日本の四大工業地帯は?場所や工業地域との違い、働く方法を解説
※この記事は4分30秒で読めます。
「工業地帯って何?」
「工業地帯でどのような仕事ができるか知りたい」
など、工業地帯の成り立ちやできる仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
工業地帯は、日本のなかでも特に工業が盛んなエリアであり、場所によって主に製造される製品に違いが見られます。
今回は、工業地帯の概要、工業地域との違い、よく知られている工業地帯・工業地域の特徴などを解説します。この記事を読めば工業地帯の仕事がよくわかり、転職活動の参考にできます。
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1.日本の工業地帯とは?
工業地帯とは、「多くの工場が密集していて工業生産が盛んな地域」のことです。
日本でもっとも工業が盛んとされる「三大工業地帯」に関しては、すべて海に近い場所に形成されており、太平洋の沿岸部にある工業が盛んな地域をまとめて「太平洋ベルト」と呼ぶこともあります。
このような工業の成り立ちに関する知識は、工場での仕事を希望する方は基礎知識として知っておきましょう。
1-1.工業地域との違い
工業地帯と似た言葉として「工業地域」があり、一般的に以下のような使い分けがされています。
工業地帯 | 戦前~昭和30年代の「高度経済成長期」までに形成された、京浜・阪神・中京・北九州の4つの地域を指す |
工業地域 | 高度経済成長期以降に形成された工業が盛んな地域を指す |
しかしながら、上記の使い方は公的に定められたものではなく、「工業地帯」と「工業地域」に明確な違いはありません。
1-2.三大工業地帯と四大工業地帯の違い
日本のなかで特に工業が盛んな地域を指して、かつては「四大工業地帯」と呼ばれていました。現在では石炭産業の需要が減って生産額が減少したことで北九州工業地帯が取り除かれ、「三大工業地帯」と呼ばれています。
それぞれ構成される工業地帯の違いは以下のとおりです。
三大工業地帯 | 四大工業地帯 |
---|---|
・京浜 ・中京 ・阪神 |
・京浜 ・中京 ・阪神 ・北九州 |
2.日本の四大工業地帯の一覧
日本のなかでも特に工業が盛んな四大工業地帯の特徴について紹介します。
2-1.京浜工業地帯
「京」は東京、「浜」は横浜のことです。東京都から千葉県、神奈川県(横浜市)にかかる工業地帯が京浜工業地帯と呼ばれます。その名のとおり首都・東京を擁することが最大の特徴で、人口の多さや交通の利便性もあって東京湾周辺に工業地帯が形成され、それが今日まで続いています。
京浜工業地帯で特に栄えているのは、「機械工業」「化学工業」「印刷業」です。特に印刷や出版関係の工場は、他の工業地帯に比べ多く立ち並んでいます。
2-2.中京工業地帯
愛知県の東部から岐阜県、三重県の北東部に広がる工業地帯です。「東京都」と「京都府」の中間に位置する立地から「中京」と呼ばれます。中部の要所である名古屋市を中心に栄えてきました。
愛知県は、日本で最高の時価総額を誇る企業であるトヨタ自動車関連の工場が多いことでも知られています。戦前から高度経済成長期にかけて栄えた織物・紡績関係の産業が下火になるなか、主要産業として自動車が大きく台頭しました。
そのため、自動車工場や石油の重化学工業に興味がある方に向いた工業地帯といえるでしょう。
2-3.阪神工業地帯
大阪府から兵庫県に広がる工業地帯です。神戸港や関西国際空港など、貿易の要(かなめ)となる港や空港をいくつも擁しています。
この地域は、第二次世界大戦前までは日本一の工業地帯でした。機械・金属・鉄鋼・石油化学など、さまざまな製品が生産されている点が特徴的で、中小の工場が多く点在しています。その様子から「総合工業地帯」と呼ばれることもあります。
