エネルギー管理士とは?資格の種類や取得方法、仕事内容や魅力・メリットを徹底解説
この記事で分かること
- エネルギー管理士は国家資格であり、大型施設や工場などの電気や熱エネルギーの使用量を管理する
- エネルギー管理士は、需要の高さや、好待遇で採用される可能性がある点などがメリット
- エネルギー管理士の仕事は、理工系の知識がある方や、計画を立てることが得意な方などに向いている
- エネルギー管理士は、計画を立てることが苦手な方や、現場作業だけしたい方などには向いていない
- 取得しておきたいエネルギー管理士の関連資格には「電気主任技術者」と「ボイラー技士」がある
※この記事は6分30秒で読めます。
「エネルギー管理は何をする仕事?」
「エネルギー管理士の資格を取得するメリットが知りたい」
など、エネルギー管理士の仕事に疑問を持っている方もいるでしょう。
エネルギー管理士は国家資格の一種で、取得することで商業施設や工場などのエネルギー使用量を管理する仕事に従事できます。企業の経費削減や省エネに貢献でき、長期的な需要が見込まれる仕事なので、大きなやりがいを感じられるでしょう。
今回は、エネルギー管理士の概要や資格取得方法、資格取得後の具体的な仕事内容や、仕事の魅力などについて詳しく解説します。この記事を読めば、エネルギー管理士がどのような資格かよくわかり、自身が働く姿をイメージできるようになります。
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1.エネルギー管理士とは
エネルギー管理士とは、2006年に「エネルギーの使用の合理化等に関する法律(省エネ法)」が改正された際に誕生した、電気や熱エネルギーの使用量などを管理する国家資格です。
エネルギー管理士の資格取得後に従事できる主な仕事は、第一種エネルギー管理指定工場の指定を受けている工場を監視し、改善の指揮を執ることです。第一種エネルギー管理指定工場とは、工場のなかでも特にエネルギー使用量が多い工場のことです。
それまで、熱管理士や電気管理士という資格はありましたが、法改正によって熱や電気をエネルギーとしてまとめることとなったため、エネルギー管理士という新しい資格が生まれました。
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参考:JTEX 職業訓練法人 日本技能教育開発センター「エネルギー管理士とは」
https://www.jtex.ac.jp/site/?p=2858
以下の記事では、設備保守について詳しく解説しています。ぜひ参考にしてください。
1-1.エネルギー管理士が必要になった背景
それまでなかったエネルギー管理士という国家資格が整備された背景には、日本のエネルギー資源の乏しさがあります。
経済産業省資源エネルギー庁の調査によると、2021年の日本のエネルギー自給率は13.3%でした。
石油や石炭などの化石燃料は海外輸入に大きく依存しており、エネルギーの供給が国際情勢などの影響を大きく受ける状態にあります。事実、過去2度にわたるオイルショックで、日本は特に大きな打撃を受けました。
オイルショック以来の日本では、限られた資源を効率的に無駄なく活用することが重要だと認識され、特に大規模施設においては、エネルギーの使用状況を監視する立場の人間が必要だと考えられました。
それに加えて近年は、地球環境に配慮した新しいエネルギーへの転換も進んでいます。そうした状況のなかで誕生したのがエネルギー管理士です。
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参照:経済産業省 資源エネルギー庁「2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)」
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/energyissue2023_1.html
1-2.エネルギー管理者とエネルギー管理員の違い
エネルギー管理士の資格取得後に従事できる職種として、以下の2つが挙げられます。
- エネルギー管理者
- エネルギー管理員
それぞれの違いを、以下の表にまとめました。
資格の種類 | 主な違い |
---|---|
エネルギー管理者 |
|
エネルギー管理員 |
|
「第一種特定事業者」と「第二種特定事業者」の詳細は、以下のとおりです。
- 第一種特定事業者…年間のエネルギー使用量が原油換算で3,000kl以上
- 第二種特定事業者…年間のエネルギー使用量が原油換算で1,500kl以上、3,000kl未満
