出世したくないと考える理由と打診を断る際の注意点、例文を紹介

この記事で分かること
- 価値観が多様化している現代において、「出世=成功の証」という考えはあまり一般的ではない
- 出世したくないと考える理由には、仕事量が多くなることや人間関係で悩みたくないことなどが挙げられる
- 出世しない道を選ぶと、自分の仕事に集中しやすい、複雑な人間関係を避けられるなどのメリットがある
- 出世の打診を断る際は、理由を具体的に説明しつつ、感謝の気持ちをしっかり伝えることなどが大切
- 出世したくない方におすすめの働き方として、契約社員や派遣社員、フリーランスなどが挙げられる
※この記事は6分30秒で読めます。
「今の職場で出世するのは、正直気が進まない」
「出世せずに、今の立場のまま働き続けたい」
など、出世欲がないことで今後の働き方への悩みを持つ方は多いでしょう。
出世の道を選ばないことには、デメリットだけでなくメリットもあるため、出世欲がないことを過度にネガティブにとらえる必要はありません。しかし、自分の選択に後悔することがないよう、出世しないことで自身のキャリアにどのような影響が生じるのかをしっかりと理解しておくことが重要です。
今回は、出世したくないと考える主な理由の他、出世しない場合のメリット・デメリットや出世を断る前に考えるポイント、断るときの注意点などを解説します。この記事を読めば、出世しないという選択が自身に与える具体的な影響がよくわかり、理想的なキャリアを築きやすくなります。
エリアから工場・製造業のお仕事を探す
1.出世したくないと考えるのはダメなこと?
出世したくないと考えることは、決してダメなことではありません。
「出世が成功の証」と考える方が多かった以前の社会とは違い、価値観の多様化が進んでいる現代において、「出世=成功」という考えは一般的なものではなくなりつつあります。
人によっては、管理職に就いて残業が多い日々を過ごすより、趣味や家族との時間を大切にしたいと考える方もいるでしょう。一方で、プライベートの時間よりも、仕事に精一杯打ち込むことに人生の幸せを感じる方もいるかもしれません。
出世する、しないの選択は、どちらが正しいということはないのです。周りの声に流されることなく、自分らしい働き方を追求したうえで選んだ道が、自分にとっての正解です。
そのため、自分が納得した選択なのであれば、出世しない道を選ぶことをネガティブにとらえる必要はありません。
2.出世したくないと考える理由とは?
出世したくないと考える理由には、代表的な8つの理由があります。それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
2-1.仕事の責任を増やしたくない
出世して管理職になると、今まで以上に仕事の責任が増大します。
自分の仕事に集中するだけではなく、自分以外のメンバーの行動、仕事の進捗にまで気を配らなくてはなりません。誰かがミスをすれば、その解決に向けて管理職が自ら動く必要もあるでしょう。
社内でのポジションが上がるとともに、責任の重さに押しつぶされてしまう方もいます。管理職ではなく、新人の教育係に任命されるだけでも、負担に感じる方は少なくありません。
「精神的な負担で仕事がつらくなるなら、今のポジションのままでよい」という意見は少なくないでしょう。
2-2.仕事量を増やしたくない
出世して管理職のポジションに就けば、これまでよりも仕事量が増えます。
自分の仕事をこなすのはもちろん、チームの管理や部下のサポートなど、マネジメント業務も含めて対応しなくてはなりません。
仕事量が増えると、そのぶんだけ体力や気力を消耗し、うまくいかなければストレスもたまっていきます。このように仕事量が増えることが嫌で、出世したくないと思ってしまう方もいるのです。
2-3.仕事と給料が見合っていない
出世したい方の多くは、出世による給料アップを期待します。しかし、実際には仕事と給料のバランスがよくないケースも多いようです。
出世すると責任が重くなり仕事量も増えますが、それに見合った給料がもらえるとは限りません。
上司がせわしなく働く様子を見たり、直接話を聞いたりするうちに、「出世しても給料はあまり増えないのでは?」と考えるようになります。そういった理由で、出世を望まず現状のポジションを選ぶ方もいるようです。
2-4.出産、育児、介護などとの両立が難しい
出世したい気持ちがあっても、出産や育児、介護との両立ができず、諦めてしまう方は少なくありません。
ライフステージの変化に対応できず、出世に対しても積極的になりにくい方もいるでしょう。
