半導体業界の特徴や今後の動向とは?主な業態・職種や働く際のポイントを解説
この記事で分かること
- デジタル化が進む近年では半導体の需要は世界的に高まり続けている
- 日本国内で半導体産業が強化されていることで、業界として仕事のチャンスは増えていくことが予想される
- 半導体の製造は工程が多いため、各企業が専門分野に特化した事業を展開している
- 半導体業界は製造メーカー・各種機器メーカー・半導体商社の3つの業種に分けられる
- 半導体業界で働くには、働き方の特徴や業界の動向を知っておくことがポイント
※この記事は6分30秒で読めます。
「半導体業界ってどのようなところ?」
「半導体業界にはどのような仕事があるのか知りたい」
など、半導体業界に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
半導体業界には、半導体メーカー、製造装置メーカー、商社などがあり、業態ごとに強みや特徴が異なります。
今回は、半導体業界の特徴、現状や将来性、職種例や働く際におさえておきたいポイントなどを解説します。この記事を読めば半導体業界の動向がよくわかり、転職活動の参考にできます。
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1.半導体業界の特徴を知っておこう
半導体とは、簡単にいうと「電気をコントロールする部品」のことです。
電気を通す「導体(金属など)」と、通さない「絶縁体(ゴムなど)」の、ちょうど中間の性質を持っています。この性質を利用し、電気を通したり止めたりするスイッチのような役割を果たします。
この電気を制御するスイッチの役割のおかげで、半導体は身近にあるあらゆる製品に使われています。スマートフォンやパソコン、テレビといった家電はもちろん、車、ATMなど、電気で動くモノのほとんどに搭載されており、機械の頭脳や心臓部と呼ばれるほど重要な部品です。
半導体の技術は年々進化しており、最近普及が進んでいるAI(人工知能)や5G、車の自動運転といった最先端の技術も、高性能な半導体がなければ実現できません。半導体はあらゆる製品に使われるため、製品の売れ行きがそのまま半導体業界の景気に影響することもあります。
日本ならではの半導体業界の特徴としては、世界的に強い分野を持っている点が挙げられます。日本は、半導体そのものを作るための製造装置(機械)や材料の分野で、世界トップクラスの技術を持っています。世界中のメーカーが「日本の機械や材料がないと半導体が作れない」というほど、重要なポジションを占めているのです。
景気の波によって需要が増えたり減ったりすることはありますが、社会全体がデジタル化していく中で、半導体は今後もますます必要とされ続けます。日本の強みが活かせるこの業界は、長期的に安定した仕事が見込める分野といえるでしょう。
半導体についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2.半導体業界の今後の動向
デジタル化が進む近年において、半導体はこれからも世界的に重要な部品であり、業界としても今後仕事のチャンスが増えていくことが予想されています。この理由について、以下で詳しく解説していきます。
2-1.半導体業界にはサイクルがある
半導体業界には、シリコンサイクルと呼ばれる景気循環があります。シリコンサイクルは、技術革新のペースが速い半導体業界で設備投資や在庫調整の難しさから生まれる需要の増加・減少のサイクルのことです。
メーカーは、数兆円にものぼる設備資金を回収するため、半導体の生産を長く続けようとしますが、需要が落ちると在庫過多による値崩れが発生します。
その後、技術革新などで需要が回復した際にあらたに設備投資をし、1~2年後にまた需要が低迷するというサイクルが4年周期で発生するとされています。
2022年後半から2023年にかけては、世界的な景気後退や在庫調整の影響で需要が低迷する下降局面(シリコンサイクルの谷)にありました。
しかし、2024年以降はAI(人工知能)関連の需要が爆発的に増加していることなどを背景に、市場は再び回復・成長局面に転じていると見られています。
