計装とは?具体例や仕事内容、計装士の資格のとり方を解説
※この記事は5分30秒で読めます。
「計装とはどのような仕事?」
「計装の資格の内容が知りたい」
など、計装に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
計装は、機械に測定装置や制御装置をつなげて正常に作動するようにする仕事であり、機械化された幅広い現場で働ける将来性の高さがあります。
今回は、計装の概要、計装の例、計装士のなり方、仕事内容、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば、計装士のことがよくわかり、転職後の働く姿をイメージできるようになります。
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1.計装とは?
「計装(けいそう)」とは、生産工程などを制御するために、「測定装置」「制御装置」などを取り付け、測定・制御をすることです。
工場は24時間稼働することも多く、もしも機械類に不具合が起きると生産ラインが止まって大きな損害につながる恐れがあります。
工場の機械にはトラブルなく安全に動いていることを確認するために「圧力計」「温度計」などさまざまな計測器が装備されています。測定機器を活用して機械の安全を確認し、効率の良い生産を支えるのが計装の大きな役割です。
なお、計装は電気配線工事が密接に関わってくるものですが、それぞれの言葉は以下のように使い分けられるのが一般的です。
- 電気工事:ケーブルブレーカー、電線管、照明など、機器を動作させる動力配線に関する工事
- 計装工事:センサー配線、防爆工事、LAN工事、制御機器配線など、制御システムを構築する工事
また、ひとくちに計装といっても、石油化学や発電設備、非鉄金属などのプラントを主体とした「プラント計装」、ビル空調・ビルの給排水設備を主体にした「ビル計装」などに分かれます。
いずれも、あるデータを測定し、目的の数値に制御するという点は変わりありません。
2.計装の例
計装にはさまざまな種類がありますが、例えば以下のような仕事があります。
- 電気設備や機械を電線またはケーブルで結び、遠隔操作で運転・停止ができるようにする
- 液体材料が入ったタンク内について目的の流量になるよう、制御弁やポンプを開閉する
- 生産物が入ったタンクの温度や圧力を調節するために、加熱や制御弁の自動開閉をおこなう
- 室温を計測して、冷暖房装置や膨張弁、ヒーターなどを制御して温度を一定に保つ
3.計装に関わる計装士になるには?
計装士は「一般社団法人 日本計装工業会」が認定している資格の1つで、建築会社や電気設備会社など計装工事に関わる仕事で経験を積んだ方が取得できます。
具体的にはオートメーション機器などの制御装置などの取付工事や、それに関連する配線、配管工事の設計・監督などが仕事になります。
計装士試験は1級と2級にわかれており、1級は実務経験5年以上(そのうち指導監督的実務経験年数1年以上)、2級は実務経験2年以上が必要になります。
3-1.計装士の主な仕事内容
計装士の仕事内容は多岐にわたりますが、主に以下のような仕事があります。
- 機器の計測器の装備
- 監視装置における計画や装備
- 計装制御機器の品質および安全の確保
- 配線および配管工事の設計や監督
計装士は計測制御装置の取り付け工事や、その工事に関連した配線・配管工事の設計・監督が主な仕事です。
設計は「電気設計」「計装制御設計」に分かれています。
- 電気設計:機械設備を稼働させるための設計をおこなう(電気を受電・変電して各設備に配電して操作するなど)
- 計装制御設計:設備の安定運転のため「操作」「監視方式」「自動化方針」を設計する
3-2.計装士が活躍する職場
計装士が活躍する場所としては、巨大プラント、工場、オフィス・ホテル・病院などがあります。
石油化学やガスに代表される巨大プラントは、計装が大いに活躍する現場です。巨大プラントにはさまざまな機械装置があり、1つでも不具合が生じると生産に大きく影響します。
制御装置は機械を動かしますが、一方でもし異常が発生した場合には、機械を自動的に停止させ事故を未然に防ぐという重要な役割も担います。
製造業が運営する工場でも、原材料を加工するためのさまざまな機械がオートメーションで稼働しており、ここでも計装による技術が役に立ちます。
オフィスやホテル・病院といった施設では機械化・自動化が進んでおり、それらの機械では制御装置による制御が必要になります。特に病院では検査室や手術室の温度を一定に保つために高度な制御技術が必要です。
3-3.計装士の資格
計装士の資格試験をおこなう日本計装工業会は、1級計装士技術審査に関して国の「登録計装試験実施機関」として認定されており、計装士は国家資格に準ずる公的な資格です。
試験の等級は、1級計装士、2級計装士に分かれており、資格を取得することで配線工事の設計・監督といった現場監督の立場を目指せるようになります。
企業によっては計装士の資格を得ることで資格手当を受け取ることができ、無資格の現場作業員よりも高い給料を得られるようになります。
国家資格に準ずる公的資格として計装の知識や技術を証明することができるため、現場監督の立場になるなら必須の資格といえるでしょう。
3-3-1.資格を取得するメリット
