自動車整備士とは?仕事内容や資格、活躍できる職場を徹底解説
※この記事は6分で読めます。
「自動車整備士ってどんな仕事?」
「自動車整備士として働く魅力って何?」
など、自動車整備士の仕事に関して疑問を持っている方もいるでしょう。
自動車整備士とは、安全な車の走行のために欠かせない「車のお医者さん」の役割を担う仕事で、手に職をつけたい人や車好きの人には特におすすめです。
今回は、自動車整備士の仕事内容、資格の種類や受験方法、活躍できる場、仕事の魅力などを解説します。この記事を読めば、自動車整備士になる方法や仕事内容がよくわかり、自動車整備士として働く自分の未来像をイメージしやすくなります。
エリアから工場・製造業のお仕事を探す
1.自動車整備士とは
自動車整備士とは、自動車の定期点検や保守や修理作業などをおこなう仕事で、いわば「自動車を専門に診るお医者さん」という立ち位置の職業です。車が安全に走行できるよう整備することで事故を防ぎ、人命を守るミッションを担います。
したがって、自動車整備士は高い知識と技能が求められる仕事です。所定の方法で知識と技能を身につけたうえで国家資格に合格する必要があります。
2.自動車整備士の仕事内容
自動車整備士の仕事内容は、主に以下の3つに区分できます。それぞれの特徴を理解しておきましょう。
2-1.点検整備
点検整備とは、車検などの定期点検や不定期のメンテナンスで持ち込まれた自動車を点検・整備する仕事です。
安全に走行できる状態であるかを全体的に点検し、具体的な不具合や今後トラブルを招く恐れがある箇所を漏れなくピックアップします。そして、必要に応じて修理や部品交換を施します。
また、不具合が発生した際の対処法や改善策などをドライバーに伝えることも自動車整備士としての役目です。
2-2.緊急整備
緊急整備とは、ドライバーが突然見舞われた緊急性の高いトラブルに対し、迅速に修理や整備をおこなう仕事です。突然のエンジントラブルなど、急を要する事故・故障対応を担います。
修理や部品交換が必要な箇所を慎重に見極め、再び安全に走行できる状態になるよう整備を施します。
2-3.分解整備
分解整備とは、エンジン(原動機)やプロペラシャフトなどの動力伝達装置、タイロッドエンドなどの操縦装置をはじめ、自動車を安全に走行させるために重要な装置を取り外し、分解して整備する仕事です。
ここでご紹介した3種類の整備業務のなかで最も高い技術力が求められることから、認証工場・指定工場のみで実施される整備となっています。
3.自動車整備士の資格の種類
自動車整備士の資格には、3級・2級・1級の3種類と特殊整備士があり、それぞれの資格に複数の技能検定が紐付いています。自動車整備士としてのキャリアをイメージするためにも、それぞれの資格内容を理解しておきましょう。
3-1.3級自動車整備士
- 3級自動車ガソリン・エンジン整備士
- 3級自動車ジーゼル・エンジン整備士
- 3級自動車シャシ整備士
- 3級二輪自動車整備士
3級自動車整備士は、自動車整備士を志す人が最初に目指すことになる資格です。試験では、基本的な点検や修理に必要となる基礎的な知識が求められます。
3級でも整備には携われますが、担える仕事の幅が狭く、合格後はオイルやタイヤ交換といった簡単な整備作業に携わることになります。分解整備では補助的な役割に終始します。
3-2.2級自動車整備士
- 2級自動車ガソリン・エンジン整備士
- 2級自動車ジーゼル・エンジン整備士
- 2級自動車シャシ整備士
- 2級二輪自動車整備士
2級自動車整備士は、自動車整備士の専門学校に通う、または3級取得後に3年以上の実務経験を積むなどの手段で受験資格が得られます。実務経験は国から認証・指定を受けている整備工場でなければ認められないため、必ず確認するようにしましょう。
2級自動車整備士を取得すると自動車整備の大半の業務を担えるようになることから、現役の自動車整備士の多くが保有している資格です。
世間一般が自動車整備士に抱くイメージに合致するような仕事を任せてもらえるようになるため、多くの方は2級取得を目指すことになります。
