工場の仕事内容
更新日:2023年10月20日

保温工事とは?種類や向いている人の特徴、おすすめの資格を解説

保温工事とは?種類や向いている人の特徴、おすすめの資格を解説

※この記事は5分30秒で読めます。

「保温工事ってどのような仕事?」
「保温工事に向いている人の特徴を知りたい」
など、保温工事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

保温工事は、配管やポンプ、ダクトなどの設備を保護材や板金で保護する仕事で、大型の工場から個人の住宅までさまざまな現場で活躍できます。

今回は、保温工事の概要と仕事の種類、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば、保温工事のことがよくわかり、自分に合う仕事かを判断できるようになります。

1.保温工事とは?

保温工事とは、配管やポンプ、ダクトなどの設備を「ロックウール」「グラスウール」といった保護材や板金で覆い隠し、熱の放散を防ぐためにおこなう工事のことです。

配管で熱水やガス、蒸気などを運ぶ際、一定の温度を保つ必要があります。温度を保ったままの運搬を実現することが保温工事の目的です。

また、保温することによってやけどを防止する効果や、熱エネルギーの発散を少なくすることで省エネ・コストカットにもつながります。配管に結露がつくことによる壁材のシミを防止し、設備を長持ちさせる効果もあるでしょう。

保温工事を手がける職人を「保温工」とも呼び、保温工事をおこなう場所としては、以下のような設備や配管があります。

  • 給排水衛生設備
  • ビルやアパート・マンションの冷暖房換気設備
  • 工場の高温蒸気装置
  • 空気を送るダクト
  • 半導体工場のクリーンルーム など

例えば、半導体工場などに設置されたクリーンルームには、正常な空気を送るための空調設備がありますが、クリーンルームの環境維持のためにも保温工事が実施されます。

2.保温工事の種類

保温工事で使用される保温材としては、以下の3種類が一般的です。

  • ロックウール:岩石が原料の保温材
  • グラスウール:リサイクルガラスが原料の保温材
  • 発泡スチロール:石油から作られた「ポリスチレン」が原料の保温材

例えば、ロックウールは耐熱温度が高い(約600度)でことを活かして高温の設備で利用されるといったように、用途に応じて使い分けられます。

これらの保温材を使って保温工事がおこなわれることになりますが、ひとくちに「保温工事」といっても以下のような種類に分かれています。

2-1.保温板金工事

保温板金工事は、配管などに巻いた保温材をカバーするために板金工事をおこなう作業です。ステンレスやアルミ、カラー鉄板などを使って保護することを「ラッキング」と呼ぶこともあります。

中と外の断熱に加え、雨・風・太陽光などによって保温材・配管が劣化することを防ぐのが目的です。

現場では保温材を切断する「保温材切断ナイフ」や、断熱材や金網などの切断に使う「ラシャハサミ」、ラッキング材の切断に使う「柳刃」などを使用します。

2-2.保温保冷工事

保冷工事は、常温以下の冷たいものを冷たいまま維持するためにおこなう工事です。保温工事と呼ばれる場合は、高温を維持するためにおこなう工事を指します。

熱を伝えにくい材料を取り付けて、熱の損失を防止するのが基本的な工事の流れです。熱の損失を少なくすることによって電気や燃料の節約になるだけでなく、二酸化炭素排出の削減にもつながります。

施工される場所は火力発電所や原子力発電所、石油化学工場や製紙工場など多岐にわたります。使用材料としては保冷工事ではポリスチレンフォーム、ウレタンフォームなど、保温工事ではグラスウールなどです。

2-3.断熱工事

断熱工事は保温工事と同様、断熱のためにおこなわれる工事です。

保温工事は大規模な工場が対象になっていましたが、断熱工事は主に住宅などの室内温熱環境が外部に影響されにくくなるように実施されます。

2-4.熱絶縁工事

熱絶縁工事とは、冷暖房設備、冷凍冷蔵設備、動力設備、燃料工業・化学工業などの設備の熱絶縁をおこなう工事です。

熱エネルギーを効率的に無駄なく利用するために保温・保冷の工事を施すことで、ダクトやタンクなどから熱放散を防ぐことが可能になります。

保温工事・保冷工事の正式名称が「熱絶縁工事」であり、建設業許可の名称や官公庁の工事といった公的な場面では保温工事・保冷工事よりも熱絶縁工事という名称が使われることも多いです。

3.保温工の平均年収

厚生労働省の職業情報提供サイト「jobtag」によると、保温工の平均年収は460万7千円でした。給与所得者の2021年の平均給与は443万円だったことを考えると、保温工は平均以上の給与を得られる可能性のある仕事だとわかります。

