工場の仕事図鑑
更新日:2022年06月01日

鳶(とび)職とは?種類や平均年収、向いている人の特徴などを解説

鳶(とび)職とは?種類や平均年収、向いている人の特徴などを解説

※この記事は4分30秒で読めます。

「鳶職ってどんな仕事?」
「鳶職がどのくらい稼げるか知りたい」
など、鳶職の仕事に関して疑問を持っている方はいるでしょう。

鳶職は、建設現場で主に高所作業を担うことから「現場の華」とも呼ばれる仕事です。

今回は、鳶職の主な仕事内容や平均年収、必要な資格や向いている人の特徴などを解説します。この記事を読めば、鳶職としての働き方がよくわかり、働く自分の姿がイメージできるようになります。

1.鳶(とび)職とは?

鳶職とは、基本的に建設現場で高所作業を担う仕事です。

新たな建物を造る時だけではなく、既存の建造物を改修する時にも活躍し、工事に欠かせない作業を担います。高所作業は危険をともなうため、鳶職として働くためには体力や集中力は必須です。

2.鳶(とび)職の種類と仕事内容

鳶職は、担当する作業によって4つに分類されます。

  • 足場とび
  • 鉄骨とび・橋梁とび
  • 重量とび
  • 職長

それぞれの内容を確認していきましょう。

2-1.足場とび

足場とびとは、建設作業するための足場を組む鳶職です。鉄パイプで骨格を作り、足場板を設置して高所での作業スペースを確保します。

なお、足場とびは足場を設置するだけでなく、工事終了後には解体、撤去作業も担います。建設業界では「鳶に始まり鳶に終わる」という言葉があるほど、足場とびなくして建設は成立しません。

2-2.鉄骨とび・橋梁とび

ビルやマンションの高層部分で建物の骨格部分を作るのが鉄骨とびです。

高層の足場で待ち構え、クレーンでつり上げられてきた鉄骨を組み立てていきます。高所かつ狭い足場で危険と隣り合わせの作業となるため、ハーネスをつけるなど、万が一に備えなければなりません。

また、鉄骨を組み立てて建設の骨組みを作る鳶職として橋梁とびがあります。橋や高速道路、高架線、ダム、鉄塔などが専門で、通常の建設物とは異なる専門性が求められます。

2-3.重量とび

重量とびとは、建設現場に大型の機械や重量物を設置する鳶職です。

主に建造物の電気や空調、給排水の工事において必要な重機を搬入・設置する役割を担うため、建築設備の専門知識が必須です。高所作業にあたることはあまりありません。

2-4.職長

職長は、現場の指揮命令を担い、作業に携わる鳶職人を取りまとめるリーダー役です。あらかじめ作業計画や手順を構築し、工程管理もおこないます。

また、作業員が安心して働けるように現場の安全管理を徹底する役割もあります。職長になるには、労働安全衛生法で定められた2日間の職長教育を受け、「職長教育修了証」を交付される必要があります。

3.鳶(とび)職の平均年収

厚生労働省が実施した「賃金構造基本統計調査」によると、鳶職(とび工)の平均月収は2019年時点で男性28万500円、女性21万8,800円となっています。

賞与など特別給与の平均は男性24万2,100円、女性が12万6,100円となり、年収に換算すると男性が360万8,100円、女性が275万1,700円です。

また、経験年数による月収の推移を見てみると、男性は1年目と10年目で93万以上の差が生じています。

経験年数自体はもちろんですが、役職によっても変動します。あらかじめ、会社内でどのように評価が上がっていくのかを確認しておくことをおすすめします。

4.鳶(とび)職を目指す人におすすめの資格

鳶職に就くうえで、必ず取得しなければならない資格はありません。ただし、資格があれば担える業務が増え、仕事の幅も広がります。より高度で責任のある業務に携わりたいという方は、以下の3つの国家資格取得を検討しましょう。

  • 玉掛け技能講習
  • 足場の組立て等作業主任者
  • 建築物等の鉄骨組立等作業主任者

それぞれの資格についてお伝えします。

4-1.玉掛け技能講習

クレーンのフック部分に荷物をかける「玉掛け」、荷物を外す「玉外し」の作業を担当するには、玉掛け技能講習の修了が求められます。具体的には以下の業務に従事する際に必要となります。

