高圧ガス製造保安責任者とは?資格取得のメリットや需要、平均年収を解説

※この記事は4分30秒で読めます。
「高圧ガス製造保安責任者はどのような仕事ができるの?」
「高圧ガス製造保安責任者が活躍できる業界はどこ?」
など、高圧ガス製造保安責任者の仕事に興味を持っている方もいるでしょう。
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得すればできる仕事が増え、就職・転職に有利になるというメリットがあります。
今回は、高圧ガス製造保安責任者の概要や資格取得のメリット、資格の種類や試験科目などを解説します。この記事を読めば、高圧ガス製造保安責任者のことがよくわかり、就職や転職などに活かせるようになります。
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1.高圧ガス製造保安責任者とは?
高圧ガス製造保安責任者は、高圧ガス保安法によって定められた、高圧ガスを安全に取り扱うための国家資格です。
資格取得にあたっては、高圧ガス保安協会が運営する試験に合格する必要があります。高圧ガスを取り扱う事業所で保安業務に従事したい方には、取得必須の資格といえるでしょう。
一口に高圧ガスといってもその種類はさまざまで、使われている場所や機材、保安方法も同じではありません。そのため、資格の種類も細かく9つに分かれており、それぞれ取り扱える高圧ガスや従事できる施設規模が異なります。
自分が従事したい業務で取り扱う高圧ガスの種類や施設規模をしっかり確認したうえで、目指す資格を決めましょう。
2.高圧ガス製造保安責任者の資格を取得するメリット
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得することで、以下の2つのメリットが得られます。
2-1.就職や転職が有利になる
高圧ガスを取り扱っている事業所では、高圧ガスの種類や施設規模に応じた高圧ガス製造保安責任者の配置が必須です。
そのため、資格取得が求められる業界も多く、採用時に資格を保有していることで就職・転職活動が有利になるメリットがあります。
2-2.仕事の幅が広がる
高圧ガスは多くのシーンで使われており、高圧ガス設備が配備されている現場は、工場や病院など多岐にわたります。
資格の取得により、高圧ガスを取り扱うさまざまな仕事に携わることができ、キャリアの幅を広げることも可能になるでしょう。
3.高圧ガス製造保安責任者の平均年収
高圧ガス製造保安責任者の平均年収は、属する会社や業界によって異なりますが、一般的には400万円以上とされています。経験年数や勤続年数が長いほど、年収が高くなる可能性がある点は、他業界と同様といえるでしょう。
また、保有している資格の種類によっても年収は異なります。年収アップを狙うなら、複数資格の取得や、よりレベルアップした資格への挑戦も視野に入れてみてください。
4.高圧ガス製造保安責任者の資格を活かせる仕事
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得すると、どのような仕事に活かせるのでしょうか。ここでは、資格を活かせる代表的な3つの職場を紹介します。
4-1.石油化学コンビナート
大量の高圧ガスを取り扱う石油化学コンビナートでは、安全管理が万全でないと大事故につながりかねません。
そのため、高圧ガスの保安実務・統括を確実におこなえる有資格者が、大いに活躍できる職場といえるでしょう。
4-2.LPガス製造事業所
災害に強い分散型エネルギーとして注目を集めるLPガスは、業務用や家庭用、工業用などさまざまなシーンで活用されています。
ニーズの高まりに合わせて、LPガスの製造事業所で保安実務・統括をおこなえる有資格者は、よりいっそう求められるようになるでしょう。
4-3.食品工場
高圧ガス製造保安責任者の資格のなかには、冷凍冷蔵設備を持つ施設で、冷凍に関わる保安統括および実務をおこなえるものもあります。
当該資格を保有していれば、食品工場にある冷凍冷蔵設備の保安に従事することが可能です。
5.高圧ガス製造保安責任者の種類や試験科目
ここでは、高圧ガス製造保安責任者の資格概要と各試験科目について解説します。試験科目や解答形式は資格によって異なるため、目指す資格に合わせて試験準備を進めましょう。
5-1.甲種化学責任者
高圧ガスの種類および製造施設規模の制限なく、高圧ガス製造事業所におけるすべての保安業務に携われる資格です。
「保安技術管理者」「保安主任者」「保安係員」と、すべての保安職務に従事することが可能です。試験では化学関連の問題が多く出題されます。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」
《記述式》「学識」
5-2.甲種機械責任者
業務内容は甲種化学責任者と同じで、高圧ガス製造事業所におけるすべての製造施設の保安業務を統括できる資格です。
試験では機械関連の問題が多く出されるため、化学か機械かは自分の得意分野で選ぶとよいでしょう。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」
《記述式》「学識」
5-3.乙種化学責任者
高圧ガス製造事業所で、高圧ガスの種類の制限なく保安や統括をおこなえる資格です。なお「保安技術管理者」として従事できるのは、1日あたりに処理できる高圧ガス量が100万立方メートル未満の事業所に限られます。
試験では、化学関連の問題が多く出題されます。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」「学識」
5-4.乙種機械責任者
業務内容およびかかる制限は乙種化学責任者と同じで、「保安技術管理者」として従事する場合のみ、設備規模による制限がかかります。
試験では、機械関連の問題が多く出題されます。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」「学識」
5-5.丙種化学(液化石油ガス)責任者
LPガスの製造事業所において、LPガス製造に関わる保安や統括をおこなう際に必要となる資格です。
なお「保安技術管理者」として従事できるのは、1日あたりに処理できる高圧ガス量が100万立方メートル未満の事業所に限られます。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」「学識」
5-6.丙種化学(特別試験科目)責任者
石油化学コンビナートなどの製造事業所や天然ガススタンドなどで、保安業務をおこなう際に必要となる資格です。
高圧ガスの種類や施設規模による制限はありませんが、従事可能な保安職務は「保安係員」のみとなります。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」「学識」
5-7.第一種冷凍機械責任者
大型冷凍空調機器のある施設や冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで製造(冷凍)に関わる保安実務や統括をおこなう際に必要となる資格です。
冷媒ガスの種類・1日あたりの冷凍能力ともに、制限はありません。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」
《記述式》「学識」
5-8.第二種冷凍機械責任者
中型冷凍空調機器のある施設や冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで製造(冷凍)に関わる保安実務や統括をおこなう際に必要となる資格です。
冷媒ガスの種類に制限はありません。1日あたりの冷凍能力が、300トン未満の製造施設の保安に携わることができます。
【試験科目】3科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」「学識」
5-9.第三種冷凍機械責任者
小型冷凍空調機器のある施設や冷凍倉庫、冷凍冷蔵工場などで製造(冷凍)に関わる保安実務や統括をおこなう際に必要となる資格です。
冷媒ガスの種類に制限はなく、1日あたりの冷凍能力が100トン未満の製造施設の保安に携わることができます。高圧ガス製造保安責任者のなかでは、試験科目に「学識」を含みません。
【試験科目】2科目
《択一式》「法令」「保安管理技術」
6.まとめ
高圧ガス製造保安責任者の資格を取得することで、できる仕事の幅が広がります。
資格保有を採用の条件としている役職や業界もあり、就職や転職に有利に働く資格といえるでしょう。
資格の種類によって取り扱える高圧ガスや従事できる施設規模が異なるため、自分の希望業務や取得難易度などをよく考慮して、挑戦する資格を選びましょう。
