工場の仕事図鑑
更新日:2024年12月13日

クレーン運転士とは?仕事内容や給料の相場、魅力ややりがい、向き・不向きを解説

クレーン運転士とは?仕事内容や給料の相場、魅力ややりがい、向き・不向きを解説

この記事で分かること

  • クレーン運転士とは、大型のクレーンで重い荷物を運ぶ国家資格を持った人のこと
  • クレーン運転士には正社員が多く、現場で活躍している他の職種より給料が高い傾向にある
  • 年齢や性別に関わらず働けるチャンスがあり、需要も高い
  • コミュニケーションを取る能力が高く、車の運転が好きな人に向いている一方、集中力のない人には不向き
  • クレーン運転士として働くには、国家資格を所持する必要があり、資格により操作できるクレーンは異なる

※この記事は6分30秒で読めます。

「クレーン運転士ってどういう仕事?」
「クレーン運転士のやりがいや仕事の大変さを知りたい」
など、クレーン運転士に関して疑問を持っている人もいるでしょう。

クレーン運転士は、資格免許を取得すれば年齢・性別問わず活躍でき、就職や転職の際に有利になるなどの魅力があります。

今回は、クレーン運転士の仕事内容や勤務形態・給料の相場、仕事のやりがいや大変さ、向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、クレーン運転士のことが良くわかり、資格取得に前向きな気持ちで挑戦できるでしょう。

1.クレーン運転士とは?

クレーン運転士とは、大型のクレーンを操作して重い物の積み下ろしができる資格を持った人のことです。クレーンオペレーターやクレーン運転工とも呼ばれ、建設現場や工場、倉庫などで活躍しています。

一般的な製造業の仕事と比べると求人数は少ない傾向にあります。一方、人手不足に悩まされている工場や建設現場が多くあるので、クレーンを運転できる資格免許を持っていれば、仕事を見つけやすいでしょう。

工事現場や建設現場など、あらゆる現場で不可欠であり、建設や物流の需要がある限りは仕事がなくなる心配のない将来性の高さが魅力です。

クレーン運転士になるには、移動式クレーン運転士やクレーン・デリック運転士など国が認めた資格が必要です。経験を積めば、湾岸のコンテナターミナルの花形であるガントリークレーンの操縦士として活躍することも夢ではありません。

2.クレーン運転士の仕事内容

クレーン運転士は、大型のクレーンを操作して重い荷物や資材を安全に運ぶことが主な仕事です。クレーンで扱う荷物や資材は現場によって異なるので、必然的に作業工程も変わってきます。

また、現場によっては資材の運搬・移動だけではなく、資材を組み立てる工程の一部を任される場合もあります。荷物を効率良く安全に運ぶために、関係者との打ち合わせや周りとの密なコミュニケーションも大事な仕事です。

クレーン運転士の仕事で重要なのは、安全への配慮です。大きなクレーンを扱うぶん、ちょっとしたミスが大きな事故につながる可能性があるため、作業中は常に緊張感を持って取り組む必要があります。

3.クレーン運転士の勤務形態と給料の相場

ここでは、クレーン運転士の雇用形態や勤務形態、給料の相場について解説します。クレーン運転士になるかどうかの判断するための参考にしてください。

3-1.雇用形態・勤務形態

「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、クレーン運転士の雇用形態の実態は、以下のとおりです。

雇用形態 割合
正社員の職員、従業員
89.6%
パートタイマー
6.3%
派遣社員
4.2%
契約社員、期間従業員
6.3%
アルバイト(学生以外)
4.2%

※クレーン運転士として実際に働いている人が多いと感じる雇用形態。複数回答のため合計が100%にならない。

クレーン運転士の多くが正社員として働いており、理由としては専門的な技術や経験が求められる仕事であることなどが考えられます。

勤務形態は現場によって異なりますが、建設工事や倉庫などにおいて、多くの場合は朝から夕方までの勤務です。

ただし、24時間稼働の工場では、2交代制や3交代制の勤務形態を取る場合もあります。また、港湾の勤務では、荷物の到着時間に合わせて、早出や遅出の時差勤務形態を取ることもあるようです。

3-2.給料の相場

「職業情報提供サイト(日本版O-NET)」によると、クレーン運転士の平均年収は、建設現場などで活躍する職種の中で比較的高い傾向にあることがわかります。具体的には、以下のとおりです。