また、女性管理職が少ない職場では、「出世した自分の姿をイメージできない」という理由で、出世を諦めてしまう女性も多いです。昇進の時期と出産のタイミングが重なってしまい、出世の打診を断る方も少なくありません。
2-5.人間関係で悩みたくない
出世して中間管理職になると、上司と部下の板挟みになることが多々あります。
「上司からの無理難題を部下に伝えて、部下から悪口を言われた」というのもよくある話です。
他にも、同期や先輩よりも出世のタイミングが早かったことで、ねたまれて人間関係が悪化するパターンがあります。人間関係に悩みたくないがために、出世を断る方は少なくありません。
2-6.業務内容が変わり、慣れ親しんだ仕事ができなくなる
管理職になると、現場で働く「プレイヤー」から管理する側の「マネージャー」へと立場が変わります。
今の仕事にやりがいを感じていても、出世により実務を離れることになる可能性があるでしょう。
仕事内容への興味関心は、その方の働く意欲に関わってきます。慣れ親しんだ業務から離れることに不安を感じて、出世したくないと考える方もいるようです。
2-7.そもそも職場の社風や価値観が合わない
職場の社風や価値観が自身と合っていないと感じていると、「この会社で出世したい」という前向きな気持ちを持つことは難しいでしょう。
管理職になると、会社の方針に沿った働き方をしなければならない機会が多くあります。そのため、職場と自身の価値観のミスマッチを感じている方の多くは「今のポジションのまま自由度の高い働き方を続けたい」と考える傾向にあります。
また、出世の道を選ぶと、価値観の合わない上司とより一層密接に関わる時間が増えるかもしれません。
そのような相手と無理に人間関係を構築するのはストレスの要因にもなりうるため、心的負担を増やさないことを理由に出世したくないと考える方も見られます。
2-8.今の会社に長く在籍するつもりはない
今の会社に長く在籍するつもりがない方は、出世よりも転職して新たな環境で経験やスキルを積もうと考える方が多い傾向にあります。
現代では多くの方が自身の理想のキャリアを実現するために、転職という選択肢を積極的に取るようになっています。
今の会社である程度の実績が作れたら転職して自分の経験が活かせる仕事をしたい、基本的なスキルを身につけたら独立して事業を立ち上げたいなど、転職や独立などのキャリアを考えている方は、今の職場での出世にこだわりを持っていないことが多いです。
3.出世しないことによるメリット
出世を目指さないことには、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは4つの具体的なメリットについて解説します。
3-1.大きな責任や負担を背負わなくて済む
出世をあえて希望しないことで、担当している業務やポジションをそのまま維持できます。
変化を望まない方にとって、慣れ親しんだ業務を続けられるのは大きなメリットです。これまで以上の責任を負うこともなく、楽な気持ちで今の仕事を続けられます。
3-2.ワークライフバランスを実現しやすい
出世して管理職になれば、プロジェクトを進めるリーダーとして、全体を引っ張っていく責任が生じます。仕事量が増えると、これまで以上に残業が発生することもあり、プライベートの時間も少なくなっていくでしょう。
一方で、出世を選ばずに、今までどおりの適度な仕事量を維持できれば、これまでと同じワークライフバランスを実現しやすくなります。
3-3.自分の仕事に集中できる
管理職になると自分の仕事だけでなく、部下を管理する業務が発生します。
たとえ現場でどれだけ優秀な方であっても、管理者側の仕事が向いているとは限りません。
マネジメント業務に興味がない方は、出世しないでこれまでの仕事に集中するほうが、やりがいを持って楽しく働けるかもしれません。
3-4.複雑な人間関係を避けられる
出世しない道を選べば、職場での複雑な人間関係から一定の距離を保ちやすくなります。
出世して管理職になると「部下からの不満を上に伝える必要がある」「上からの厳しい要求を部下に無理強いしなければならない」など、上司と部下の板挟みになって、人間関係に悩まされる状況が増える可能性があります。
また、人によっては出世したことで同僚が直属の部下になり、仕事にやりづらさを感じることもあるかもしれません。
このような人間関係の煩わしさから避けることができるのも、出世しないことにおける大きなメリットといえます。
4.出世しないことによるデメリット
出世したくない方は、その希望を会社側に伝える前に、以下のデメリットについて把握しておきましょう。ここでは3つのデメリットについて解説します。
4-1.社内での評価が下がってしまう可能性がある
