施工管理とは?主な仕事内容や関連する資格、活躍できる職場を解説
※この記事は6分で読めます。
「施工管理ってどんな仕事?」
「施工管理で働くために必要な資格は?」
など、施工管理に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
施工管理は建設工事の現場で工事全体を俯瞰した管理業務をおこなう仕事で、現場の中心として重要な役割を担っています。
今回は、施工管理の概要、4つの大きな業務内容、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば施工管理のことがよくわかり、転職で有利になる資格についても知ることができるでしょう。
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1.施工管理とは
施工管理は、建設工事の現場で工事全体を取りまとめたり管理したりする役割を担います。工事の現場の司令塔としてなくてはならない存在です。
現場の職人さんが効率良く作業を進めるためには、安全な作業環境の整備や工事全体の進捗を管理することが欠かせません。施工管理者は、効率的かつ安全に工事を進められるように現場を管理する責任があります。
1-1.施工管理と現場監督の違い
求人広告に「施工管理・現場監督募集」と一緒に掲載されていることもありますが、以下のように業務範囲が異なるのが一般的です。
施工管理 | 施工計画や工事予算の管理、安全管理など、工事現場の管理だけでなく書類作成や事務処理などのデスクワークを含む |
現場監督 | 職人への指示出しや工事の進捗管理など、工事現場の管理が主な仕事 |
施工管理は現場と事務の両面を含めて管理する仕事ですが、現場監督は工事現場を中心にその役割を担います。
また保有資格にも違いがあります。施工管理は「施工管理技士」という国家資格を取得することで、施工管理技術に関する知識を証明することが可能です。一方、現場監督にはそのような資格はありません。
2.「4大管理」と呼ばれる施工管理の仕事
施工管理は施工現場の工事全体を取りまとめる仕事であり、その存在は施工の順調な進捗に不可欠です。
ここでは、施工管理のなかでも「4大管理」と呼ばれる重要な仕事内容について解説します。
2-1.原価管理
原価管理とは、材料費や建設機器のリース代、人件費など、工事で発生する費用の原価を計算し、予算内に収めることです。材料はできるだけ安い仕入先から調達する、予算と作業進捗を確認して適切な人数配置をおこなう、といったように状況に応じて適切な管理をおこないます。
施工が進むなかで予算とのズレが発生した場合には、内容を把握して修正することも必要です。
2-2.工程管理
工程管理は、工事が期限までに完了するよう作業スケジュールを管理することです。最初に作成したスケジュールに沿った作業ができているか確認しつつ、適材適所で人員、重機などの手配をおこないます。
納期までに作業が完了するよう、全体を見ながらの管理が求められます。
2-3.品質管理
工事で使う材料が定められた品質基準をクリアしているか、建物が設計図や仕様書通りの品質(寸法や強度など)になっているかを管理することも重要な仕事です。
原価管理も重要な役割ですが、安いことばかりを求めて品質が基準を満たしていないのでは意味がありません。原価と品質を両立させることが施工管理の仕事です。仕入れた時点の品質を保つために材料の保管環境に気を配ることも求められます。
2-4.安全管理
現場の作業員や現場近くを通行する人の安全を確保することも、施工管理の重要な仕事です。安全確保のための施策立案や設備・機材の環境整備をおこなうことで、事故を未然に防止します。
3.施工管理の仕事におすすめの資格7つ
施工管理に関する国家資格である「施工管理技士」は、扱う内容によって7つに分類することができます。ここでは、施工管理の仕事に携わる際に持っておきたい施工管理技士に関する7つの資格の概要をご紹介します。
3-1.建築施工管理技士
建築工事の際の施工計画、施工図の作成、工程・品質管理を適切におこなうための国家資格です。
