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更新日:2024年01月30日

コロナ禍における転職市場への影響と2023年の状況、新しい転職活動の形

コロナ禍における転職市場への影響と2023年の状況、新しい転職活動の形

※この記事は6分30秒で読めます。

「コロナ禍による転職市場への影響は?」
「コロナ禍の影響を受けた業界で転職活動を成功させる方法が知りたい」
など、コロナ禍における転職市場の変化に関して疑問を持っている方もいるでしょう。

コロナ禍と5類移行後の転職市場の状況は業界によりまちまちですが、求職者自身が求められる人材になることで転職は実現可能です。

今回は、2023年の新型コロナウイルスの状況、コロナ禍がもたらした転職市場への影響、変化を迎えた転職活動の形や課題、企業が欲しいと感じる人材の特徴、内定獲得のコツなどを解説します。この記事を読めば、コロナ禍における転職市場の状況がよくわかり、この先の転職活動の方向性が明確になります。

1.2023年の新型コロナウイルスの状況

2020年から感染が拡大し、転職市場にも大きな影響を与えた新型コロナウイルス。2023年は1月上旬をピークに感染者数が急速に減少しました。

5月から9月前半までは再び感染者数が上昇したものの、9月後半から11月上旬まで感染者数は再び収束に向かっています(2023年11月17日調査時点)。

また、発生初期と比較して重症度が低くなったことなどの理由により、2023年5月8日付で感染症法の分類が「2類相当」から「5類」に変更になりました。

2.新型コロナウイルスによる転職市場への影響

新型コロナウイルスの転職市場への影響は、2022年までと2023年では大きく変わってきています。ここでは、2020年~2022年と2023年に分けて転職市場への影響を見てみましょう。

2-1.2020年~2022年

2020年から始まった新型コロナウイルスの感染拡大によって、2022年までの転職市場は大きな影響を受けました。

特に影響が大きかったのが、人の移動や旅行に関係するホテルや観光業界、航空業界、飲食業界です。これらの業界を筆頭に、インバウンド需要に依存していた数々の業界で採用活動が縮小または停止しました。

その後も感染者数は増減を繰り返しましたが、2022年には大きな混乱状態を脱し、採用活動を再開する企業も増加傾向となりました。

一方、物流業界やIT業界など、当初からコロナ禍の影響をあまり受けていない業界も存在し、こうした業界では感染拡大後も活発に採用活動がおこなわれてきました。

また、即戦力となる経験者に関しては業種を問わず多くの企業が欲しているためコロナの影響をほぼ受けず、比較的スムーズに転職先が見つかる傾向にあったようです。

2-2.2023年~

2023年は新型コロナウイルスが感染症法上の5類に移行したこともあり、転職市場は回復しつつあります。

厚生労働省が発表している「一般職業紹介状況」によれば、2023年8月の新規求人倍率は2.33倍で、前月を0.06ポイント上回りました。正社員有効求人倍率は1.02倍と、前月と同水準をキープしています。

特に求人の伸びが大きいのは、宿泊業・飲食サービス業(9.8%増)、教育・学習支援業(8.4%増)などです。いずれもコロナ禍で事業が自粛傾向にあった業界であり、5類移行によって事業活動の制限がなくなったことが採用の活性化に影響していると予想できます。

以下に業界ごとの採用の増減をまとめたので参考にしてみてください。

産業 前年(2022年8月)同月比
宿泊業,飲食サービス業 9.8%増
教育,学習支援業 8.4%増
医療,福祉 4.8%増
製造業 7.5%減
建設業 3.8%減
生活関連サービス業,娯楽業 3.1%減