3-3.1級自動車整備士
- 1級小型自動車整備士
- 1級大型自動車整備士
- 1級二輪自動車整備士
1級自動車整備士は、自動車整備士資格のなかで最も高度な能力を求められるものです。3級・2級とは異なり担える作業に制限がないため、自動車整備士としての業務をすべてカバーできます。
また、3級・2級自動車整備士への指導をおこなう立場にもなります。
3-4.特殊整備士
- 自動車タイヤ整備士
- 自動車電気装置整備士
- 自動車車体整備士
特殊整備士とは、自動車のなかでも特定パーツの専門知識や技能を有していることを証明する資格です。一般的には、2級・1級自動車整備士資格があれば実務に大きな支障は生じません。
しかし、資格取得が実現すれば、より専門的な知識を有する自動車整備士として認識されることになるため、この先のキャリアにおいてプラスになるでしょう。
4.自動車整備士の受験資格
自動車整備士の資格取得を目指すには、まず受験資格を獲得しなければなりません。受験資格の取得方法としては大きく分けて以下の2パターンが挙げられます。
4-1.専門学校に通うパターン
自動車整備士の資格保有者、または現在取得を目指している人のほとんどが、自動車整備士を育成する専門学校などに通っています。
各学校には級ごとにコースが設けられているので、通学期間や費用などを考慮しながら目指したいコースを選択できます。
専門学校であれば、3級取得をスキップして2級以上を目指せるので、自動車整備士としていち早く活躍したい方におすすめです。また、自動車整備士資格試験の実技試験が免除される点も大きなメリットでしょう。
4-2.専門学校に通わないパターン
専門学校に通わない場合は、実務経験を積み3級自動車整備士から目指す形になります。ただ、3級は仕事の範囲に制限があるので、3級取得後さらに実務経験を積み、2級以上を目指す人が多くなっています。
なお、実務経験の必要期間は学歴によってまちまちなので、資格取得までに要する期間も人により変わります。自分に必要な実務経験がどの程度なのか、事前に必ず確認しておくようにしましょう。
5.自動車整備士が活躍できる職場
自動車整備士の就職先は、整備工場を始めとしていくつか選択肢があります。ここでは、自動車整備士が活躍できる主な職場を5つご紹介します。
5-1.自動車整備工場
最もポピュラーなのが自動車整備工場です。その名のとおり自動車の整備を目的とした工場で、点検整備・緊急整備・分解整備に対応します。実務経験を積みながら、自動車整備士の上位資格を目指す人も多くいます。
5-2.自動車のディーラー
自動車のディーラーも自動車整備士が活躍する代表的な職場です。顧客と接する機会が多いため、コミュニケーションを取るのが好きな人、また正規ディーラーの場合は自社の自動車のみ取り扱う形となるため、特定のメーカーの自動車に携わりたい人などにはおすすめです。
5-3.中古車販売店
中古車販売店でも、点検やタイヤ・オイル交換といった自動車整備士としての仕事があります。各地に展開しているチェーン店もあるので、比較的求人数も多い傾向です。さまざまなメーカーや車種の整備を担うため、幅広く経験が積めます。
また、ディーラー同様顧客と接する機会も多いため、接客に苦手意識がない人が望ましいでしょう。
5-4.ガソリンスタンド
日々多くのドライバーが立ち寄るガソリンスタンドにも自動車整備士が常駐しています。オイルやタイヤ、ワイパーなどの交換や、それぞれのお客様に最適な整備の提案などが主な仕事です。
さらに、指定工場になっているガソリンスタンドでは点検整備も含まれますが、整備工場に比べると作業環境的に制限があるため、いかにスピーディーで丁寧な仕事ができるかが問われるでしょう。
5-5.レーシングチーム
レーシングチームには「メカニック」と呼ばれる自動車整備士が所属しています。レーシングカーを最適な状態に整備し、レースでの勝利に貢献するのがメカニックの仕事です。