1級建築施工管理技士資格を取ることで、特定建設業の専任技術者および建設業法の規定で配置する監理技術者になることができ、大型の商業施設や公共工事などの大規模な工事現場の指揮を担当できます。
2級を取得すると、特定建設業の専任技術者や建築工事の主任技術者として認められます。
3-2.土木施工管理技士
土木施工管理技士は、ビルやマンション建設に加えて橋梁や道路、トンネル、ダムといった土木工事現場で必要とされる資格です。受注する仕事は公共工事がメインであり、災害復旧時の工事など生活基盤を支える役割を担います。
1級と2級の違いは工事の規模の違いです。工事現場のうち特定建設業者が元請として4,000万円(建築一式工事の場合6,000万円)以上を下請けに出す場合は監理技術者が必要ですが、監理技術者と名乗ることができるのは1級の資格取得者のみです。
また、2級は一般建設業の許可申請の際、営業所ごとに配置する専任の技術者および建設工事における主任技術者として認められる資格です。
3-3.建設機械施工管理技士
建設機械施工管理技士は、油圧ショベルやクレーン車、ブルドーザーなどの建設機械を使う施工現場で必要とされる資格です。建設機械は第1種から第6種までの種別があり、1級建設機械施工管理技士はすべての種別の建設機械を使用する現場で施工管理業務をおこなえます。
一方、2級は第1種~第6種に資格が分類されており、取得した種別の建設機械のみを扱う現場で施工管理業務にあたることができます。
一定金額以上の工事ではこの資格を取得している人が常駐している必要があることから、建設現場でのニーズは非常に高い資格です。建設機械は多くの現場で必要であるため、安定した需要が見込まれるでしょう。
3-4.電気工事施工管理技士
変電や送電設備、照明・配線といった電気設備工事の施工管理の現場で必要とされる資格です。資格を取得することで、建造物の建築・増築に必要な電気工事における施工計画の作成、工事の工程・安全・品質管理などがおこなえます。
規模の大きい案件(商業施設やビルなど)で下請けに工事を依頼するような現場で活躍するには1級が必要ですが、中小規模の建設現場(4,000万円未満)であれば2級でも活躍できます。
3-5.電気通信工事施工管理技士
固定電話や携帯電話、有線または無線LANの設置、防犯カメラや入退室管理システムなどの「電気通信工事」の施工管理に役立つ資格です。
1級を取得していると「監理技術者」として施工管理の業務を担当できます。2級は「主任技術者」として働くことができます。
3-6.管工事施工管理技士
空調設備や配管、ダクト、上下水道設備、浄化槽など、建築物に設置される「管」の施工管理に必要とされる資格です。管工事は建物の規模が大きくなるほど複雑になり、配管の種類も増えます。
配管に関するミスはのちの大きな問題に発展することから、詳細な施工計画や工程管理が欠かせません。あらゆる工事に「菅」が使われることから建設業界への転職で大いに有利になるでしょう。
3-7.造園施工管理技士
公園や庭園などでおこなわれる造園工事や商業施設の植栽、道路の緑化工事の施工管理をおこなうための資格です。緑化工事の総監督として、施工管理、工程計画、資材調達、安全管理などをおこないます。
公共施設や大型不動産開発などの案件が多いとされ、都市部においても緑化工事の需要は急増しているため、造園業界は今後さらなる需要拡大が見込まれるでしょう。1級は特定建設業、2級は一般建設業の営業所に配置する専任技術者になれます。
4.施工管理技士が活躍できる職場
施工管理技士を取得するとどのような職場で活躍できるのでしょうか。施工管理技士の有資格者が求められている職場の種類をご紹介します。
4-1.建設会社
あらゆる建築やインフラ設備などに関わる建設会社、ビルや大規模工事を請け負うゼネコンで施工管理の資格を活かせます。施工管理なら現場や裏方の段取りを心得ているため、土木や建築工事全体を管理する建設会社やゼネコンとは好相性です。
4-2.工務店
戸建て住宅を手がける工務店やハウスメーカーでも施工管理の有資格者が求められます。個人の住宅がメインであるため建物の規模は決して大きくはありませんが、2級施工管理技士の働くフィールドとして適しています。
