食品製造業とは?種類別工場の仕事内容と働くスケジュール例を紹介

この記事で分かること
- 食品製造業には、パンやお菓子、弁当や冷凍食品など、さまざまな工場での仕事がある
- 食品製造工場で働くメリットとして、力仕事が少ないことや、未経験でもチャレンジしやすいなどが挙げられる
- 食品製造工場で働くデメリットとして、立ち仕事が多いことや、繁忙期が忙しいことなどが挙げられる
- 食品製造の現場で活かせるおすすめの資格には、食品衛生責任者やフォークリフト免許などがある
- 食品製造業は、まじめでコツコツ働ける人であれば未経験でも十分活躍できる
※この記事は6分30秒で読めます。
「食品製造業の工場には、具体的にどのような種類があるの?」
「食品製造業で働くメリットやデメリットを知りたい」
など、食品製造業の仕事内容や、働く際に気をつけたほうがよいポイントについて知りたいと思う人もいるでしょう。
食品製造工場には、パン工場やお菓子工場など、さまざまな種類の工場があります。職場環境は衛生管理が行き届いており、多くの工場ではシフト制度を導入しているため、比較的柔軟な働き方ができるのが魅力です。
今回は、食品製造工場ごとに異なる仕事内容や1日のスケジュール例、食品製造工場で働くメリット・デメリットなどを解説します。この記事を読めば、食品製造業の仕事内容がよくわかり、自分に向いている仕事かどうかを判断できるようになります。
エリアから工場・製造業のお仕事を探す
1.食品製造業とは
食品製造業は、生ものである原材料から食品の製造・加工そして販売までをおこなう業種のことです。販売する店舗への出荷や配送までを一貫しておこなっている場合もあります。
ひと口に食品製造業といってもさまざまな種類があります。「パン・菓子」「動植物油脂」「畜産加工品」「水産加工品」「農産保存食料品」「野菜缶詰・果実缶詰」「調味料」「糖類」「精穀・製粉」など多種多様です。
いずれも、人々が生きていくうえで欠かせない「食べる」という行為に直結する、まさに「人間生活の命綱」ともいえる重要な産業です。
2.【種類別】食品製造業の仕事内容
食品製造業は扱う食品や製造する商品ごとに、各社がさまざまな工場を設けています。ここでは、代表的な8つの工場の仕事内容について解説します。
2-1.パン工場
コンビニやスーパーに卸すパン商品を製造する工場です。工場によってはパンだけでなくケーキやお菓子の製造までおこなう場合もあります。
パンに具材をトッピングしたり、袋へ梱包したりと、単純作業の繰り返しが多いのが特徴です。ベルトコンベアを使っての流れ作業のため、パン製造の専門技術がなくても仕事ができます。
2-2.弁当工場
コンビニやスーパーに卸す弁当を製造する工場です。食材の下処理、調理、盛り付けといった作業を手作業でおこなう業務に配置されることが多く、流れ作業になるためスピードと正確性が求められます。
また、お弁当は賞味期限が短いため、食中毒や異物混入などを防ぐためのさまざまな対策が講じられているのも特徴です。衛生服を着用したり、エアシャワー室を通ったりするなど、工場ごとに厳重な衛生管理がおこなわれます。
2-3.冷凍食品工場
冷凍食品工場では、製造や調理は基本的におこなわず、冷凍倉庫に保管されている商品の検品や梱包、出荷などをおこないます。
冷凍食品の品質を維持するために冷凍倉庫で作業するのが他の食品工場との違いです。温度差によって体調を崩してしまうことがあるため、こまめな休憩が設けられている工場も少なくありません。
2-4.食肉加工工場
食肉加工工場は、肉を店舗で販売できる状態に加工する工場です。手作業で肉を切ることもありますが、冷凍肉を切る工程が多く、工場の規模や取り扱う肉の種類によってはスライサーなどの機械を使います。
肉の鮮度を守るために室温が低く、涼しい環境で仕事をするケースも多いでしょう。
2-5.水産加工工場
水産加工工場は魚や魚介などの海産物を切ったり、魚の頭や内臓を除去したりといった作業をおこなう工場です。生の海産物は傷みが早く、保存性を高めるためにさまざまな加工が施されます。
また、ツナ缶、小魚や海苔などの佃煮、かまぼこのような練製品など、扱う製品はさまざまです。水産物なので水を扱う機会も多く「手が冷たい、荒れる」という心配があるかもしれません。
また、同じく注意したいのが「臭い」です。加工・調理・包装などさまざまな工程で仕事をすることになりますが、総じて海産物独特の生臭さの中で作業することになります。海産物の臭いが苦手な人はきついと感じるかもしれません。
2-6.菓子製造工場
