派遣社員の面接は禁止!面接の代わりにおこなう面談や顔合わせとは

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「派遣に応募すると面接を受けなきゃいけないって本当?」
「派遣の面接でどんなことをするのか知りたい」
など、派遣社員の面接に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
実は、派遣社員と派遣先企業が面接をおこなうことは禁止されています。実施されているのは、面接ではなく顔合わせを兼ねた面談です。
今回は、派遣における面接と面談の違いや顔合わせの流れ、質問しておくべきことなどを解説します。この記事を読めば、派遣の面談について理解が深まり、不安要素が解消されます。
1.派遣社員は派遣先との面接が禁止されている
派遣先企業が派遣社員に面接を実施することは禁止されています。
派遣先企業は、自社に就業する派遣社員を選択する権利を有していません。その代わり、顔合わせの面談を実施している企業もあります。
まずは、面接が禁止されている理由やその他の禁止事項について解説します。
1-1.禁止されている理由
派遣社員への面接が禁止されている理由は、労働派遣法第26条第6項に以下のように定められているためです。
労働派遣法第26条第6項
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「労働者派遣(紹介予定派遣を除く)の役務の提供を受けようとする者は、労働者派遣契約の締結に際し、当該労働者派遣契約に基づく労働者派遣に係る派遣労働者を特定することを目的とする行為をしないように努めなければならない。」
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参照:e-GOV「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088
ここでいう「派遣労働者を特定することを目的とする行為」には、派遣先企業による面接も含まれると判断されています。
そもそも派遣の仕組みとは、派遣先企業と派遣社員の間に雇用関係は生じないものであり、派遣社員の雇用主は派遣会社です。そのため、派遣先企業がタッチできるのは、日常業務に関する指示や指導にとどまります。
1-2.面接以外の禁止事項
派遣先企業に課されている禁止事項は、面接の実施以外にもあります。
例えば、履歴書や職務経歴書の提出を求めたり、適性検査を実施したりすることも、派遣社員の特定につながる行為です。また、性別や年齢を限定する行為も禁止されています。
2.派遣先とは面談(顔合わせ)がある
面接が禁止されている代わりに、派遣会社の担当者も同席して顔合わせの面談を実施している派遣先企業もあります。
面談を実施する目的や内容は以下の通りです。
2-1.派遣先との面談の目的
面談を実施する目的は、派遣先企業が就業に関する説明を実施し、派遣社員が抱く疑問や不安を解消することにあります。
それらをあらかじめ解消しておくことで、就業がスタートしてからのスムーズなコミュニケーションや業務遂行が期待できるためです。
また、面接の実施が禁止されているとはいえ、派遣先企業としては自社の求める人物像か否かをあらかじめ確認したいという思惑もあります。
選考はおこなわないものの、基本的なビジネスマナーが備わっているか、人柄に問題がないか、必要なスキルを身につけているのかという点は、面談によって見極めたいと考えているのです。
2-2.派遣先との面談の内容
面談では、派遣社員の職務経歴書やスキルなどの自己紹介に関することを中心に確認し、その内容に対して派遣先企業から質問を受けます。
一方、派遣先企業からは、自社の理念や社風、業務内容などの説明がおこなわれます。派遣社員が抱いた疑問や不安はその場で質問が可能です。
面談の進行は、派遣会社の担当者がおこなうのが基本です。派遣社員は質問されたタイミングで、適切な回答をする形で問題ありません。
3.派遣社員との面談(顔合わせ)の主な流れ
派遣社員と派遣先企業との面談は以下のような流れで進みます。
3-1.派遣会社の担当スタッフと待ち合わせ
面談当日は、まず派遣会社の担当者と待ち合わせをします。
面談実施の15分ほど前に、派遣先企業前や最寄り駅で待ち合わせするのが一般的です。
