第一種電気工事士とは?第二種電気工事士との違いや仕事内容を紹介

※この記事は4分30秒で読めます。
「第一種電気工事士ってどのような資格?」
「第一種電気工事士になるメリットは?」
など、第一種電気工事士に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
第一種電気工事士は、小規模事業所や一般住宅だけでなく大規模店舗やビルなどでも電気工事ができる資格です。取得することで、仕事の幅が広がります。
今回は、第一種電気工事士の概要、第二種電気工事士との違いなどを解説します。この記事を読めば、第一種電気工事士のことがよくわかり、資格を活かした就職や転職ができるようになるでしょう。
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1.第一種電気工事士とは
第一種電気工事士とはどのような資格なのでしょうか。資格の概要や第二種電気工事士との違いを解説します。
1-1.第一種電気工事士の概要
第一種電気工事士とは、一般財団法人電気技術者試験センターが運営する資格の一つです。
この資格の取得により、住宅や小規模な事業所など600V以下で受電する電気工作物などの電気工事に加えて、大規模な店舗や工場、病院、ビルなど最大電力500kW未満の需要設備の電気工事をおこなえるようになります。
1-2.第二種電気工事士との違い
第一種電気工事士に似た資格として、第二種電気工事士があります。
第二種電気工事士が扱えるのは、小規模な事業所や住宅など、600V以下の低圧で受電する場所の電気工事のみです。第一種電気工事士は第二種電気工事士が取り扱える範囲に加えて、大型店舗やビルなどの電気工事がおこなえます。
このように、両者には対応できる電気工事の範囲に違いがあります。
2.第一種電気工事士として向いている方の特徴
第一種電気工事士には、どのような特徴を持つ方が向いているのでしょうか。ここでは、第一種電気工事士に向いている方の特徴を3つ解説します。
2-1.几帳面な性格
第一種電気工事士がおこなう仕事は、細かい作業が多いうえに、図面どおりに正確に仕上げることが求められます。
そのため、細かい作業でも手を抜かず正確に作業ができる、几帳面な性格の方が向いているでしょう。
2-2.体力に自信がある
第一種電気工事士は細かい作業だけでなく、太いケーブルを数十メートルにわたって敷くような作業をすることもあります。
電気工事の現場は、高所で足場が悪いケースも多く、ケーブルは人力で敷設しなければならないこともあるため体力が必要です。
2-3.自ら学ぶ姿勢がある
電気工事は現場によって必要なスキルが異なるため、どのような現場にも対応できる幅広い技術力が必要です。
自分で考えたり、先輩の作業から学んだりして、常にスキルや知識を吸収し続ける姿勢が求められます。
3.第一種電気工事士の仕事内容や年収
第一種電気工事士は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。ここでは、仕事内容や年収について詳しく解説します。
3-1.第一種電気工事士の仕事内容
第一種電気工事士の仕事は、大きく「建築電気工事」と「鉄道電気工事」の2つに分かれています。建築電気工事は、住宅や事業所などの建築物の電気設備について設計や施工をおこないます。
一方の鉄道電気工事は、鉄道で使われている電力設備や信号システム、架線など各種電気設備の点検やメンテナンスなど、電車の安全な運行を支えるのが仕事です。
3-2.第一種電気工事士の年収
厚生労働省がおこなった「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、第一種電気工事士を含む電気工事従事者の給与の平均は、毎月の現金給与額が34万4,300円、年間賞与その他特別給与額が93万6,300円でした 。
これらの金額から計算すると、年収は506万7,900円になります。ただし、この金額はあくまで平均です。経験が浅い場合は250万円〜300万円程度で、経験を積めば600万円を超えることもあります。
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参照:e-Stat「賃金構造基本統計調査 / 令和4年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種」
