電気通信主任技術者の年収はいくら?難易度と試験概要、仕事内容を紹介

※この記事は4分30秒で読めます。
「電気通信主任技術者ってどのような資格?」
「電気通信主任技術者の資格を取るとどのようなメリットがある?」
と電気通信主任技術者の資格に関して疑問に感じている方もいるのではないでしょうか。
電気通信主任技術者は、一定規模以上の事業者では配置が義務付けられている重要な職業で、資格を取得することで転職などの面でメリットを得られます。
今回は、電気通信主任技術者の概要や試験内容などを解説します。取得するメリットや平均年収なども紹介するので、この記事を読めば電気通信主任技術者の知識がより深まるでしょう。
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1.電気通信主任技術者とは
電気通信主任技術者とはどのような資格なのでしょうか。資格の内容や将来性などについて説明します。
1-1.電気通信主任技術者は国家資格
電気通信主任技術者は、1985年に制定された電気通信事業法とともに誕生した国家資格で、電気通信技術のプロフェッショナルであることを証明する資格です。電気通信事業法第45条では、一定規模以上の電気通信事業者は、電気通信設備の工事や維持、運用に関する監督をおこなうために、電気通信主任技術者を選任する必要があると定められています。
電気通信主任技術者は、伝送交換主任技術者と線路主任技術者に分かれていて、それぞれ監督できる設備が異なります。
1-2.電気通信主任技術者の将来性
電気通信主任技術者は、電気通信設備の工事などに対する監督が主な仕事であるため、現場単位ではそれほど多くの人数は必要ありません。しかし、事業所や都道府県ごとに電気通信主任技術者を配置する義務があるため、ある程度の需要や将来性は見込めるでしょう。大手通信会社に就職すれば、安定した収入も期待できます。
なお、今後はAIやロボットを活用したシステムの構築が予想されるため、AIやロボットに関する知識が求められる可能性もあります。
1-3.電気主任技術者との違い
電気通信主任技術者と間違えやすい資格に「電気主任技術者」があります。前述したように、電気通信主任技術者は電気「通信」設備での技術管理者ですが、電気主任技術者は通信設備ではなく、一般的な電気設備での管理者です。
2.電気通信主任技術者の資格を取得するメリット
電気通信主任技術者の資格を取ると、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここではメリットを2点紹介します。
2-1.技術力の証明が可能
前述のとおり電気通信主任技術者の資格は、電気通信技術のプロフェッショナルである証明です。なかには、電気通信主任技術者しか担当できない仕事があるため、資格を保有していれば仕事の幅が広がり仕事をするうえで有利にはたらくことが多いでしょう。
2-2.収入アップが可能
電気通信主任技術者の資格を取得すると、資格手当という形で給料が上がるケースがあります。具体的な金額は会社によって異なるものの、資格手当がつく会社であれば収入アップが期待できるでしょう。
3.電気通信主任技術者の試験概要
電気通信主任技術者の資格は、どのようにして取得すれば良いのでしょうか。試験概要や勉強方法を解説します。
3-1.電気通信主任技術者の試験概要
電気通信主任技術者試験の受験資格は特になく、誰でも受験できます。 試験は年に2回おこなわれており、多肢選択式でマークシートにより解答します。
試験科目は全部で以下の4つですが、伝送交換主任技術者試験・線路主任技術者試験それぞれで必要な科目が異なるため、実際に試験を受けるのは3科目です。
科目 | 伝送交換主任技術者試験 | 線路主任技術者試験 | 合格点 |
---|---|---|---|
法規 | ○ | ○ | 60/100点 |
電気通信システム | ○ | ○ | 60/100点 |
伝送交換設備および設備管理 | ○ | - | 90/150点 |
線路設備および設備管理 | - | ○ | 90/150点 |
なお、上記の科目はそれぞれさらに細かい区分に分けられており、資格や実務経歴などによって試験科目の免除制度があります。
詳しくは、試験を実施している電気通信国家試験センターのWebサイトをご確認ください。
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参照:電気通信国家試験センター「受験案内(受験の手引き)」
https://www.dekyo.or.jp/shiken/chief/guide
3-2.電気通信主任技術者の合格率
電気通信主任技術者試験は、ここ数年だと毎回約3,000人が受験しています。合格率は伝送交換主任技術者が約30%、線路主任技術者が約35%です。