  • クレーン(つり上げ荷重1トン以上)
  • 移動式クレーン
  • デリック
  • 揚貨装置による玉掛作業

重量のある荷物を運ぶ際にはさまざまな危険がともなうため、玉掛けやクレーンに関する作業は専門知識を習得した人にのみ認められます。

なお、玉掛け技能講習はあくまでも玉掛けに関するもので、クレーン車を運転する場合は別途クレーン・デリック運転士免許が必要です。

4-2.足場の組立て等作業主任者

足場の組立て等作業主任者は、つり足場や張出し足場、高さ5m以上ある足場の組み立てや解体・変更作業に求められる資格です。現場で作業をおこなう際には、技能講習の修了者が責任者となって全体を指揮する必要があります。

適切な足場の組み立ては、建設作業を安全に執りおこない労働災害を防ぐために非常に重要です。そのため、技能講習の一般的なコースでは満21歳以上であることに加え、3年以上の実務経験があることなどが求められています。

4-3.建築物等の鉄骨組立等作業主任者

建築物の骨組みや高さ5m以上の金属製の部材が使用される塔の組み立て、解体、変更作業の際に必要となるのが建築物等の鉄骨組立等作業主任者です。

これらの作業をおこなうには、安全面で現場の責任を負い作業員を指揮する有資格者の選任が求められています。技能講習を受講するには、満18歳以上であり3年以上の実務経験があることなどが必要です。

5.鳶(とび)職に向いている方の特徴

鳶職の仕事は、向いている方とそうでない方の区分けがわかりやすく存在します。ここでは鳶職に向いている方の特徴を4つ挙げます。

  • 高所恐怖症ではない方
  • 体を動かすのが好きな方
  • ワークライフバランスを保ちたい方
  • 専門性を高めたい・手に職をつけたい方
それぞれの特徴について確認していきます。

5-1.高所恐怖症ではない方

鳶職の仕事は高所での作業が前提です。そのため、高所恐怖症でないことが必須条件と言っても過言ではないでしょう。

また、たとえ高い場所が大丈夫であっても、高所に身を置くという行為そのものが危険であることを常に自覚しておくことが必要です。

5-2.体を動かすのが好きな方

体を動かすのが好きな方は、まさに鳶職に向いているといえるでしょう。これまでご紹介してきたように、鳶職はほとんどの仕事において体を動かします。

「じっとして仕事を続けるのは苦痛」「体を動かして仕事がしたい」という方は、鳶職を天職だと思うかもしれません。

5-3.ワークライフバランスを保ちたい方

ワークライフバランスを実現させたい方にも鳶職は向いています。

鳶職の労働時間は多くが8時?17時で、残業はほとんどありません。陽が沈むと視界が悪くなり、現場作業がより危険になるためです。したがって、家族や趣味、学びの時間もきちんと確保したいという方は充実した生活が送れるでしょう。

5-4.専門性を高めたい・手に職をつけたい方

「専門性の高い仕事に就き社会人として成長したい」「手に職をつけて長く働きたい」という方にも鳶職はおすすめです。前述のとおり、鳶職には仕事で役立つ資格が多数あります。

現場経験を積みながら勉強し資格を取得できれば、誰の目にもわかりやすい形で専門性を高めることができます。体を使って技術を習得し、まさに「手に職をつける」という状態を実現できるため、意欲的に働き続けられるでしょう。

6.鳶(とび)職として働く方法

鳶職として働くには、まず建設会社に就職する必要があります。近年の労働市場全体にいえることではありますが、建設業界においても人材不足が顕著であるため、求人は比較的多く見つかるでしょう。

就職後は見習いの立場から現場を経験し、先輩の教えを受けながらスキルアップを目指していきます。経験がものをいう世界なので、はじめのうちは比較的簡単な仕事しかできず思い悩むこともあるかもしれません。

しかし、先輩の仕事ぶりから学びを得つつ日々の努力を怠らずに仕事と向き合っていれば、数年後には大きな成長を遂げられるはずです。経験を重ねて会社の中枢を担うようになれれば仕事の領域が広がり、なくてはならない人材となれるでしょう。

7.まとめ

この記事では、鳶職の仕事についてお伝えしました。

鳶職は、昔も今も建設現場になくてはならない重要な役割を担う仕事です。建築物がなくならない限り、鳶職は求められる仕事であり続けます。

夏は暑い、また冬は寒い環境下で体を使って作業することもあるため、決して楽な仕事とはいえないかもしれません。しかし、未経験から始められ、努力次第では仕事の幅も給与も増していくため、やりがいを持って働き続けられるでしょう。

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