる場合もあります。そのため、自分の経験やスキルを整理したうえで、未経験でも採用されやすい業界や職種を視野に入れて転職活動を進めることが重要です。

また、応募する企業について事前に業界研究や企業研究をおこない、志望動機や自己PRを整理しておくことも大切です。

採用面接では、これまでの経験をどのように仕事に活かせるのかを具体的に伝えられるよう準備しておきましょう。

4-2-2.手に職をつける

正社員採用を目指しても不採用が続くと、気持ちが落ち込んでしまうこともあるでしょう。そのような場合は、専門的なスキルや資格を身につけて「手に職」をつけることから始めるのも一つの方法です

職種によって必要なスキルは異なりますが、例えばエンジニア職を目指すならITスクールでプログラミングを学ぶ方法があります。また、介護職や保育職などでは資格を取得することで応募できる仕事の幅が広がる場合もあります。

スキルや資格を身につけることで、これまで応募できなかった職種にも挑戦できるようになり、収入アップにつながる可能性があるでしょう。資格手当が支給される職場もあるため、結果的に給与の増加が期待できる場合もあります。

さらに、業務に積極的に取り組む姿勢を示すことで、非正規雇用から正規雇用へ登用される可能性も高まります。

手に職をつける方法や働き方について興味がある方は、以下の記事も参考にしてください。

4-2-3.副業をはじめる

転職はできないが、どうしても本業だけの収入だと苦しいという方は、副業を始めて収入を増やすのも選択肢の一つです

本業の休日にできる軽作業やコールセンター、最近ではパソコンがあれば自宅でできる副業も増えてきました。

ただし、無理に副業して身体を壊してしまっては逆効果です。本業に支障をきたさないことを前提に、空いている時間で働くことを考えてみましょう。

また、企業によっては副業を禁止している場合もあるので、始める前に就業規則を確認してトラブルにならないように気をつけましょう。

副業やダブルワークについて詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

4-2-4.転職支援サービスに相談する

自分一人で転職活動を進めるのが難しいと感じる場合は、転職支援サービスに相談するのもよいでしょう。キャリアアドバイザーに相談することで、自分の経験や希望に合った仕事を紹介してもらえる可能性があります

また、求人の紹介だけでなく、履歴書や職務経歴書の作成アドバイス、面接対策などのサポートを受けられる場合もあります。そのため、転職活動の進め方がわからない方でも、安心して仕事探しを進めやすくなるでしょう。

JOBPALでは、面談を通してこれまでの経験や希望条件を伺い、条件に合う求人があればご紹介しています。1人で仕事を探すよりも効率的に転職活動を進められる可能性があるため、興味がある方はお気軽にご相談ください。

5.まとめ

今の日本は物価高の影響で、収入が変わらない、あるいは増えていても生活に困窮するワーキングプアに陥りやすい状況にあります。少子高齢化により子育てや介護の費用負担が増えていること、働き方が多様化していることも、ワーキングプア増加の一因です

ワーキングプアを抜け出すためには、支出を減らすことと収入を増やすことがそれぞれ重要です。特に支出は、少しの工夫で減らせる可能性があるので、まずはできる範囲で行動を始めてみましょう。

また、収入を増やすために転職を考えている方は、ぜひJOBPALをご利用ください。JOBPALでは無料面談をおこなっています。あなたが理想とする仕事に出会うための第一歩を踏み出しましょう。

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