建設に使われる機械にはどんな種類がある?12種類を紹介
※この記事は6分で読めます。
「建設機械にはどんな種類があるの?」
「建設機械の用途や免許について知りたい」
など、建設機械の種類に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
建築・土木の現場ではさまざまな建設機械が使われますが、使われる機械の種類は現場ごとにさまざまです。
今回は、主な建設機械の種類と使い方、必要な免許などを解説します。この記事を読めば、建設機械の種類のことがよくわかり、建築・土木に転職する際の参考になります。
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1.油圧ショベル・ミニ油圧ショベル
油圧ショベルは、先端に「バケット」と呼ばれるショベルがついた建設機械です。ユンボ、パワーショベル、バックホウなどと呼ばれることもあります。
油圧ショベルはクローラ(キャタピラ)で走行します。上部旋回体の前面からブームとアームが伸び、バケットを使って土を掘り上げて運搬したり、積み込んだりできます。
一般道では走行できないため、現場へはトレーラーに積み込んで運ぶことが基本です。サイズは、バケット容量0.01㎥・運転質量500kgのミニサイズから、バケット容量3.90㎥・運転質量85tの超大型サイズまで、さまざまな種類があります。
1-1.主な使い方
建設や土木の現場での掘削やトラックへの積込み作業で活躍します。また、林業の間伐、地山の切り取り、法面の整形など、さまざまな現場と用途で用いられます。
1-2.必要な免許や資格
油圧ショベルを運転するには、小型車両系建設機械の運転の業務に係る特別教育の受講と修了が必要です。
2.建設用クレーン
建設用クレーンは、重い荷物を吊り上げて移動させる機械のことです。ビル建設で鉄骨を上層に運んだり、基礎工事をしたりする際に利用されます。
小型の移動式かにクレーン、大型移動式クレーンのほか、不整地走行に向いたラフテレーン、ラフテレーンよりスムーズな走行が可能なオールテレーンといった種類にわかれます。
また、高層ビルの建設現場で利用されるクレーンはタワークレーンと呼ばれます。タワークレーンは現場作業が終了したあと解体され、次の建設現場に移動して再び利用する点が特徴です。
2-1.主な使い方
クレーンの種類によって利用できる現場は異なります。
例えば、タワークレーンは高層ビルや大型建築物の建設、ラフテレーンは基礎工事、山間部などは、かにクレーンといった具合です。
2-2.必要な免許や資格
クレーンの操縦には、クレーン・デリック運転免許の取得、小型移動式クレーン運転技能講習、玉掛け作業者講習などの受講が必要です。
どの免許を取得するか、講習を受講するかは、クレーンの重量などによって変わります。
3.トラクタ(ブルドーザー)
トラクタは、建築現場で土を押したり削ったりできる機械です。
トラクタの前面にブレードが備えられており、ブレードに機体の重量をかけることで車体を前進させて土を堀り上げていきます。山を削ったり、土砂の山を一気に運んだりする際に便利です。
トラクタ(ブルドーザー)には乾地用と湿地用の2種類があり、乾地用では運転質量8tから100t超クラスまであります。湿地用はやや小型で、運転質量8tから28tクラスがあります。
3-1.主な使い方
土木や建築、ダムといった工事現場で、土を押し出したり整地したりといった作業で活躍します。専用のアタッチメントをつけることで溝堀やパイプ埋設にも利用可能です。
3-2.必要な免許や資格
トラクタの操縦には、車両系建設機械(整地・運搬・積込および掘削用)運転者技能講習の受講と修了が必要です。
4.ホイールローダー
ホイールローダーは、車体前面にあるバケットを使って土砂を積み込んだり、土砂を持ち上げたまま移動したりできる機械です。
小回りが利くタイヤ式と、アーティキュレート構造によって高い走行性能がある中折式があります。
