リサイクル工場とは?主な仕事内容ややりがい、向いている方の特徴を解説
※この記事は6分30秒で読めます。
「リサイクル工場の仕事には何がある?」
「リサイクル工場で働く魅力が知りたい」
など、リサイクル工場の仕事ややりがいに関して疑問を持っている方もいるでしょう。
リサイクル工場では、一般廃棄物や産業廃棄物をリサイクルすることで、新たに製品や素材に生まれ変わらせることができます。
今回は、リサイクル工場の概要、リサイクルできる製品の種類、向いている方の特徴などを解説します。この記事を読めば、リサイクル工場のことがよくわかり、自身が働いている姿をイメージできるようになります。
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1.リサイクル工場とは?
リサイクルとは、使い終わったものをもう一度資源に戻して製品を作ることを指します。そのリサイクルの工程を実際におこなっているのがリサイクル工場です。
産業廃棄物や一般廃棄物を回収し、工場内に運搬したあと、処分場で処分や分別をしたうえでリサイクルをおこないます。
2.リサイクルの種類
ひとくちにリサイクルといっても、その方法は大きく2つに分けられます。
- 原料に戻して再利用するマテリアルリサイクル
- 発電などの燃料として再利用するサーマルリサイクル
マテリアルリサイクルは、金属や1つだけの素材で作られたものが主な対象であり、ペットボトルが卵パックに生まれ変わるような、モノからモノへのリサイクルのことです。
一方、サーマルリサイクルは、複数の素材から構成されるものや汚れて再利用ができないものを焼却する際に発生する熱をエネルギーとして利用することです。
ここでは、一般的にイメージしやすいマテリアルリサイクルについて、リサイクルの流れや仕事内容を解説します。
2-1.ペットボトル
ペットボトルのリサイクルには、使用済みのペットボトルをペットボトル樹脂に戻し、もう一度ペットボトルとして利用できるようにする「ペットtoペット」と呼ばれる方法があります。
手順は以下のとおりです。
- ペットボトルを各家庭で分別
- リサイクルできない異物を取り除く
- ペットボトルを圧縮して梱包する(ベール化)
- リサイクル工場に持ち込み、きれいに洗う
- リサイクル工場で8mm角位に粉砕し、PETフレークを作る
- フレークを溶かしてシート状に加工する
- シートを冷やして巻き取る
- ペットボトルの形状に加工する
また、ベール化したペットボトルがリサイクル工場に運ばれたあと、服や文房具といったまったく別のものに生まれ変わることもあります。
割合としては、卵パックなどのシート製品が37.6%ともっとも多く、飲料や洗剤用などのボトル32.2%がそれに続きます。そのほか、カーペットやユニフォームなどの繊維にも26.4%リサイクルされています。
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参考:日本容器包装リサイクル協会|PETボトル
https://www.jcpra.or.jp/consumer/understand/tabid/805/index.php
2-2.ガラスびん
ガラスびんのなかには色がついてリサイクルに適さないものがあるため、各家庭から出たガラス瓶は色別に保管されます。そのあとのリサイクルの流れは以下のとおりです。
- リサイクル工場で機械に入れて細かく砕く
- リサイクルできないものは人の手で取り除く
- 機械に通して金属などの異物を取り除く
- カレット(原料)の状態にする
- カレットを大きな窯(かま)で溶かす
- 溶かした原料を切り分け、びんの形にする
- 冷やしてから傷がないかチェックする
ガラスびんのリサイクルでは、びんの原料としての利用が60%以上と多いですが、土壌改良用骨材やガラス短繊維といった土木材料・建築材料としてもリサイクルされます。
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参考:日本容器包装リサイクル協会|ガラスびん
https://www.jcpra.or.jp/consumer/understand/tabid/804/
2-3.紙製容器包装
紙といえば燃えるごみになりがちですが、リサイクルもできます。一例として、段ボールの中心部分に生まれ変わる工程をご紹介します。
- 汚れていない紙製包装容器を家庭からリサイクルに出す
- リサイクルできない異物を取り除く
- 紙の原料を作る工場に持ち運んでドロドロに溶かす
- 網の上で水を切って紙の層を作る
- 巻き取って段ボール工場に運び、折りたたんでのり付けする
紙製包装容器の約94.5%が段ボールのような製紙原料に生まれ変わりますが、約4.7%は固形燃料としても生まれ変わっています。
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参考:日本容器包装リサイクル協会|紙容器包装
https://www.jcpra.or.jp/consumer/understand/tabid/806/
2-4.プラスチック製容器包装
プラスチック製容器包装から新しい材料を生み出すリサイクルの例としては、プラスチック性のパレット(コンテナ、トラックなどの荷物を載せる荷役台)にする方法が挙げられます。