求人数が多ければ多いほど、転職市場は活気があると考えられ、転職しやすい可能性があります。

一方、前年と比べて求人数が減少している業界では自身に合う求人が見つかる確率が低いため、相対的に転職成功率が下がると考えられるでしょう。

3.コロナ禍によって変わった新しい転職活動の形

2020年~2021年にかけては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機に新しい転職活動の形が浸透しました。

zoomなどのオンラインコミュニケーションツールを活用したリモートワーク・テレワークが一般化したのと同様、人材採用においてもオンライン面接が一気に普及しました。

もちろん以前と変わらず対面の面接を実施している企業・職種もありますが、企業によってはすべての選考をオンラインで完結させるケースも珍しくありません。

また、フルリモートやテレワークの求人も増加したため、日常業務で社員同士が対面する機会がない企業も多く見受けられるようになりました。

全国どこにいても仕事ができるリモート環境は多くの労働者から支持を受け、企業側も積極的に導入していたのが、2021年までの状況です。

ただし、2022年から2023年にかけては新型コロナウイルスの感染者数が減少したり、重症化率が下がったりしたため、リモートワークから脱却する動きもあります。

リモートワークではコミュニケーションが取りにくかったり仕事ぶりを監視できなかったりといった欠点があり、人材育成が進まないことが要因の1つでしょう。2023年11月現在では、リモートワークを廃止し以前のように出社して働く形式に戻す会社もあります。

4.コロナ禍における企業側の転職活動の課題

転職活動を始めたい方やすでに始めている方は、新型コロナウイルスの流行によって業界や企業がどのような影響を受けたのかを把握しておきましょう。また、現状の課題についても把握しておくことも転職活動を成功に導くために有効な方法です。

企業が抱える主な課題として挙げられるのは、「リモートワーク・テレワークに適した人材教育手法の見直し」です。リモートワーク・テレワークの普及は、決してメリットばかりではありません。企業側には「人材教育が難しい」という大きな課題が降りかかりました。

従来であれば同じ空間のなか対面で研修や教育を実施するのが当たり前でしたが、やりとりの大半がオンライン化した今では、指揮系統が乱れたり意思疎通が図りにくかったりして、円滑なコミュニケーションに弊害が生じている企業もあります。そのため、人材を効率良く育成したいという企業の思惑はなかなか実現しにくい状況です。

したがって、同業界・同職種ですでに一定のスキルと経験を積んだ人材は、企業から非常に重宝されます。自分自身の転職市場を高める意味でも、スキルや経験を磨く必要性は今まで以上に高まっているといえるでしょう。

ただし、前述のとおり、2023年に新型コロナウイルスが5類に移行したこともあり、リモートワークから通常の出社に戻す動きがあります。企業にとって人材の育成は今後も課題にはなりますが、今までとはまた別の課題にも目を向ける必要性が生じています。

例えば、従来どおりの出勤にシフトすることによって、企業は交通費や出張費、備品費といったコストを負担することになります。加えて、人材を募集するにはアフターコロナの状況にマッチする新しい福利厚生を整備することも必要です。

リモートワークでは必要なかった、出張する社員や自社に出勤した社員への食事補助など、転職者にとって魅力的な福利厚生を用意することが課題となっていると考えられます。

5.コロナ禍でも企業が欲しがる人材

コロナ禍であっても、企業が欲しいと思う人材の特徴を知っておけば、的を射た自己アピールが可能になります。以下の3点を備えておけば現在のコロナ禍はもちろん、将来的に別の要因で社会情勢に変化が訪れても転職活動を有利に進めやすくなるでしょう。

5-1.即戦力となる高いスキルを持っている人材

繰り返しになりますが、即戦力となる高いスキルの持ち主は、多くの企業が欲する人材です。

コロナ禍では業績がプラスとなった企業もマイナスとなった企業もありますが、双方に共通するのは「今までの業績は死守していきたい」ということであり、そのためにできる限り即戦力として働ける人材が欲しいというのが本音です。

特に感染拡大と重症化が深刻だった2020年~2021年あたりでリモートワークを導入した企業は、人材育成が難しい状況だったこともあり、即戦力の重要性は増しているといえます。