菓子製造工場は、チョコレートやクッキー、スナック菓子などの製造や梱包などをおこなう工場です。さまざまな種類の原材料を配合したのち、加熱や冷却などの工程を経て、専用機械による検品をおこないます。
季節やトレンドごとに新しい製品が開発されるため、定期的に新作のお菓子の製造に携われることに楽しさややりがいを感じる人もいるでしょう。
原材料の配合や加熱などの作業は機械が中心ですが、ラインへの生地並べやトッピングをのせる作業など、細かい作業は人の手でおこなわれます。専門的な技術は特に必要ないため、未経験からでもチャレンジしやすい仕事といえます。
2-7.乳製品製造工場
乳製品製造工場は、牛乳やヨーグルト、チーズやバターなどを製造する工場です。
牛乳の製造では、生乳の検査や殺菌冷却、紙容器やビンなどへの包装作業をおこないます。乳製品は新鮮な原料を使用するため、徹底した温度管理と検査は欠かせません。完成した製品の抜き取り検査や、細菌のチェックなども大切な作業です。
ほとんどの工場では機械化が進んでいるため、手作業の工程はあまり多くありません。マニュアルに沿ってしっかり作業できる人であれば、無理なく働くことができるでしょう。
2-8.農産加工品製造工場
農産加工品製造工場は、農産物を原料としたジャムやピクルス、缶詰野菜などの加工や製造をおこなう工場です。
製品は品質とともに保存性が重視されるため、冷凍や加熱、フリーズドライや瓶詰めなど、製品の特性に合わせてさまざまな加工法が用いられます。
例えばジャムの製造の場合、果物を洗浄、選別し、細かく切ってから他の材料と一緒に煮詰めます。できあがったジャムは殺菌処理とともに瓶に詰められる、というのが一連の流れです。
農産物をおいしく保つための加工技術を間近で見られるため、食品の品質管理に興味のある人であれば、やりがいを感じながら働けるでしょう。
3.食品製造業で働く1日のスケジュール例
食品製造業の1日のスケジュールは、取り扱う食品の種類や自身の担当業務によっても異なりますが、一般的なライン作業をおこなう場合の1日の勤務スケジュール例は、以下のとおりです。
- 8時:出勤後、着替えて朝礼
- 8時30分:手洗い、消毒などの衛生管理や作業準備
- 8時45分~12時:製造作業
- 12時~13時:昼休憩
- 13時~15時:製造作業
- 15時~15時15分:小休憩
- 15時15分~16時30分:製造作業
- 16時30分~17時:片付け、清掃
- 17時:退勤
食品製造業で働く場合、徹底した衛生管理のもと、効率的に製造作業をおこなえるよう1日のスケジュールが組まれることが多いです。
出勤後は粘着テープやエアシャワーなどを使って全身の埃やゴミを取り、清潔な状態で仕事に臨むのが基本です。
朝礼では、その日の製造予定や伝達事項の共有がおこなわれます。作業内容ごとにラインが分かれている場合は、グループリーダーから具体的な作業内容の指示を受けることもあるでしょう。
4.食品製造工場で働くメリット
食品製造工場ごとに扱う食材は異なりますが、共通して以下のようなメリットがあります。それぞれのメリットについてお伝えします。
4-1.空調が効いている環境で働ける
食品の品質を維持するため、空調が効いた環境が維持される工場がほとんどです。夏場でも涼しい環境で働けるのは、食品製造業ならではのメリットといえます。
ただし、冷凍食品の工場は冷凍倉庫で働くので、涼しいどころか寒いと感じることもあります。
また、炒め物や揚げ物をする工場は、火や油が発する熱によって暑すぎると感じることもあるでしょう。どのような室温環境で働くのか、一度確認してみることをおすすめします。
4-2.比較的力仕事が少ない
食品製造業はベルトコンベアを用いたライン作業がメインとなり、ほとんどが軽作業の部類です。
金属製の部材を扱う一般的な製造業と比べれば、力仕事が少ない傾向があります。そのため、女性も多く、腕力に自信がない人でも無理なく働けるでしょう。
食材の搬入など重い荷物を運ぶタイミングもありますが、フォークリフトを使ったり周りの人のサポートを受けたりできるので、自分だけで重いものを持つということはほぼありません。
4-3.仕事を通して食の意識を高められる
食品製造業は人間が生きていくうえで絶対に欠かせない「食」を支える仕事であり、仕事を通して食への意識を高められます。
日々何気なくコンビニやスーパーで購入しているパンやお弁当などにも多くの人が関わっていることを実感できるでしょう。
また、季節の新商品にいち早く携われるのもメリットです。仕事は単純作業が多く飽きやすい側面もありますが、さまざまな商品加工に携わることで新鮮な気持ちとやりがいを持って仕事に取り組めるでしょう。