新築の需要は縮小傾向ですが、リフォームやリノベーション需要は以前と変わらない傾向にあるため、将来的な需要も見込めます。
4-3.デベロッパー
デベロッパーは都市開発に必要な土地の取得・建築・販売をおこなう業者のことです。ゼネコンと協力して建設工事をおこなうこともあります。現場工事をおこなうゼネコンに対してデベロッパーは工事の進捗を管理することが多く、施工管理の経験を活かせるでしょう。
4-4.不動産会社
完成したビルやマンションを販売する不動産会社も、施工管理の経験者の転職先として有力です。建物を作ってきた経験や建物の構造に対する知見を活かして、物件のメリット・デメリットをはじめとした正確な情報を的確に説明することができ、顧客から信頼される存在を目指せるでしょう。
4-5.地方自治体
地方自治体に公務員として転職する際も、施工管理技士のスキルは役に立ちます。土木部門や耐震工事、復興部門で経験者採用をおこなっている自治体もあり、そのような部署で働くことで前職の経験を活かせるでしょう。
5.施工管理の資格を取得するメリット
施工管理技士の資格を取得すると、さまざまなメリットを得ることができます。
5-1.需要が高い仕事である
ビルやマンションといった建築物などの需要は高く、また老朽化にともなう建て替えニーズも継続的に発生するため、安定した需要が見込まれます。建設業界は全体的に人手不足であり、施工管理の有資格者は有望な人材として企業から注目される存在になれるでしょう。
5-2.仕事を形に残すことができる
建築の仕事は「地図に残る仕事」ともいわれ、自分が携わった建造物が長く街に残ります。そのため達成感が大きく、やりがいを感じたい人の転職先として向いています。
5-3.女性の活躍が期待できる
建設業界は男性の比率が高い業界ですが、施工管理は男性だけでなく女性にも向いている仕事です。「こまかい点に気付きやすい」「柔軟な発想力」など、女性ならではの特性を施工管理の仕事に活かせるでしょう。
以下の記事では、技術職はなぜ女性におすすめなのかをより詳しく解説しています。
6.施工管理に向いている人
どの仕事にも向き不向きはありますが、施工管理の仕事にはどんな人が向いているのでしょうか。
6-1.リーダーシップがあること
施工管理の担当者は大勢の人をまとめる立場となるため、強いリーダーシップが求められます。工事の進捗を巡って現場から意見が出ることもありますが、その都度対応が変わるとスケジュールに影響を及ぼすばかりか、周囲からの信頼を得ることも難しくなります。
現場の声に耳を傾けつつ、自分の判断に自信をもって作業者を動かすことができる人が施工管理に向いています。
6-2.コミュニケーション能力が高い人
施工管理の役割は多岐にわたるため、仕事で関わる人も多くなります。顧客はもちろん、事務、職人など、さまざまな立場の人と円滑にコミュニケーションをとって信頼関係を構築することが求められます。そのため、コミュニケーション能力に自信がある方は向いているといえるでしょう。
6-3.スケジュール管理・調整能力がある人
納期までに工事を完成させることは、施工管理者の重要な任務の一つです。無理なく現実的な工事スケジュールの作成や、遅れに気付いて調整する能力が求められます。
6-4.危機管理能力がある人
安全管理も施工管理者の業務の一つです。工事現場全体を俯瞰して危険を事前に察知し、問題が発生する前に安全対策を講じる必要があることから、危機管理能力が求められます。
つねに周囲を見渡すことができ、何かあればすぐに行動に移せるような方は施工管理者に向いていると考えられるでしょう。
7.まとめ
施工管理は工事現場の進捗管理や予算管理などを担う重要な仕事であり、資格の種類によって管理できる現場は異なります。
建設業界全体で人手不足が慢性化する中、有資格者は有望な人材として重宝されるはずです。建物の老朽化による修繕や建て替えなどのニーズは常にあるため、需要が高い業界で安定して働きたい人にも向いています。
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