工場の仕事内容
更新日:2024年01月26日

在庫の棚卸しとは?手順や目的、実施するタイミング、効率化するための4つのポイント

在庫の棚卸しとは?手順や目的、実施するタイミング、効率化するための4つのポイント

※この記事は6分で読めます。

「棚卸しってどんな作業?」
「棚卸しを進める際のポイントや注意点を知りたい」
など、棚卸しの内容に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

棚卸しは、倉庫や出荷場などに残っている製品の数を調べることで、商品の入荷・保管・出荷時に記録されたデータ・帳簿上の在庫数との差異をなくし、正確な数を把握するために必要な作業です。

今回は、棚卸しの概要、種類や目的、方法ごとのメリットやデメリット、ポイントや注意点などを解説します。この記事を読めば棚卸しのことがよくわかり、工場で働くときに活かせるようになります。

1.在庫の棚卸しとは?

棚卸しは、工場や倉庫内、出荷場の在庫数などを調べる作業のことです。棚卸しを通じて純利益を正確に把握することや、データ・帳簿上の在庫と実際の在庫数に差異がないかを確認するためにおこなわれます。

事業の運営には必要不可欠な作業であるため、大手の工場から中小企業、個人店舗まで、棚卸しはどこでも必ずおこなわれています。

以下の記事では、物流管理についてより詳しく解説しています。

2.在庫の棚卸しをおこなう目的

在庫数を明確にする棚卸しは、非常に手間と時間がかかる作業です。そもそもなぜ棚卸しをする必要があるのでしょうか。その目的について解説します。

2-1.正確な在庫数の把握

棚卸しの目的の一つが、正確な在庫数の把握です。

製造業では、パソコン内のシステムによって製品の在庫数が管理されていますが、数が合わないと「システム上は即時出荷OKなのに在庫がない」という状態となり、お客様の納期に間に合わなくなる可能性があります。

棚卸しを通じて正確な数量を確認したうえでシステムに落とし込むことで、実際の在庫の正確な数がシステム画面に表示されるようになります。

2-2.出荷前の品質確認

実地棚卸しをおこなう場合は商品を一つずつ確認できるため、不良品の発見につながります。

棚卸しを含めた一定のタイミングで検品を実施することで品質を保つことができ、不良品を出荷してクレームにつながる事態を防ぐことができます。

2-3.在庫過多によるリスク回避

棚卸しをおこなうことで、在庫過多になっていないかの確認もできます。

在庫は、ニーズに対して少なすぎるとチャンスロス(販売機会を逃すこと)につながりますが、多くなりすぎると管理コストが増えすぎたり、需要のある製品の保管スペースがなくなったりするリスクがあります。

長い期間にわたって保管することで品質が劣化することも考えられます。

売れ残りの状況を把握することで、仕入れるべき商品・そうではない商品を見極めることができます。

3.在庫の棚卸し方法と手順

ここからは、棚卸しの方法の種類とそれぞれの特徴、メリットやデメリットについて解説します。

3-1.実地棚卸し

実地棚卸しは、実際に倉庫や出荷場といった現場に出向いて在庫を数える方法です。実際に目で見て数を数えつつ、製品の品質確認を同時並行でおこなうこともあります。

大まかな流れをまとめると以下のとおりです。

  • スタッフが全員で工場・倉庫・出荷場などすべての在庫を数える
  • 並行して品質確認をおこなう場合もある
  • 作業終了後に「棚卸表」を作成する
メリット デメリット
担当者の目で確認することで品質管理を兼ねることができる 作業者の手が止まってしまう

3-1-1.一斉棚卸し

一斉棚卸しは棚卸し以外のすべての作業を止め、担当者全員が実際の在庫を数える方法です。

  • 営業や製造などの日常業務をストップする
  • スタッフが全員で工場・倉庫・出荷場などすべての在庫を数える

一度にまとめて作業をおこなうため、帳簿と在庫が合わない場合に間違いを発見しやすい方法です。

メリット デメリット
帳簿と現物在庫の相違の原因を発見しやすい 全員で手を止める必要があるため、日常業務ができない

3-1-2.循環棚卸し

循環棚卸しは各従業員の作業を止めることなく、区画を決めて棚卸し作業を順番におこなっていく方法です。本来の仕事をやりながらの作業であり、棚卸し作業が本業に合わせて中断される特徴があります。