その手順は以下のとおりです。
- 洗った汚れを落とした家庭のプラスチック製容器包装をゴミとして出す
- リサイクルできないゴミや異物を取り除く
- 押し固め、かたまりにする
- リサイクル工場で機械に入れ、手選別や風圧・浮力を使ったりして異物を取り除く
- 小さく砕いて洗浄・脱水・乾燥をおこなう
- 押し固めて小さな粒にする
- 溶かして機械に送り、パレットの形状にプレスする
上記のような材料リサイクルのほか、だんご状にしたプラスチックをコークス炉と呼ばれる施設に石炭と一緒に入れて蒸し焼きにし、化学製品の原材料などに生まれ変わらせることもあります。
2-5.アルミ缶
アルミ缶をリサイクルすると、ボーキサイト(アルミニウムの重要な原料鉱石)から新地金を製造する場合と比べて約97%のエネルギーが節約できます。
リサイクルの流れは以下のとおりです。
- 家庭で分別したあと、自治体が回収する
- アルミ缶に圧力をかけてつぶす
- リサイクル工場で660度以上の熱により溶解させる
- 溶かしたうえで原料に戻し、地金にする
- 地金をのばしてうす板を作る
- 製缶工場でアルミ缶にする
リサイクル工場を経由して、自動車や家電の部品として生まれ変わることもあります。
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参照:リサイクルについて|アルミ缶リサイクル協会
http://www.alumi-can.or.jp/publics/index/24/
2-6.スチール缶
スチール缶をリサイクルすると、鉄鉱石から鋼材を作って製造するのに比べ、約75%のエネルギーコストを節約できます。リサイクルの工程は以下のとおりです。
- 家庭から分別・回収される
- スチール缶に圧力をかけてつぶす
- 製鉄所で融解される
- 溶かしたうえで原料の鉄鉱石に戻す
- 鉄鉱石からうす板を作る
- 製缶工場でスチール缶にする
製鉄所で溶解されたあと、建築資材をはじめとした鉄製品に生まれ変わることもあります。
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参照:さまざまな製品に生まれ変わるスチール缶|日本製鉄
https://www.nipponsteel.com/company/publications/monthly-nsc/pdf/2002_8_9_121_09_10.pdf
3.リサイクル工場の主な仕事内容
ここからは、リサイクル工場ならではの仕事内容をご紹介します。
3-1.仕分け作業
リサイクル工場の仕事内容は取り扱う産業廃棄物によっても違いがありますが、主となるのが仕分けの作業です。
資源ごみなどにリサイクルできないものが含まれているとリサイクルの工程が進められないため、機械と人の手で異物を取り除いていきます。
例えば、紙製の包装容器の場合、洗剤や線香などのにおいがついたものは除去します。プラスチック製容器包装をリサイクルする場合には、プラマークがついていないものや汚れたもの、また作業員の安全のためにも、ライターや注射器といった危険物は除去が必要です。
3-2.機械オペレーター
一般的な工場のような機械オペレーターの仕事もあります。
例えば、金属類を多く使うリサイクル工場では、人の手で廃棄物を運搬することができないため、フォークリフトやクレーンを使って運搬することになります。
また、特殊なマグネットで廃棄物を吊り上げるような機械もあり、それぞれの機械の技能を入社後に習得することになります。
運搬に関する仕事だけでなく、リサイクル用の機械を操作して産業廃棄物を細かく砕いたり押し固めたりするのも、機械オペレーターの仕事です。
プラスチックリサイクルに使われる機械だけでも、以下のようにさまざまな種類があります。
- 油圧切断機
- 強力プレス機
- 高速粉砕機
- 半自動プレス機
- プラスチック洗浄ライン など
3-3.産業廃棄物の収集・運搬
工場の種類や労働者の資格保持状況によっては、産業廃棄物の収集や運搬を大型トラックでおこなうこともあります。
自治体に集まった一般廃棄物や産業廃棄物を収集して自治体の処理施設に運んだり、リサイクル工場に運搬したりするのが主な業務です。
4.リサイクル工場の仕事のやりがい
ここからは、リサイクル工場の仕事で得られるやりがいについてご紹介します、
4-1.人や地球の役に立てる
リサイクルは、地球環境の保護・維持に貢献できる仕事です。
廃棄物をリサイクルせずにそのまま捨ててしまうと、ゴミの量が増えるだけでなく、新しいペットボトルや缶を作るために、さらに環境を傷つけることになります。
しかし、リサイクル工場が廃棄物を資源として再利用できる形にすれば、ゴミの焼却や埋め立てが減り、再利用できる資源を増やすことができます。
働くことで地球や人々の生活を守っていけるのは、リサイクル工場で働くうえでの大きなやりがいになるでしょう。
4-2.モノづくりができる
リサイクル工場では、すでに使われなくなったモノを回収して、新しいモノを作りあげます。
リサイクルしなければただのゴミだったものが新しいモノに生まれ変わるのは、モノづくりが好きな方にとっては感動的なことではないでしょうか。
モノづくりが好きで製造工場への就職・転職を考えている方にとっても、満足できる仕事内容といえるでしょう。
