工場の仕事内容
更新日:2024年01月30日

製造業の営業とは?仕事内容ややりがい、求められる能力や資格、向いている方の特徴

製造業の営業とは?仕事内容ややりがい、求められる能力や資格、向いている方の特徴

※この記事は6分30秒で読めます。

「製造業の営業ってどのような仕事?」
「製造業の営業のやりがいを知りたい」
など、製造業の営業に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

製造業の営業は、専門知識を持って顧客の困りごとを解決して信頼を獲得し、継続的に受注することで会社に利益をもたらす重要な仕事です。

今回は、製造業の営業の概要や仕事内容、やりがいや大変さ、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば製造業の営業のことがよくわかり、転職活動の参考にできます。

1.製造業の営業とは?

製造業の営業とは、製品や部品を作る工場を持つメーカーの営業職のことです。製造業の仕事といえば工場の作業員を思い浮かべる方が多いと思いますが、自社の製品を卸業者や商社に売り込むための営業部門も存在します。

ただし、ひとくちに製造業の営業といっても業種はさまざまです。機械部品や電気機器、自動車といった機械系だけでなく、食品や化粧品、家具家電、半導体まで、企業ごとに取り扱う製品は異なります。

以下の記事では、製造業の仕事について詳しく解説しています。

2.製造業の営業の仕事内容

製造業の営業には、大きく分けて営業と技術営業の2つがあります。

2-1.営業

文字通り、自社の製品を卸業者や商社に買ってもらうための営業をする仕事です。新規営業、ルート営業といった種類があります。

新規営業は、取引実績がない企業を新規顧客として開拓する仕事です。電話でアポイントを取って企業に営業に出向くほか、いきなり企業に訪問して営業をかける飛び込み営業と呼ばれるスタイルもあります。

既存の取引先からの紹介や公式サイトから問い合わせてきた企業への反響営業も、新規営業に含まれます。

ルート営業は、すでに取引がある顧客を回って継続して商品を購入してもらったり、困りごとを解決できる新製品を提案したりといったことが仕事です。安定して注文を受けられる反面、他社に置き換えられないように先方担当者と良好な関係を築くことが非常に重要です。

2-2.技術営業

技術営業は、技術者としての専門知識を活かして営業をかける仕事です。会社によってはセールスエンジニア、サービスエンジニアとも呼ばれます。

企業によっては、営業と技術営業を兼務する、営業に技術営業が同行するなどのパターンがあります。

一般的な営業との大きな違いは、技術者としての専門知識の有無です。自社製品を売り込むのが仕事の営業に対し、技術営業は自社製品の技術的な解説がメインの役割となります。

売上の目標数値やノルマの達成よりも、技術的な解説やサポートによって顧客からの信頼を得ることが、技術営業には求められます。

3.製造業の営業のやりがい

営業は顧客との信頼関係を構築することで会社の売り上げに貢献する仕事であり、さまざまなやりがいがあります。なかでも製造業の営業では以下のようなやりが得られます。

3-1.ものづくりに関われる

製造業の営業は一般企業の営業と異なり、ものづくりに深く関われます。「自分は手先が器用でないから製造現場に入れない」という方でも、新製品の試作や顧客の工場見学、納期対応などで製造現場に深く関わるようになります。

工場での作業は営業が注文を受注するところから始まるので、製造工程の一部を担っているといっても過言ではありません。

何らかの形でものづくりに関わりたいという気持ちが強い方なら、製造業の営業職はやりがいのある仕事です。

3-2.幅広い知識が身につく

営業として働くと顧客からのさまざまな要望や質問に対応することになるため、製品について誰よりも深く知っていることが必要です。

その知識をもとに顧客対応をしているうちに、ものづくりや自社製品の知識が自然と身についていくでしょう。

技術部と対等に製品の話をしたり、顧客の質問に完璧に答えられたりするようになると、自身の成長とやりがいを感じることができます。

4.製造業の営業の大変さ

製造業の営業にとってもっとも大変なのは、クレームが発生した場合の対応です。

【クレームの例】
  • 必要な加工の工程が漏れていた
  • 製品や部品の寸法公差(サイズ公差ともいう。許容できる誤差範囲を指示すること)が図面の指定から外れている
  • 製品や部品に欠けや凹みがある
  • メッキ処理や塗装の色味が指定から外れている
  • 発送ミスで期日までに顧客に製品が届かない

クレームの第一報は営業に入り、品質管理部門に原因究明を依頼したり、製造現場に良品の再生産を依頼したりといった対応に追われることになります。顧客からの信頼回復のために、謝罪や再出荷の手配も欠かせない業務です。

ただし、クレームへの対応方法は多くの場合マニュアルで決まっているため、慣れてくれば上手に対応できるようになります。

最初はクレームを受けて落ち込んでしまうこともあるかもしれませんが、慣れてくれば気持ちの切り替えがスムーズにできるようになるため、大きな心配はいりません。

一方、社内のコミュニケーションも大切な業務の1つです。営業は取引先の味方として納期調整や製品開発を受注する立場でもあり、社内の製造部署や技術部と意見がぶつかることも少なくありません。