会社から出世の打診があったときは、断ると社内での評価が下がってしまう可能性があります。出世を選ばないのはその方の自由ですが、その後についても念のため考えておきたいところです。
出世を希望しない旨を伝えるときには、なるべく角が立たないように、穏便な断り方をしましょう。そうすることで出世の打診を断ったとしても、今の仕事・役職のまま働き続けることができます。
例えば、以下のような断り方をしてみましょう。
- 現在の仕事にやりがいを感じており、今後も一プレイヤーとして現場で活躍したいと考えています。
- 自身の適性や理想のキャリアプランについて慎重に考えた結果、マネジメント側ではなく現場で働きたいという結論に至りました。これからはより専門性を磨いて、会社に貢献したいと思っています。
「意欲がない」「会社に貢献する気がない」などと見なされないように注意が必要です。出世の打診を断る際には、仕事や会社に対する前向きな姿勢をアピールしてみましょう。
4-2.将来のキャリアアップの機会を失う
出世の打診を一度断ると、成長意欲がないと判断されて、出世コースから外されてしまう場合があります。また、一般的に出世は給与や賞与の増額に直結するため、出世を目指さないことで、今後の収入が伸び悩む可能性が高くなるでしょう。
このような理由から、のちに気分が変わって出世したいと思っても、次のチャンスを得るのは難しく、大幅な年収アップは見込みづらくなるかもしれません。
ただし、たとえ一度出世を断ったからといって、今後絶対に出世できないというわけではありません。
もし今の会社で出世を目指したくなったときは、会社側に出世したい旨を伝えて、あらためて交渉してみましょう。これまでの実績を示し、キャリアアップを目指す理由を明確に伝えることで、出世の機会を得られる可能性があります。
4-3.成長の機会を逃す可能性がある
自分が成長するチャンスを逃す可能性があることは、出世の打診を断ることの大きなデメリットとなります。
出世して管理職やチームリーダーに昇格すると、今までとは違う業務を任されることが多くなります。部下を育成したり、チームのマネジメントに携わったりすることで、新たな知識やスキルを身につけることができるでしょう。
ときにはプロジェクトのリーダーとして、会社の業績に関わる大きな判断を下すこともあるかもしれません。
しかし、出世を断った場合、上記のような自己成長の機会を得にくくなってしまいます。
社会人として成長するには出世がすべてではないものの、出世を断る場合は、上記のようなデメリットについて今一度じっくり考えてみることが大切です。
5.出世の打診を断る前に考えるべきこと
出世を断ったあと、考えが変わって後悔する方も少なくありません。出世を打診されたときは、断る前に自分の気持ちを再度見つめ直しましょう。
「将来的に後悔しないか?」「このまま同じポジションで満足できるか?」「給料アップに未練はないか?」など、自分に対して問いかけてみてください。
出世の打診を受け入れるのも断るのも、その方の選択次第です。出世を選ばず、専門性を磨いて社内での地位を高めていく道もあります。自分の将来を左右する選択でもあるので、納得できるまで慎重に考えましょう。
6.出世の打診を断る際の注意点
出世の打診を断る際は、具体的な理由をしっかり伝えつつ、誠意を持った受け答えをすることが非常に重要です。ここでは、出世の打診を断る際の2つの注意点を、例文と合わせて詳しく見ていきましょう。
6-1.断る理由をしっかりと伝える
出世の打診は、具体的な理由をきちんと説明したうえで断ることが大切です。あいまいな返事やその場しのぎの言い訳をしてしまうと、上司との信頼関係をに悪影響をきたす可能性があります。
「今の現場の仕事にやりがいを感じていて、もっと技術を磨きたい」「お客様と直接関われる今の仕事の方が自分には合っている」など、仕事に対する自分の正直な想いを伝えれば、上司もきっと納得してくれるはずです。
また「子どもの送り迎えがあるため、残業の多い管理職は難しい」「親の介護で突然休暇を取ることがあるかもしれない」など、プライベートな事情を理由に出世を断る場合も、具体的な状況をしっかりと説明することで、上司の理解を得やすくなるでしょう。
このあとは、出世の打診を断る理由を具体的にどのように伝えたらよいのか、パターン別の例文を紹介します。
6-1-1.【例文】今の業務を続けたい場合
このような大切なお話をいただき、本当にありがとうございます。正直に申し上げますと、私は今の仕事の〇〇〇な部分にとてもやりがいを感じています。まだまだこの仕事で成長していきたいと考えていますので、今回は申し訳ありませんが、お話を辞退させていただきたく存じます。