計装士の資格を取得することのメリットは、仕事の幅が広がることでしょう。
計装士の資格を得て技術とスキルを有することを証明できれば、現場や企業からの信頼を得てより重要な現場や、新規プロジェクトに関与できる可能性があります。
計装の技術は常に進化しているため、仕事やプロジェクト参加を通じて最新の技術トレンドに触れることで、知識をどんどんアップデートすることもできます。
また計装士は需要が高く、大規模なプラントの計装に携わることができれば、仕事の規模に見合う給料を得ることができますし、資格手当を取得すれば、現場作業員より高い月給を得ることも可能でしょう。
3-3-2.資格の難易度
計装士の資格は2級の時点から実務経験が要求されるため、資格試験を受けること自体の難易度が高くなっています。
受験資格 | |
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1級計装士 | 計装工事の設計・施工・施工管理などの実務経験が5年以上ある方 ※うち1年は指導監督的な立場の実務経験が必要 ※2級計装士合格者は4年6ヵ月以上 |
2級計装士 | 計装工事の設計や施工の実務経験が2年以上の方 |
-
参考:一般社団法人日本計装工業会|計装士試験
https://www.keiso.or.jp/sikenn/
上記のように、一定期間の実務経験を満たさないと試験を受けることができません。
また実際の試験の合格率に関しては1級の学科で58〜68%程度、実技では73〜87%程度です。2級の合格率は学科で61〜67%、実技で88〜93%程度となっています。
国家試験に準ずる資格としては合格率が高めに感じますが、1級で5年、2級で2年以上の実務経験を積んだプロでも5人中1〜2人は落ちてしまうと考えると難易度は低いとはいえません。
日々の仕事で計装に関する技術を磨きつつ、過去問や想定問題を通じて正答率を高める学習が必要不可欠でしょう。
4.計装の仕事に向いている方の特徴
ここでは、計装の仕事に向いている方の特徴をご紹介します。
4-1.機械設備や配線関係に興味がある
計装は機械設備や配線を装備したり制御したりすることが主な仕事であり、これらについて興味がある方は計装の仕事に向いているといえるでしょう。
計装に関係する機械の仕組みに興味があれば楽しく仕事を続けることができるだけでなく、率先して新しい知識を吸収してプロフェッショナルを目指すことができます。
4-2.こまかな作業が好き
機械設備に配線をつないだり、試運転・メンテナンスをおこなったりするには細かな作業が発生します。
普段から手先を使った仕事や趣味をもっていて、細かな作業が苦にならずむしろ好きだという方には計装の仕事は向いているといえます。
4-3.コミュニケーションを取るのが好き
計装の仕事は黙々と機械をつなげるようなイメージがあるかもしれませんが、その機械には計装士以外にもさまざまな外部業者が関わります。
ポジションによっては外部業者とのやり取りも発生するため、普段から人と関わる仕事が好きな方に向いています。
4-4.手に職をつけたい
大型のプラントや工場はもちろん、病院やホテルまでさまざまな施設で設備の自動化が進んでいます。
設備の自動化には制御のための計装とそのメンテナンスは欠かせません。計装のプロフェッショナルである計装士の需要は今後も高まることが見込まれます。
手に職を付けたい、安定した仕事につきたいと考えている方は、計装の仕事はおすすめできます。
4-5.海外で働きたいと考えている
海外の巨大プラントや工場で計装の仕事を請け負う企業もあるため、将来的に海外で働きたいと考えている方は、計装の仕事を通じて夢がかなう可能性があります。
海外での仕事を請け負っているのか、将来的に知識やスキルを磨いて海外に出向できる可能性があるのかは、転職活動中に確認しておきましょう。
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5.未経験でも計装の仕事はできる?
計装士の仕事は業務独占資格ではないため、計装の仕事を始めるのに資格や経験は必要ありません。まったくの未経験でも計装の仕事で採用される可能性は十分にあります。
専門性が高い分野なので経験がないと不安に感じる方も多いとは思いますが、企業によっては計装の経験が豊富な先輩スタッフからの指導を受けて技術を身につけることが可能です。
計装の仕事を続けて実務経験を積めば、計装士の資格を取得して現場監督になるなど更なるキャリアアップもできるでしょう。
ただし、新人教育の内容は企業によってさまざまです。未経験者を積極的に採用しているか、どのような教育プログラムが用意されているかは、転職活動の際にしっかり調べておきましょう。
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6.まとめ
自動化が進んだ現場では、機械の不具合や事故を防止するために必ずといって良いほど計装が施されます。あらゆる現場で自動化が進んでいる現代では、計装の仕事の需要はますます高まっていくでしょう。
計装士の資格は実務経験と知識が求められますが、取得することができれば現場監督として更なるキャリアアップも可能です。
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