また、企業によっては採用費・人件費の予算が削られているケースも見受けられることから、できる限り少人数で効率的に業務を回したいという思惑があることも想定されます。したがって、今まで以上に経験や実績、スキルを重視した採用選考が実施されている状況です。

5-2.同業界や同職種での経験豊富な人材

同業界・同職種で豊富な経験を積んできた人材は、コロナ禍に関係なく引く手あまたでしょう。

コロナ禍において、企業はいかに業績をキープするか、回復させるかに総力を挙げています。したがって、自社に活きるスキルをもちつつ他社での経験を活かした客観的視点を備えている人材は重宝されます。

特に、管理職経験者や業務改善で一定の実績がある人物は、高確率で採用を勝ち取ることができるでしょう。

5-3.企業が求める人物像にマッチしている人材

コロナ禍に限ったことではありませんが、企業が求める人物像にマッチしている人材はすぐにでも採用したい人材でしょう。

企業が採用を実施する目的の一つには、「いかに自社に貢献してくれる人材を採用するか」というポイントがあるため、マッチするかは採否に大きな影響を及ぼします。

企業と求職者の間に起きるミスマッチは、早期退職のリスクを高めます。コストや労力をかけてやっと採用した人材がすぐに退職してしまっては、企業にとって大きな痛手です。

特にコロナ禍においてはコスト管理がシビアになっている企業が多いので、マッチ度の見極めには慎重になっている企業が多いと考えられます。

6.コロナ禍の転職活動を成功させるためのコツ

コロナ禍であっても、企業から求められる人材になることで内定獲得は十分に実現可能です。その実現のために、以下の3つのコツを意識しましょう。

6-1.スキルや経験を身につける

応募先企業に活かせるスキルや経験を身につければ、転職成功が一気に近づきます。前述のとおり、即戦力の人材や同業種・同職種の経験を備えている人材は、採用の可能性が高まります。

コロナ禍の厳しい転職市場で希望する企業の内定を獲得するには、いかに実務に活きるスキルや経験を身につけているか、それによって他の応募者と差別化できるかが重要です。

たとえ現時点でスキルが不足していても、現職を続けながら新たなスキルや経験を積むことは可能です。

下積み期間と割り切ってしばらく経験を積み、スキルと経験、自信を身につけてから転職活動を本格スタートしたほうが、採用の可能性は高まります。

6-2.自分のアピールポイントを整理する

自分のアピールポイントを整理しておくことも、コロナ禍の転職市場で成功するコツの一つです。他の応募者と比べて自分はどのような要素が秀でているのか、長所・アピールポイントを把握しておきましょう。

そのためには、自己分析の実施が効果的です。転職活動の軸を明らかにするとともに、転職後にどのような活躍ができるのか、そのイメージを描くためにも、自己分析は手を抜けません。

丁寧におこなえばおこなうほど面接時に深みのある回答ができるようになり、採用担当者に好印象を与えられるでしょう。

また、自己分析をおこなう際には、

  • 応募先企業で自分にできることは何か
  • どのように役に立てるのか
  • 役立てると思う根拠は何か

の3点について具体的に整理しておくと、説得力のあるアピールが可能となります。

自己分析については以下の記事も併せてご覧ください。

6-3.業界や企業研究を丁寧におこなう

応募先企業の業界・企業についての理解が浅いとミスマッチを引き起こす原因となるため、業界・企業研究は徹底的におこないましょう。ミスマッチで早期退職に至った場合、コロナ禍で再度転職活動をすることになるので、大きなエネルギーが必要となります。

応募先企業の事業内容はもちろんですが、経営理念やビジョン、社長の思想、従業員の男女比、社風、職場環境など、多角的な視点で研究することで、本当に自分にマッチする企業なのか見極めやすくなります。

業界や企業研究についてより詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

6-4.焦らずじっくりと転職活動を進める

コロナ禍が続く現在、一個人が焦って結果を求めても、社会情勢が変化しない限りコロナ禍前の状況には戻りようがありません。そのため、焦らずじっくり、腰を据えた転職活動をすることが重要です。

たとえ長期戦になったとしても、自分の希望に合う企業に出会い、やりがいを持ちながら長く働けるほうが、キャリアにとっては良いことです。

現職を退職してから転職活動をスタートするのは、少々リスキーな選択です。数ヵ月単位で転職先が決まらない可能性も大いにあるので、現職を続けながらの転職活動をおすすめします。

転職活動のスタートを考えている方は、以下の記事も併せてご覧ください。

7.コロナ禍で変化があった業界や伸びている業界は?