この例文では、今の仕事への思い入れを具体的に説明しているのがポイントです。現在の仕事のやりがいを具体的に伝えることで、単なる断りではなく、同時に仕事への意欲も示すことができます。
6-1-2.【例文】家庭やプライベートを優先したい場合
このような素晴らしいお話しをいただき、大変光栄です。ただ、同居している母の介護があり、通院の付き添いや家事などで、残業するのが難しい状況です。今は家庭のことを優先できる働き方を続けさせていただきたいと考えております。今回は申し訳ありませんが、お話を辞退させていただきたく存じます。
この例文では、家庭の状況を具体的に説明している点がポイントです。残業の多い働き方ができないことにはっきりした理由を示すことで、上司の理解を得やすくなります。
6-1-3.【例文】自分に自信がない場合
昇進のお話をいただき、本当にありがとうございます。ただ、管理職の責任の重さを考えると、現時点では自信を持ってお引き受けすることができません。まずは今の仕事で業務への知識をより深め、部下の指導に必要なコミュニケーション力をさらに磨いていきたいと考えております。今回は申し訳ありませんが、お話を辞退させていただきたく存じます。
この例文では、単に「自信がない」とネガティブに伝えるのではなく「今後磨いていきたい点」を具体的に示している点がポイントです。このように断れば、上司に前向きな姿勢を示しつつ、将来の可能性を提示できるでしょう。
6-2.感謝の気持ちを伝える
上司から出世を打診された場合は、まずはその事実にしっかりと感謝の気持ちを伝えましょう。
会社側は、何人もの候補者の中から、時間をかけて出世対象者を選定しています。出世の打診があったということは、自分の仕事ぶりが高く評価され「この人なら任せられる」と信頼されていることの表れです。
そのため、たとえ出世を断る場合であっても「このような機会を与えていただき、ありがとうございます」「私を評価していただき、光栄です」などの感謝の言葉は必ず伝えましょう。
丁寧に感謝の気持ちを伝えることで、今後も上司と良好な人間関係を保つことができます。また、再び出世のチャンスが巡ってくる可能性も残すことができるでしょう。
7.出世したくない方におすすめの働き方
出世したくない方は、正社員ではなく契約社員・派遣社員・フリーランスとして働くことも選択肢に入れてみましょう。
7-1.契約社員として働く
雇用期間の定めのある契約(有期労働契約)を結ぶ社員を、契約社員といいます。契約期間は最長で3年間です。
会社によって契約更新の期間はさまざまで、契約のタイミングで更新するかしないかを選択します。
契約社員は直接雇用ですが、正社員と比べると転勤の可能性が低く、仕事における責任も比較的小さめです。
出世を目指さない働き方をしたい方は、あえて契約社員を選ぶのもよいでしょう。
7-2.派遣社員として働く
派遣社員として働く場合は、派遣先企業ではなく人材派遣会社と雇用契約を結びます。
働く期間が決まっているため、出世の打診をさせることも基本的にはありません。
紹介予定派遣の仕事を選べば、将来的に派遣先企業の正社員を目指せます。
7-3.フリーランスとして働く
フリーランスとして働く道を選べば、出世について悩むことがなくなります。
そもそも会社に所属しないため、管理職としての重圧を背負うことはありません。
収入が安定するまでに時間がかかるかもしれませんが、自分のやりたい仕事にフォーカスしたり、仕事量を調節しながら働いたりできます。
8.まとめ
「出世したくない」という気持ちは、決して恥ずかしいことでも、間違ったことでもありません。出世の道を選ぶべきか悩んだときは、自分らしい働き方を選ぶことが何よりも重要です。
出世には、たしかにプラス・マイナスの両方の面があります。責任や仕事量が増える一方で、新しい経験を通じて成長できるチャンスも得られるでしょう。ただし、これらの重みは人それぞれの価値観によって感じ方が変わるものです。
「今の仕事が楽しい」「家庭を大切にしたい」など、出世したくない理由は人によってさまざまですが、自分の正直な気持ちと向き合い、自分にとって最適な選択をすることが、後悔せずに働けるコツといえます。
正社員以外にも、契約社員や派遣社員、フリーランスなど、働き方の選択肢は多岐にわたります。多様な働き方が認められる時代であるからこそ、自分に合った柔軟な働き方を探していきましょう。
JOBPALでは、雇用形態にとらわれないさまざまな求人を扱っています。気になる求人があれば、まずはお気軽にお問い合わせください。
関連記事
人気ランキング
工場・製造業の職種図鑑
以下の条件から求人を探す
都道府県からお仕事を探す
職種からお仕事を探す