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参照:JBpress「シリコンサイクル再来!AI・半導体が起こす第四次産業革命で世界経済は超長期で上昇トレンドに」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/90948
2-2.日本でも工場や投資が増えている
近年、世界だけでなく日本でも半導体工場の建設や設備投資が進んでおり、この背景には「国内での半導体産業の強化が重要である」と位置付けされていることがあります。
実際、台湾TSMCとソニーSSなどが合弁で設立した熊本県の工場「JASM」には、第1工場に4,760億円、第2工場に7,320億円の最大助成金が提供されています。
このような動きは、日本で半導体業界の仕事が増えることの兆しであると十分に考えられるでしょう。
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参照:内閣府「地域課題分析レポート〜半導体投資による地域経済への影響〜[2024年夏号]」
https://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr24-2/chr24-2_01-02.html
2-3.半導体不足で注目されている
近年、コロナ禍での需要急増や災害などといった影響から世界的な半導体不足が発生し、自動車業界やIT業界は大きく打撃を受けました。
2025年現在、全体的な需給は改善傾向にありますが、AI向け先端半導体や一部のパワー半導体など、分野によっては依然として需要が非常に高く、供給が追いついていない状況です。
半導体が不足している一方で、半導体の需要は増加傾向にあります。SEMI(国際半導体製造装置材料協会)によれば、2026年の半導体製造装置市場は過去最高売上高の1,381億米ドルになると予測されています。
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参照:EE Times Japan「世界半導体製造装置市場、2026年は過去最高に」
https://eetimes.itmedia.co.jp/ee/articles/2507/28/news028.html
半導体は現代の生活には欠かせません。今後はAIや5Gなどの技術でも半導体が利用されることから、半導体の需要とともに人員の需要も高まっていくと考えられます。
3.半導体業界における4つの専門分野
半導体を作るには1,000以上の工程が必要とされているため、1社ですべての分野・工程をカバーするのではなく、各企業が専門分野に特化した事業を展開しているケースが一般的です。
具体的には、主に以下の4つの専門分野にわかれています。
- 半導体材料
- 半導体デバイス
- 半導体装置
- コンポーネント・部品
3-1.半導体材料
半導体材料は半導体を構成する材料のことで、代表的な材料はシリコンです。シリコン以外にも、セレン、ゲルマニウムなどの材料が使われるケースがあります。
半導体材料メーカーでは、これら半導体に必要な材料を次の工程を担う企業に提供します。
3-2.半導体デバイス
半導体デバイスとは、メモリやマイコンといった集積回路のことを指します。
半導体の材料であるシリコンなどの基盤の上に、トランジスタ、ダイオードなどの素子を組み合わせた電子回路を形成して、チップ状に切り分けたものです。
3-3.半導体装置
半導体装置は、半導体(集積回路)を製造するための装置のことです。
材料膜を形成する装置、材料膜を形状加工する装置、不純物を取り除く装置、組立用装置、検査装置などがあります。
3-4.コンポーネント・部品
コンポーネント・部品とは、半導体製造に欠かせない部品のことです。MFC(マスフローコントローラー)、流体制御、ポンプ、機械要素部品、ダイヤモンド工具などの種類があります。
MFCはマス(質量)の流量を制御する機器(質量流量計)のことで、プロセスガスと呼ばれる気体の高精度な流量制御が半導体製造工程には欠かせません。
ポンプは半導体製造に欠かせない真空のクリーンな環境を用意するためのもの、ダイヤモンド工具はウェーハ表面の研削に用いるなど、それぞれ半導体工程で重要な役割があります。
4.半導体業界における3つの業態
半導体業界と一口に言っても、具体的には3つの業態に分けることができます。
- 半導体そのものを製造する「半導体メーカー」