第一種特定事業者に該当する製造業、鉱業、電気供給業、ガス供給業、熱供給業の5業種は、エネルギーの使用量に応じて1人から4人のエネルギー管理者を選任する義務があります。この管理者は、エネルギー管理士の資格取得者から選任されます。
一方でエネルギー管理員は、上記5業種の事務所、または5業種以外の業種(ホテル、病院、学校など)の第一種特定事業者で選任されます。また、第一種特定事業者よりも年間のエネルギー使用量が少ない第二種特定事業者でも配置義務がある職種です。
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参照:経済産業省資源エネルギー庁「工場・事業場の省エネ法規制」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/classification/
2.エネルギー管理士の仕事内容
大量のエネルギーを消費する工場は、エネルギー管理士が活躍できる職場のひとつです。特に、求人情報の応募資格や手当欄にエネルギー管理士の記載がある職場では、重宝される可能性が高いでしょう。
国内では食品工場、化粧品工場、電子機器工場など、多岐にわたる業種の工業がエネルギー管理者やエネルギー管理員を必要としています。
上記に挙げた工場を含め、工場への転職を検討している場合は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
2-1.エネルギーの管理
エネルギー管理士の資格取得者の重要な仕事のひとつが、毎日のエネルギー使用量の管理をすることです。
エネルギーを消費する設備の使用状況を把握し、工場全体のエネルギー管理をおこないます。設備の維持や、場合によっては使用方法の改善などを提案します。
2-2.エネルギー管理標準の作成業務
エネルギー使用設備について、合理的に運転ができるよう運転・管理、計測・記録、保守・点検、新設にあたっての措置などを定めた管理マニュアルであるエネルギー管理標準の作成をおこないます。
これは省エネ法第11条に基づき、事業者による作成が義務付けられている重要な書類です。
2-3.管理標準に従った設備の管理と計画の実行
マニュアルに沿った管理がされているかをチェックすることも、エネルギー管理士の有資格者の仕事です。
例えば、空調システムや照明設備の使用について、稼働時間や条件に差違が生じていないか定期的に確認するなどの計画を策定し、業務に反映します。
2-4.報告書の作成
特定事業者などに該当する工場は毎年1回、国に対してエネルギーの使用状況についての定期報告書を提出する義務があります。
提出は翌年度7月末日が期限です。この報告書の作成もエネルギー管理士の有資格者がおこないます。
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参照:経済産業省資源エネルギー庁「工場・事業場の省エネ法規制」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/report/index.html
2-5.中長期計画書の作成
工場は常に将来的な省エネを目標にしていく必要があります。その目標のために中長期(3~5年)の計画を作成し、中長期計画書として国に提出しなくてはなりません。
全国の工場は、常に省エネを意識した運営を求められています。それを実現するために中長期(3~5年)的な計画を練り、中長期計画書として国に提出しなくてはなりません。
省エネに対する取り組みが優良な事業においては、この提出を免除される場合もありますが、それ以外の工場ではこの計画書の作成業務もエネルギー管理士の有資格者が担います。
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参照:経済産業省資源エネルギー庁「工場・事業場の省エネ法規制」
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/enterprise/factory/report/index.html
3.エネルギー管理士の資格を取得する魅力とメリット
ここでは、エネルギー管理の資格を取得する魅力やメリットを紹介します。主な魅力やメリットは、以下の6つです。
- 会社や従業員の安全に貢献できる
- 経理や経営面のマネジメントに貢献できる
- リーダーシップを発揮できる
- 長期的にみても需要が高い
- 資格手当がつく
- 好待遇で採用される可能性がある
それぞれについて、詳しく解説します。
3-1.会社や従業員の安全に貢献できる