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?stat_infid=000040029181
4.第一種電気工事士の資格を取得するメリット
第一種電気工事士の資格を取得すると、次の3点のメリットがあります。
4-1.さまざまな電気工事に対応できる
第二種電気工事士は低圧の電気工事のみがおこなえますが、第一種電気工事士になると、低圧に加えて高圧の電気工事も取り扱えるようになります。
仕事の幅が広がるため、さまざまな仕事の経験が積めるでしょう。
4-2.収入が向上する
第一種電気工事士の資格取得により、会社次第では資格手当が支給されます。
同じ資格でも、第二種電気工事士と比べると、第一種電気工事士の資格手当は高くなる企業が多いようです。
4-3.就職・転職に有利になる
第一種電気工事士は低圧だけでなく高圧の電気工事もおこなえるため、応募できる求人も多くなります。
た、電気工事作業の主任者にもなれることで会社からの評価も上がるため、就職や転職で有利になるでしょう。
5.第一種電気工事士の資格が活かせる仕事
第一種電気工事士の資格を活かせる場としては、電気工事会社とビルメンテナンス会社が挙げられます。それぞれどのような仕事をおこなうのか、紹介します。
5-1.電気工事会社
さまざまな施設の電気工事をおこなう電気工事会社では、第一種電気工事士の資格が重宝されます。
高圧電気機器の取り付けや取り外し・配線工事のほか、低圧電気機器などの取り付け・取り外しに従事することで、実務経験を積めるでしょう。
5-2.ビルメンテナンス会社
ビルメンテナンス会社では、ビル内にある電気設備の点検や交換作業などで第一種電気工事士が求められます。
ただし、ビルメンテナンスではボイラー技士などの資格も必要です。
6.第一種電気工事士の試験概要
ここでは、第一種電気工事士の試験科目や申し込み方法などについて解説します。
6-1.試験科目
第一種電気工事士の試験には学科試験と技能試験があり、技能試験は、学科試験を通過してから受ける流れになります(学科試験免除者はそのまま技能試験を受けられます)。
なお、資格を取得するには、試験の合格に加えて電気工事に関して3年以上の実務経験も必要です。
学科試験は四択問題で、コンピューターで回答するCBT方式か、マークシートに記入する筆記方式のいずれかを選べます。出題範囲は以下のとおりです。
- 電気に関する基礎理論
- 配電理論および配線設計
- 電気応用
- 電気機器・蓄電池・配線器具・電気工事用の材料および工具並びに受電設備
- 電気工事の施工方法
- 自家用電気工作物の検査方法
- 配線図
- 発電施設・送電施設および変電施設の基礎的な構造および特性
- 一般用電気工作物等および自家用電気工作物の保安に関する法令
そして技能試験では、配線図で与えられた問題を一定時間内で完成させます。出題範囲は以下のとおりです。
- 電線の接続
- 配線工事
- 電気機器・蓄電池および配線器具の設置
- 電気機器・蓄電池・配線器具並びに電気工事用の材料および工具の使用方法
- コードおよびキャブタイヤケーブルの取り付け
- 接地工事
- 電流・電圧・電力および電気抵抗の測定
- 自家用電気工作物の検査
- 自家用電気工作物の操作および故障箇所の修理
6-2.申し込み方法や受験料
第一種電気工事士の試験申し込みに際して、受験資格はありません。また、試験は年に1回おこなわれます。試験の流れは以下のとおりです。
- 試験申し込み:6月中旬~7月上旬
- 学科試験:8月下旬~9月上旬(CBT方式)・10月上旬(筆記方式)
- 技能試験:12月上旬
受験手数料は1万1,300円で、インターネットで申し込めば1万900円と若干安くなります。学科試験が免除される場合でも、試験の申込期間や受験手数料は変わりません。
技能試験に合格して実務経験が3年以上あれば、都道府県知事へ申請することで免状が交付されます。
このほかに、電気主任技術者や高圧電気工事技術者で一定の実務経験がある場合は、試験なしで第一種電気工事士の資格を取得できます。
7.まとめ
第一種電気工事士は、第二種電気工事士がおこなえる低圧の電気工事に加えて、高圧の電気工事がおこなえるようになります。一般住宅だけでなく工場や大規模店舗などの電気設備が扱えるようになるため、仕事の幅が広がるでしょう。
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