4-4.シフト制で柔軟な働き方ができる
食品製造業の仕事の大きな魅力として、柔軟な働き方を実現しやすいという点が挙げられます。
食品製造工場の多くは、早番や遅番、夜勤などに分かれたシフト制を採用しています。そのため、自分のライフスタイルや希望に合わせてシフトを組むことができ、仕事とプライベートを無理なく両立させることができます。
また、効率的に稼ぎたい人は、積極的に夜勤のシフトに入ることで、日中にシフトを組むよりも短時間で高収入を狙うことができるでしょう。
5.食品製造工場で働くデメリット
上記のようなメリットがある一方、どの食材の工場でも共通したデメリットがあります。4つのデメリットを見ていきましょう。
5-1.立ちっぱなしでの仕事になる
食品製造業はベルトコンベアで流れてくる食品を加工するのが主な仕事です。基本的に作業中は同じ姿勢のまま立ちっぱなしになり、足腰に負担がかかりやすくなります。
座りながら作業ができる工場もありますが、長時間同じ姿勢になることは変わりません。座りっぱなしの仕事では足への負担は抑えられる一方、腰痛や肩こりに悩まされる人も少なくありません。
家に帰ったらゆっくりお風呂につかったり、足のマッサージをしたりして、一日の疲れを癒やして翌日に備えましょう。
5-2.作業スピードについていく必要がある
食品製造業ではベルトコンベアで流れてくる大量の食品を加工する必要があります。一日に大量の食品を製造・加工するため、スピード感を持って作業をこなしていかないと間に合いません。
また、自分のペースで働けばよいわけではなく、他のラインで働く従業員のペースとも合わせる必要があります。そのため、休憩時間まで基本的に手を止められません。
慣れれば問題なく作業できますが、最初は作業スピードについていけない、自分のペースで働けない、といった点で苦労する人もいます。数ヶ月もすれば徐々にスピードに慣れてくる場合が多いです。
5-3.繁忙期になると忙しくなる
食品製造業に限った話ではありませんが、多くの仕事では「繁忙期」と「閑散期」があります。需要が増える時期は仕事も忙しくなるでしょう。
特に消費期限が短く作り置きできない食品の場合、繁忙期には非常に忙しくなります。
繁忙期に合わせて短期のアルバイトを募集する工場もありますが、社員一人ひとりの一日のノルマも閑散期より大きく設定されます。ノルマをこなすまでは終業できず、残業が発生することも珍しくありません。
残業が多すぎて心身に不調をきたしそうな場合は、早めに部署異動や配置換えの相談をしてみましょう。
5-4.手が荒れてしまう可能性がある
工場によって方法は異なるものの、衛生管理が徹底しているという点は共通しています。衛生管理の観点からアルコール消毒をひんぱんにおこなう必要がある工場も少なくありません。
担当する作業次第ではハンドクリームの使用が禁止されている場合もあり、手荒れに悩む人もいます。
作業の現場ではゴム手袋をつけて作業するため通気性が悪く、一度手荒れが発症するとどんどん悪化する可能性もあるでしょう。
仕事が終わったらすぐにハンドクリームなどでケアできるように、普段からケア用品をカバンに入れておくことをおすすめします。
6.食品製造業の仕事に活かせる資格・経験
ここでは、食品製造業の仕事に活かせる資格や経験について紹介します。食品製造の仕事に興味がある人は、ぜひ参考にしてください。
6-1.食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品業界で需要の高い資格のひとつです。食品衛生責任者の資格を取得すると、食品製造業や食品販売店などの現場で、食品の安全性を管理する責任者として働くことができます。
食品衛生責任者の資格は、都道府県などが実施する養成講習会を受講し、修了試験に合格することで取得できます。修了試験は、講習会の内容から出題されるため、しっかり復習しておけば、難易度はそこまで高くないといえます。
また、食品を扱う施設では食品衛生責任者の配置が法律によって義務付けられているため、取得しておくことで転職時に有利に働く可能性が高いです。
6-2.調理師資格
調理師資格は、料理や製菓に必要な調理技術や栄養学などを保有していることを示すことができる、調理師法に基づく国家資格です。
調理師資格があれば、新商品の開発時に、専門的な視点でアイデアを提案できることもあるでしょう。料理や製菓の専門的な知識を仕事に活かせるため、取得することで社内での評価が高くなる可能性もあります。