5.リサイクル工場で働く大変さ
リサイクル工場の選別の工程と機械オペレーターの工程では、それぞれに大変なところがあります。
廃棄物から異物を取り除く仕分け作業では、異物を取り除く作業を延々とおこなうことになります。作業が止まるとラインが止まってしまうため、同じペースで選別仕分けをし続けなければいけません。
また、機械オペレーターは最初に機械の操作方法を覚えることが大変です。機械の操作に失敗するとラインを止めてしまう原因になるため、スムーズに操作できるようになるまでは大変でしょう。
ただ、これはリサイクル工場に限ったことではなく、製造工場全体にいえることですし、OJTを通じて徐々に慣れていくため心配はいりません。
6.リサイクル工場に向いている方の特徴
では、リサイクル工場の仕事には、どのような方が向いているのでしょうか。
6-1.集中力に自信がある
リサイクル工場の仕事をこなすためには、高い集中力と持続力が求められます。
例えば、廃棄物が工場に納入された直後の仕分け作業では、どんどん流れてくる廃棄物に異物が含まれていないかを目視と手作業で仕分けることもあり、集中力が続かないと異物を見逃す原因となってしまいます。
このような流れ作業、細かな選別仕分け作業を長時間おこなうことを苦痛に感じない方であれば、リサイクル工場の仕事に向いているといえるでしょう。
6-2.周りをよく見て行動できる
一般的な工場と同様、リサイクル工場でも、重い金属や大きな廃棄物を運搬するための重機や、加工するための機械が作動しています。
周囲をよく見て行動しないと、重機や機械に巻き込まれる可能性があり危険です。
工場には安全に作業するためのマニュアルが完備されているため、入社後はまず安全に作業する立ち回り方を覚えることになります。
そのようなマニュアルを覚えることが得意で、かつ周囲をよく見て行動できる方であれば、リサイクル工場に向いているといえます。
6-3.体力に自信がある
廃棄物を粉砕する工程は機械によっておこなわれますが、そこにいたるまでの運搬や仕分けは人の手でおこなわれることが多くなっています。
特に金属を扱う場合は、運搬する廃棄物の重量も大きく、仕事をこなすには相応の体力が求められます。体力に自信があり、重いものを長時間扱うことを苦に感じない方であれば、リサイクル工場に向いているでしょう。
7.リサイクル工場で働くのに必要な資格
リサイクル工場には、無資格・未経験でも入社することが可能です。しかし、会社によっては一定の免許取得が求められる場合があります。
企業によっては取得支援制度を用意していることもありますが、事前に取得していれば転職活動において有利となるでしょう。
リサイクル工場の仕事で具体的に求められることが多い資格は、主に以下のようなものです。
7-1.普通自動車免許
普通自動車運転免許は、工場においては、小型トラックなどを運転する際に必要となるケースがあります。
ほかの資格は入社後の取得支援制度で取得することもできますが、普通自動車運転免許はほとんどの場合で応募時にすでに取得していることが求められます。
都心に住んでいるなどの理由で、普通自動車免許を持っていない方がリサイクル工場に転職を目指すなら、転職活動前に免許を取得しておきましょう。
なお、企業によってはオートマ限定が不可の場合もあるため、募集要項をよく確認しましょう。
7-2.フォークリフトの免許
リサイクル工場では、一般の製造工場と同様、フォークリフト免許が活かせます。
工場内に運ばれた廃棄物を荷下ろししたり、リサイクルされたものを再出荷したりする際などは、有資格者によるフォークリフトの操作が必要になります。
フォークリフトは重要性が高い資格であるため、企業によっては資格取得支援制度を設けています。そうした企業であれば、入社時に免許を取得していなくても問題ありません。
7-3.パワーショベルの免許
パワーショベルは、リサイクルのなかでも自動車リサイクル(スクラップ解体)など大きな廃棄物を扱う仕事で利用されます。
人の手やフォークリフトでの運搬ができない廃棄物を扱う工場では必須の免許であり、入社後に取得が求められるでしょう。
8.未経験でもリサイクル工場で働ける?
リサイクル工場は、廃棄物を新しく生まれ変わらせるという、一般的な製造工場とは異なる工程が特徴的です。ただ、ライン作業の部分も多いことから、業界未経験の方でも活躍することは十分にできます。
フォークリフトやパワーショベルなどの資格は、前述のとおり多くの企業が取得支援制度を設けているため、転職活動時は資格なしでも問題ありません。
機械オペレーターの仕事ではリサイクルに関わる特殊な機械の操作法を覚えることになりますが、こちらも仕事のなかで先輩から教わることで徐々に覚えていきます。
経験を積むことでスムーズに仕事ができるようになるため、転職前は未経験でも入社できます。
9.まとめ
リサイクル工場と聞いて、一般的な工場と違う特別なスキルが必要なのかと感じる方もいるかもしれませんが、今回紹介した仕分け作業や機械オペレーターなら、無資格・未経験でも活躍できます。
長時間の仕分け作業をこなせる集中力や、重い産業廃棄物を扱う体力に自信があれば、リサイクル工場は良い選択肢になるのではないでしょうか。
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