ホイールローダーは油圧ショベルよりも大きなバケットを備えており、土や土砂などをすくい上げる仕事に適しています。
サイズは、バケット容量0.4㎥・運転質量3tから、バケット容量20㎥・運転質量200t程度まで、バリエーション豊富です。
4-1.主な使い方
建設現場で出た土砂の運搬のほか、除雪作業や農業飼料の運搬に利用することもあります。
4-2.必要な免許や資格
車両重量が3.5t未満(最大積載量が2t未満)であれば、普通免許で運転が可能です。3.5t以上7.5t未満なら準中型自動車免許、7.5t以上11t未満なら中型自動車免許、11t以上なら大型免許が必要です。
バケットを取り付けての作業では、車両系建設機械(整地・運搬・積込および掘削用)運転者の技能講習の受講と修了も求められます。
5.ダンプカー
ダンプカーは、荷物の運搬に使われる車両のことです。現場で掘削した土砂・砕石などを荷台に入れて運ぶだけでなく、荷台を持ち上げることで運搬物を荷下ろしすることもできます。
よく使われるのは、車体が折れ曲がる構造で小回りが利くダンプトラック、荷台がスライドして重機を積載できるローダーダンプの2種類です。
一般的なダンプトラックの場合、積載量は35t程度となりますが、現場によっては積載量が200tを超えるサイズのダンプカーもあります。
5-1.主な使い方
ダム工事や宅地造成、トンネル工事など、土砂や砕石の運搬が必要な現場で幅広く活躍します。
5-2.必要な免許や資格
ダンプトラックやローダーダンプの運転には大型免許、大型車両に分類されないダンプカーの場合は中型免許の取得が必要です。
6.グレーダー・モーターグレーダー
道路工事や路盤整形のために、土木工事の整地作業で活躍する建設機械です。
前輪と後輪のあいだにブレードが備わっており、このブレードを用いて地表を削ったり路盤材料を敷きつめたりすることで、地面を平らに仕上げます。ブルドーザーよりもホイールベースが長く、仕上げ面がきれいという点も特徴です。
サイズ感はさまざまですが、大型のものでは全長12m、ブレード幅4.9m、運転質量が30t以上にもなります。
6-1.主な使い方
宅地造成や空港の建設など、広大な平地を作る必要がある際に利用されます。また、除雪作業でも利用可能です。
6-2.必要な免許や資格
公道を運転する際には大型特殊免許、作業で操縦するには車両系建設機械(整地・運搬・積込および掘削用)運転者の技能講習の受講と修了が必要です。
7.スキッドステアローダー
スキッドステアローダーは、ホイールローダーと似た見た目をしており、運搬に利用される建設機械です。
タイヤで走行するものはスキッドステアローダー、クローラ式のものはコンパクトトラックローダーと呼ばれます。
前方にバケットがついていて、土砂をすくい上げられる点ではホイールローダーに似ていますが、車体が小さいこと、旋回が可能なことなどが大きく異なります。
また、多種多様なアタッチメントを取り付けて用途に応じた利用も可能です。
運転質量は2.7t程度で、バケット容量は0.4㎥と、ほかの機械と比べて比較的小型となっています。
7-1.主な使い方
建築現場での土砂の積み込みや運搬、除雪などで幅広く活躍します。
7-2.必要な免許や資格
運転には小型特殊免許か普通自動車運転免許が必要です。公道を走る場合は、警察署への届け出が求められます。
8.杭打機(くいうちき)
サイレントパイラーとも呼ばれる、基礎工事で杭を打つ際に利用される建設機械です。軟弱な地盤に杭を打ち込むことで地盤を安定させ、地震に強い建物を作るのに貢献します。
杭打ちの方法は、ハンマーで打ち込む打撃式、油圧ユニットで杭を打つ圧入式、スクリューで掘り進む掘削式などがあり、状況に応じて適したタイプを使いこなすことになります。
8-1.主な使い方
道路やビルといった大型建造物の土台となる基礎杭を打ち込むために利用されます。
8-2.必要な免許や資格
操縦には、車両系建設機械(基礎工事用)運転技能講習の受講・修了が必要です。