ただし、調理師資格を取得するには、中学校卒業以上かつ、2年以上調理業務の経験があるという条件を満たす必要があります。少しハードルは高くなるものの、取得できれば食品製造業で活躍するための強力な武器となるでしょう。
6-3.フォークリフトの運転免許
食品工場では、原材料や製品などの搬入にフォークリフトを使用します。そのため、フォークリフトの運転免許を取得すれば、食品製造業での仕事の幅が広がるでしょう。
フォークリフトの運転免許は、普通自動車運転免許を持つ人であれば4日間で取得できます。費用も2~4万円程度と比較的安価で、合格率も高いため、無理なくチャレンジできるでしょう。
以下の記事では、フォークリフトの運転免許取得方法について詳しく解説しています。気になる人は、ぜひ参考にしてください。
6-4.機械操作やメンテナンスの経験
食品製造の現場では、さまざまな機械を使って製品の加工や包装をおこないます。そのため、食品製造に関わる機械操作やメンテナンスの経験がある人は、食品製造の現場で活躍できる可能性が高いといえます。
製造ラインで突然機械が停止してしまった場合も、経験者であればその原因を素早く特定し、適切かつ迅速に対処できるでしょう。
トラブルを解消して生産性の向上に貢献すれば、社内でそのスキルを高く評価してもらえるかもしれません。
7.食品製造業に向いている人の特徴
食品製造業に向いているのは、以下のような特徴を持った人です。
- 単純作業が苦にならない人
- 食に対して興味がある人
- 食品の調理が好きな人
- 衛生管理への意識が高い人
食品製造業では、どの食材を扱ってもベルトコンベアを使った流れ作業がメインです。力仕事は少ない一方、単純作業が多くなるのは避けられません。そうした作業を苦にしない人なら、食品製造業に向いているといえます。
また、自分が働く職場の製品に興味を持てることも、仕事を長く続けるうえでは大切です。普段から、食べることやグルメが好きだったり、料理が好きだったりする人なら、食品製造業に向いているといえるでしょう。
衛生観念への意識が高いかどうかも、食品製造業への向き・不向きを考えるうえでは重要です。どの食品製造業でも衛生管理は非常に重要度が高いため、消毒などを苦に感じない人が向いています。
8.食品製造業に向いていない人の特徴
向いている人がいる反面、以下のような人は食品製造業に向いていない場合があります。
- 生臭ささが苦手な人
- 手先が不器用な人
- 単純作業に飽きる人
食品製造業の中でも肉や魚の加工業では、食材の生臭さがつきものです。パン工場や弁当の工場でも、食品特有のにおいはゼロにできません。これらのにおいが苦手な場合、食品製造業に向いていない可能性もあります。
また、手先が不器用な人や単純作業に飽きる人は食品製造業に向いていません。ベルトコンベアで流れてくる食品を手作業で加工するという仕事の特性上、「細かな仕事」「単純作業の繰り返し」は避けて通れない要素だからです。
9.食品製造業は未経験でも働ける?
食品製造業として募集している仕事は単純作業が主であり、未経験からでも働けます。
取り扱う商品や製品の知識がないと不安に感じるかもしれませんが、入社後に知識を身につけられるので心配は無用です。入社時点で特に経験や資格を持っている必要はないでしょう。
工場特有のルールや作業の手順も、入社後に先輩に教えてもらえるので、事前知識として勉強しなくても入社は可能です。
ただし、商品開発や品質管理の仕事には専門知識が必要です。もし募集があったとしても未経験者が就職することは難しいでしょう。まずは、ライン作業で経験を積んでからキャリアアップを目指すのが望ましい形です。
未経験からの入社に不安があるなら、サポート体制が万全の工場を選ぶことをおすすめします。求人探しや求人選びで迷っているなら、JOBPALで一度面談を受けてみましょう。
10.まとめ
食品製造業は、私たちの生活に欠かせない「食」を支える重要な役割を担っており、工場の種類もパン工場や弁当工場などさまざまです。
食品製造業の仕事の魅力として、体力をあまり使うことなく、シフト制で働きやすいことなどが挙げられます。一方、人によっては立ちっぱなしの状態や繁忙期の忙しさにしんどさを感じるかもしれません。
しかし、食そのものに興味がある人や、コツコツ続ける作業が得意な人であれば、食品製造業の仕事に大きなやりがいを感じられるはずです。
JOBPALでは、食品製造に関連する求人を多数扱っています。食品製造の仕事に興味がある人は、ぜひ一度JOBPALの求人をチェックして、気になる求人があればお気軽にお問い合わせください。
