物流とは?主な6つの仕事と将来性や新しい取り組みを紹介
※この記事は5分30秒で読めます。
「物流ってどんな仕事?」
「物流業界で働くメリットが知りたい」
など、物流の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
物流とは、商品が消費者の手に渡るまでの流れのことで、その仕事内容は多岐にわたります。
今回は、物流の概要、目的、主な仕事内容、将来性、求められる人物像、業界の新たな取り組みなどを解説します。この記事を読めば、物流業界の仕組みがよくわかり、物流の仕事に対する理解が深まります。
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1.物流とは
物流とは「物的流通」を略した言葉で、企業から消費者のもとに商品が届くまでの一連の流れを指します。
私たちがインターネットなどで購入した商品は主に宅配業者が配送するため、物流=輸送というイメージを持っている人は多いかもしれません。しかし、輸送とはあくまでも物流機能のなかの一つに過ぎません。
ある商品が消費者の手元に届くまでには、商品の包装や保管、輸送などいくつもの工程があり、それぞれ多くの人が携わっています。その工程を総称して「物流」という言葉が使われます。
1-1.ロジスティクスとの違い
「モノの流れ」を指す物流に対して、物流を最適化するシステム管理のことをロジスティクスといいます。
ロジスティクスのミッションは、業務効率化や適切な在庫管理、コスト削減を実現しながら、物流の各プロセスを最適化することにあります。
1-2.流通との違い
流通とは「商的流通」を略した言葉で、商品のみならず所有権や代金、サービスなど、物流の過程で生じる各工程の流れを総称したものです。
つまり物流とは、流通のうち商品(物)の流れに限定した部分のみを指します。
2.物流の目的とは
物流の目的は、企業が商品を生産し消費者の手元に届くまでに生じる時間と空間のギャップを最大限解消することにあります。
企業は生産した商品を何らかの形で消費者の手元に届けなければなりませんし、消費者も実店舗以外で商品を購入したら手元に届けてもらう必要があります。この二者間をつなげる手段が物流です。
物流の課題は、いかにコストを抑えて効率的に商品を消費者へ届けられるかという点にあります。とにかくスピード重視だった一昔前に比べると、現代は物流業界全体の設備や管理がシステム化されてきているため、効率の良さも求められています。
時間と空間、2つのギャップをできる限り解消し、早く正確な物流機能を維持できるかが、物流に携わる企業が安定経営を実現するための鍵となります。
3.物流における主な6つの仕事
多岐にわたる物流の仕事のうち、主な6つの仕事をご紹介します。物流の仕組みを理解するうえで重要ですので、ぜひ確認しておきましょう。
3-1.配送・輸送
配送・輸送とは商品を生産した企業が消費者に商品を送り届ける工程で、物流コストのうち約6割を占めます。
なお、厳密にいうと配送と輸送には違いがあります。「配送」は物流センターや倉庫から消費者のもとに運ぶ短距離の運搬で、「輸送」は国外工場から国内の物流センター・倉庫までといった長距離の運搬を指すものです。
配送・輸送にはトラックや鉄道、船、飛行機などが用いられ、商品特性やコスト、納期などの要素を踏まえて最も合理的な方法が採用されます。
3-2.保管
物流は単に流れ作業で商品を配送・輸送するのではなく、物流センターや倉庫で商品を保管し、しかるべきタイミングで消費者の手元に届ける工程をともないます。
消費者からの注文に即座に対応できるよう、一定数の在庫を確保・管理することで企業と消費者の間にある時間的な隔たりを埋めたり、コントロールしたりするのが保管の工程です。
3-3.荷役(にやく)
荷役とは、トラックや電車、船、飛行機などに商品を積み込んだり、荷下ろししたりする工程です。
荷揃え・積み付け・運搬・保管・仕分け・ピッキングなどの作業も含まれます。
3-4.梱包・包装
梱包・包装は、商品の品質を落とさず消費者の手元に商品を届けるためにおこなわれる作業です。
一つひとつの商品を包装するのが「個装」、配送時の破損リスクを軽減させるために緩衝材などを施して段ボールなどに詰めるのが「梱包」、装飾を目的に紙で包んだり袋に入れたりするのが「包装」です。
いずれも商品特性に合った梱包・包装方法を採用することが重要です。
3-5.流通加工
流通加工とは、物流センターや倉庫内で商品を加工する仕事です。例えばラベル貼りや詰め合わせギフトの作成、説明書の貼り付けなど、商品価値を高めるための作業が該当します。
3-6.情報システム
倉庫管理システムをもとに倉庫内で在庫管理やピッキング、配送管理などの指示を出して効率化を図るのが情報システムの仕事です。
近年の物流は情報システムなくして成立しないといっても過言ではありません。受注から配送までの一連の業務を正確かつスピーディーにおこなうために有効活用されています。