一般的な自動車整備に関する技術がベースとなりますが、レーシングカーに使用する特殊なエンジンやパーツに対する深い専門知識や、最新技術・製品に対する情報収集・習得も求められます。
また、ドライバーにアドバイスや提案をする立場でもあります。チームで連携していく必要がある仕事のため、人と協力しながら目標を達成したいタイプの人なら大きなやりがいを感じられるでしょう。
6.自動車整備士の仕事の魅力
自動車整備士の仕事にはさまざまな魅力が秘められています。多くの人が魅力的に感じるであろうポイントを3つご紹介します。
6-1.スキルを資格で明確化できる
自動車整備士の仕事は、自らのスキルの程度を資格で明確化できる点が魅力です。自動車整備士の場合、3級・2級・1級と3段階のレベルが設定されており、上位資格を取得するほど難易度が高く、責任が重い仕事に挑戦する機会に恵まれます。
任される仕事のレベルが上がれば、そのぶん給料アップも期待できるでしょう。「資格」という公平な判断材料があるため、評価者のさじ加減に左右されることもありません。
6-2.感謝の言葉を言われることが多い
自動車整備士は、自動車の整備作業だけでなく、車の持ち主である顧客への接客も担います。丁寧でスピーディーな整備、整備士ならではの視点による役立つアドバイスなど、きめ細やかなサービスを提供できると、顧客から感謝の気持ちを伝えられることもしばしばあります。
6-3.自動車のパーツが安く手に入る
自動車整備士の隠れた魅力の一つが、自動車のパーツを正規価格より安い社員割引価格で購入できる点です。車いじりが趣味で頻繁にパーツを購入しているような人にとってパーツ代は侮れない出費であり、うれしいポイントになるでしょう。
加えて、新車・中古車の購入に際して社割が適用される場合もあります。
また、自分の車の整備を自分の職場でおこなえる点も、自動車整備士ならではの魅力です。見ず知らずの工場に依頼するより、内情をよく知っている工場で気心知れた仲間たちに整備してもらえたほうが安心できるでしょう。
なお、社割のシステムが採用されているかどうかは企業によって異なるため、応募先企業の規定を確認するようにしましょう。
7.自動車整備士に関するよくある質問
最後に、自動車整備士に関してよく聞かれる質問とその回答をご紹介します。自動車整備士への就職・転職を目指す場合はぜひ参考にしてみてください。
7-1.自動車整備士の資格は通信講座で取得できる?
自動車整備士の資格は通信講座では取得できません。まずは受験資格を獲得する必要がありますが、自動車整備士の専門学校に通学する、もしくは整備工場で実務経験を積むことが条件です。
7-2.自動車整備士は中卒や高卒でもなれる?
自動車整備士は中卒や高卒の人でもなれる職業です。自動車整備士としての活躍を目指す場合は、実務経験を経て3級自動車整備士の受験資格を獲得する必要があります。
ただし、スタート時点での学歴は問われないので、実務のなかでスキルを磨きながら、まずは3級自動車整備士資格の合格を目指しましょう。
7-3.自動車整備士は女性でもなれる?
女性でも自動車整備士になることは可能です。女性の顧客の場合、女性整備士のほうが安心してもらえるケースも少なくありません。女性ならではのきめ細やかな配慮が感謝されることも多いため、大いに活躍できる仕事です。
「力仕事・肉体労働がメインで男性にしか務まらないのでは」と不安を感じる女性もいるかもしれませんが、実態はそうでもありません。近年はシステム化が進んでいますし、工具の使い方や体の使い方のコツをつかめれば、多くの整備は滞りなく対応できます。
それでも自分一人での対応が難しいシーンでは、周囲の男性たちに協力を仰ぎ、連携を取りながら進めていきましょう。
8.まとめ
自動車整備士は、性別や今までの学歴・キャリアに関わらず、幅広い人が目指せる仕事です。手に職がつく、日本全国に働き口が豊富にあるという強いメリットもあるため、この先プライベートでさまざまな転換期を迎えても、仕事に困るリスクは少ないでしょう。
自動車整備士の資格取得と考えると年単位での時間を要しますが、興味のある方は前向きにぜひ挑戦を検討してみましょう。