- 半導体を製造するための機械を製造する「各種機器メーカー」
- 半導体を販売する「半導体商社」
これら3つについて詳しくみていきましょう。
4-1.半導体メーカー
半導体メーカーは、半導体デバイス(集積回路)そのものを設計・製造するメーカーです。
材料メーカーからシリコンウェーハなどを調達し、その上に微細な回路を形成・加工し、チップに切り出してパッケージングすることで製品化します。
4-2.各種機器メーカー
各種機器メーカーは、半導体を製造するための精密機械を製造するメーカーのことです。
半導体のもとになるシリコンウェーハを取り出す際には目に見えないくらい小さい回路を書き出す必要があり、この工程では寸分のミスも許されません。
- 薬品・超純水による洗浄
- ウェーハに電気を通さない膜を形成する
- 光やレーザーで回路を書き出す
各種機器メーカーでは上記のような工程に必要な装置を製造します。
4-3.半導体商社
半導体商社は、半導体メーカーから半導体を買い付け、電子部品メーカーや精密機器メーカーに販売する卸売業者です。半導体業界で生み出された製品を別の業界につなげる役割があります。
5.半導体業界の主な職種例
続いて、半導体業界の主な職種例を見ていきましょう。半導体業界には、大きく分けて設計・研究開発、評価および検証、製品資材などの調達、営業といった職種があります。
職種や仕事の内容によって、工場勤務のケースやオフィスまたは研究室などでの勤務になるケースなどさまざまです。
5-1.半導体エンジニア
半導体エンジニアは、半導体の製造から保守・保全までをおこなう職種です。作業の内容としては機械の操作やデータ測定が中心となります。
半導体エンジニアは「フィールドエンジニア」と「保守・保全エンジニア」に分けることができます。
フィールドエンジニアは実際に装置を扱う現場のプロとして、保守・保全エンジニアはすでに稼働している装置の点検やメンテナンスをしトラブルを防ぐプロとしての役割がメインです。
半導体製造が止まらないよう支える要であり、高い技術力と責任感が求められる分やりがいも一層感じられるでしょう。
5-2.設計・研究開発
設計・研究開発は、半導体装置メーカーで半導体や半導体製図装置の設計・研究開発をおこなう職種です。
半導体の技術は日々進化しています。そのため、設計・研究開発の仕事では、最新技術を取り入れたり顧客のニーズに合わせた材質を選択したりと、常にアンテナを高く張る必要があります。
専門的な知識や技術力が要求される仕事ですが、世界中で必要とされる半導体を開発できるやりがいがあります。
以下の記事では、半導体製品製造技能士について詳しく解説しています。
5-3.評価および検証
半導体や半導体製造装置について、ハードやプロセスの評価・検証をおこなう仕事です。
製造フローの問題点を洗い出し、より高品質の製品を作れるよう改善点を探ることが大きな役割となります。
半導体に不具合がないか、製造装置を仕様どおり正確に製造できているかをチェックすることにより、本当に不具合が発生した際の対策を先回りで考えることができます。
正常な機能を持つ半導体を世の中に送り出すために不可欠な仕事であり、半導体業界を支えるという大きなやりがいが感じられるでしょう。
以下の記事では、半導体工場の仕事内容や転職需要などを詳しく解説しています。
5-4.製品資材などの調達
半導体を作るために必要な資材やツールを調達する仕事です。
ニーズに合う資材を仕入れるだけでなく、より高品質で低コストの資材を調達することで、会社の利益に大きく貢献できるやりがいがあります。
国内外からニーズを満たす資材を調達するため、世界中を飛び回ることもあるでしょう。
5-5.営業
半導体メーカーの営業部門として自社製品の営業をする仕事です。
半導体メーカーなら商社が、商社の営業なら電子機器メーカーや精密機器メーカーが主な顧客となります。
顧客ごとの希望や悩み事を聞き、その悩みを解決できる半導体製品を提案することで売り上げに貢献します。営業経験がある方なら、商材が変わっても今までの仕事経験を活かせます。
加えて、販売した製品のアフターフォローも重要な仕事です。顧客の満足度を高めることで、新たな注文を受けられる可能性も高まります。
製造現場ではなくとも、半導体という先端技術やものづくりに携われること、会社の売り上げに直接貢献できることが営業の魅力です。
6.半導体業界で働く際のポイント