新型コロナウイルスが猛威を奮っていた2020年から2021年を中心に業績が悪化した業界は多くありますが、なかには業績に大きな影響が出ていない業界もあります。

転職を成功させるなら、コロナ禍でも影響が少なく、現在も転職市場が活況な業界を選ぶのがおすすめです。

7-1.IT・ゲーム・製薬・物流業界は影響が少なめ

冒頭でも触れたように、コロナ禍においても影響を受けることなく伸びている業界があります。主にIT・ゲーム・製薬・物流業界が該当します。

IT・ゲーム業界は、リモートワーク・テレワークの普及が追い風となりました。幅広い層の人材確保のチャンスに恵まれ、未経験者の採用も積極的におこなう企業が増加しました。

また、自宅で休暇を過ごす方も増えたことでゲーム需要が高まっていることも、業界にとっては好都合でした。

製薬業界は、マスクや医薬品の製造・開発などで市場を拡大したことで、コロナ禍においても求人数はさほど減少しませんでした。ただし、厚生労働省の「一般職業紹介状況」によれば、2023年8月の求人数は前年同月比で減少しています。

外出を控える生活様式が推奨されたこともあり、物流業界の需要も高まりました。インターネットショッピングやデリバリーの注文数が一気に増加し、多くの人手が求められました。

2023年11月現在は新型コロナウイルスの5類移行にともなう人流の戻りと消費マインドの改善で需要が増加したことに供給が追い付かず、人材不足が課題になっています。転職する側からみれば、高待遇で長く働ける可能性のある魅力的な業界といえるでしょう。

7-2.人手不足に陥っている業界もある

物流業界以外にも、人手不足が深刻化している業界は多くあります。コロナ禍で業績が悪化し雇用調整をしたため、コロナが落ち着き業績が回復した際に人手が足りなくなってしまったことなどが大きな要因です。

とりわけ深刻なのは観光業界で、全国旅行支援による国内観光促進策に対して現場の人材が不足しています。

その他、野外での仕事で新型コロナウイルスの影響を大きく受けた建設業、運輸・倉庫業、メンテナンス・警備・検査などの業界で人材不足が深刻です。

転職する側にとっては、人材不足はチャンスでもあります。上記で紹介した業界に興味がある場合は、早めに転職活動を始めることで転職の成功率が上がるでしょう。

8.まとめ

新型コロナウイルスの感染拡大によって、私たちの生活は一変しました。

2023年には5類に移行して日常生活が戻っていますが、コロナ禍で調整した雇用が戻らず人手不足になっている業界も少なくありません。そのため、2023年以降は転職が成功しやすい環境にあるといえます。

求職者に必要なのは、企業に必要とされる人材になることです。厳しい社会情勢でも、企業側から「自社に貢献してくれる人材だ」と評価されれば、転職は不可能ではありません。今回の記事を参考に、理想的な転職の実現のために自分に必要な要素を考えてみましょう。

また、なかには「自分が希望する業界がコロナ禍でどのような影響を受けたか気になる……」と考えている方もいるでしょう。そんな悩みがある場合は、転職サイトなどのアドバイザーに相談するのがおすすめです。

JOBPALでは転職希望者向けの面談サービスを実施しており、コロナ禍による業界ごとの採用率の変化などを知ることができます。気になることがあれば、以下のリンクから気軽にご応募ください。

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