エネルギー管理士の有資格者は、多大なエネルギーを消費する工場での節電・省エネを管理することで、災害や事故などのアクシデントに備え、会社や従業員の安全に貢献することができます。
企業全体が安全・安心に日々の業務に取り組める環境作りをサポートできる仕事に従事できるのは、エネルギー管理者の資格を取得することの大きな魅力のひとつです。
3-2.経理や経営面のマネジメントに貢献できる
エネルギー管理士の資格を活かして働く場合、企業のエネルギー使用量の合理化を進めるために、各工場のエネルギー使用量の具体的な見直し・対策を進める必要があります。
このような取り組みは企業の経費削減につながるため、企業の経理や経営面のマネジメントに貢献することも可能です。
経営にまつわる重要な業務に携われることも、エネルギー管理者の資格を取得するメリットといえます。
3-3.リーダーシップを発揮できる
エネルギー管理士の資格を取得することで、エネルギー管理全般を統括する立場としてリーダーシップを発揮できる点がやりがいにつながることもあります。
働き方によっては、従業員だけでなく経営陣への提案やアドバイスをおこなう機会も出てくるかもしれません。
リーダーシップを発揮して働きたいと考える方にとって、このような点はエネルギー管理士の資格を取得することの大きな魅力といえるでしょう。
3-4.長期的にみても需要が高い
エネルギー管理士の有資格者は、省エネなど環境に配慮した経済活動へのニーズが高まりを見せることから、長期的に見ても需要が高い人材といえます。
SDGsにおけるエネルギー関連の開発目標などを踏まえ、日本政府も地球の未来のために省エネルギーを推進しています。その実現のためにも、大規模工場におけるエネルギー管理は必要不可欠です。
代替エネルギーの活用などで今後新しいエネルギー設備などが登場すれば、エネルギー管理士の需要は一層高まることが予想されます。
3-5.資格手当がつく
エネルギー管理士の資格を取得すると、会社によっては資格手当がつく場合があります。
資格手当によって年収が上がれば、その分プライベートを充実させるために充てられるお金も増えます。また、年収アップにより仕事へのモチベーションも向上するでしょう。
このような点も、エネルギー管理士の資格を取得する代表的なメリットです。
3-6.好待遇で採用される可能性がある
工場は慢性的に人手不足の状況です。そのため、就職先は比較的見つけやすい傾向にありますが、エネルギー管理士の資格を持っていることで、より好待遇で採用される可能性があります。
実際に、規模の大きな工場をもつ企業の求人には、エネルギー管理士を優遇資格対象として扱っていることもあります。就職や転職で優遇されやすくなる点は、エネルギー管理士の資格を取得する大きな魅力でしょう。
また、エネルギー管理士に限らず、資格は転職時や昇給にプラスの要素となります。希望の職種においてどのような資格が有利になるのか知りたい場合は、以下の記事もぜひ参考にしてください。
4.エネルギー管理士の仕事に向いている方
エネルギー管理士の仕事に向いている方には、以下の5つの特徴があります。
- 理工系の知識がある
- 視野が広い
- 常に一歩先を想像して行動できる
- 計画を立てることが得意である
- マネジメント・管理が得意
それぞれについて、詳しく解説します。
4-1.理工系の知識がある
エネルギー管理士は、理工系の知識がある方に向いている国家資格です。
特にエネルギー管理士試験は「熱分野」と「電気分野」のいずれかを選択して受験する必要があるため、これらの分野に造詣(ぞうけい)が深い方であれば、資格取得に向けた勉強も苦にならないでしょう。
また、文系の方であっても、これらの分野の知識がある方であれば、エネルギー管理士として活躍できる可能性があります。
4-2.視野が広い
エネルギー管理の仕事は正確な数値を扱う機会が多くあるため、細かなところにも気がつける、視野が広い方に向いています。
普段から視野の広さに自信がある方であれば、具体的なデータを用いて、企業が過剰に使用したエネルギー量なども的確に把握できるでしょう。
4-3.常に一歩先を想像して行動できる
エネルギー管理者やエネルギー管理員は、工場を含む建築物の調査や検査を実施し、企業の将来的な環境や生活を守るという重要な役割を担っています。
また、ときには企業に対して新しいエネルギー技術の導入や再生可能エネルギーの普及を促す姿勢も求められます。
そのため、常に一歩先を想像して、それを具体的な行動や計画に落とし込める方であれば、企業に重宝される人材として活躍できるでしょう。
4-4.計画を立てることが得意である