ここでは、半導体業界で働くことを検討している方に向けて、事前に知っておくと役立つポイントを3つご紹介します。
6-1.シフト制・夜勤がある場合がある
半導体工場は、一度動かした製造ラインを止めないよう、24時間稼働していることが少なくありません。そのため、働く人も日勤と夜勤を交代で担当する交替勤務(シフト制)となる場合があります。
夜勤を担当した場合は、深夜手当(深夜割増賃金)が必ず支払われるため、その分給与が高くなります。さらに、工場によっては独自の夜勤手当が別途支給されるケースもあるため、日勤だけの仕事よりも効率よく稼ぎたい方にとっては、高収入につながることも大きなメリットです。
6-2.職種によってはクリーンルームでの作業がある
半導体は非常にデリケートな製品で、目に見えないほど小さなほこりやゴミがつくだけで、壊れてしまうことがあります。そのため、製造作業はクリーンルームと呼ばれる、チリやゴミを徹底的に取り除いた特別な部屋でおこないます。
クリーンルームで作業する場合、専用の防塵服(ぼうじんふく)や手袋、マスクを着用します。最初は全身を覆う服装に違和感があるかもしれませんが、作業に慣れるにつれて自然と着こなせるようになります。
これは、私たちが使うスマホや車を支える、高品質な半導体を作るためにとても大切な環境です。
6-3.資格やスキルがあると有利になる
半導体業界で働くうえで、資格やこれまでの経験が役立つことがあります。
例えば、材料や製品の運搬に必要なフォークリフト免許や、工場の電気設備を扱う電気工事士などの資格があると、担当できる仕事の幅が広がります。
また、資格だけでなく、これまで工場で働いた経験や、機械の装置・材料の扱いに慣れていることも強みになります。そうした経験がある方は、新しい職場でも早く仕事に慣れやすいでしょう。
7.半導体業界で働くには?
半導体業界で働くためには、次のステップで事前知識を身につけ、求職活動をおこなうことをおすすめします。
7-1.業界の動向を知る
半導体業界に限った話ではありませんが、転職をする際は転職を希望する業界の将来性や現状について研究を進めておく必要があります。
業界研究を進めることで、給与水準はどうか、将来まで安定して働けるかがわかるようになります。
いま半導体業界で働いている方が同じ業界に転職する際も同様です。安定性や将来性をあらためて調べ、転職する先として自分に合っているかを確かめておきましょう。
7-2.各専門分野や業態ごとの特徴を知る
前述のとおり、ひとくちに半導体といっても、メーカー、製造装置メーカー、商社などさまざまな業態・職種があり、それぞれ特徴が異なります。
ものづくりに携わりたい方や専門的な知識を身につけたい方はメーカーに向いているかもしれません。一方、人と接することに抵抗がなく、半導体で企業の困り事を解決したいと考える方なら、商社での仕事に向いているでしょう。
企業ごとの特徴や向いている方の特徴を考え、自分に合った業態への転職を目指しましょう。
7-3.未経験歓迎の求人を探す
半導体業界では専門的な知識が求められる求人もありますが、異業種からの転職が不可能というわけではありません。
製造や営業などで業界未経験から働ける職種もありますので、半導体業界に転職することは十分に可能です。現場や営業として知識を身につけたあと、他部署に異動という形でキャリアアップを狙うこともできるでしょう。
JOBPALでは面談サービスを提供しており、半導体業界で未経験歓迎の求人をご紹介することも可能です。他業種からの転職を希望する際は、ぜひJOBPALの面談サービスをご利用ください。
8.まとめ
半導体業界は、景気の波はあるものの、AIや自動運転など新しい技術を支えるため、今後もますます必要とされる将来性のある業界です。
ひとくちに半導体業界といっても、半導体を作る「メーカー」、機械を作る「装置メーカー」、製品を売る「商社」など、さまざまな会社(業態)があります。
まずは「業界全体にどんな種類の会社があるのか」を理解し、そのうえで「それぞれの会社が何を得意としているのか」を調べることで、自分に合った仕事が見つけやすくなります。
工場での勤務や、資格が役立つといった特徴も知っておくと、働き始めてからのイメージが湧きやすいでしょう。
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