職種 年収
クレーン運転士
約578万円
大工
約457万円
配管工
約513万円

ただし、実際の給料は経験年数や働く地域、会社の規模などによって異なるので、あくまで参考程度としてください。

4.クレーン運転士の魅力ややりがい

大型の機械を操作するクレーン運転士は、一見難しそうに思えるかもしれません。しかし、実際には誰でも活躍できる可能性がある仕事で、やりがいも豊富です。

クレーン運転士の魅力ややりがいは、以下のとおりです。

  • 年齢や性別を問わず活躍できる
  • 需要が高い
  • 未経験からでも挑戦できる

それぞれ詳しく解説します。

4-1.年齢や性別を問わず活躍できる

クレーン運転士の魅力は、年齢や性別に関係なく、資格免許があれば誰でも活躍できることです。

クレーン運転士の資格免許には有効期限がないため、一度取得してしまえば更新の必要がなく、一生涯クレーン運転士として働けます。途中で別の仕事に就いたとしても、クレーン運転士として再就職することも可能です。

また、クレーンの操作には力を使う場面が少ないため、体力に自信がない人や年配の人でも活躍できます。

クレーン運転士は誰でも長く働けて、手に職を付けられる魅力的な仕事といえるでしょう。

4-2.需要が高い

クレーン運転士の魅力は、現場での需要が高く、就職や転職の際に有利なことです。

クレーン運転士の活躍の場は幅広く、建設現場や土木現場はもちろん、工場や倉庫、造船所など多岐にわたります。これらの現場では、重い荷物や大きな資材を安全に運ぶためにクレーン運転士の技術が欠かせません。

特に、クレーン運転士の資格免許を持っている人は不足している傾向にあります。そのため、資格免許を持っている人は重宝され、転職市場でも有利になるでしょう。

このように、クレーン運転士はスムーズに就職しやすい魅力的な仕事です。

4-3.未経験からでも挑戦できる

クレーン運転士の魅力は、未経験者であってもやる気次第で挑戦できることです。クレーンを操縦するには免許取得が必要なものの、工場によっては将来性を期待して、取得していなくても見習いとして採用してくれます。

最初は見習いとして先輩社員の下につき、業務の流れを理解したあと、免許取得にチャレンジ可能です。企業によっては免許取得費用を全額負担してくれる場合もあります。

すぐにクレーンを運転できるわけではありませんが、製造業や建設業での経験を積み、業界について理解を深めておけば、スムーズに免許を取れる可能性が高まるでしょう。

JOBPALでは、クレーン運転士の求人を掲載している他、経験豊富なキャリアパートナーが就職や転職に関する悩みの相談に対応しています。少しでもクレーン運転士の仕事について興味を持っているなら、まずは一度面談を活用してみましょう。

5.クレーン運転士のきつさや大変さ

クレーン運転士は需要が高く、年齢や性別に関係なく働ける魅力的な仕事です。一方、どの仕事にも大変さがあるのと同じように、クレーン運転士の仕事にも大変な部分があります。

クレーン運転士のきつさや大変さとして、以下が挙げられます。

  • プレッシャーがかかる
  • 周囲とコミュニケーションを取ることが必要

それぞれ詳しく解説します。

5-1.プレッシャーがかかる

クレーン運転士のきつい点は、仕事で感じるプレッシャーの大きさです。大型の機械を操作して重い荷物を扱うため、小さなミスが大きな事故につながる可能性があります。

例えば、荷物を誤ってぶつけてしまったり、落としてしまったりすれば、取り返しのつかない事故になる恐れがあります。そのため、クレーン運転士は常に高い集中力を保ち、緊張した状態で仕事をすることになります。

プレッシャーにさらされながら働き続ける状態は、人によってはきつい・大変と感じるかもしれません。

5-2.周囲とコミュニケーションを取ることが必要

クレーン運転士の大変なところは、周囲と密にコミュニケーションを取らなければならない点です。事故を起こさないためには、常に周りの状況を確認し、周囲の人と連携しながら作業を進める必要があります。

例えば、クレーン運転士は無線を使い、荷物の位置や周囲の状況などの細かな情報をやり取りしながら、クレーンの操作をおこないます。怪我を防ぐための周りへの声かけも、仕事の一環として欠かせません。

1人で黙々と仕事をしているイメージがあるかもしれませんが、実際はチームワークが重要な仕事といえるでしょう。

普段から人と関わることが苦手な人にとっては、コミュニケーションを取らざるを得ない状況をきつい・大変だと感じる可能性があります。

6.クレーン運転士に向いている人の特徴

どのような仕事にも向き不向きはありますが、自分に向いている仕事を選べば、入社後にさまざまなシーンで活躍する自分を想像できます。

クレーン運転士は以下のような人に向いています。

  • コミュニケーションを取る能力がある人
  • 車や機械の運転が好きな人
  • 自分の腕を磨き続ける意欲がある人
  • ルールやマニュアルをしっかり守れる人
  • 周りを良く見ている人