上述したように、エネルギー管理者やエネルギー管理員は、業務の一環として、企業のエネルギー使用に関する各種計画書を作成する必要があります。
そのため、普段から綿密な計画を立てて行動することが得意な方であれば、これらの業務を滞りなく遂行できるでしょう。
4-5.マネジメント・管理が得意
エネルギー管理の仕事は、企業に対してエネルギーの合理的使用をマネジメントすることが主な業務です。ときには自分より立場が上の方に対しても、臆することなく意見を述べなければならないこともあるでしょう。
そのため、マネジメントや管理に抵抗がなく、得意とする方であれば、エネルギー管理士の有資格者として企業で活躍できるはずです。
5.エネルギー管理士の仕事がおすすめできない方
エネルギー管理士の仕事がおすすめできない方の特徴として、以下の2つが挙げられます。
- 立てた計画を守るのが苦手
- 現場作業だけしていたい
それぞれについて、詳しく解説します。
5-1.立てた計画を守るのが苦手
エネルギー管理の仕事は、普段から計画を立てたり、ルールを守ったりすることが苦手な方には向いていない可能性があります。
上述したように、エネルギー管理者やエネルギー管理員は、企業のエネルギー使用量を計画的に考えることも重要な業務のひとつです。また、定期的に計画書の作成も担わなければなりません。
そのため、物事を計画立てておこなうことが苦手な方の場合、エネルギー管理にまつわる仕事を苦痛に感じてしまうかもしれません。
5-2.現場作業だけしていたい
企業のエネルギー管理の仕事の多くは、現場作業ではありません。マネジメント要素の強い業務をおこなうことも多く、多くの人と関わりながら業務を遂行する必要があります。
エネルギー管理者やエネルギー管理員は企業のエネルギー管理が主な仕事内容であるため、現場作業だけに集中したい方にはあまりおすすめできません。
6.エネルギー管理士の資格を取るには?
ここからは、エネルギー管理士の資格を取るための方法について詳しく解説していきます。
6-1.熱分野と電気分野の専門区分がある
エネルギー管理士の試験は、熱分野と電気分野の2つの専門区分があります。
そもそもエネルギー管理士は、熱管理士と電気管理士という2つの資格の区分を廃止しひとつの資格になったため、どちらを選んでも合格すればエネルギー管理士の資格を取得できます。
6-2.実務経験がない方はエネルギー管理士試験を受ける
エネルギー管理士試験を受け、実際に免状申請をおこなうには、実務経験1年以上が必要とされます。
ただし、先に試験を受けることも可能なため、実務経験を積みながら試験に合格し、実務経験が1年経ったところで免状申請をすることで、効率的に資格を取得することができます。
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参照:JTEX 職業訓練法人 日本技能教育開発センター「エネルギー管理士とは」
https://www.jtex.ac.jp/user_data/erg_cons01
6-2-1.受験方法
試験の開催地は北海道、宮城県、東京都、愛知県、富山県、大阪府、広島県、香川県、福岡県、沖縄県の全国10ヵ所で、受験手数料は1万7千円(非課税)です。
年に一度の開催で、毎年4月上旬から6月中旬頃が申し込み期間となっています。申し込みは、郵送またはインターネットからおこないます。(※ただし、「旧制度の熱管理士または電気管理士の免状取得者」(旧制度から現行制度への移行措置)での受験申し込みは、インターネットでの申し込みは不可)
申し込みができた受験生は、7月下旬から8月上旬に試験を受けることができます。(※年によって変動あり)
試験は以下4科目のマークシート方式です。
受験科目は、熱分野、電気分野とも4科目です。必須共通項目として「エネルギー総合管理および法規」の1科目があり、残りの3科目は以下の内容となります。
【熱分野】
- 熱と流体の流れの基礎
- 熱利用設備およびその管理
- 燃料と燃焼
【電気分野】
- 電気設備および機器
- 電力応用
- 電気の基礎
各科目で60%以上の正答が合格基準となります。
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参照:一般社団法人省エネルギーセンター「1エネルギー管理士試験制度の概要」
https://www.eccj.or.jp/mgr1/test_guide/chap_01.html
6-2-2.合格率
省エネルギーセンターの公表によると、令和6年度第46回エネルギー管理士試験の合格率は以下のとおりです。
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