9.舗装機械
道路の路面を舗装したり、路面を締め固めたりする際に利用される建設機械のことです。アスファルトフィニッシャーやタンデムローラーといった種類があります。
アスファルトフィニッシャーは、アスファルト合材をホッパーから車体後部のスクリードに送り、バーナーで加熱して合材を溶かして、走行しながら合材を敷くことができます。
スクリードの幅によって車両が分類されますが、6m以下のものが日本では一般的に利用されます。
タンデムローラーは車体の前後に1つずつ車輪を備えた、いわゆるロードローラーのことです。前後のローラーで走行しながら地面を圧迫するのに用いられます。
9-1.主な使い方
アスファルトフィニッシャーはアスファルトを敷く作業に、タンデムローラーはアスファルトを押し固める際に利用されます。
9-2.必要な免許や資格
運転する車両のサイズによって、小型特殊免許または大型特殊免許が必要です。
また、舗装作業で運転するためには、車両系建設機械(整地・運搬・積込用および掘削用)運転技能講習を受講・修了すること、または2級以上の建設機械施工技士資格が必要です。
10.選別機
スクリーンとも呼ばれる、掘削作業で生じた廃棄物を大きさごとに選別する建設機械です。
土砂や廃棄物をホッパー部から投入することで大きさ別に仕分けることができます。選別したものはプラスチックや金属などに仕分けされ、資源として再利用されます。
10-1.主な使い方
掘削や土木工事の現場で、木材の処理や廃棄物の処理に利用されます。
10-2.必要な免許や資格
作業をするのに特定の免許は不要です。
11.粉砕機
ジョーククラッシャーとも呼ばれる、砕石やコンクリート、アスファルトなどを粉々に砕くための機械です。前述の選別機で選別したものを細かく砕くことで再利用を可能にします。
ホッパー部に集めた産業廃棄物や混合廃棄物をベルトコンベアーで送り、粉砕部で細かく粉砕される仕組みです。粉砕の仕方によって以下のような種類にわかれるので、主な違いを把握しておきましょう。
- 対象を回転する刃に押し付けて粉砕する「一軸粉砕機」
- 二つの回転する刃でハサミのように粉砕する「二軸粉砕機」
- 高速回転するハンマーでたたき割る「ハンマー式」
- 油圧ショベルのバケットがクラッシャーになっている「バケットクラッシャー」
大きさはさまざまで、家庭用でも使えそうな小型のものから、鉱山で使うような大型のものまであります。
11-1.主な使い方
岩石などを運搬に適した大きさまで小さくすることや、道路・土木に使われる敷石・砕石など、特定の大きさを必要とする石を用意するのに利用されます。
11-2.必要な免許や資格
作業をするのに特定の免許は不要です。
12.穴掘建柱車
ポールセッターとも呼ばれており、電柱などを設置する掘削機能を備えたクレーンのことです。
クレーン先端部にアースオーガが付いており、ドリルのように進むことで掘削作業ができます。電柱などを立てるための穴を掘ることと、柱を吊り上げて設置することを1台でこなすことができます。
穴掘建柱車はトラックに連結しているため、工事現場まで自走することも可能です。
2t車・3t車・4t車の3種類に分類されます。運転免許の取得時期によっては、普通自動車免許で4tトラックを運転できないため、準中型免許以上が必要となります。
12-1.主な使い方
電柱などを設置する道路工事で利用されます。
12-2.必要な免許や資格
本体となるトラックを運転するためには、普通自動車運転免許以上が必要です。
13.まとめ
建設現場では、さまざまな建設機械・重機が利用されますが、機械ごとに適した現場や必要となる免許が異なります。
これから建築・土木関係への就職を目指している方は、建設機械の特徴や必要な資格を押さえておきましょう。建設機械の運転に必要な免許を先回りして取得すれば、理想の転職を実現する近道となるでしょう。
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