それぞれ詳しく解説します。

6-1.コミュニケーションを取る能力がある人

クレーンで持ち上げる物は、人の手では運べないような大きく重い資材です。万が一、作業ミスで資材が落下すれば大事故につながってしまいます。

事故を未然に防ぐためには、黙々とただ作業をするのではなく、周囲に気を配り、仲間と声をかけ合いながら作業する必要があります。そのため、クレーン運転士にコミュニケーションを取る能力は不可欠です。

また、事前の打ち合わせや業務報告も重要な業務の一つです。社交的である必要はありませんが、必要最低限のコミュニケーションを取る能力が求められます。

6-2.車や機械の運転が好きな人

クレーン運転士の主な仕事はクレーンの運転・操縦であり、一日中クレーンに乗って作業することも珍しくありません。

そのため、車の運転・機械の操縦が好きな人はクレーン運転士に向いているといえるでしょう。操るものは異なりますが、普段から車の運転や機械の操作が好きであれば、日々続くクレーンの運転や操作も飽きることなく続けられるでしょう。

6-3.自分の腕を磨き続ける意欲がある人

クレーン運転士は専門職ですので、意欲さえあれば、技を磨いてさらなる高みを目指せる職業です。

自分の腕を磨いて資格を取得し、運転できるクレーンの種類が増えれば給料にも反映されます。高収入を目指したいという向上心のある人にも、クレーン運転士の仕事は向いています。

6-4.ルールやマニュアルをしっかり守れる人

クレーンは、人の手では運搬するのが難しい荷物や資材を取り扱います。荷物や資材が落下したりぶつかったりした場合、大きな事故になるリスクもあります。

決められたマニュアルどおり動くことで事故を防ぎ、どのようなときも細心の注意を払ってルールを守り運転する能力が必要です。

6-5.周りを良く見ている人

現場ではたくさんの人が働いています。クレーン作業中に荷物が作業員や他の車両などにぶつからないよう、作業をする際には常に周りを良く見て安全を確認する必要があります。

自分のことだけでなく、広い視野で周りを見渡せる人がクレーン運転士に向いているといえます。

7.クレーン運転士はおすすめできない人の特徴

クレーン運転士は、未経験でもやる気があれば十分働ける魅力的な仕事ですが、以下の特徴を持つ人には向いていない可能性があります。

  • 車の運転が苦手・嫌い
  • 集中力に自信がない
  • 屋内で働きたい

それぞれ詳しくお伝えします。

7-1.車の運転が苦手・嫌い

クレーン運転士は、車の運転に苦手意識がある人や、運転自体が嫌いな人にはおすすめできません。

クレーンの運転は一般的な車の運転と比べて高度な技術が必要なため、運転に苦手意識があると、不安や緊張が作業に影響を与える可能性があります。技術の習得や成長スピードも遅くなるかもしれません。

クレーン運転士の主な仕事は、毎日クレーンを操作することなので、車の運転が苦手で好きではない場合、慎重に検討したほうが良いでしょう。

7-2.集中力に自信がない

クレーン運転士の仕事に興味があったとしても、集中力に自信がない人にはおすすめできません。

クレーン運転士は、人の力では扱えない重い荷物を安全に運ぶため、常に注意力を持って作業をおこないます。「いつも同じような荷物を運ぶから大丈夫」と気を緩めてしまうと、大きな事故につながりかねません。

また、現場によるものの、毎日似たような作業の繰り返しを求められる場合が多くあります。そのため、作業に飽きてしまい集中力を維持し続けることが苦手な人は、クレーン運転士には不向きといえるでしょう。

7-3.屋内で働きたい

クレーン運転士は、屋内でのデスクワークをしたいと考える人にもおすすめできません。

クレーン運転士の主な仕事場所は、建築現場や工場、倉庫などです。空調が効いて快適な屋内作業とは異なり、現場によっては暑さや寒さが厳しい可能性もあります。

また、クレーン運転士は作業の都合上、作業開始まで車内で待機し続けなければならないことがあります。狭い車内で黙々と待機し続けるのは、人によっては大変なことでしょう。

このように、屋内で快適に仕事をしたい人には、クレーン運転士は向いていない可能性があります。

8.クレーン運転士になるには?