ただし、派遣会社によっては、1時間ほど前に打ち合わせのためにカフェなどで待ち合わせをする場合もあります。
派遣先企業の雰囲気や担当者に関する情報、想定される質問など、気になることがあるなら、待ち合わせのタイミングで情報を聞いておくとよいでしょう。
3-2.派遣先を訪問し、担当者に挨拶
約束の時間になったら派遣先企業を訪問します。
受付手続きは、派遣会社の担当者がおこなうため、ついて行き指示に従いましょう。
派遣先企業の担当者と会った際には、気持ちよく挨拶をするのがよいです。
3-3.担当者と面談(顔合わせ)
派遣先企業の担当者との面談がスタートします。
面談は、前述の「派遣先との面談の内容」で触れた内容で進行していきます。
3-4.採用結果の連絡
面談実施から数日後には、派遣先企業から派遣会社へ採用結果の連絡が入ります。
結果は、連絡を受けた派遣会社の担当者より派遣社員本人へ通達されることになります。
4.紹介予定派遣は派遣先との面接がある
前述の労働派遣法第26条第6項にも記載があるように、派遣の面接を禁止しているのは「紹介予定派遣を除く」派遣です。
したがって、紹介予定派遣の面接に違法性はなく、多くの派遣先企業が面談ではなく面接を実施しています。
その理由は、紹介予定派遣は派遣期間終了後の直接雇用を前提としているためです。
面接によって派遣社員、派遣先企業がお互いを見極めることは、採用のミスマッチを防ぎ、双方にとってよい未来をもたらします。
紹介予定派遣に関しては、以下の記事でも詳しく説明しているのでご覧ください。
5.派遣の面談時に質問しておくべきこと
面談で派遣先企業から「何か質問がありませんか?」と問われた時、何を聞いたらよいのかと悩んでしまう人もいるかもしれません。
以下2つの話題は、派遣先企業への理解が深まり、かつ意欲的な印象を与えられる話題のため、質問が思いつかない方は参考にしてください。
5-1.仕事内容に関すること
仕事内容に直結する質問は、自分が働く姿をイメージしやすくなるため、積極的に質問したい内容です。
以下のような質問をしてみましょう。
- まずはどのような業務から任せていただけますか?
- 一般的な1日の流れについて教えていただきたいです
- 業務に使用するソフトウェアや機器などはありますか?
5-2.仕事に対して前向きで意欲的な話題
質問のタイミングを利用して、派遣先企業での仕事に前向きな姿勢をアピールすることも可能です。
以下のような質問は効果的でしょう。
- 御社の企業理念が実際の業務に反映されていると感じるエピソードを伺いたいです
- 御社の従業員として最も重要なスキルは何ですか?
- どのような時に御社に入社して良かったと感じますか?
6.派遣の採用・不採用に関する疑問
派遣先企業で面談の後、次に気になるであろう2つのポイントについて解説します。
6-1.面談でも不採用になることはある?
派遣先企業は、派遣社員を選考する権利がないことから、面接ではなく面談を実施します。
そのため、本来であれば不採用という概念はあり得ないものです。
しかしながら、求める経験やスキルに満たないと判断され不採用を通達されるケースもあるのが実際のところです。
その場合は気持ちを切り替え、新たに候補となる企業を探して積極的に応募しましょう。
6-2.採用になったとしても就業を断って大丈夫?
採用になっても就業を断ることは可能です。
実際に派遣先企業に訪問し、担当者と面談したことで職場環境や業務内容が明確に見え、自分には合わないと感じることもあるでしょう。
派遣先企業も時間を割いて面談対応してくれたこともあり、建前上は断らないほうがよいとされていますが、実際は契約前のため、断ってもトラブルに発展する事態にはなりません。
7.まとめ
この記事では、派遣社員の面接についてお伝えしました。
面接の実施は禁止されているものの、多くの派遣先企業では面談という名目で派遣社員と顔合わせをする機会を設けています。
面接であっても面談であっても、派遣社員と派遣先企業が双方を理解し、「この企業で働きたい」「この派遣社員なら来てほしい」と思い合えることが望ましい姿です。
これから派遣として働きたい方は、派遣会社の担当者と連携し、しっかり準備を整えたうえで面談に臨みましょう。
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