8,558人 | 3,150人 | 36.81% |
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参照:一般社団法人省エネルギーセンター「令和6年度第46回エネルギー管理士試験合格者発表」
https://www.eccj.or.jp/mgr1/test/index.html
令和6年度のエネルギー管理士試験の合格率は、36.81%でした。
合格率は近年30%前後で推移しており、難易度はやや高めとなっています。合格を目指すには、しっかりとした対策が必要といえます。
6-3.エネルギー管理士研修を受講して資格を取得する
すでに3年以上の実務経験がある方は、エネルギー管理士研修を受講することで資格を取得することもできます。
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参照:一般社団法人省エネルギーセンター「1エネルギー管理士試験制度の概要」
https://www.eccj.or.jp/mgr1/test_guide/chap_01.html
6-3-1.受講方法
7月中旬から9月下旬の研修仮申し込み期間に、申し込み研修資格審査を受けます。審査を通過すると、12月中旬からの研修に参加できます。
試験会場は仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の全国6ヵ所で、受講費用は7万円です。
6-3-2.研修内容
エネルギー管理研修は、受講期間中に決められた講義動画の視聴をおこなったあと、修了試験を受験します。
講義は動画の視聴でおこなうため、集合形式での研修は実施されません。研修内容は、熱分野と電気分野のいずれかの専門分野を選択して受けます。
6-3-3.修了試験
修了試験は、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、福岡の全国6ヵ所でおこないます。通常の資格試験と同じく4科目を受験し、マークシートでの回答です。
修了試験に合格することで、初めてエネルギー管理士の資格を取得することができます。
6-3-4.合格率
省エネルギーセンターの公表によると「第46回エネルギー管理研修 修了者発表(合格発表)」での合格率は以下のとおりです。
受験者数 | 修了者数 | 合格率 |
---|---|---|
970人 | 651人 | 67.11% |
-
参照:ECCJ 省エネルギーセンター「第46回エネルギー管理研修 修了者発表(合格発表)」
https://www.eccj.or.jp/mgr1/ken/index.html
令和5年度のエネルギー管理士試験の合格率は、67.11%でした。
資格試験に比べて2倍近い合格率となっており、難易度は比較的低めでしょう。
費用や研修期間はかかりますが、短期間で重点的に学んで試験を受けるぶん、合格率も高くなる傾向にあります。
6-4.エネルギー管理士の資格取得のための勉強方法
エネルギー管理士の資格を取得するための勉強方法は、主に以下の2つです。
- 通信講座で学ぶ
- 過去問を解く
それぞれについて、詳しく解説します。
6-4-1.通信講座で学ぶ
専用のテキストで学ぶ通信講座は、資格試験の勉強に不慣れな方やエネルギー管理の基礎知識がない方にぴったりの勉強方法です。
テキストの他、解説動画や質問の受け付け、レポート添削など、講座ごとにさまざまな特色があります。
もともとエネルギー管理についてどれくらいの知識を持っているかによって、適切な講座は異なります。情報収集し、自分に合った講座を選びましょう。
6-4-2.過去問を解く
エネルギー管理士の試験問題は、過去問と類似したものが多く出題される傾向にあります。数年分の過去問を見れば大まかな試験の傾向がつかめるため、効率良く勉強をしたい方はまず過去問に解くのがおすすめです。
また、エネルギー管理士の試験では暗記問題の配分も多くなっています。過去問と合わせて、日々の隙間時間を活用した積み重ねの学習もおこないましょう。移動時間や休憩時間などを有効活用してみてください。
7.取得しておきたいエネルギー管理士の関連資格
ここからは、取得をおすすめするエネルギー管理士の関連資格を紹介します。具体的な資格は、以下の2つです。
- 電気主任技術者
- ボイラー技士
エネルギー管理士と合わせて上記の資格を取得することで、業務に関する専門的知識や、業務の幅を広げられるでしょう。
それぞれの資格について、詳しく解説します。
7-1.電気主任技術者
電気主任技術者は、電気設備に関する工事や運用、維持を担うための国家資格です。資格取得後は、ビルや工場など、各種建築物の電気設備の保安監督業務をおこないます。