ただし、1回で3科目すべてに合格したケースは、伝送交換主任技術者で約12%、線路主任技術者で約7%であるため、難度の高い試験だといえます。
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参照:電気通信主任技術者試験の実施結果: 試験種別毎推移表
https://www.dekyo.or.jp/shiken/assets/files/articles/15/files1563e5dbdfafa05.pdf
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参照:電気通信主任技術者試験の実施結果: 試験種別/試験科目数毎推移表
https://www.dekyo.or.jp/shiken/assets/files/articles/15/files1563e5dbe5964d7.pdf
3-3.電気通信主任技術者の勉強方法
電気通信主任技術者を取得するための勉強方法は、参考書を購入して知識をある程度インプットしたあとで、過去問を繰り返し解く方法がおすすめです。わからなかった過去問を参考書などで重点的に勉強すると、効率良く苦手分野を強化できるでしょう。
4.電気通信主任技術者の仕事内容
電気通信主任技術者は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。伝送交換主任技術者と線路主任技術者の仕事内容を、それぞれ解説します。
4-1.伝送交換主任技術者の仕事内容
伝送交換主任技術者の主な仕事は、伝送交換設備の工事や維持管理に関する監督です。伝送交換設備とは、一定規模以上の通信設備や電気設備などを指します。
伝送交換主任技術者は、このような伝送交換設備を工事するために必要な工事計画や工程管理、安全管理などの現場管理業務・運用管理をおこないます。
4-2.線路主任技術者の仕事内容
線路主任技術者は、通信ネットワークの工事や維持管理、運用の責任者です。具体的には光ファイバーや電話線など有線通信ネットワークの工事における現場管理業務のほか、運用管理などもおこないます。
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5.電気通信主任技術者の平均年収
厚生労働省が発表した「令和3年賃金構造基本統計調査」によると、電気通信主任技術者を含んだ電気工事従事者の給与の平均は、毎月の現金給与額が32万1,200円、年間賞与その他特別給与額が82万7,100円でした。これらの金額から年収を計算すると、468万1,500円になります。
この年収は電気通信主任技術者以外も含めた全体平均のため、有資格者である電気通信主任技術者としての経験を積めば、さらに年収が上がる可能性はあるでしょう。
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参照:賃金構造基本統計調査 / 令和3年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&stat_infid=000032182954
6.電気通信主任技術者に合格するための勉強方法
電気通信主任技術者に合格するためには、どのような勉強方法が効果的なのでしょうか。独学による学習と専門学校などでの学習について、それぞれ解説します。
6-1.独学での学習
前述したように、独学で勉強する場合は参考書で基礎知識をインプットしたあとに過去問を繰り返し解くと良いでしょう。電気通信国家試験センターのWebサイトから、過去2年分の問題と解答がダウンロードできます。参考書は科目別などでさまざまなものが販売されているため、自分に合うものを購入してみてください。
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参照:試験問題・正答 | 電気通信主任技術者 | 日本データ通信協会 電気通信国家試験センター
https://www.dekyo.or.jp/shiken/chief/exam
6-2.専門学校や通信教育での学習
独学が苦手な場合は、専門学校で勉強するのも一つの方法です。全国にいくつか、電気通信主任技術者対策の勉強ができる専門学校があります。通信教育講座で学習することも可能なため、近くに専門学校がない場合は通信教育を利用してはいかがでしょうか。
7.まとめ
電気通信主任技術者は、電気通信設備の工事や維持管理を監督するために必要な国家資格です。資格はさらに伝送交換主任技術者と線路主任技術者に分かれており、扱える設備が異なります。電気通信主任技術者の資格を取得すれば、年収アップも期待できるでしょう。
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