  • 棚卸しをおこなう区画を決める
  • 日常業務をおこないつつ、区画ごとに順番に棚卸し作業をおこなう
  • メリット デメリット
    日常業務を止めずに在庫の確認ができる 分割して作業することで正確な作業が難しい

    3-1-3.タグ方式(棚札方式)

    タグ方式は実地棚卸しの方法の一つで、在庫品の情報を記載した荷札(タグ)を現物に貼って数を管理する方法です。

    • 担当者が棚卸しをおこなう
    • 在庫品の情報を書いた荷札を貼る
    • リスト上の在庫との差異を調べる

    先に現物の数量を数えてからリストの在庫数と比較するため、計上漏れが発生する可能性が低い方法です。

    メリット デメリット
    計上漏れのリスクが低い 荷札を作成する工数がかかる

    3-1-4.リスト方式

    リスト方式も実地棚卸しの方法の一つで、対象の製品を目視で数えながら、在庫管理表に記載された数量と差異がないか確認する方法です。

    • 在庫管理表など理論在庫がかかれたリストを用意する
    • リストとの差異がないか確認する
    • リストにデータ・帳簿上の在庫数がすでに記載されており、在庫の確認がスムーズに進みます。

      ただし、前提となるリストの情報が間違っている場合、数え漏れが発生する点がネックです。確認済みの在庫と未確認の在庫がわかるように目印をつけるなどの工夫も必要になります。

      メリット デメリット
      データ・帳簿上の在庫を見ながら確認できるため、効率的に棚卸しができる リスト自体に間違いがあると数え漏れを発生させるリスクがある

      3-2.帳簿棚卸し

      帳簿棚卸しは、帳簿上の在庫がいくつあるかを確認する方法です。実地棚卸しと違って担当者による目視確認はおこなわず、日々の製品の在庫数が記録されたシステムを確認することで在庫確認をおこないます。

      • 製品を出し入れする都度、在庫の数を在庫管理表に記入
      • 期末に在庫管理表を使って在庫の数・金額、資産額などを計算する
      • 作業者の手を止めずに作業が完了しますが、品質確認ができない点に注意する必要があります。

        メリット デメリット
        作業を止めずに棚卸しができる 品質低下を把握できない

        4.在庫の棚卸しをおこなう時期と頻度

        棚卸しは決算の際に必要になる情報であり、「年度末」におこなわれるのが原則です。頻度は最低でも年1回は必要で、より正確な管理をしたい場合は「半年に1回」「四半期に1回」というペースでおこなうこともあります。

        製造業以外の業界、例えば日常的に在庫を抱える生鮮売り場などの場合、月1回の頻度でおこなうこともあります。

        5.在庫の棚卸しを効率化する3つのポイント

        棚卸しにはさまざまな方法がありますが、どのやり方にも共通するコツやポイントがあります。ここからは、すべての棚卸しで意識すべきポイントについて見ていきましょう。

        5-1.ヒューマンエラーを防ぐ

        棚卸し作業は、在庫の数を数える、記入するといったシンプルな作業工程ですが、だからこそヒューマンエラーが発生しやすい作業です。

        ヒューマンエラーで数え間違いが起こると正確な棚卸し作業に支障が出るため、以下のような対策を心がける必要があります。

        • 作業は2人1組で実施する
        • 数量だけでなく状態も確認する
        • 見通しの悪い管理場所を見落としていないか確認する
        • 棚卸し実施者と台帳への反映作業をおこなう担当者を分ける

        まず、棚卸しは2人1組でチームを組んでおこなうことが鉄則です。効率的に作業することはもちろん、見間違いや記録間違いといったミスを発見しやすくなります。

        また、棚卸しでは数量を数えるだけでなく、製品の状態を確認することも必要です。破損を発見できないまま現場スタッフが廃棄してしまうと、実在庫と理論在庫とのかい離がますます大きくなるでしょう。