事業用電気工作物を扱う建物を所有する企業は、電気設備に関する事故やトラブルを未然に防ぐために、電気主任技術者の配置が義務付けられています。
電気主任技術者の資格を取得することで、エネルギー管理関連の業務と合わせて、電気設備の保守や点検なども担えるようになるでしょう。
電気主任技術者の資格は、取り扱う電圧によって、以下のように分類されています。
資格分類 | 取り扱い可能な電圧 |
---|---|
第一種 | すべての事業用電気工作物 |
第二種 | 電圧が17万ボルト未満の事業用電気工作物 |
第三種 | 電圧が5万ボルト未満の事業用電気工作物(出力5千キロワット以上の発電所を除く) |
-
参照:一般財団法人電気技術者試験センター「電気主任技術者って何だろう?」
https://www.shiken.or.jp/chief.html
一般財団法人電気技術者試験センターが公表している資料によると、第三種電気主任技術者試験の合格率は例年20%前後です。このことからもわかるように、電気主任技術者の資格難易度は比較的高めといえます。
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参照:一般財団法人電気技術者試験センター「令和5年度第三種電気主任技術者下期試験の結果について」
https://www.shiken.or.jp/press/denken/kekka/269R5denkenT02kekka.pdf
以下の記事では、電気主任技術者のより具体的な仕事内容を紹介しているので、気になる方はぜひ参考にしてください。
7-2.ボイラー技士
ボイラー技士は、建築物の給湯や空調に熱エネルギーを供給するボイラー設備の点検・監視業務をおこなうために必要な国家資格であり、その有資格者の名称でもあります。
ボイラーには高温ガスや火気が使用されているため、取り扱いには一定の危険をともないます。そのため、専門的な知識と技術を兼ね備えているボイラー技士の有資格者以外は、ボイラーの取り扱いが認められていません。
病院や学校、ホテルや工場などをはじめ、各種施設ではボイラーの蒸気を熱源に施設を運営しているため、ボイラー技士は幅広い業種で需要がある職業といえるでしょう。
エネルギー管理士の資格と合わせてボイラー技士の資格も取得することで、受け持てる業務の幅が広がるだけでなく、ビルメンテナンスや製造業などでの採用率も向上する可能性があります。
ボイラー技士の資格は特級、一級、二級の3種に分かれており、以下の表では令和5年度のボイラー技士の試験合格率をまとめました。
試験区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
特級ボイラー技士 | 444人 | 97人 | 21.8% |
一級ボイラー技士 | 4,535人 | 2,248人 | 49.6% |
二級ボイラー技士 | 22,178人 | 12,137人 | 54.7% |
-
参照:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「労働安全衛生法・作業環境測定法に基づく試験|1免許試験」
https://www.exam.or.jp/exmn/H_gokakuritsu.htm
一級・二級ボイラー技士の合格率は5割ほどですが、特級ボイラー技士の合格率はわずか2割ほどです。いずれの試験も、合格するためには一定の勉強量が求められるでしょう。
以下の記事ではボイラー技士の仕事内容や資格について詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてください。
8.まとめ
国家資格であるエネルギー管理士を取得することで、工場やビルメンテナンスなど、さまざまな業種で長期的に活躍できる可能性が高まります。
企業や従業員の安全に貢献できたり、マネジメント的な業務を担えたりと、エネルギー管理にまつわる仕事に従事することで、日々大きなやりがいを感じながら働くことができるでしょう。
エネルギー管理士の資格取得が、今後のキャリアプランの形成につながる方も珍しくありません。少しでも興味のある方は、ぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
JOBPALでは、エネルギー管理士の資格が活かせる仕事をはじめ、製造・工場系の求人も多数紹介しています。製造・工場関連の仕事に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。