社内のスタッフとのコミュニケーションによるストレスがかかる可能性があることも頭に入れておきましょう。

5.製造業の営業に求められる能力

製造業の営業は、自社製品の魅力や特徴などを誰よりも理解して営業トークにつなげることが求められます。また、それ以外にも以下のような能力が必要となります。

5-1.交渉力やクロージング力

営業では、自社製品の魅力を伝えたり仕様を打ち合わせたりするだけでなく、価格の交渉もすることになります。

自社の利益を取りつつ顧客にも納得してもらえる単価を出すといった交渉力や、購入を決断してもらうクロージング能力は必ず求められます。クロージング能力は、商談成立後のスムーズなコミュニケーションにもつながります。

5-2.プレゼンテーション能力

製造業に限った話ではありませんが、営業にとってプレゼンテーション能力は必須です。顧客の購買意欲を刺激するためには、プレゼンテーションを通じて自社の製品を魅力的に伝えることが欠かせません。

心に響くプレゼンテーションをするだけでなく、顧客の困りごとを自社製品なら解決できるという根拠を納得できるように説明する能力も求められるでしょう。

5-3.コミュニケーション能力

どんなに魅力的な製品であっても、何もしないで売れることはありません。

すでに付き合いのある顧客でも、顧客と営業の信頼ができていないと注文が減ったり、他社に転注(てんちゅう。他社への発注に切り替えること)されたりする可能性があります。

困ったときにすぐに頼ってもらえる関係を顧客との間で築くことが、売り上げの維持・拡大には必要です。困りごとや要望などをしっかり聞き、細かくタイムリーに対応していくことで、信頼関係を築けるでしょう。

また、社内でのコミュニケーションも必要です。納期対応やクレーム処理などの際、現場担当者との信頼関係があればスピーディーに対応できます。

5-4.先回り力

営業は顧客の悩みごとを聞くのも仕事の1つですが、相手からのアプローチを待つのではなく、顧客の考えを先回りして困りごとを把握することも重要です。

業界のニュースなどをよくチェックしておくことで、さまざまな困りごとを予想できます。

例えば、顧客が必要とする製品を作っていた会社が倒産したというニュースがあった場合、代替品が作れることをすぐに提案できれば、新しい注文を得られる可能性があります。業界の情勢から提案内容を先に考える力は、営業にとって必要不可欠です。

6.製造の営業に役立つ資格

営業は、自社製品の知識があれば資格がなくても活躍できます。ただ、資格の取得を通じて事務仕事や営業テクニックに関する知識を身につければ、より効率的に仕事を進めることもできます。

ここでは営業に役立つ2つの資格をご紹介します。

6-1.MOS資格

MOSはMicrosoft Office Specialistの略称で、WordやExcel、PowerPointなどのオフィススキルを網羅的・体系的に身につけられる資格です。

MOSの資格を持っていると、オフィスソフトの基本的な操作ができることの証明になり、転職活動で有利です。実務面でもExcelで報告資料を作成したりPowerPointでプレゼン資料を作ったりする機会が多く、スキルを身につけていると効率的に仕事をこなせるようになります。

6-2.営業士

営業士は、セールスのスペシャリストとしてのスキルを証明できる資格です。

営業士初級、営業士上級、営業士マスターの3つの区分があり、合格することで営業や商品開発のスキルを持つことが証明できます。

初級は営業としての基本的なスキルを、上級やマスターはマネジメントや営業戦略立案といった管理職・経営陣に求められるスキルを証明するものです。

7.製造業の営業が向いている方の特徴

製造業の営業は、自社製品について間違いのない知識を習得することが必須です。また、顧客対応や自社の製造現場とのコミュニケーションも必要となります。

ここでは、製造業の営業に向いている方の特徴をご紹介します。

7-1.専門知識をどんどん身につけたい方

製造業の営業に向いているのは、自社製品に関する専門知識をどんどん身につけたい方です。

例えば金属1つとっても、鉄、アルミニウム、ステンレスなどさまざまな種類があり、それぞれ金属としての特性や見積もり方法が異なります。鉄製品はサビないためにめっき処理を施すなど、製品ごとに作業工程も変わることがあります。

顧客からの質問に答えるには、このような専門知識の習得が欠かせません。そのため、専門知識をどんどん身につけてスキルアップしたい方は製造業の営業職に向いている可能性があります。

7-2.コミュニケーションを取るのが好きな方

商談の成功のためには、顧客にただ商品を売り込むのではなく、顧客とコミュニケーションを取って信頼を得ることが欠かせません。

顧客との会話を楽しみ、顧客の困りごとを先回りして解決するような提案ができる方は営業に向いています。

7-3.成果を数字であらわしたい方

営業の成績は、成約件数や受注金額といった数字で示されます。

役職なしの一般社員であれば努力した部分も評価の対象になりますが、昇進すればするほど数値結果のみで評価される傾向があります。

そのため、目に見える成果を上げることに魅力を感じる方は、製造業の営業に向いているでしょう。

8.未経験でも製造業の営業になれる?

製造業の営業の求人に応募する際、資格や特別なスキル・知識は不要です。営業に慣れていれば即戦力として採用される可能性がありますが、一般常識や製品に対する情熱があれば未経験でも採用される可能性は十分にあります。

製造業の営業では専門知識を求められるシーンもありますが、ほとんどの場合は入社後に研修を受けてから外回りを始めるため心配は無用です。

9.まとめ

いかに優れた製品を開発・製造できるとしても、顧客からの受注がなければ企業が売上を得ることはできません。

営業が顧客と信頼関係を築き受注を獲得することは、企業活動をするうえでは欠かせないため、営業スキルを身につければ今後も安定して働くことができるでしょう。

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