クレーン運転士になるためには、クレーン運転士の資格免許を取得する必要があります。

資格を取得してから求人を探し働くこともできますが、資格免許の取得費用を出してくれる会社もあります。

そのため、未経験・未資格でも入社できる会社を探し、働きながらクレーン運転士の資格免許を取ることも可能です。

8-1.免許を取得する

クレーン運転士の免許は、教習所に通う、または安全衛生技術センターで実技試験を受けることで取得できます。

免許は大きく分けて5種類あります。

  • クレーン・デリック運転士免許(限定なし):デリックを含めすべてのクレーンを運転できる
  • クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定):デリック以外すべてのクレーンを運転できる
  • クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定):天井から吊り下げられているクレーンを運転できる
  • 移動式クレーン運転士免許:吊り上げ荷重5t以上の移動式クレーンを運転できる
  • 揚貨装置運転士免許:船に取り付けられたクレーンやデリックを操縦できる

業務に必要なものを取得しましょう。

8-2.技能講習を受ける

労働安全衛生法に基づき、労働局に登録した事業者が開催する技能講習を受けることで、小型移動式クレーン(吊り上げ荷重1t以上5t未満の移動式クレーン)や、床上操作式のクレーンに限り運転ができます。

免許よりも運転できるクレーンの幅が狭まりますが、そのぶん手軽に取得できます。

8-3.特別教育を受ける

特別講習を受けることで、小型移動式クレーン(吊り上げ荷重1t未満の移動式クレーン)や、吊り上げ荷重が5t以上の跨線テルハの運転・操作ができます。

特別講習は講習所だけでなく出張講習でも受講・修了できます。技能講習よりさらに手軽に取得できる資格です。

9.クレーン運転士の資格と難易度

クレーン運転士として働くには、労働安全衛生法で定められた免許を所持する必要があります。免許試験は安全衛生技術センターで実施されており、主な免許としては、前述のとおり以下の5種類があります。

それぞれの資格について解説します。

9-1.クレーン・デリック運転士免許(限定なし)

限定なしの免許なら、すべてのクレーンとデリックを運転することができます。旧クレーン免許と旧デリック免許が統合されたもので、2006年以前に両免許を取得していた人はこちらの資格を有することになります。

教習所に通うと実技試験が免除されるため、確実に取りたい場合は教習所に通うと取得難易度が下がります。短期間で取りたい場合は独学で勉強し、安全衛生技術センターで実技試験を受けると良いでしょう。

9-2.クレーン・デリック運転士免許(クレーン限定)

吊り上げ荷重が5t以上のクレーンを含め、すべてのクレーンの運転・操作ができる免許です。ただし、クレーン限定免許のためデリックの運転はできません。

2006年以前に旧クレーン免許を取得した人で旧デリック免許を所持していない場合は、こちらの資格を有していることになります。

9-3.クレーン・デリック運転士免許(床上運転式クレーン限定)

工場の天井などに設置されているクレーンを運転・操作するための免許です。吊り上げ荷重が5t以上の床上運転式クレーンを運転できます。

令和5年度の試験の合格率について、学科試験は58.7%、実技試験で45.8%です。ただし、合格率は「限定なし」・「クレーン限定」・「床上運転式クレーン限定」の区分を記載せずに公式ホームページで公表されています。

教習所に通った場合は修了試験を受けることで実技試験が免除されるので、比較的取得しやすい資格といえます。

9-4.移動式クレーン運転士免許

吊り上げ荷重5t以上の移動式クレーンを運転するための資格です。工事現場や建設現場など、多くの現場で活躍するクレーン車を操縦できるようになるため、仕事の幅が広がります。

なお、移動式クレーンを運転して公道を走る場合には、別途運転免許が必要となります。受験資格は不問ですが、免許交付は18歳以上と法律により定められています。

9-5.揚貨装置運転士

揚貨装置運転士(ようかそうちうんてんし)は、船に取り付けられたクレーンやデリックを操縦するための資格です。

湾岸で船から陸へ荷役を積み下ろしたり、漁船で網を巻き上げたりする仕事に就くことができます。令和5年度の試験の合格率について、学科試験は69.5%、実技試験は92.0%です。

10.まとめ

クレーン運転士は、建設現場や工場、倉庫などで、大型のクレーンを操作して重い荷物を安全に運ぶ仕事です。年齢や性別を問わず活躍でき、需要が高いなど魅力にあふれた仕事です。

同じ現場での仕事と比べて給料が高いメリットもありますが、そのぶんプレッシャーや責任がともないます。

常に安全に気を配り、周囲との連携を取りながら作業を進める必要があるため、コミュニケーションを取ることが得意な人や、集中力の高さに自信がある人は活躍できるでしょう。

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