令和4年度の賃金月額は約26万4千円で、人数割合をみると20万400円がもっとも多く、それより高額の給与を受け取る方は減少傾向にあります。

ただし、44万3,500円程度の月収を受け取っている方が30万円台後半の給与の方よりも多いという特徴があり、ベテラン保温工になると高月収・高年収も期待できるでしょう。

年齢別の年収をみてみると20代前半は年収300万円台と低めである一方、40歳で平均年収534万7,700円になるまでは一貫して右肩上がりになっています。40歳前後をピークに、その後は徐々に減少していく点も特徴的です。

4.保温工が向いている人の特徴

保温工は配管やダクトに断熱材を取りつけるという点から高所での肉体労働になることも多く、向き・不向きがあります。保温工を目指す方は、ご自身が仕事内容に向いているかを検討しましょう。

保温工に向いているのは、以下のような方です。

4-1.手先の器用さに自信がある

保温工事では保温材を切断するためのナイフ、板金を切断するための「ラシャハサミ」といった工具を使用します。作業を少しでも間違えると手指の大けがにつながるため、普段から工具類を使い慣れていて手先の器用さに自信がある方が保温工に向いているでしょう。

例えば、DIYのような工具を使った作業を趣味にしている方や、プラモデルのような細かい部品を丁寧に組み立てることが好きな方は、保温工の仕事に向いている可能性があります。

4-2.体力に自信がある

保温工は常に体を動かす現場仕事であり、仕事をこなすには体力が要求されることがあります。特に足場が不安定な高所での作業はバランス感覚が要求され、体力が落ちてフラフラしてしまうと落下の可能性もあって危険です。

普段から現場系の仕事や体を動かすアルバイトを経験していて体力に自信のある方は、保温工に向いているでしょう。

4-3.高いところが好き

保温工は配管やダクトなどに保温・保冷のために保温材を取りつけるという関係上、作業台などの上に立って高いところで作業をすることが少なくありません。

吊り橋やタワーといった高所に訪れても平気な方であれば、保温工の仕事でも役に立つでしょう。

5.保温工におすすめの資格

保温工になるのにあたって、必須になる資格はありません。保温事業をおこなう会社に入社したあと、保温工の見習いとして先輩保温工から技術を教わり、技能を習得して現場に配属されます。

会社によっては資格取得支援制度が用意されており、入社後に関連資格を目指すことも十分に可能です。

保温工のスキルアップにつながる資格としておすすめの資格は「熱絶縁施工技能士」です。資格を取得することで、建設業許可における「熱絶縁工事」の専任技術者になる(2級では合格後1年以上の実務経験が必要)ことができます。

等級が1~2級まで分かれており、級によって資格要件として求められる実務経験が以下のように異なります。

  • 2級:2年以上の実務経験
  • 1級:無資格では7年、2級取得後2年、など

大規模な保温工事現場では熱絶縁施工技能士の常駐が義務付けられているケースがあり、職長として働くには有資格者になることが求められます。将来的に保温工として出世を狙うなら早めに取得しておくと良いでしょう。

合格率に関しては、都道府県ごとに異なりますが、2級で約4~7割、1級で4~5割程度とされています。比較的合格率は高めですが、「保温保冷工事作業」と「硬質ウレタンフォーム断熱工事作業」の受験科目に分かれていて専門性が高く、実務経験も求められます。

6.未経験でも保温工の仕事につける?

保温工に就職・転職するのにあたり、必須になる資格や特別な技能はありません。未経験からでの保温工を目指せます。

入社したあとは見習いとして仕事を始め、熱絶縁施工技能士などの資格を取得して職長を目指すというのが一般的なキャリアアップの流れです。

ただし、体力に自信のない方や高いところは得意でない方の仕事探しは、慎重におこなう必要があります。職場によってはかなりの体力と高所への慣れを要求されるため、可能であれば職場見学をしてから求人に申し込むのが望ましいです。

また、転職サイトの担当者に、求人の仕事内容の詳細を確認するという方法もあります。JOBPALでは面談を通じて仕事内容の詳細を確認できますので、気になる仕事がある方はお気軽にご相談ください。

7.まとめ

保温工事は建物のうち「配管」「空調用のダクト」などを保護材で囲むことで熱の放散を防ぎ、エネルギー効率を上昇させたり、やけどなどのケガを防止したりする重要な仕事です。

高所での仕事で体力が求められることもあって向き・不向きがありますが、ガスや熱水・蒸気といった生活に欠かせないインフラに関する仕事ができます。国家資格の有資格者になれば手に職をつけて安定して仕事ができるでしょう。

高所での作業を苦に感じない方は、保温工への転職・就職を検討してみてはいかがでしょうか。JOBPALでは製造・工場、設備保守といった求人をご用意しています。少しでも気になる求人があれば、ぜひお気軽に応募してみてください。

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