        数量と併せて品質も確認し、不良品が見つかった場合は廃棄した数量を棚卸表に反映させることで、正確な数量確認にもつながります。

        5-2.作業を分担・分割する

        2人1組になって仕事をしたとしても、それぞれがバラバラに作業をしてはヒューマンエラーを見つけることはできません。

        「1人が実地棚卸しをおこなう」「もう1人が台帳への転記や製品の品質確認、見逃しがないかの確認をおこなう」といったように役割を分けることでミスを減らし、効率的に作業が進むようになります。

        5-3.終了後に作業手順を見直す

        実地棚卸しが終わったあとは、作業内容について振り返りと反省をおこないましょう。振り返りをおこなうことで、管理上の課題が見つかることもあります。

        反省点や改善点が見つかったら、日常の業務や来年の棚卸しに活かせるようにメモを残したりといった対策を実施しましょう。

        年に1度しか棚卸しをしない会社の場合、せっかく問題点が明らかになっても来年には忘れてしまう懸念があります。反省結果を来年の担当者に残すことで、次回はよりスムーズな棚卸しができるでしょう。

        6.在庫の棚卸しの注意点

        棚卸しは、単に数を数えて台帳に書けば終わりではありません。のちの業務を円滑に進めるために、作業していくうえでいくつかの注意点があります。きちんと完了させるための注意点、品質管理、表の保存期間、数が合わない場合の対処法などを解説します。

        6-1.在庫数だけでなく品質や状態も確認する

        実地棚卸しにおいては、数だけではなく「不良品がないかどうか」を確認することも重要な作業です。工業製品なら破損や傷、色あせなど、生鮮や食品なら腐敗や劣化などが該当します。

        ただ、取り扱う製品によっても品質確認の有無は異なります。実際は現場を統括する管理職の指示に従うことになるでしょう。

        6-2.「棚卸表」は最低7年間保存する

        棚卸しをした結果は「棚卸表」にて保管することになります。棚卸表は在庫管理表の1種で、棚卸しを実施した製品の数量・金額などを一覧にして記入する表です。

        棚卸表は「棚卸しの実施日から最低7年間」は保存することが国税局から義務付けられているため、破損や紛失には細心の注意が必要です。担当者が変更しても過去の棚卸表の位置がわかるよう、保管場所は事前に決めておくと良いでしょう。

        6-3.在庫数が合わない場合は原因を考える

        日常業務をしているうちにデータ・帳簿上の在庫と実際の在庫数に差異が出ることは、製造業ではよくあることです。在庫の差異が出ないように業務改善を続けていくことは、製造業の永遠のテーマといえます。

        在庫差異があった場合は、以下の点で問題がなかったか確認し、以降の日常業務に活かします。

        • 棚卸し中のカウント漏れ
        • 棚卸し中の重複カウント
        • 在庫減の記録漏れ
        • 納品ミス
        • 取り置き商品

        まず考えられるのは、棚卸しをしたときの単純な計上漏れです。棚卸しの際に貼るべきタグが貼られていない(=棚卸しがされていない)在庫がないか確認することで解決する場合があります。

        また、日常業務のピッキングで手続きがおこなわれていないことも、よくある原因です。出荷のために在庫から製品を取り出したらシステム上で在庫を減らしますが、その作業をせずに梱包してしまうと数量に差異が生まれます。

        あるいは、出荷するために準備した製品が出荷場に残ったままの場合も、同様に実際の在庫数との差異が生まれるでしょう。すでに在庫から差し引いてある取り置き製品をカウントしてしまうことも同様です。

        原因を発見できたら、次回同じことが起こらないように申し送り事項に記載しておきましょう。

        7.まとめ

        棚卸しは決算で利益を確定させるため、データ・帳簿上の在庫と実際の在庫数とのズレ具合を確認するためにおこなわれる作業です。全数を目視で数える「実地棚卸し」、システム上の在庫を数える「帳簿棚卸し」などがあり、決算のために年1回は必ず実施されます。

        棚卸しを通じて在庫数を合わせたり不良品を廃棄したりすれば、そのあとの日常業務がスムーズに進むことが期待できるでしょう。

        正確に数を数えることが得意なら、棚卸しの仕事が向いている可能性があります。興味があれば、一度JOBPALの求人情報を確認してみてはいかがでしょうか。

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