4.物流業界で働くべき?将来性について
物流は将来性のある業界です。それを裏付ける根拠として、インターネット通販の市場規模拡大が挙げられます。
これまで物流を自社で一貫して担っていた企業も、急激な需要の高まりと利益拡大によって外部委託に踏み切るケースも増えている状況です。
物流業界全体が盛り上がる一方で、人手不足に頭を悩ませている企業も増加しています。新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけにインターネット通販が人々の生活に根付いたこともあり、この先物流の需要が大幅に減少することは考えにくいでしょう。
そのため物流業界ではより優秀な人材の確保・育成が課題となっており、多くの人たちに活躍のチャンスが広がっているのです。
5.資格がなくてもできる物流の仕事
物流における業務は多岐にわたりますが、以下の作業に関しては資格がなくても活躍できます。
- 搬入時の荷降ろし
- 入荷時の検品
- 出荷時のピッキング
- 商品の梱包
- 出荷仕分け作業
- 商品の流通加工
物流業界は特別なスキルがなくても担える業務が多くあるため、未経験者が活躍できるフィールドが整っています。
ただし「技術力を高めて仕事の幅を広げたい」「より責任ある仕事に取り組みたい」「キャリアアップを目指したい」という人は、資格取得も視野に入れることをおすすめします。
一例ですが、トラックやフォークリフトの運転免許、危険物取扱者などの資格があれば、任される仕事の範囲が広がり、周囲と差をつけることができます。会社によっては資格取得にかかる費用を負担してくれるケースもあるため、確認しておくと良いでしょう。
6.物流業界で求められる人物像とは
物流業界で求められる人物にはいくつかの共通点があります。以下の3点をチェックしておきましょう。
6-1.高い集中力を持って働ける人
物流業界では、スピードだけでなく正確さが求められる場面も多くあります。
商品の在庫数や出庫数、配送先情報、加工内容などにおいて、ほんの少しの気の緩みでミスを招いてしまうと、そこから周囲のスタッフにしわ寄せがいくだけでなく、商品を受け取る消費者にまで迷惑をかけてしまいます。
常に緊張感をもって集中できる人こそ、物流業界で求められる人材といえます。
6-2.几帳面で丁寧な作業ができる人
物流業界で欠かせない人材は、几帳面で丁寧な作業ができる人です。
顧客である企業や消費者が購入した商品を取り扱うことになるため、丁寧な作業は欠かせません。人間は慣れが出てくると知らず知らずのうちに作業が粗くなってしまうもの。丁寧に作業する心がけは意識的に持ち続ける必要があります。
何事も丁寧に作業する意識を持っていれば、仕分けの精度が上がったり、倉庫の整理整頓ができたりと、一つひとつの仕事の質が向上します。いずれは全体の業務効率化にも貢献できるでしょう。
6-3.高い向上心とやる気がある人
物流業界にはさまざまな業務が存在し、そのぶん責任あるポジションも幅広く用意されています。会社としても熱意がある人材を育てたいという思惑がありますので、向上心とやる気が高い人ほどキャリアアップのチャンスをつかみやすい環境といえます。
また、知識のみならず経験も求められる業界なので、長く愚直に仕事に取り組んでいれば、いずれ倉庫内を取りまとめる責任者として活躍できる可能性もあります。
7.知っておくべき!物流業界の新しい取り組み
成長拡大が目覚ましい物流業界ですが、新たな取り組みも始まっています。大企業を中心にAIをはじめとした最新技術が導入され、労働環境にも変化が生まれているところです。ここでは、そのうち2つの事例をご紹介します。
7-1.AIを活用したデータ管理
働き手の負担を軽減する有効な手段として、AIを活用したデータ管理が注目されています。
例えば、倉庫での保管・出荷コントロールなどの管理業務を人の手でおこなう場合、相応のスキルを身につけた人員を一定数確保しなければなりません。しかし膨大な情報をAIで管理すれば人員を軽減でき、物流全体の効率化に大いに役立ちます。
また、データが蓄積していくことでより高い精度で物流を予測できるようになります。
7-2.ロボットを使った業務の効率化
倉庫内で荷物を移動させたり配送エリアまで運んだりといった工程で、ロボットを導入する物流センターや倉庫も増加しています。
ロボットを導入すれば人的ミスの削減につながるだけでなく、人はよりクリエイティブな部分でスキルを発揮できるようになります。現在使用されているロボットは、AGV(無人搬送ロボット)やAMR(自律走行ロボット)と呼ばれるものです。
8.まとめ
物流とは主に6つの仕事から成り立っており、人々の便利で豊かな生活を支えています。業界の成長は年々勢いを増し、今後もAIやロボットを活用してさらに拡大していくことでしょう。将来性重視で就職・転職を検討している人にもおすすめできる業界です。
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