また、ほかの工業地帯と比較して繊維工業が盛んな点も特徴的です。地域に根差した中小企業の工場で働きたい方に向いているといえます。
2-4.北九州工業地帯
福岡県の北九州市を中心とした工業地帯で、かつては「八幡製鉄所」の存在で有名でした。
前述のとおり、以前は三大工業地帯と合わせて四大工業地帯の一つに数えられてきましたが、かつて主流だった石炭業が衰退したことから、現在では北九州工業地帯は四大工業地帯から除かれるようになっています。しかし現在でも、機械工業や金属工業、食品製造業などは盛んです。食品製造業の割合が高めなため、食品工場に興味がある方に向いているでしょう。
3.その他の主要な工業地域一覧
ここからは、四大工業地帯以外にある日本の主要な工業地域をご紹介します。
3-1.関東内陸工業地域
栃木県や群馬県、埼玉県などを含む工業地域です。今回ご紹介するなかで唯一、海に面していません。立地上、「原油・ガス」といった輸入に頼った工業には不向きな代わり、整備された高速道路を使って集まる部品を加工する工場が多い傾向にあります。
関東内陸工業地域で盛んなのは機械工業です。複数のパーツを組み立てる機械工業に興味があれば、ぜひ仕事を探してみましょう。一方、化学工業や食品製造業の割合が低い点に特徴があります。
3-2.東海工業地域
静岡県の浜松市や富士市を中心に発展してきた工業地域です。静岡県の西部には、ホンダ、スズキ、ヤマハといった有名なメーカーがあり、自動車やバイクの生産が盛んとなっています。浜松では楽器の製造も盛んです。
富士市では、富士山からの良質な湧き水を大量に得られることなどを理由に、製紙・パルプ工場が多くあります。
こうした日常生活でも目にする工業品の生産に興味があれば、ぜひ東海工業地域で働いてみてはいかがでしょうか。
3-3.京葉工業地域
東京都と千葉県の沿岸部に位置する工業地帯で、化学工業が特に盛んな点に特徴があります。化学工業の原料は海外からの輸入に頼っており、海に面している京葉工業地域なら輸入が容易であることが発展の大きな要因です。完成した化学製品を海外に輸出する際にも便利な立地となっています。
また、千葉県には成田空港(新東京国際空港)があるため、空輸に適した軽量な化学工業製品の工場も多くあります。
これらの製品の製造に興味がある方に、京葉工業地域の仕事は向いているでしょう。
3-4.瀬戸内工業地域
中国・四国地方に広がる工業地域です。日本で3~4番目に出荷額が大きい工業地域として栄えています。
広島では、自動車メーカーのマツダが有名です。近隣地域には関連する工場が数多くあります。また瀬戸内は綿花が集まる地域として繊維工業も盛んです。こうした身近な工業製品に興味がある方に向いています。
4.主要な工業地帯の工場で働くには?
工業地帯の仕事は、工場に特化した求人サイトやハローワークで探すことで見つけることができます。どの工業地帯を選ぶかによって働ける業種や製造するものが異なるため、まずは自分が通える範囲の工業地帯がどこにあるのか、希望する仕事とそれぞれの地域で得意としている工業品がマッチしているかを調べてみることをおすすめします。
働きたい工業地帯が決まっていれば、その工業地帯に工場を構える会社のホームページの求人欄をチェックしてみると良いでしょう。
働きたい工場がうまく見つけられない場合は、JOBPALの面談をぜひご活用ください。面談を通じてお仕事の相談ができるため、工場の仕事探しにお役立ていただけます。
5.まとめ
「工業地帯」と聞くと、自動車や鉄鋼製品の工場を思い浮かべる方が多いと思いますが、実際は化学工業が盛んだったり、楽器製造が盛んだったりと、地域ごとに主要な工業品は大きく異なります。自分がどのような製造業で働きたいのかが明確になれば、それに合った工業地帯にある数多くの企業から転職先を見つけられるでしょう。
まずは自身が希望とする仕事内容を明確にするためにも、ぜひJOBPALの面談を受けてみてはいかがでしょうか。